Lucia、2ndフルアルバムを発売“「Light&Shade」は自らを癒すための重要なヒント”
写真=PASTEL MUSIC
「サンティアゴ巡礼路を歩いていた時、大切な人が亡くなったという知らせを聞いた」
ミュージシャンLucia(本名:シム・ギュソン)が、今度は2枚組の新アルバムを引っ下げて戻ってきた。1年に1枚ずつアルバムを出し、人々と積極的にコミュニケーションしてきた彼女は、約1年間力を蓄えてきた。22日、Luciaは2ndフルアルバム「Light&Shade Chapter.1」を発売した。タイトルからも分かるように、今回のアルバムは2枚で構成されている。最近インタビューで会ったLuciaは「『休まずアルバム制作をしているのに、何故こんなにもアルバムが出ないの』と聞かれます。今後も麺のようにぐんぐん引き出すつもりです」と笑って見せた。
「ミュージシャンが1年に1枚アルバムを出すためには、本当にプライベートなしで作業しなければなりません。振り返ってみると、疲れることもありましたが、関心を持って頂けることに感謝しなければならないと思います。今までストックしていた曲がたくさんあったので無理なくアルバムを出せました。今回のアルバムも春に花が咲くように、ちょうど良い時期に出すことができました(笑)」
豊かになったアルバムの構成「音楽は道具であり、人生そのものには勝てない」
アイドル歌手や他のミュージシャンとは違い、Luciaはタイトル曲の境界が曖昧だ。逆に言うとアルバム全曲を均等に聞くリスナーが多いということだ。そのため、Luciaも1、2曲だけを目立たせるよりも、アルバム全体の流れと曲が与える相乗効果を考えながら作業してきた。2ndアルバムを2枚組にしたことも、1枚にぎっしり詰め込むよりは曲の感じと時期を区別して季節に合わせて出した方が良いと思ったからだ。そのため、Part.2は今年の秋に発売する予定である。これは恐らく“春男秋女”(春と秋に男性と女性がそれぞれ物思いにふけること)のいずれも魅了しようとする高度な戦略ではないだろうか。
「(笑) そこまで考えたことはありません!振り返ってみると、いつもこの時期にアルバムを出しています。たくさんの方が私の曲を長い間聞いてくださるので、春にアルバムを出す時は夏の熱い感情を込め、秋に出すアルバムには冬の厳しさを込める必要があります。特に春と秋は芸術に傾倒するのに良い時期ですし」
アルバムの制作中、Luciaは昨年12月まで2ヶ月間スペイン・サンティアゴ巡礼路を訪れた。「Music is My Life」という言葉をかみしめながら、果たして音楽が人生そのものと対等なものになれるのだろうかという疑問を長い間自問自答してきた。
「幼い頃は『音楽は私の人生』という言葉をうわ言だと思っていました。自分の人生が音楽の道具になってはならないと思いました。私は自然に年を重ねながら高齢者になりたいですし、長い間人生について知りながら存在を証明したいと思います。愛や憎しみといった強い感情も私たちの人生と対等ではありません。人生そのものが大切なのではないでしょうか。ですからそれをアルバムに沢山込めようとしました。もちろん、自信を持って完璧だとは言えませんが、悟っていく過程にあるということはお見せできると思います」
「光がなければ闇もない、お互いに違うけれど私たちは共存する」
そのような意味でアルバムのタイトル「Light&Shade(光と影)」も、Luciaが努力しながら悟っていく中で見つけた結果だ。愛について問いかける歌をはじめ、特に「Who」のような曲は存在について質問を投げかける。実に抽象的で隠喩になりがちだが、Luciaは具体的な言葉で表現しており、過去のアルバムに比べて変化した点だ。「光と闇は対極にあるものだと言われますが、光がなければ闇もないでしょう。ここ1年間で気付いたことがあります。反対のように見えるものが、元々は一つだったのではないだろうかと思いました。私は経験に基づいて曲を作ってきましたし、想像で作ったことはありません。経験したことや理解して気付いたことを中心に作業してきました。今回もそうやって制作しました。ただ、変わった点を挙げれば、人生についてもう少し先まで見ようとする意識が芽生えたことや、恋人への愛や渇望を隠喩で表現するよりも、ストレートかつ鮮明な感じで人々に近づきたいと思いました」
今回のアルバムのもう一つの特徴はアルバムジャケットにLucia本人の顔写真を入れたことと、ダブルタイトル曲(「Be Mine」「デミアン」)を選んだことだ。タイトル曲についてLuciaは「『Be Mine』をタイトルにしようと思って作業していましたが、『デミアン』を作業する中で今回のアルバムを貫く曲だと思い、会社に強く主張して最終的にダブルタイトル曲になりました」と裏話を語った。
「サンティアゴの巡礼路を歩いていた時、大切な人が亡くなったという知らせを聞きました。その時『デミアン』という曲に出会い、『Be Mine』にもその感性を込めました。歌を通じて悲しみに対処するという意図はありません。ただ、今そばにいる人や物などを当たり前だと思わず、切なく感じてほしいという願いを込めています。
実際、女性ミュージシャンの方々はアルバムジャケットに自分の顔を入れますが、私は避けてきました。“弘大(ホンデ)の女神”というニックネームも先輩ミュージシャンたちのものだと思っていました。俗に言う“顔を売る商売”には自信がありませんでした。ところが、今回のアルバムを見てみたら綺麗に写っていました(笑) 悪評が出るのではないかととても心配していましたが、今のところ心配していたよりも評判は悪くはないようなので、このまま静かに時間が経ってくれればと願うばかりです。秋のジャケット写真も既に撮影済です(笑)」
より一層成熟したLuciaの悩みと悟りが今回のアルバムの結晶だと言えるだろう。常に人生について歌うことができるのは、恐らく彼女が最近集中している“自らを癒すこと”のおかげではないだろうか。誰もが癒しを求め、様々な方法を模索する現代。Luciaは「外部から受けた傷を外部で癒したりしますが、逆に言えば外部のいかなるものも傷を与えることはできないと思います。自分のことを判断したり、憎むことを止めなければなりません、それさえできれば人生の多くの部分が変わるはずです」と真剣に語った。
「自分を癒し、慰めるために曲を作る」というLuciaの言葉を覚えておこう。そのような意味で「Light&Shade」は自らを癒すための重要なヒントになるのではないだろうか。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ソンピル
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