「マドンナ」ソ・ヨンヒ“激しい映画ばかりに出ている?19禁の先入観、もう抜け出さないと”
※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
徹底に踏みにじられ、割れてしまう。女優ソ・ヨンヒはスクリーンの中で常に苦痛の波高のど真ん中に立ち、観客の心を傷ませてきた。映画「チェイサー」がそうであり、「キム・ボクナム殺人事件の顛末」でもそうであった。
ソ・ヨンヒは今年のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に招待された映画「マドンナ」(監督:シン・スウォン、制作:ジュンフィルム)でまたも粉々になった。「マドンナ」はマドンナというあだ名の平凡な女性ミナが意識不明の状態に陥り、彼女の過去を追跡する中で明かされる驚くべき秘密を描いた作品だ。ソ・ヨンヒは今回の作品で「キム・ボクナム殺人事件の顛末」に続き、2度目のカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを経験した。
今回の作品でマドンナ(クォン・ソヒョン)の過去を追跡する看護助手ヘリム役を演じたソ・ヨンヒ。ヘリムはマドンナの過去を追跡する人物であるだけに、アクションよりはリアクションのほうが重要なキャラクターだ。演技的に発散できる余地の多くないキャラクターであるにもかかわらず、ソ・ヨンヒは緻密な演技力でヘリムというキャラクターを完璧に演じきった。
着実に積み重ねてきた感情を後半で一気に噴出させたソ・ヨンヒは「演技人生において最も苦しいシーンだった」と打ち明けた。ソ・ヨンヒは後半のこの強烈なワンシーンを通じて観客の心を傷ませる余韻を残した。
毎回、観客に強烈な映画的体験を与えるソ・ヨンヒは「これからは青少年も見れる映画もやってみたい」と冗談半分、本音半分に語った。
「俳優たちが、キャラクターから抜け出すのが大変だったと言ってもその言葉を信じていませんでしたが、今回の『マドンナ』で私がそうだったんです。そのシーンを最終日に撮ったんですけど、感情を落ち着かせる時間がなかったので大変でした。もちろん、悪夢を何回か見て落ち着きましたが(笑) ソ・ヨンヒが出ると激しい映画だという先入観が好きでもありますが、プレッシャーでもあるんです。これからは私も青少年も分かってくれる作品をしないと(笑)」
「マドンナ」は韓国の女性監督としては初めてカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭で受賞し、カンヌ国際映画祭に2回も招待される快挙を手にしたシン・スウォン監督がメガホンをとった。ソ・ヨンヒ、キム・ヨンミン、クォン・ソヒョン、ピョン・ヨハンが出演した。
以下はソ・ヨンヒとの一問一答である。
―カンヌ国際映画祭での反応が熱かった。
ソ・ヨンヒ:実は周りでみんな受賞が有力だと言うので、最後までカンヌにいた(笑) 賞をもらえたら劇場にいて、もらえなかったら打ち上げにいくことになっていたけど、結局打ち上げに行った。
―受賞できなかったことが残念ではあるが、カンヌ国際映画祭に進出しただけでも大したことではないか。
ソ・ヨンヒ:もちろんだ。ただ私が未熟だったと思えて監督に申し訳ないだけだ。心の中では少し期待していたので残念だったが、挫折してはいない。
―「キム・ボクナム殺人事件の顛末」以降、2度目のカンヌ国際映画祭への訪問であった。最初の時より少しは余裕があったか。
