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「尚衣院」イ・ウォンソク監督、パク・シネからハン・ソッキュまで…夢のキャスティングの秘訣は?

TVレポート
デビュー作「男子取扱説明書」(2012)で才気溢れる想像力を披露し、一気に忠武路(チュンムロ、韓国の映画街)の変わり者に浮上したイ・ウォンソク監督(40)が、制作費100億ウォン(約11億円)規模の大作映画「尚衣院」(制作:映画社ピダンキル)で戻ってきた。

「尚衣院」は朝鮮時代、王室の衣服を作る尚衣院で繰り広げられるストーリーを描いた作品だ。王の信任を受ける御寝匠チョ・ドルソク(ハン・ソッキュ)と庶民出身の天才デザイナーイ・ゴンジン(コ・ス)を中心に、劣等感に囚われている王(ユ・ヨンソク)、人生そのものが戦争である王妃(パク・シネ)の微妙な綱渡りが展開される。

イ・ウォンソク監督と映画社ピダンキルのキム・スジン代表はアメリカ留学時代に出会った。キム代表は様々なシナリオの中で次回作を悩んでいたイ監督に「尚衣院」のシナリオを渡し、イ監督は「俺は時代劇は好きじゃないんだ」と断った。しかし、その言葉はすぐに覆された。イ監督はあまり期待もせず手にした「尚衣院」のシナリオのストーリーに魅了され、「やる」と決めた。

写真=映画「尚衣院」スチールカット
「目の前に見えるものを叶えるために不安になる人々の話ですよね。深さはなく、ただ目に見えるだけのものなのに、それを手放さないために頑張る姿が印象深かったです。王は自身の座を不安がり、王妃は王に愛されたいと思っていて、ドルソクも同じですよね。『尚衣院』の人物たちに憐憫を感じました。今の僕たちも一緒じゃないですか?今の位置より高い場所に上るために必死ですよね」

シナリオに惚れたのは、イ・ウォンソク監督だけではなかった。イ監督は“夢のキャスティング”と呼んでも遜色がない「尚衣院」のラインナップが完成された秘訣について「本の力」と語った。もちろん、「追撃者」「私のオオカミ少年」「恋の罠-淫乱書生-」で証明されたキム・スジン代表の眼識やイ・ウォンソク監督の素晴らしい感覚も欠かせない。

「夢のキャスティングと言いますが、一瀉千里でした。ハン・ソッキュ先輩も本が出てすぐ出演を決めてくれましたし、コ・スは『黄金の帝国』のキャラクターから離れられずにいましたが、それでも決めてくれました(笑) パク・シネは周りに欲しがる監督がたくさんいましたが、本を読んで『やります』と。ユ・ヨンソクは『応答せよ1994』が終わる前にカルビチムを食べている途中に決めてくれました(笑) 本の力が大きかったみたいです。俳優たちの作品への愛情がすごかったです。みんなハードなスケジュールなのに、一度も辛い顔をすることなくPR活動に参加してくれて感謝しています」

前作「男子取扱説明書」を通じて“オ・ジョンセの再発見”を導き出したイ監督らしく、「尚衣院」でも俳優たちからこれまで披露したことのない顔を引き出すことに成功した。コ・スは自身初の時代劇であったにもかかわらず、型にはまらないゴンジン役に完璧に溶け込み、肩の力を抜いて思う存分遊んで見せた。多層的なハン・ソッキュの演技も輝いた。ユ・ヨンソクは憐憫を感じさせる狂気でスクリーンを熱く埋め尽くし、パク・シネの涙の演技は言葉が要らないほどだった。マ・ドンソクのずば抜けたコメディ演技も圧巻だった。

「ハン・ソッキュ先輩が中心となってくれました。例えば月の国を想像するシーンの場合は、確実にそんな演技を見せてくれて。真剣なシーンで僕が早とちりすぎると中心を保ってくれました。コ・スはなぜこれまでこのような役を演じたことがなかったんだろうと思えるくらいに、ゴンジンそのものでした。ユ・ヨンソク、パク・シネはホットな理由が分かるような子たちでした。準備がものすごく徹底しています。特にユ・ヨンソクは可愛いことばかりしました。ジョークを飛ばし続けて雰囲気を盛り上げるけれど、撮影が始まると目つきが変わって。本当にすべてを兼ね揃えている子です。マ・ソンドク兄さんはコメディのタイミングが分かる人です。抜群ですね」

衣装の制作費だけで10億ウォン(約1億円)がかかったほど、「尚衣院」のもう一つの主人公は他でもなく「衣装」だ。一部では華やかな飾りや破格のデザインの韓服(ハンボク、韓国の伝統衣装)について「考証があまりにもできていない」という指摘もあったが、実は徹底した考証のもとで制作された衣装であるという。

「チョ・サンギョン室長は映画の制作段階から考証にとても敏感でした。韓服は絶対に考証に基づかないとという主義でした。僕が、ゴンジンが作る衣装はヨーロピアンドレスにしたいと話すと『なら、この映画で韓服について何が話したいのか』と聞き返すほどでした。特定の時期を決めず、朝鮮時代の歴史を総合して韓服のスタイルを混ぜることにしました。基本的な形は考証に合わせるけれど、ディテールは混ぜたというか。もちろんそのディテールも徹底した考証のもとで制作されています。ビーズの飾りも実際に存在していたものです。韓服、装身具一つ一つが職人の手で作られています」

イ監督は「尚衣院」を作りながら自身の内面の「ゴンジンとドルソクの戦い」を見守ったという。自由に自身を表現したい欲求と大衆的な呼吸の間で何回も悩んで耐えた結果が他でもなく「尚衣院」なのだ。

「本来のシナリオが持っているメッセージを損ないたくはありませんでした。韓服で始めて、人で終わる話を作りたかったです。映画は一人で作るものではありませんよね。しかも膨大な資本が入るのが映画です。映画の中に自分だけの色を溶けこませ、同時に観客ともコミュニケーションすべきなのですが、今も難しいです。だから僕はイ・ジュンイク監督を本当に尊敬していますが、監督は『たくさん作って、たくさん』とおっしゃっていました。そうしないといけませんね」
元記事配信日時 : 
記者 : 
キム・スジョン、写真 : チョ・ソンジン
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