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Kstyle 12th

Vol.1 ― ユン・シユン「子供と大人の真ん中、バランスを失わないように」

10Asia

録音された内容を素早く整理し、締め切りに間に合わせるインタビューがある一方で、静かにインタビューへの返答を吟味し、繰り返し考えてしまうインタビューがある。ユン・シユンとの1時間あまりのインタビューを整理するのにとりわけ時間がかかったのは、それが後者だったからであろう。だからと言って空気が重いわけではなかった。デビュー作であるMBC「明日に向かってハイキック」で期待のルーキーとして浮上し、初の主演作品であるKBS「製パン王キム・タック」で視聴率50%の大記録を打ち立てたが、この25歳の若者は、いかなる驕りも虚勢もなく一貫して愉快に自分の考えを話していた。「自分の弱さが好き」と語り、それを守るだろうと念を押して。以下は軽快なリズムの中で、しかし決して軽くはない、言葉に重みのあったユン・シユンとのインタビュー記録である。この記録を読むあなたのマウスがゆっくりスクロールされることを願う。

「ジュンヒョクもキム・タックも、好きで始めたことだ」

―「製パン王キム・タック」が終わってからリレーインタビューを受けていると聞いています。こうした経験は初めてでしょう。

ユン・シユン:そうです。今日はこれでもう4度目ですが、まだそれくらい残っています。

―30話のドラマを終えて、すぐインタビュー漬けになるのは大変ですね。

ユン・シユン:いいえ。これもひとつの手順だと思います。俳優のユン・シユンとして「ありがとうございました」と言える席ですから。キム・タックとして言えなかった話もできますし、大変貴重な場だと思います。

―記者とインタビューを続けるのはどうですか?

ユン・シユン:幸いにも、皆さん好意的で可愛がってくださいます。ときどき記者に気をつけろという話をしてくれる方もいらっしゃいますが(笑) 本心を話せばそのまますべて書いてくださいます。今まで記事の内容などで傷つけられたことはありません。別の見方をすれば、新人のころから好意的に見てくださっているので、ある種の責任感を感じたりもします。

―本人の言葉どおり実質的なデビュー作である「明日に向かってハイキック」から大きな人気を得ています。でもドラマのタイトル・ロールを引き受けるということは、周囲の反応は抜きにしても、負担にはなりませんでしたか?

ユン・シユン:負担です。負担ですが、これはもっぱら演技についてです。俳優として克服する必要のある負担でしたから、意味のあるものだと思いました。それを克服しないと成長できません。

―「明日に向かってハイキック」のときは、自ら“ジュンヒョクのようだ”と言ってましたが、今はまるでキム・タックのように話してますね。

ユン・シユン:そうですか? 皆さんにそう言われてます。それはたぶん自分の役に対する愛情から来るものだと思います。恋愛しているカップルが似ていくように。僕自身、発声や発音、演技力、感情、動きといったすべてのものが、まだまだ足りていないことをわかっています。それでも役への愛情はあるんです。ジュンヒョクもキム・タックも。好きで始めたんです。だから似ていくんでしょうね。

「バランスを保って、期待される人になりたい」

―ほとんどの人は自分の好きなことをしていても怖気づいてしまいます。自分はどうだと思いますか? 上手く克服していると思いますか?

ユン・シユン:僕は大胆に助けを求めてしまいます。ひとりでは絶対にできないということを知っているから。ひとりで溜め込むなんて絶対にしません。キム・タックもそうですが、僕らは似たところがあるんです。キム・タックを演じながら、負担になったり怖かったことも、他の人と一緒に克服できたのであって、ひとりで解決する精神力なんて持ち合わせていません。僕は大胆に勇気を出して、あなたがいないとできません、というタイプなんです。

―普段は誰が力になってくれますか?

