「愛のタリオ」チョン・ウソン“感情が面白ければ露出も面白い”
俳優チョン・ウソン(41)のここ1年を振り返ってみると、新鮮を超えて破格に近い道のりであった。自身初の悪役(「監視者たち」)に挑戦し、映画制作者(「私を忘れないで」)にも変身し、19禁の痴情ラブストーリー映画(「愛のタリオ」)にも全力を注いだ。
チョン・ウソンは20年間守り抜いてきたトップスターの座を自ら嘲笑するように変身を繰り返した。「愛のタリオ」(監督:イム・ピルソン、制作:映画社動物の王国)は彼のこのような繰り返される変身の頂点と言っても過言ではない。結果は成功と言える。相当大胆なベッドシーンもそうだが、後戻りのできない欲望の渦巻きに翻弄されるシム・ハッキュの姿はここ20年間私たちが一度も見ることのできなかったチョン・ウソンの顔そのものだ。
韓国で10月2日に公開される「愛のタリオ」は古典「沈清伝(シムチョンジョン)」を現代版にアレンジし、一人の男性と彼を愛した女性、そしてその娘に執拗に付きまとう愛と欲望、執着の痴情ラブストーリーで再誕生させた作品だ。チョン・ウソンは「愛のタリオ」で恋人を捨て、その対価としてすべてを失う危機に陥る男ハッキュ役を演じた。ハッキュはスキャンダルで小都市に左遷された大学の教授だ。そこで出会った20歳の女性ドギ(イ・ソム)を熱く愛し、冷たく裏切る人物だ。
「シナリオそのものが、とても魅力がありました。完成版よりシナリオ上ではチョンイ(パク・ソヨン)のキャラクターがもっと危険でした。同性愛的な部分があったんですよ。その中でもハッキュは一番情けないキャラクターでしたし(笑) ハッキュの情けなさを和らげ、目が見えなくなってからも雄の本能が生きている人物として描けたら面白いと思いました。この部分について、監督とたくさん話し合いました」
デビュー以来、自身初の大胆なベッドシーンに挑戦したチョン・ウソンは「放蕩なハッキュの奈落に落ちた体の動きを表現したもの」とし、「特にジウン(ハン・ジュヨン)とのベッドシーンは愛ではなく本能による行為だ」と語った。ベッドシーンのためのベッドシーンではなく、キャラクターの本質的な感情がそのまま伝わることを望んだという。
「愛のタリオ」のハッキュは酒、ギャンブル、女に酔いしれまた翻弄され、結局は目が見えなくなる。“自然人”チョン・ウソンは何にこだわっているかという質問に彼は「映画にこだわっている」という、やや在り来りではあるが真心のこもった答えを出してくれた。
「映画にこだわっています。俳優がキャラクターという衣装を着こなし、最善を尽くす時に俳優の本質が輝くと思います。後輩にそんな姿を見せたいです。かっこつけるような演技は警戒したいです。俳優として輝く時にスターをもっと輝かせ、その価値を大きくできます。そのような鏡になれたらという気持ちで映画にこだわっています。監督や制作者として活動するのも同じ理由です。挑戦への恐れがあったらいけませんね」
以下はチョン・ウソンとの一問一答である。
―今回の映画は満足のいくものか。
チョン・ウソン:伝えようとしていたメッセージがきちんと伝わったと思う。過程の中で確信があった。個人的な満足といえば「僕にできることはやった」という気持ちである。これからは観客のみなさんにとってどんな映画になるのかが重要だ。
―目の見えない人を演じるために準備したことは?