ソ・ヨンヒ:本当に良かった。初めて行った時は「もしまた来ることになったら、もっとカッコよくなって来たい」と思っていたけど、今回はもっと素敵な部門で、もっと大きな劇場で上映されて良かった。「ある視点」部門はコンペティション部門の次に大きな部門ではないか。次にまた来ることになったら、もっと大きな私の席を作って来たいと思った。
―ミナ役は強烈であった。そっちのほうが演じたいとは思わなかったか。
ソ・ヨンヒ:演じたかったけど、他のものをやってみたいと思っていた時期だった。ヘリム役はこれまで私が披露してきた演技とは違うものを見せられると思っていいと思った。冗談半分で、無口な役で良いと言ったけど、予想よりは台詞が多かった(笑) 眼差しだけでリードする映画を作りたかった。重い映画が好きではないけど、落ち着きがある映画は好きだ。
―訳ありの女性キャラクターを多く演じてきた。
ソ・ヨンヒ:ソ・ヨンヒといえば何か一つでも思い浮かぶものがあるということだから、気分はいい。私の本当の人生だけ憂鬱でなければいいのではないか。わざわざ映画の中でも幸せである必要はないと思う。悩むところの多い役を演じたほうがもっと面白い。
―ソ・ヨンヒが出演すると聞くと、普通の映画ではないだろうと思ってしまう。
ソ・ヨンヒ:そんな先入観が少しはプレッシャーではあるが、一方では女優ソ・ヨンヒをある程度信じてくださる視線のように思えて感謝している。今はまだ「ソ・ヨンヒって誰?」と思う方が多いと思うけど、そうでない方は私を信頼して友好的に見てくれているので、もちろん嬉しい。けど、いつも19禁の映画ばかりやっているので(笑) 19歳未満の子たちも私のことに気付いてほしい。ハハハ。
―「マドンナ」のヘリムはアクションよりはリアクションの多いキャラクターだ。
ソ・ヨンヒ:その部分がとても心配であった。自然につなげることができるか、もしかして観客の集中を阻害するのではないかと心配していた。
―後半のあのシーン(!)を撮ってからの後遺症が大きかったのでは。
ソ・ヨンヒ:女優人生の中で最も大変だったシーンだ。撮ってからも気分が良くなかった。シナリオを読む時はそこまで感じていなかったけど、石を入れるという設定がすごく辛かった。
―今も話しながら目が赤くなった。
ソ・ヨンヒ:そのシーンを撮影の最終日に撮った。そのシーンを撮ってから「ああ、もう一度撮影すれば本当に上手くできるのに」と思えた。そのシーンを撮ってからやっと力が抜けた感じだったとも言おうか。撮影しながらすごくたくさん泣いた。他の映画では辛い感情のシーンを撮ってから他のシーンを撮ってその感情が解消されたりするけど、今回は最終日にそのようなシーンを撮ったので解消の術がなかった。俳優たちがキャラクターから抜け出すのには時間が必要と言っても、それは嘘だと思っていたのに、今回の私はまさにそうであった。立ち直る時間が与えられなかったので、すごく大変だった。
―どうやって克服したのか。
ソ・ヨンヒ:悪夢を何回か見たら、消えた。ハハハ。
―色んな面でシン・スウォン監督は本当に徹底した人だ。
ソ・ヨンヒ:徹底過ぎる。けど、本当に良い。クォン・ソヒョンは先生に本当に感謝しないと。もし監督が戸惑っていたら、ソヒョンはそこまで素晴らしい演技はできなかったと思う。監督を見ていると、先生を務めていたというのが似合うとも思えるけど、ある面ではどうやって先生を務めていたんだろうと思ったりもする。カンヌ国際映画祭では舞台の上でダンスも披露した。よくわからないけど、先生として一生を務めることはないと思う(笑)
―女優の立場からして、女性監督と仕事をして良いところは?
