放送終了「悪人伝記」シン・ハギュンが迎えた結末は？【ネタバレあり】

※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
「悪人伝記」の始まりと終わりにはシン・ハギュンがいた。

Genie TVオリジナルドラマ「悪人伝記」が13日の放送を最後に最終回を迎えた。生計型弁護士のハン・ドンス（シン・ハギュン）が絶対悪人のソ・ドヨン（キム・ヨングァン）に出会い、抑えていた“悪のスイッチ”を入れる姿が描かれた同作で、シン・ハギュンはまるで一人二役を演じるような多彩な演技を披露し、中心的な役割を果たした。

シン・ハギュンはドラマの序盤に家族の生計を立てるため、拘置所での営業も厭わない生計型弁護士ハン・ドンスとして登場し、視線を奪った。端正だが、みすぼらしいブリーフケースと丸い眼鏡、営業にぴったりな言葉遣いを前面に出し、断固として正義を貫くハン・ドンスの姿を表した。

そして正義の味方だったハン・ドンスが、悪人のソ・ドヨンよりさらに残酷な戦いの中心に立つことになり、「悪人伝記」のストーリーは絶頂に向かった。最終回に盛り込まれた、狂気じみて悪の気運を吐き出すハン・ドンスの姿は破局を暗示し、最後まで緊張を緩めない展開となった。正義を果たす無垢な生計型弁護士だったハン・ドンスが、悪人のソ・ドヨンに対抗できる悪人に進化した。特に血痕が飛び交った最後の格闘シーンは、怒りに満ちた作品のエネルギーをそのまま表した。

ドラマは、最後までどんでん返しを繰り返した。弟のハン・ボムジェ（シン・ジェハ）が、ソ・ドヨンによって死を迎えた後、本来の姿に戻るようだったハン・ドンスだったが、3年後に彼は過去にソ・ドヨンが所有していた会社はもちろん、家まで手に入れ、犯罪に深く携わっていることが明らかになった。権力まで手に入れるため弟の死を政治的に利用する姿は、ハン・ドンスが極悪非道な人間になったことを意味した。

劇中、ハン・ドンスが自身の人生を奈落に落としたムン・サングク（ソン・ヨンチャン）によって自尊心が踏みにじられた時や、妻が職場の上司からセクハラされた事実を知った時、認知症にかかった母をムン・サングクの計略によって失わなければならなかった時、そして賭博サイトを開設し、お金を稼いだ瞬間など、シン・ハギュンはハン・ドンスの善良さが少しずつ崩壊する姿をだんだん高まっていく感情で表現し、視線を釘付けにした。

それだけでなく、彼の演技は休む暇もなく多様な変奏を見せた。劇の序盤、家族の生計を立てるため明るいふりをしたつまらない弁護士のハン・ドンスから、新しい権力の中心であらゆる犯罪と絡むことになったエリート悪人ハン・ドンスへの変化を10話の間、繊細な演技で表現し、没入感を高めた。善良だった顔が、いつの間にか冷たく冷血な顔に変わっていくことを説得力のある演技で表現した。

ドラマの後半に入り、吹き荒れた感情も優れた演技力をうかがわせた。時間が経つにつれ、微細に力が入ったハン・ドンスの言い方と自信に満ちた表情は、まるで変心したハン・ドンスが生きて息をしているような錯覚を呼び起こした。彼の老練な感情の調整と演技力で作り出した同僚俳優たちとの共演も、作品を視聴するポイントの1つだった。

拘置所で営業するハン・ドンスの姿で始まった「悪人伝記」は、1人で悪人の道を歩くハン・ドンスの姿で終わった。数多くの善と悪の分かれ道に立ったハン・ドンスが、絶対悪人の選択肢をつかみ、“悪人伝記”の主人公になった。