チョン・ウソン:関係者たちが目の不自由な人々の協会を訪れてインタビューした資料を送ってきた。視線や焦点の置き方について注意深く話を聞いたが、それをただ真似しようとは思わなかった。ハッキュの心理状態を追って瞳を動かした。撮影されたものをチェックしながら、自分の目を見て驚いたこともある。目の白い部分がたくさん見えるので。イム・ピルソン監督が「僕は良いと思うけど、君は本当に大丈夫?僕たち大丈夫かな?」と言っていた(笑)
―シナリオの段階にあったドギへのチョンイの同性愛的な部分が外され、チョンイというキャラクターの力が弱まった。
チョン・ウソン:それが監督が最も残念に思う部分だ。チョンイを演じたパク・ソヨンは、若い年齢にもかかわらず優れた長所を持っている。しかし、チョンイの同性愛的な感情をすべて見せてしまうと、逆に映画全体が逆効果になると判断し、心は痛むが削った。結果的には今のバージョンが最善だったと思う。
―ハッキュという人物は識者の堕落を見せてくれる。どうやって感情を掴んでいったのか。
チョン・ウソン:ハッキュは自身を満足させるすべてに対し、諦めないというものすごい執着を持っている人物だ。酒や煙草を止めるように勧める眼科医に「セックスは?」と聞き返す台詞は、元々のシナリオにはなかった。眼科医にさえ雄の本能を見せつける、まるで誘惑しているようなハッキュを見せたかった。自身のよくない状況を、もっと熾烈に正面から突破するのだ。
―最も理解できないハッキュの感情があるとしたら?
チョン・ウソン:理解はできるが、心的に同意できない部分はあった。旅館の部屋にドギを一人きりにして去る時は、とても辛かった。本当に心苦しかった。
―イ・ソムとの共演はどうだったか。
チョン・ウソン:イ・ソムはとても根性のある子だ。だからもっと優しくしたかったし、経験者としてアドバイスもたくさんしてあげたかった。こうやって深い感情の恋を演じていると、感情的に紛らわしくなる。自身のその感情がどこから来たものなのか意識できず、その感情そのものに溺れてしまう。イ・ソムは自らすごくそれに耐えていた。それこそが根性だ。
―イム・ピルソン監督はどんな人なのか。
チョン・ウソン:以前しばらく方背洞(パンべドン)に住んでいた時に、ソレ村で何回か会った。漂っている雰囲気が良かった。これは実は秘密だが、僕は「ヘンゼルとグレーテル」を見ていない。ハハハ。イム監督とは何か通じる部分があると思って「監督、なんとなく僕と一本一緒にやるような気がする」と話したことがあるが、それが「愛のタリオ」になるとは(笑) イム監督は現場では細かすぎると言われているが、僕はその細かい部分がいいと思う。
―これまで露出シーンを演じるオファーはなかったか。
チョン・ウソン:なかった。
―ベッドシーンのために運動をしたのか?体がすごかった。
チョン・ウソン:当時は運動をしていなかった頃だが?普段から自らケアをする感じで運動は続けているが、「愛のタリオ」のために特別な運動をしてはいない。
―また露出をする演技のオファーがあるとすれば?
チョン・ウソン:感情が面白ければ露出も面白いが、露出のための露出は嫌いだ。それならアダルトビデオでも見てほしい。
―最近の作品が揃ってヒットし、自信もついたのでは。
チョン・ウソン:作品が公開される度に、確信はある。映画のヒットとは関係なく、すべての作品が僕にとって特別な意味があり、僕を成長させる一つの要素である。
―最近は俳優たちの海外進出も増えているが、海外進出に関するオファーはなかったか。
チョン・ウソン:海外進出が俳優の究極の目標にはなれない。もちろん各自の選択であるし、それぞれの理由で進出すると思うが、ハリウッドは白人中心の社会なので白人が主人公であるのが基本だ。僕は主人公を演じたい。アジアの俳優たちが悪役や助演を演じるまでして必ずハリウッド進出を目標にし、目指す必要はないだろう。これについて何が正しいとか言える問題ではないが、ただ、僕のように思っている人も一人くらいいていいだろう。
―もし主人公としてキャスティングされるとしたら?
チョン・ウソン:主人公としては僕を呼ばないだろう(笑) もちろん望んでもいない。
―チョン・ウソンにとって恋とは?