ソ・ヨンヒ:「嫉妬は私の力」(2002)のパク・チャノク監督とは当時近所に住んでいたので、姉妹のように過ごしていた。本当に小さなことも配慮してくださった。いつも監督と一緒にお茶を飲んで、映画を見て、多くの時間を過ごした。今のソヒョンとシン・スウォン監督がちょうどあの頃の私とパク・チャノク監督を見ているようだ。
―作品を選ぶ基準があるか。
ソ・ヨンヒ:まずは面白いもの。どんなに難しい内容でもすらすらと読めてしまうシナリオがある。シナリオを閉じてからも忘れられないキャラクター、映画なら女優として挑戦してみたいと思う。
―次回作「探偵なふたり」(監督:キム・ジョンフン)はどんな作品か。
ソ・ヨンヒ:愉快で面白い。とても活発な母親、おばさんのキャラクターだ。クォン・サンウ先輩と楽しくロマンチックに生きていく人物だ。
―「探偵なふたり」以降の歩みはもっと明るくなるだろうか。
ソ・ヨンヒ:青少年も見られるテレビにしたい(一同爆笑) いつも血まみれの映画だけ撮っていたから。これからは青少年たちも気付いてくれる女優になりたい。ハハハ。
徹底に踏みにじられ、割れてしまう。女優ソ・ヨンヒはスクリーンの中で常に苦痛の波高のど真ん中に立ち、観客の心を傷ませてきた。映画「チェイサー」がそうであり、「キム・ボクナム殺人事件の顛末」でもそうであった。
ソ・ヨンヒは今年のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に招待された映画「マドンナ」(監督:シン・スウォン、制作:ジュンフィルム)でまたも粉々になった。「マドンナ」はマドンナというあだ名の平凡な女性ミナが意識不明の状態に陥り、彼女の過去を追跡する中で明かされる驚くべき秘密を描いた作品だ。ソ・ヨンヒは今回の作品で「キム・ボクナム殺人事件の顛末」に続き、2度目のカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを経験した。
今回の作品でマドンナ(クォン・ソヒョン)の過去を追跡する看護助手ヘリム役を演じたソ・ヨンヒ。ヘリムはマドンナの過去を追跡する人物であるだけに、アクションよりはリアクションのほうが重要なキャラクターだ。演技的に発散できる余地の多くないキャラクターであるにもかかわらず、ソ・ヨンヒは緻密な演技力でヘリムというキャラクターを完璧に演じきった。
着実に積み重ねてきた感情を後半で一気に噴出させたソ・ヨンヒは「演技人生において最も苦しいシーンだった」と打ち明けた。ソ・ヨンヒは後半のこの強烈なワンシーンを通じて観客の心を傷ませる余韻を残した。
毎回、観客に強烈な映画的体験を与えるソ・ヨンヒは「これからは青少年も見れる映画もやってみたい」と冗談半分、本音半分に語った。
「俳優たちが、キャラクターから抜け出すのが大変だったと言ってもその言葉を信じていませんでしたが、今回の『マドンナ』で私がそうだったんです。そのシーンを最終日に撮ったんですけど、感情を落ち着かせる時間がなかったので大変でした。もちろん、悪夢を何回か見て落ち着きましたが(笑) ソ・ヨンヒが出ると激しい映画だという先入観が好きでもありますが、プレッシャーでもあるんです。これからは私も青少年も分かってくれる作品をしないと(笑)」
「マドンナ」は韓国の女性監督としては初めてカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭で受賞し、カンヌ国際映画祭に2回も招待される快挙を手にしたシン・スウォン監督がメガホンをとった。ソ・ヨンヒ、キム・ヨンミン、クォン・ソヒョン、ピョン・ヨハンが出演した。
以下はソ・ヨンヒとの一問一答である。
―カンヌ国際映画祭での反応が熱かった。
ソ・ヨンヒ:実は周りでみんな受賞が有力だと言うので、最後までカンヌにいた(笑) 賞をもらえたら劇場にいて、もらえなかったら打ち上げにいくことになっていたけど、結局打ち上げに行った。
―受賞できなかったことが残念ではあるが、カンヌ国際映画祭に進出しただけでも大したことではないか。
ソ・ヨンヒ:もちろんだ。ただ私が未熟だったと思えて監督に申し訳ないだけだ。心の中では少し期待していたので残念だったが、挫折してはいない。
―「キム・ボクナム殺人事件の顛末」以降、2度目のカンヌ国際映画祭への訪問であった。最初の時より少しは余裕があったか。
ソ・ヨンヒ:本当に良かった。初めて行った時は「もしまた来ることになったら、もっとカッコよくなって来たい」と思っていたけど、今回はもっと素敵な部門で、もっと大きな劇場で上映されて良かった。「ある視点」部門はコンペティション部門の次に大きな部門ではないか。次にまた来ることになったら、もっと大きな私の席を作って来たいと思った。