ユン・シユン:一番親しい友人はマネージャーさんやスタイリストさんです。台本を読んだりご飯を食べながらする話が、どれだけ力になるかわかりません。彼らが僕を守ってくれるように僕も彼らを守る責任がありますから、それに対する責任感もあります。僕が彼らを頼りにするように、僕も彼らの頼りになる人になりたいと思っています。

―スターになるのもそのひとつの方法ではないですか?(笑)

ユン・シユン:そうですね、バランスを保っている人になれば誰かの支えになれると思います。支えになれるような根を張っているからこそ、誰かの頼りになれるのだと思います。派手なことを言える人が頼りになるのではなく、いつもそこに立っている人、そこへ帰りたくなる人が頼りになるんだと思うんです。25歳というのは、まだまだという感じもしますし、もう大人のような感じもしますが、バランスを失わないように努力しています。それができれば、僕の家族や親しい友達、これから僕が愛するであろう人まで、彼らにとって頼りがいのある人になれるでしょうね。

―それには結局、自分の信念、もしくは基準が必要になると思うのですが、それは何でしょうか。

ユン・シユン:前向きに考えることのパワーを常に信じています。そうした力が他人を変えることもできると信じていますし、いい物を見ていい事を考えていれば、自然といい事が起こるだろうと信じています。

―キム・タックがそうでしたか?

ユン・シユン:そういうタイプでしたね、いつも。ユギョンが揺れていてもいつもパン屋でパンを焼いていて、最後にすべてを成し遂げても、またパルポンパン屋へ戻って行きますよね。誰かとケンカしたり対立したりせず、前向きな姿勢ひとつで自分の夢を成し遂げています。だからと言って自分に厳しいわけでもないし、スパルタで自分をレベルアップさせる人なんです。試合をしたり理事会で人々の心を動かすときに“勝ちたい”と思うのではなく、過程そのものに意味があるんだって心構えで撮影しました。キム・タックはそんな人なんです。

「キム・タックは英雄ではなく普通のことが好きな人」

―ある人は頑張るほどになぜか隣の人を不安にさせたりしますが、キム・タックはそうした感じがありません。

ユン・シユン:ただ自分がそれをするのが幸せなんです。最後の結果が出るときに緊張しているような演技をしたことがありません。ただそれをしたのであって、結果が出たら“わぁ、終わった”なんです。過程が好きだから幸せな気持ちだけが残るんですよ。試合が終わって笑うのだって、今勝ったから笑うのではなく、自分に親切にしてくれた子からもらった麦飯(麦と白米を混ぜて炊いたご飯)でパンを作れたのが嬉しくて、ピョンピョン飛び跳ねるんです。キム・タックは英雄ではなく、単に普通のことが好きな人なんです。

―だから少し不思議なキャラクターでもあります。自分でも「人殺し以外は全部やってきた」というくらいに厳しい環境を乗り越えているのに、そうした純粋な面がありますよね。

ユン・シユン:キム・タックと僕の共通点があるとしたら、器が大きいとかいい人とかではないという点です。キム・タックは熱血漢で単純な人で、そうした単純な中から前向きさを引き出したいと思ったんです。悲しいとそれを収めておくことのできない人物なんです。優しいからではなく、辛いから。過去に人殺し以外はすべてしてきたと言っていますが、それを心に溜め込んでいるような人物ではありません。もちろん母親や父親に対する懐かしさをすべて忘れたとは言い切れないでしょう。それでも今は小麦粉をこねてパン作りをすることに専念するんです。宇宙のような大きい痛みを溜め込んでおいてそれを耐えるのは辛いから。

―しかし、そうして現在に専念することでキム・タックは成長しています。暴力も自分から使わないと決心するし、ジングも許すし。

ユン・シユン:自分から成長したというより、すべてのことが成長の手助けをしてくれます。実際にキム・タックが誰かを許している訳ではありません。ただそれが順当なことだと認めたんです。“そうだね、それもありだね、オーケー”。そうやって相手を認めていくことによって自分が成長するんです。パルポン先生がパンについて教えてくれて、ジング兄さんは頼りになる兄さんになってキム・タックを支えてくれる確かなよりどころになってくれて、と。
元記事配信日時 : 
記者 : 
ウィ・グンウ、写真 : イ・ジンヒョク、編集 : イ・ジヘ、翻訳 : イム・ソヨン
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