「風の便りに聞きましたけど!?」ユ・ジュンサン“私の俳優人生においても、忘れることのない出来事になった”
「棚ぼたのあなた」で“国民の旦那”と称されたユ・ジュンサンが「カプトンイ 真実を追う者たち」などで躍進中のイ・ジュンと共演したスキャンダラス格差ラブコメディの傑作「風の便りに聞きましたけど!?」のDVD SET1&2 が好評リリース中。
今回、DVDリリースを記念して、政財界で絶大な影響力を持つインサンの父親ジョンホを演じたユ・ジュンサンのオフィシャルインタビューが到着。今回、ブラックコメディという新しいジャンルへ挑戦した感想や撮影エピソードをお届けする。
ユ・ジュンサン:アン・パンソク監督がこの作品を4年前から考えていました。内容が普通のドラマとは違いますから、地上波では韓国社会の政治や経済、色々なことを考慮しなければいけないのに、果たしてこんなストーリーのドラマをやれるのかと最初は思いました。なので、できること自体にやや驚いて、どうせやるんだったらみんなが驚くようなものにしよう、そして「この世の中には本当にこんな人たちがいますから、みなさん気を付けてください」と知らせることができる、そんなドラマを作れるという思いに、とても胸がいっぱいになりました。
―新しいジャンルということで心配したことは、ありませんでしたか?
ユ・ジュンサン:アン・パンソク監督、脚本家のチョン・ソンジュさんのお二人は、もう実力も定評もある方々なので、むしろ私の方が彼らの思っている通りにうまく演じられるか、まずそれが心配になりました。これまでにない画期的なドラマになるだろうと信じていましたし、そうなるようにがんばって演じました。
―今回のドラマで演じたハン・ジョンホ役について簡単に紹介してください。
ユ・ジュンサン:代々法曹界の家に生まれた法律家で、法務法人「ハンソン」の代表です。仕事を通じて知り得た政財界の要人の不正事実や秘密を武器に、政財界の黒幕として大きな影響力を持つ人物です。つまり、ある面から見れば韓国社会において、最高の権力を持った核心的な人物と言えるでしょう。教育熱心で家庭ではとても厳格な父親ですが、高校生の息子のインサン(イ・ジュン扮) が恋人を妊娠させてしまう事件がきっかけとなって翻弄されるという役どころです。
実際のところ、簡単ではないキャラクターで、この人物をうまく表現するためにはどうしたらいいだろうかと悩みました。一目見て悪人とわかるような感じで演じてはダメで、エリートでとても紳士に見えるけれど、裏ではとんでもないことしているということ、なぜ彼が悪人かということを少しずつ表現していかなければいけませんでしたし、色々なバックグラウンドを持った人物でしたのでちょっと大変でした。
―キャラクターを演じるのが大変なようでしたが、キャラクターの心理や行動について共感したり、理解したりすることはできましたか?
ユ・ジュンサン:回を重ねるうちにだんだん理解するのが難しくなっていって、20話ぐらいには、本当に混乱してきてしまったんですよ。本来の私が持っている心情や性格が演じている人物とあまりにも違いすぎていて、とてもつらくなってきてしまったんです。とても負担になってきて撮影が終わった明け方、独りで悩みに悩んで監督に、非常に演じるのがつらいと相談しました。監督はとにかく最後までやってみろと言うので、勇気を出して最後までなんとかやり抜きました。最後の撮影を終えて、撮影現場を出る時には涙があふれて仕方ありませんでした。
―その涙の意味は、やり遂げられたということでしょうか?
ユ・ジュンサン:いいえ。そうではなくて、この人物の最後のシーンは家に入っていくものでした。放送はされなかったのですが、家の中に入ってあちこちの部屋を歩き回って出たり入ったりしてするんですね。演じながら「なぜこの人はこのようにしか生きられなかったのだろうか」と思ったんですね。なんだかとても残念な人に思えたんです。悔恨の涙とでも言ったらいいでしょうか? そんな涙です。それからこの撮影がこれで最後というのと、短い期間だったけれども本当に一所懸命にやったという思いもありました。
―妻のチェ・ヨンヒを演じたユ・ホジョンさんとの息は合いましたか?
ユ・ジュンサン:とても良かったですよ。そうでなかったら“ユユカップル”としてCMにまで一緒に出演しませんよね。本当に息はぴったりでした。
―妻役のユ・ホジョンさんが先にキャスティングされましたか? ユ・ジュンサンさんが先にキャスティングされましたか?
