「特別捜査」キム・ミョンミン“演じている時に生きていると感じる”
映画「特別捜査:死刑囚の手紙」出演の俳優キム・ミョンミンが2日午後ソウル鍾路区(チョンノグ)八判洞(パルパンドン)のあるカフェで行った10asiaとのインタビューに先立ちフォトタイムを行った。
信頼感を与える重たいトーンの声、対象的な愉快な話術。しかし、俳優キム・ミョンミンが“ゴッド・ミョンミン”と呼ばれるようになったのは、20年間一度たりとも簡単に演技をしたことがないという彼のハングリー精神からだ。良い作品を常に望むキム・ミョンミンが「特別捜査:死刑囚の手紙」を引っさげて現れた。
―マスコミ試写会の際、「特別捜査」を予想外の結果物だと述べていた。最初考えていた方向はどうだったのか?キム・ミョンミン:シナリオは重い部分が多かった。最初は映画のタイトルが「刑務所から来た手紙」だったが、タイトルのせいかシナリオがより重く悲しい感じで読まれた。だがスピーディーに編集され、退屈感が消えた。
―多少重かったシナリオにも映画を選択した理由はあるか?
キム・ミョンミン:必然的な関係によるストーリー構成がすっきりしていた。刺激的な要素や作為的な意図がなくても、人物がみな関係性を持っている。また善と悪の対立でなく、関係によって事件を解決していく過程が愉快だった。シナリオを読みながらキャラクターが息づいている感じがした。「キャスティングさえ完璧なら面白そう」と思ったが、これほど完璧なものはないというキャスティングになってしまったのだ。
―「特別捜査」のチェ・ピルジェというキャラクターが、一瞬「朝鮮名探偵」のキム・ミンと重なった。
キム・ミョンミン:二つのキャラクターを僕が演じるからではないだろうか?(笑) キム・ミンはただ自我陶酔に陥っている人だ。だが、ピルジェは明晰な頭脳をもとに捜査をする。もちろん二つのキャラクターの見栄っ張りな点は似ている。
―見栄っ張りなキャラクターがよく似合うようだ。
キム・ミョンミン:そんなキャラクターも僕のように信頼感のある人が担当しないといけないのかもしれない。そうしてこそ僕とキャラクターが中和されて出てくるのではないかな(笑)
―中和したチェ・ピルジェを作り出すため、どのような悩みがあったか?
キム・ミョンミン:ピルジェは、最初個人的な復讐心に燃え上がり、事件の依頼を引き受ける。その後、ドンヒョンとの交感を通じて真剣に事件を見つめていくことになる。俗物根性で金に目がなかった姿から、その気を持ち直すまで、一人のキャラクターにかなり多くの心理的変化がある。それで表面的に見えることに対する悩みだけでなく、映画の中には登場しないピルジェの父親との関係に対して悩んだ。
―アクションが印象深かった。笑えない裏話があると聞いたが。
キム・ミョンミン:その通りだ。監督と面談をした。それも2回も(笑) 俳優自身の限界値があって、その限度を越えてしまった瞬間があった。そのうちの一度は、タオルで首を絞めるシーンを撮影する時だった。手じゃなくタオルだから、締める人も僕も力の調節できなくて大変だった。結局は和やかに仕上げることができた。
―俳優ソン・ドンイルとの息の合った演技がとても良かった。
キム・ミョンミン:ソン・ドンイル先輩は天才的なアドリブ能力を持っている。予想外のところで飛び出して来て、NGをたくさん出した。すごくおかしかった。昔は未熟で、相手役のアドリブを上手く受けとめることができなかった。だけど今は新鮮でいい。ソン・ドンイル先輩は、ご本人がセリフを覚えていないからそうするんだとおっしゃっていたが、僕はそのようなアドリブも夢中だからこそだと思う。自分が受け持つキャラクターに入り込んでいなければ出てくるはずがないことだから。
―“男×男カップル”が良い。「朝鮮名探偵」での俳優オ・ダルスともそうだし、今回の映画でも男性俳優との息がぴったりだ。キム・ミョンミンにどんな魅力があるからだろうか?
キム・ミョンミン:男が好きだ(笑) 後輩はほとんど全員男だ。小さい頃から男同士で集まって「ウ! ウ!」と言い合うのが好きだった。最初はどういうワケかそのような役を引き受けることになったものだが、それが僕の性向ともよく合うみたいだ。
―大先輩であるキム・ヨンエ、シン・グとの共演はどうだったか?
キム・ミョンミン:キム・ヨンエ先生が撮影を始めて、鋭い声でセリフを始めると鳥肌が立った。僕はやることがなかった。一瞬一瞬ゾクゾクした。シン・グ先生とはエピソードがあって、先生に撮影前にセリフを合わせてみようと「ピルジェ」と呼ばれた瞬間、本番の撮影かと思った。僕は恵まれた俳優だ。いつまたこのように素晴らしい先生たちと芝居ができるだろうか。先生たちと芝居をする時は、僕が失敗をしても全て受け入れてくれるだろうという信頼があったから良かった。
―映画の中でピルジェは無関係な人を助ける人物だった。実際はどうなのか?
キム・ミョンミン:以前とは異なり、今は出ていけずに腹だけたてるほうだ。公人という遮りがあるからのようだ。実際、車に傷をつけられたことがあった。ところが事故を起こした人に、車から降りるや否やファンだと言われ、喜ばれた。結局怒りを抑え「大丈夫ですよ。ケガはされなかったですか?」と言った。
―ピルジェがサイダーをプレゼントするシーンやセリフが多かった。記憶に残るシーンは?
キム・ミョンミン:服を着たまま風呂に入るシーンがある。本来シナリオでは服を脱いで入る内容だった。しかし「果たしてピルジェは、敵陣で服を脱げるような性格だろうか」と悩んだ。結局服を着たまま入って敵と張り合った。もちろん服を脱いで入れるくらいの体つきだ(笑) また、映画を鑑賞した方々の共通意見のように、劇中、女史に名刺を指の間に刺すシーンが痛快だった。
―デビュー20年目だ。だが顔は以前と変わらない。ヴァンパイアのようだ。
キム・ミョンミン:30代初めからこの顔だった。近所の友達に会えば、自分が年長者みたいで、タメ口を使うのが申し訳ない(笑)
―懸命に仕事をする俳優だ。すでに次回作を準備中だと聞いた。
キム・ミョンミン:仕事というのは、したい時にして休みたい時に休むことができるというわけではないようだ。意図せずして仕事が押し寄せる時があり、反対に休む時もある。だから懸命に仕事をしているように見えるみたいだ。俳優は、撮影現場で演じている時に生きていることを感じる人々だ。だから常に良い作品に渇望し、また、そのような作品があれば体が壊れてもするしかないんだ。
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- 記者 :
- ヒョン・ジミン、翻訳 : 前田康代、写真 : ソ・イェジン
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