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「容疑者X」リュ・スンボム“映画に向けたリュ・スンボムの献身”

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映画「容疑者X 天才数学者のアリバイ」を見るリュ・スンボムの視線

俳優リュ・スンボムを数学の用語に例えると、“未知数X”のような存在だ。どの作品でも彼はゾクッとするほど監督が意図した役柄を完璧に具現化しようとした。特に、映画「容疑者X 天才数学者のアリバイ」は、役柄はさておき、これほどリュ・スンボムのイメージにぴったりの作品はなかったように思える。

2000年、彼の兄リュ・スンワン監督が演出した「ダイ・バッド ~死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか~」でデビューして以来、韓国の映画界で独特な地位を築いてきた。韓国の映画界は彼に対して“本能的に演技する俳優”“生まれつきの俳優”と表現した。彼自身は「それは他人の視線です。自分で自分自身は規定できません」と話す。

リュ・スンボムは、映画「容疑者X 天才数学者のアリバイ」で天才の数学教師ソクゴ(原作:石神哲哉)役を演じる。日本の原作小説「容疑者Xの献身」を読んだ人々はよく知っているキャラクターだろう。虚しい人生の中で偶然訪れた愛に何もかもを捧げようとする男。理性的で体系的だったロゴスの世界信仰者だった。そして愛もその中にあると信じていたソクゴはリュ・スンボムを通じて“完全な愛”を味わった。


リュ・スンボムの「容疑者X 天才数学者のアリバイ」への第一印象は

彼は日本の原作小説と映画を見てから撮影に臨んだ。韓国的な感性に合わせて脚色をし、役柄の変化もあったが、リュ・スンボムは「生まれる時からこのような作品は原作と比較の対象になるしかない」と比較の可能性を認めた。パン・ウンジン監督が演出した「容疑者X 天才数学者のアリバイ」の初期タイトルは「完全な愛」だった。推理とサスペンス的な性格から主人公の恋物語を強化したい狙いだった。

「まず、僕は『完全な愛』というタイトルに反対した人の一人です。ピンと来なかったんですね。今だから打ち明けますが、この映画には仕方なく新派劇のようなコードがあるじゃないですか。監督も新派劇でいきたいと言っていました。一歩間違えると、映画の内容が不足しているように見えるかもしれませんが、撮影しながらこのストーリーの本音は新派劇にあるんだなと思いました。“献身的な愛”じゃないですか。最近はこんな愛がそうそうあるわけでもないし、献身的な愛を取り扱うのなら、新派劇のほうが合っているかもしれないと動揺しました。

個人の趣味を言い始めたらきりがありません。映画は共同作業ですし、監督の芸術であるのはやむを得ないことだと思います。俳優も創作に参加し、十分な道具になりますが、監督の特性や枠は俳優の特性とは別です。そのため、俳優が“このような作品になってほしかった”と話すのは慎重になります」

写真=K&エンターテインメント

「容疑者X 天才数学者のアリバイ」リュ・スンボムの解釈はこうだった

冒頭で述べた「容疑者X 天才数学者のアリバイ」の初期タイトルを思い返さなくても、愛というキーワードを無視するのは難しい。映画の公開当初、映画館の出口で“ソクゴの愛は完全な愛か、狂気の愛か”とアンケートを行っていた。結局、この映画の大筋は愛なのだ。それも“完全な”という修飾語が付きそうな愛だ。

「理解するのは難しいでしょう。あまり知らない女性じゃないですか。僕もそれが最後まで気になりました。長く恋愛をして、数十年も一緒に暮らした夫婦でも別れることがあるのに、よく分からない人というのは確かに疑問に思うでしょう。ある意味で、危険な愛なのかもしれません。ファソン(イ・ヨウォン)には大変な愛ですから。

映画ではソクゴの一方的な愛に映るかもしれません。完全な愛ではない可能性もあるということです。愛に正解があるわけではありませんが、ファソンが大変な思いをしているのをみると、“完全な”という修飾語をつけるのは難しいと思います。完全な愛という言葉を付けるには、イエスの愛のように不滅の形でなければならないのではないでしょうか。ソクゴの愛は攻撃する余地が多いでしょう。完全な愛というのは宗教的な愛のように触れられないものにならなきゃ(笑)」