―ミナ役は強烈であった。そっちのほうが演じたいとは思わなかったか。
ソ・ヨンヒ:演じたかったけど、他のものをやってみたいと思っていた時期だった。ヘリム役はこれまで私が披露してきた演技とは違うものを見せられると思っていいと思った。冗談半分で、無口な役で良いと言ったけど、予想よりは台詞が多かった(笑) 眼差しだけでリードする映画を作りたかった。重い映画が好きではないけど、落ち着きがある映画は好きだ。
―訳ありの女性キャラクターを多く演じてきた。
ソ・ヨンヒ:ソ・ヨンヒといえば何か一つでも思い浮かぶものがあるということだから、気分はいい。私の本当の人生だけ憂鬱でなければいいのではないか。わざわざ映画の中でも幸せである必要はないと思う。悩むところの多い役を演じたほうがもっと面白い。
―ソ・ヨンヒが出演すると聞くと、普通の映画ではないだろうと思ってしまう。
ソ・ヨンヒ:そんな先入観が少しはプレッシャーではあるが、一方では女優ソ・ヨンヒをある程度信じてくださる視線のように思えて感謝している。今はまだ「ソ・ヨンヒって誰?」と思う方が多いと思うけど、そうでない方は私を信頼して友好的に見てくれているので、もちろん嬉しい。けど、いつも19禁の映画ばかりやっているので(笑) 19歳未満の子たちも私のことに気付いてほしい。ハハハ。
―「マドンナ」のヘリムはアクションよりはリアクションの多いキャラクターだ。
ソ・ヨンヒ:その部分がとても心配であった。自然につなげることができるか、もしかして観客の集中を阻害するのではないかと心配していた。
―後半のあのシーン(!)を撮ってからの後遺症が大きかったのでは。
ソ・ヨンヒ:女優人生の中で最も大変だったシーンだ。撮ってからも気分が良くなかった。シナリオを読む時はそこまで感じていなかったけど、石を入れるという設定がすごく辛かった。
―今も話しながら目が赤くなった。
ソ・ヨンヒ:そのシーンを撮影の最終日に撮った。そのシーンを撮ってから「ああ、もう一度撮影すれば本当に上手くできるのに」と思えた。そのシーンを撮ってからやっと力が抜けた感じだったとも言おうか。撮影しながらすごくたくさん泣いた。他の映画では辛い感情のシーンを撮ってから他のシーンを撮ってその感情が解消されたりするけど、今回は最終日にそのようなシーンを撮ったので解消の術がなかった。俳優たちがキャラクターから抜け出すのには時間が必要と言っても、それは嘘だと思っていたのに、今回の私はまさにそうであった。立ち直る時間が与えられなかったので、すごく大変だった。
―どうやって克服したのか。
ソ・ヨンヒ:悪夢を何回か見たら、消えた。ハハハ。
―色んな面でシン・スウォン監督は本当に徹底した人だ。
ソ・ヨンヒ:徹底過ぎる。けど、本当に良い。クォン・ソヒョンは先生に本当に感謝しないと。もし監督が戸惑っていたら、ソヒョンはそこまで素晴らしい演技はできなかったと思う。監督を見ていると、先生を務めていたというのが似合うとも思えるけど、ある面ではどうやって先生を務めていたんだろうと思ったりもする。カンヌ国際映画祭では舞台の上でダンスも披露した。よくわからないけど、先生として一生を務めることはないと思う(笑)
―女優の立場からして、女性監督と仕事をして良いところは?
ソ・ヨンヒ:「嫉妬は私の力」(2002)のパク・チャノク監督とは当時近所に住んでいたので、姉妹のように過ごしていた。本当に小さなことも配慮してくださった。いつも監督と一緒にお茶を飲んで、映画を見て、多くの時間を過ごした。今のソヒョンとシン・スウォン監督がちょうどあの頃の私とパク・チャノク監督を見ているようだ。
―作品を選ぶ基準があるか。
ソ・ヨンヒ:まずは面白いもの。どんなに難しい内容でもすらすらと読めてしまうシナリオがある。シナリオを閉じてからも忘れられないキャラクター、映画なら女優として挑戦してみたいと思う。
―次回作「探偵なふたり」(監督:キム・ジョンフン)はどんな作品か。
ソ・ヨンヒ:愉快で面白い。とても活発な母親、おばさんのキャラクターだ。クォン・サンウ先輩と楽しくロマンチックに生きていく人物だ。
―「探偵なふたり」以降の歩みはもっと明るくなるだろうか。
ソ・ヨンヒ:青少年も見られるテレビにしたい(一同爆笑) いつも血まみれの映画だけ撮っていたから。これからは青少年たちも気付いてくれる女優になりたい。ハハハ。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : イ・ソンファ
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