ユ・ジュンサン:たぶんユ・ホジョンさんの方が先にキャスティングされたと思います。私と同じ世代なんですが、絶対にそんなふうには見えないし、美しくてとても良い人なので、一度、共演してみたかったんですよ。メロドラマでないのがちょっと惜しかったですが、とても楽しくやれました。“ユユカップル”として有名にもなれてよかったです。
―妻子があるにも関わらずジョンホに恋心を抱かれてしまう女性・ヨンナを演じたペク・チヨンさんとの共演はいかがでしたか?
ユ・ジュンサン:日本のみなさんはご存知ないかも知れませんが、ペク・チヨンさんは韓国ではとても有名なカリスマあふれるキャスター・司会者でもある人です。ゴールデンタイムのニュース番組のキャスターも務めたことがあるような人が、まったく偉ぶるようなこともなく、新人俳優のような姿勢で演技に挑んでいました。そうした姿勢にとても好感が持てましたし、どうやったらより良く演じられるかいつも聞かれました。あれほどのキャリアがある人が、謙虚に人の意見を聞いたりするのは、なかなかできないことだと思います。演技も素晴らしかったし、そういったことからも共演はとても良かったです。
―息子役のイ・ジュンさん、嫁役のコ・アソンさんとの共演はいかがでしたか?
ユ・ジュンサン:コ・アソンさんは、将来ハリウッドに進出する夢を持っていて、それを実現できる実力の持ち主だと思います。そのくらい柔軟性や周りの人たちとの協調性、作品を分析する力、色々な面から考えても外国でも俳優として遜色なくやれると思います。英語の実力も高いですし、英語は独学だそうです。このドラマが将来のための1つのステップになればいいと思いますし、将来が楽しみな女優だと思います。イ・ジュン本人はあまり言わないようですが、歌もうまいですし、ダンスはもちろん、ダンスを専攻していただけのことはある実力の持ち主です。そういったものを総体的に、演技を通じて表現してみたいと思っているようです。アイドルグループとして最初はデビューしましたが、俳優になるのが夢だったようです。将来は本当に大きく成長できる、成長していく俳優だと思います。見守ってあげてください。
―非常に厳格なハン・ジョンホが、孫を前にすると、とても優しいおじいちゃんに変わりました。赤ちゃんとの撮影シーンで、何かエピソードはありますか?
ユ・ジュンサン:この作品の出演者は、みんな演技がうまくてまったく非の打ち所がないと言われるほどの出来で、本当に素晴らしかったと思います。赤ん坊も演技うまかったですよ。なぜかと言うと赤ん坊が本当に泣かないんですよ。時期的にはとてもよく泣く時期だと思うんですよ。でも私たちを見つめて「レディーアクション」の声がかかるとニコニコ笑うし、泣かなければいけないシーンではちゃんと泣くんです。無理やりやらせているのではなくて赤ん坊が、自分でそうして演じている感じなんです。さらにダブルアクションまでこなすものだから、びっくりしてしまって「この子すごい」って思いました。そんな赤ちゃんが2人いるんですよ。もっと小さい時期を演じた赤ちゃんも演技がうまかったです。とにかく、その子たちのおかげで撮影現場はかなり楽しかったですね。
―演技には非の打ち所がないとおっしゃっていましたが、NGはあったようですね。たとえば、我慢できなくて吹き出してしまったりとか……。どんなNGがありましたか?