チョン・ウソン:相手のありのままを丸ごと受け入れること。僕の望みを相手に叶えてもらうのではなく、ありのままの相手を僕が受け入れるのが恋だ。
―「愛のタリオ」はチョン・ウソンのフィルモグラフィーにおいてどんな意味を持っているのだろうか。
チョン・ウソン:20年前は何も知らなかった新人であったが、今は何かを少しは知っている、準備ができている新人になったと思う。そのような心構えで臨んだ初めての作品が「愛のタリオ」だ。ハッキュを演じながら、様々な感情と表情を見せることができ、快感を感じた。「私が知っていたチョン・ウソンがすべてではなかった」というのを、「愛のタリオ」が感じさせてくれると思う。
チョン・ウソンは20年間守り抜いてきたトップスターの座を自ら嘲笑するように変身を繰り返した。「愛のタリオ」(監督:イム・ピルソン、制作:映画社動物の王国)は彼のこのような繰り返される変身の頂点と言っても過言ではない。結果は成功と言える。相当大胆なベッドシーンもそうだが、後戻りのできない欲望の渦巻きに翻弄されるシム・ハッキュの姿はここ20年間私たちが一度も見ることのできなかったチョン・ウソンの顔そのものだ。
韓国で10月2日に公開される「愛のタリオ」は古典「沈清伝(シムチョンジョン)」を現代版にアレンジし、一人の男性と彼を愛した女性、そしてその娘に執拗に付きまとう愛と欲望、執着の痴情ラブストーリーで再誕生させた作品だ。チョン・ウソンは「愛のタリオ」で恋人を捨て、その対価としてすべてを失う危機に陥る男ハッキュ役を演じた。ハッキュはスキャンダルで小都市に左遷された大学の教授だ。そこで出会った20歳の女性ドギ(イ・ソム)を熱く愛し、冷たく裏切る人物だ。
「シナリオそのものが、とても魅力がありました。完成版よりシナリオ上ではチョンイ(パク・ソヨン)のキャラクターがもっと危険でした。同性愛的な部分があったんですよ。その中でもハッキュは一番情けないキャラクターでしたし(笑) ハッキュの情けなさを和らげ、目が見えなくなってからも雄の本能が生きている人物として描けたら面白いと思いました。この部分について、監督とたくさん話し合いました」
デビュー以来、自身初の大胆なベッドシーンに挑戦したチョン・ウソンは「放蕩なハッキュの奈落に落ちた体の動きを表現したもの」とし、「特にジウン(ハン・ジュヨン)とのベッドシーンは愛ではなく本能による行為だ」と語った。ベッドシーンのためのベッドシーンではなく、キャラクターの本質的な感情がそのまま伝わることを望んだという。
「愛のタリオ」のハッキュは酒、ギャンブル、女に酔いしれまた翻弄され、結局は目が見えなくなる。“自然人”チョン・ウソンは何にこだわっているかという質問に彼は「映画にこだわっている」という、やや在り来りではあるが真心のこもった答えを出してくれた。
「映画にこだわっています。俳優がキャラクターという衣装を着こなし、最善を尽くす時に俳優の本質が輝くと思います。後輩にそんな姿を見せたいです。かっこつけるような演技は警戒したいです。俳優として輝く時にスターをもっと輝かせ、その価値を大きくできます。そのような鏡になれたらという気持ちで映画にこだわっています。監督や制作者として活動するのも同じ理由です。挑戦への恐れがあったらいけませんね」
以下はチョン・ウソンとの一問一答である。
―今回の映画は満足のいくものか。
チョン・ウソン:伝えようとしていたメッセージがきちんと伝わったと思う。過程の中で確信があった。個人的な満足といえば「僕にできることはやった」という気持ちである。これからは観客のみなさんにとってどんな映画になるのかが重要だ。
―目の見えない人を演じるために準備したことは?
チョン・ウソン:関係者たちが目の不自由な人々の協会を訪れてインタビューした資料を送ってきた。視線や焦点の置き方について注意深く話を聞いたが、それをただ真似しようとは思わなかった。ハッキュの心理状態を追って瞳を動かした。撮影されたものをチェックしながら、自分の目を見て驚いたこともある。目の白い部分がたくさん見えるので。イム・ピルソン監督が「僕は良いと思うけど、君は本当に大丈夫?僕たち大丈夫かな?」と言っていた(笑)
―シナリオの段階にあったドギへのチョンイの同性愛的な部分が外され、チョンイというキャラクターの力が弱まった。
チョン・ウソン:それが監督が最も残念に思う部分だ。チョンイを演じたパク・ソヨンは、若い年齢にもかかわらず優れた長所を持っている。しかし、チョンイの同性愛的な感情をすべて見せてしまうと、逆に映画全体が逆効果になると判断し、心は痛むが削った。結果的には今のバージョンが最善だったと思う。
―ハッキュという人物は識者の堕落を見せてくれる。どうやって感情を掴んでいったのか。
チョン・ウソン:ハッキュは自身を満足させるすべてに対し、諦めないというものすごい執着を持っている人物だ。酒や煙草を止めるように勧める眼科医に「セックスは?」と聞き返す台詞は、元々のシナリオにはなかった。眼科医にさえ雄の本能を見せつける、まるで誘惑しているようなハッキュを見せたかった。自身のよくない状況を、もっと熾烈に正面から突破するのだ。
―最も理解できないハッキュの感情があるとしたら?
