「カッコウの巣」イ・チェヨン“悪役を演じ、予想以上に嫌われ傷ついたが…”
写真=キム・ジェチャン
「あくどい女」「悪い女」……胸に刺さる修飾語は全てイ・チェヨンの名前の前についた。ドラマ一本で彼女は後ろ指を刺される対象になった。イ・チェヨンはKBS 2TV毎日ドラマ(月~金曜日まで放送されるドラマ)「カッコウの巣」で復讐の化身イ・ファヨンに扮した。ファヨンは果てのない悪女だ。彼女はこの役が重いあまり、5ヶ月という撮影期間中にたくさん泣いたという。自身のイメージを諦め、作品に集中しようとした。自身がきちんとしなければドラマチーム全体が大変になると思ったからだった。
イ・チェヨンは準備不足の状態でこの作品に入ることになったと自ら認めた。どうにかして適応しようと努力したが、結局20話を超えた時点で山場を迎えた。周りの人々はそんな彼女を気の毒に思い、一言ずつアドバイスを伝えた。しかしそうやって集まった一言、一言はむしろ大きな重圧感で彼女を押さえつけた。
この時期にイ・チェヨンの悩みを解消してくれた存在が先輩のチャン・ソヒだった。チャン・ソヒは演技者の先輩であるだけでなく、マクチャン(日常では起こらないような出来事や事件が次々と起きる韓国特有のドラマ)ドラマの悪女の先輩でもある。「チャン・ソヒ先輩が、自身も『人魚姫』の時に私と同じ状況を経験したと言ってくれた。だから『こうやってみなさい』と言う代わりに『大変でしょう?でもあなただからできないわけではないの。私でも大変だったと思う。だからあまり自責しないでほしい』と心から慰めてくれた。実際、私にはアドバイスよりも慰めが一番必要だったと思う。『自身のことをまともに信じてみなさい』という言葉が心に響いた」
イ・チェヨンは「悪役を演じると悪口をたくさん言われる」という話をたくさん聞いて、すでに知っていた。しかし現実のそれは予想を超えるものだった。仕事であり、役柄であっても誰かに嫌われるというのは大変なことで、傷つくことだった。苦しむイ・チェヨンの姿を見た周りの人々は書き込みや反応を見ないほうがいいと言ったが、それも思うようにはいかなかった。そんな辛い時間に耐えたら、作品が終わった後にははるかに強いイ・チェヨンになっていた。
イ・チェヨンにとって演技は、数学の公式と同じだ。小学校レベルだった彼女はこの作品を通じて修学能力試験を受けるレベルに成長した。確かに成長したものの、まだイ・チェヨンの演技は多くの視聴者を満足させることができなかった。イ・チェヨンは「演技力に対する議論は今回の作品でもあった。それは私が死ぬ瞬間まで抱いていかなければならない部分だと思う」と明かした。
そう言いながらもイ・チェヨンは「自分の良心に誓って『カッコウの巣』では心をこめて演技をした」と自負した。「私も撮影が大変で力を入れることができなかった部分もあり、まだ私の演技は大衆に認めてもらうには足りないと思う。技術的には未熟な部分があったとしても、気持ちに嘘をついて演じたことはない」
イ・チェヨンは演技に興味を覚えたばかりだ。確かに撮影に臨む姿勢も変わった。もともと人気があるとは思わなかったが、自身に気づく人が増えた今もそんな反応に揺るがない。今の彼女には後日、泡のように消えてしまう人気より、自らどんなに努力するのか、誰かを満足させる良い俳優になれるのかがもっと重要になった。作品を選ぶ時も役割の大きさより、この役割をどのくらい楽しめるのかに焦点を合わせている。
芸能人ではなく、俳優の志を鍛えているイ・チェヨンはまた違う変身を図っている。今度は時代を風靡した妓生役だ。ますます深く内実を固めているイ・チェヨンの今後の歩みにエールを送る。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- シン・ナラ
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