解釈は違うかもしれないが、感情の面においては大きなエネルギーと説得力があると思ったそうだ。疲れが溜まっていた中、活動を休止したいと思った時に「容疑者X 天才数学者のアリバイ」のオファーを受け、パン・ウンジン監督とスタッフの情熱にリュ・スンボムも身を投げる準備ができたわけだ。

「演出、撮影、照明、それぞれの監督と何回か会いましたが、みんな映画への情熱がものすごく強かったです。このチームは作品を作り出すことに焦点を当てていました。まず作業を終えたことに拍手を受けたいです。残りは趣味の問題です。韓国映画のキャスティングが華やかだったり、気難しい感じではないじゃないですか。ただ観客にぽんと近寄るんです」


リュ・スンボムに対するリュ・スンボムの解釈はこうだった

リュ・スンボムは徹底的にパン・ウンジン監督のペルソナ(仮面)になろうと思った。それもそのはずだが、俳優出身のパン・ウンジン監督がもっとも切ない気持ちを表した人物がリュ・スンボムが演じたソクゴだった。映画の中のソクゴは自身の感情を数式のように積み上げていった。そして映画の末尾に爆発させる。理性的で論理的だったソクゴが壊れる瞬間だった。

「台詞の休む部分、感嘆符、疑問符まで監督がコーチングしてくれました。その分、ソクゴに対する監督の思い入れがあったみたいです。僕の演技に特別な意味を付与したくはありません。一旦、その人物になれば全てが過程だと思います。僕がこうすると、他の方がこう受け入れてくれますし。これが俳優という職業の特性かと思います。僕を解釈する視線は様々ですが、あえて僕が表す必要はないと思います」

リュ・スンボムはまるで未知数Xのように答えた。観客と周りの評価に任せるという趣旨だろう。生まれつきの俳優、本能的な演技をする俳優という世間の評価に対する判断を頼んだ時、そこまで規定するのをはばかったのも理解できた。

「(笑) 自分が自分自身について話すのは難しいでしょう。そうですね。これは言い逃れでしょうか? ある役者の方は“これからは違う姿を披露する”とおっしゃいますが、僕はそういうのがありません。フィルモグラフィーのために演技をするタイプではありません。もちろん、フィルモグラフィーが俳優の価値を物語ると考える方もいると思いますが。

僕は過去より今を見るタイプです。僕の出演した作品がバラバラなため、“なぜその作品をしたのか”と言われる時もありますが、僕が新人監督と一緒に仕事をする理由がそこにあります。僕は役者で、役者をしたいわけで、何かタイトルや商品価値を作りたいわけではありません。そのためでしょうか。子供の時にもらった賞状も全部家の片隅に置いています(笑)」

人間関係でも誰かが急に近づいてきたり、また誰かに急に近づくのが嫌だったというリュ・スンボムは、文字通り何もかもを自然に選択する人だった。ドラマをしない理由もその延長線上にあった。事務所としては残念だろうが、リュ・スンボムは俳優としての自身の哲学を守りたがっていた。

「ドラマはしないのではなくて、できません。能力が足りないし、肉体的にも強くありません。何かを早く理解してやるのができません。いい友だちがいるのに、自身と合わない友だちとあえて付き合う必要がありますか? だから、ドラマにも出演している役者の方々を尊敬します。

サッカー選手が野球場でファンサービスはできないじゃないですか。感動を与えるのがファンサービスで、本当のファンがほしいなら、自身と合う場所で活躍するのが良いでしょう。もちろん、一概には言えません。みんなそれぞれ哲学が違いますから。それで多方面で活動する方々を尊重し、認めて、羨ましくもあります。僕はもうパニックです。覚えられないからしょうがありません(笑)」
元記事配信日時 : 
記者 : 
イ・ジョンミン、イ・ソンピル
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