チョン・ウソン:理解はできるが、心的に同意できない部分はあった。旅館の部屋にドギを一人きりにして去る時は、とても辛かった。本当に心苦しかった。
―イ・ソムとの共演はどうだったか。
チョン・ウソン:イ・ソムはとても根性のある子だ。だからもっと優しくしたかったし、経験者としてアドバイスもたくさんしてあげたかった。こうやって深い感情の恋を演じていると、感情的に紛らわしくなる。自身のその感情がどこから来たものなのか意識できず、その感情そのものに溺れてしまう。イ・ソムは自らすごくそれに耐えていた。それこそが根性だ。
―イム・ピルソン監督はどんな人なのか。
チョン・ウソン:以前しばらく方背洞(パンべドン)に住んでいた時に、ソレ村で何回か会った。漂っている雰囲気が良かった。これは実は秘密だが、僕は「ヘンゼルとグレーテル」を見ていない。ハハハ。イム監督とは何か通じる部分があると思って「監督、なんとなく僕と一本一緒にやるような気がする」と話したことがあるが、それが「愛のタリオ」になるとは(笑) イム監督は現場では細かすぎると言われているが、僕はその細かい部分がいいと思う。
―これまで露出シーンを演じるオファーはなかったか。
チョン・ウソン:なかった。
―ベッドシーンのために運動をしたのか?体がすごかった。
チョン・ウソン:当時は運動をしていなかった頃だが?普段から自らケアをする感じで運動は続けているが、「愛のタリオ」のために特別な運動をしてはいない。
―また露出をする演技のオファーがあるとすれば?
チョン・ウソン:感情が面白ければ露出も面白いが、露出のための露出は嫌いだ。それならアダルトビデオでも見てほしい。
―最近の作品が揃ってヒットし、自信もついたのでは。
チョン・ウソン:作品が公開される度に、確信はある。映画のヒットとは関係なく、すべての作品が僕にとって特別な意味があり、僕を成長させる一つの要素である。
―最近は俳優たちの海外進出も増えているが、海外進出に関するオファーはなかったか。
チョン・ウソン:海外進出が俳優の究極の目標にはなれない。もちろん各自の選択であるし、それぞれの理由で進出すると思うが、ハリウッドは白人中心の社会なので白人が主人公であるのが基本だ。僕は主人公を演じたい。アジアの俳優たちが悪役や助演を演じるまでして必ずハリウッド進出を目標にし、目指す必要はないだろう。これについて何が正しいとか言える問題ではないが、ただ、僕のように思っている人も一人くらいいていいだろう。
―もし主人公としてキャスティングされるとしたら?
チョン・ウソン:主人公としては僕を呼ばないだろう(笑) もちろん望んでもいない。
―チョン・ウソンにとって恋とは?
チョン・ウソン:相手のありのままを丸ごと受け入れること。僕の望みを相手に叶えてもらうのではなく、ありのままの相手を僕が受け入れるのが恋だ。
―「愛のタリオ」はチョン・ウソンのフィルモグラフィーにおいてどんな意味を持っているのだろうか。
チョン・ウソン:20年前は何も知らなかった新人であったが、今は何かを少しは知っている、準備ができている新人になったと思う。そのような心構えで臨んだ初めての作品が「愛のタリオ」だ。ハッキュを演じながら、様々な感情と表情を見せることができ、快感を感じた。「私が知っていたチョン・ウソンがすべてではなかった」というのを、「愛のタリオ」が感じさせてくれると思う。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : チョ・ソンジン
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