ユ・ジュンサン:とてもおかしくて吹き出してしまってNGを出してしまったことはみんなありましたよ。だからユ・ホジョンさんの場合、私を見ないで撮影したんですよ。私のことを見てしまうとすぐに笑ってしまうので、私のことを見ないで撮影をして、多くのシーンでNGを出さないようにしていました。
「後輩や色々な人が楽しい時間を過ごせるようにするのが目標であり役割」
―ユ・ジュンサンさんが選ぶ名場面や名セリフを教えてください。ユ・ジュンサン:撮影からかなり長い時間たってしまったので、記憶もおぼろげですが、それでも挙げるとすれば最終回のエンディングシーンと1話のエンディングの乱心のシーンでしょうか。欄干を掴んで気が狂ったように叫ぶそのシーンは本当に笑ってしまうシーンだと思います。それからもう一つ挙げるとすれば、相続人の条件について語るシーンですね。非常に長いセリフを私1人でしゃべらなければいけませんでした。徹夜続きで台本もでき上がってくるのが遅かったのですが、これは共演者やスタッフたちのためにも、「一発OK」で撮影を終えないとダメだなと意気込みました。本当に数ページにもわたるような大量のセリフだったのですが、必死になってとにかく頭に詰め込みました。撮影の時間はすでに朝になっていて8時か9時頃だったと思います。徹夜明けなので、私もスタッフもみんな頭がぼうっとしてくる時間でしたけれど、とにかくセリフを全部覚えて撮影に入りました。撮影が始まったら、1人のセリフを一気にしゃべりました。セリフの最後の方になってくると、何かもう私じゃなくて本当にハン・ジョンホがしゃべっていると自分でも思えてくるほどでした。そして最後の一言「これがまさに相続人の条件だ」と言い終え、「カット! OK!」の声が聞こえた瞬間は、本当にうれしかったですね。こういった喜びとか達成感があるからこそ、それがエネルギーとなってまた徹夜で苦労しても演じていけるのでしょうね。そんなエネルギーを感じることのできる瞬間でした。
―この作品を通して上流社会のイメージが変わったり、財閥の結婚について認識が変わったりしたことはありましたか?
ユ・ジュンサン:私は元々、政治や社会の分野に関心が高い方なので、こういうドラマがやれてよかったと思っています。日本ではドラマの中の表現であれば、それほど問題になったりしないのかもしれませんが、韓国ではなかなか難しいことだと思います。例えばドラマの中で、国務総理が議会で表決の承認を行っているところを見ながら「こいつはホントにとんでもない奴だ。屁理屈を並べたてて兵役も何もかもうまいこと逃げやがって……。こんな奴が国務総理だって笑わせるぜ。まあ、こういう奴を俺が作り出しているんだけどな。色々な悪行をやってきた俺だけれど、この俺が胸糞が悪くなるくらいのとんでもない奴だ」と毒づくシーンがあります。以前はこんなセリフを地上波で言うことは想像もできないことでした。もし以前だったら問題になったことでしょう。ところが、そういうことを、このドラマを通して思いっきり演じることができました。胸が空くような思いでしたね。ただドラマでは持つ者のみを批判するのではなくて、持たざる者の良くない一面も描いて、双方一緒に扱っているので、私としてもちょっと気まずいような居心地の悪い感じもしました。ところがある瞬間から、そういった思いを越えて、自分のことを省みるようになったんですよ。以前のドラマがハマって楽しむだけのドラマだったとするならば、このドラマはハマりながらも、自身の現在の状況や様々な事柄をもう一度振り返って考えさせくれるようなドラマと言えるでしょう。こういうドラマをやれたことは、とてもよかったと思っていますし、視聴者の方々もそのようなことを考えながらご覧になれば、より有益で良いドラマになると思います。
―撮影現場では、ムードメーカーだそうですが、どのようにムードを盛り上げるのですか?
ユ・ジュンサン:私は、自分のことを仲介役、監督たちやほかのスタッフたちと俳優たちとのパイプ役だと思っています。現場全体の雰囲気がよくなってみんなが楽しく仕事をできないと、作っているドラマがつまらないものになってしまうと思うんですよね。それから良いドラマ、視聴率の高いドラマというもの重要でしょうが、一緒にする人々がより楽しく仕事ができる現場であることも大切で、その方がもっと楽しいと私は思っています。だからどうやったら一緒に仕事をする人たちが、少しでも楽しく過ごすことができるだろうかと考えています。いくら視聴率が良くても、作っている人たちがケンカばかりしてギスギスしていたら、私とってそれは全然意味がないことなんです。一緒にやっている人たちが楽しく仕事ができて、その上視聴者の反応も良かったら、私としたらこれ以上望むことはありません。だからいつもそこを目指してやっていて、そこにたどり着くために、後輩や色々な人々が楽しい時間を過ごせるようにするのが、私の目標であり、役割だと考えてやっています。
―今回のドラマだけでなく、いつもそのように考えていますか?
ユ・ジュンサン:はい(笑)
―ハン・ジョンホがシャワーをしながら、熱唱するシーンがとてもおもしろかったのですが、歌うのは台本に元々あった設定でしたか?
ユ・ジュンサン:はい、歌う設定にはなっていました。でもどの歌とは決められていなかったので、私がせっかく歌うのだからと思って、あのような歌詞の歌を探したんです。「窓を開けてくれ~」っていうシーンもありましたしね。歌の練習もして、わざと誇張して大きな声で歌いました。実際、家でもシャワーする時は思いっきり歌うんですよ。だから撮影現場でもそうやれて楽しかったですよ。
―今回のドラマは30部作と長丁場でしたが、モチベーションの維持や健康管理はどうしていましたか?
ユ・ジュンサン:このドラマの撮影をやりつつ、水曜日にはミュージカル「ロビンフッド」のソウル公演をやり、土曜日にはミュージカル「あの日々」の地方公演ツアーをやっていました。ミュージカル公演の合間にドラマの撮影をこなすというかなり大変なスケジュールでした。でも先に公演のスケジュールが決まっていて、あとからドラマの仕事が入ったので、公演をやめるわけにはいかないですし、このドラマは画期的なドラマでしたから降りることはしたくなかったんですね。非常に大変でしたが、自分でもよくやり抜くことができたと思います。ここで倒れてはダメだ。ここで私が倒れたらドラマを見てくださっている人たちや公演を心待ちにしている人たちをがっかりさせてしまう。それだけはできない、その思いが、さらにがんばろうという気持ちにさせてくれたのだと思います。
―ドラマの公式Twitterにはどのような書き込みが多かったですか?
ユ・ジュンサン:最初はこのようなブラックコメディのドラマをやるので、みなさん物珍しかったみたいです。こんなドラマが韓国でやれるのか? というような意見から応援の声までたくさんいただきました。
「この作品は私の俳優人生においても、忘れることのない出来事になった」
―今回のドラマを通じて新しく挑戦してみたことや、ここはやり甲斐があったというようなところはありますか?ユ・ジュンサン:先ほども申し上げたようにこのようなドラマで、このようなストーリーを演じることができたことは俳優として本当にうれしいことです。映画でなく、ドラマでできてよかったと思っています。それも優れた脚本で、韓国ドラマ界の最高峰とも言えるアン・パンソク監督とのお仕事ですし、素晴らしい俳優たちと、このようなスタッフたちと、このような作品が作れたことは、今後の私の俳優人生においても、忘れることのない出来事になったと思います。
―余韻を含んだ意味深長なエンディングシーンでしたが、周囲の人々がすべて離れてしまった後のハン・ジョンホは、果たしてどんな人生を歩んだと思いますか?
ユ・ジュンサン:ハン・ジョンホのように生きている人がたくさんいると思うんですよね。権力を握って私利私欲のために平気で不正を犯す人たちが……。日本にもいるでしょ? 韓国にもたくさんいますよ。このドラマはそのような人たちについてもう一度考えるよい機会になったし、私は、いくら富と名誉があってもそういう人たちの人生を羨ましいとは思えないんですね。そういう人たちがもう少し、世の中のため人のためを考えて国の政治や経済を担ってくれるならば、もっと良い国になると思うんですが、でもハン・ジョンホみたいな人は、周りの人たちが去っていっても、新しい人を集めてまた同じようなことをやると思うんですよね。変わらないと思いますよ。そういう人たちが改心して良い方向に動いてくれたら、いつかはもう少しいい国になるでしょうね。
―ハン・ジョンホには期待できないということですね。
ユ・ジュンサン:ハン・ジョンホは変わりませんよ。変わらない人々が多いから余計にハン・ジョンホの息子ハン・インサン(イ・ジュン扮) に期待するんですよ。たぶんハン・インサンが変えてくれるでしょう。
―「風の便りに聞きましたけど!?」をご覧になる日本のみなさんにこのドラマの魅力を簡単に紹介してください。
ユ・ジュンサン:「風の便りに聞きましたけど!?」は、最近にはめずらしいとても良い作品です。人間の心情の細かな機微を知ることができると思いますし、みなさんが人生を歩んでいくために有益な、新しい視野を広げるよい機会になると思います。多くのことを得ることのできるよい作品です。「風の便りに聞きましたけど!?」そして私、ユ・ジュンサンをよろしくお願いします。ありがとうございました。
「風の便りに聞きましたけど!?」DVD情報
・DVD-SET1 好評発売中 / レンタルDVD Vol.1~7 好評レンタル中
・DVD-SET2 2016年3月2日(水) リリース
レンタルDVD Vol.8~14 同時リリース
・DVD-SET3 2016年4月2日(土) リリース
レンタルDVD Vol.15~22
価格:各¥19,000+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
DVD公式サイト:http://kandera.jp/sp/kaze/
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部
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