【CLOSE UP】ミュージカル女優イ・ジス ― 花が咲く頃
「勉強ができなければ、親も先生もあまりよく思わないじゃないですか。だから、高校の時は上級レベルに入るほど、かなり熱心に勉強しました。私はミュージカルが大好きでしたが、両親からは趣味だけにしてほしいと言われて、毎日、歌を歌ったり音楽を聞きながらストレスを解消していました。おかげで、数学と理科の成績が下がりましたけどね(笑)」
弟をオペラ座の幽霊だと思って高音を出す練習をし、父親を恋人に見立ててときめいていた夏の夜を思い出す少女。弟はそんなイ・ジスを「ミュージカルにはまった姉」と紹介したが、子供の頃に心の中でこっそりと蒔いた種はすくすく育ち、いつの間にか芽を出していた。27年ぶりに韓国で公演されるミュージカル「レ・ミゼラブル」のコゼットという名前で。
“生きていること”を全身で抱きしめながら悩んできた歳月は、結局のところ、経験として送った履歴書が世界的なプロデューサーであるキャメロン・マッキントッシュにまで届き、先輩たちが次回作を心配するほどの巨大な台風に繋がった。「何年かかっても構わないと思っていたので、あまりにも早くて最初は怖かったです。歌や演技をちゃんと学んだことがないので。でも、オーディションを10回も受ける間に、私にもできると自信がつきました。頑張ってやればいいんだ!」安全な囲い中でも絶えず外の世界を夢みて、運命のように出会った愛のために自身を捧げるコゼットは、そんなイ・ジスととても似ていた。
待ちに待ったクリスマスプレゼントを開けながら興奮する子どものように、今、彼女の目に映る世界は、不思議なことだらけだ。およそ200人近い人々と関係を結び、自分ではない他人の人生を初めて経験すること。自身の限界を見つけ出し、自ら将来をより具体的に描いてみることまでしている。「学校と違い、ここはお金をいただく仕事場なので、下手したら作品に迷惑をかけるかもしれないと心配でした。数日前、大学の同期たちに会いましたが、どうしてそんなに老けたの?と言われました(笑) でも、少し大人になった気分です」
歩き方を学ぶ赤ちゃんのように、先輩たちのアドバイスを一つずつ自分の中に吸収し、今は自分の役割との関係を見る目もできた。「最初の1週間は、ウェディングシーンが本当に大変でした。父親とマリウスが話を交わした後に結婚をするのですが、コゼットはその状況を知らないけど、私はそれをもう見ているじゃないですか。肩を落として歩く父親の足取りを見ると、笑うことができなくなりました」しかし、それに続いて5ヶ月後、ソウルの観客たちから「コゼットがあそこにいる」と言われたいと堂々とした答えを話す。
何でも自分で経験したいという彼女の固い意志を見たその時、この意地っ張りの少女がたどり着くその端は一体どこだろうと気になった。8年間、大切にしてきたこの気持ちを愛と呼ばなかったら、一体何だと言えるだろうか。小さなつぼみが大きくて華やかな花を咲かす日は、それほど遠くない。
弟をオペラ座の幽霊だと思って高音を出す練習をし、父親を恋人に見立ててときめいていた夏の夜を思い出す少女。弟はそんなイ・ジスを「ミュージカルにはまった姉」と紹介したが、子供の頃に心の中でこっそりと蒔いた種はすくすく育ち、いつの間にか芽を出していた。27年ぶりに韓国で公演されるミュージカル「レ・ミゼラブル」のコゼットという名前で。
クリスマスプレゼントを受け取った少女の好奇心
イ・ジスはバイオリン、カヤグム(伽耶琴:朝鮮の伝統弦楽器)、スケート、それに、大邱(テグ)にある英語教室はほとんど通ったことがあるほど、飽きっぽい性格だった。しかし、そんな彼女の性格も、ミュージカルにおいては力を失った。大邱市立少年少女合唱団員として活動していた12歳のある日、「サウンド・オブ・ミュージック」を聞いた。その後、彼女は一晩中動画を漁り、お小遣いを3ヶ月貯めてミュージカルを見に行った。iPodの70GBのうち、69.7GBがミュージカルナンバーであり、もし楽譜がなかったら採譜(耳コピ)をしてでも曲を自分のものにした。“生きていること”を全身で抱きしめながら悩んできた歳月は、結局のところ、経験として送った履歴書が世界的なプロデューサーであるキャメロン・マッキントッシュにまで届き、先輩たちが次回作を心配するほどの巨大な台風に繋がった。「何年かかっても構わないと思っていたので、あまりにも早くて最初は怖かったです。歌や演技をちゃんと学んだことがないので。でも、オーディションを10回も受ける間に、私にもできると自信がつきました。頑張ってやればいいんだ!」安全な囲い中でも絶えず外の世界を夢みて、運命のように出会った愛のために自身を捧げるコゼットは、そんなイ・ジスととても似ていた。
待ちに待ったクリスマスプレゼントを開けながら興奮する子どものように、今、彼女の目に映る世界は、不思議なことだらけだ。およそ200人近い人々と関係を結び、自分ではない他人の人生を初めて経験すること。自身の限界を見つけ出し、自ら将来をより具体的に描いてみることまでしている。「学校と違い、ここはお金をいただく仕事場なので、下手したら作品に迷惑をかけるかもしれないと心配でした。数日前、大学の同期たちに会いましたが、どうしてそんなに老けたの?と言われました(笑) でも、少し大人になった気分です」
歩き方を学ぶ赤ちゃんのように、先輩たちのアドバイスを一つずつ自分の中に吸収し、今は自分の役割との関係を見る目もできた。「最初の1週間は、ウェディングシーンが本当に大変でした。父親とマリウスが話を交わした後に結婚をするのですが、コゼットはその状況を知らないけど、私はそれをもう見ているじゃないですか。肩を落として歩く父親の足取りを見ると、笑うことができなくなりました」しかし、それに続いて5ヶ月後、ソウルの観客たちから「コゼットがあそこにいる」と言われたいと堂々とした答えを話す。
「次の作品のため、恋愛がしたいです」
与えられたことをきちんとやり遂げる彼女の凛々しい性格に感心していた頃、イ・ジスが少しだけためらった。「恋愛したことが一度もないんです」マリウスとのキスがファーストキスだったことを告白し、いきなり赤くなった顔が限りなく愛くるしい。「ポータルサイトで“一番ロマンティックな映画”を検索してそれを全部見たり、恋愛経験のあるお姉さんたちの話も聞いてみましたが、まだ本当に難しいです」一緒に歩いている2人の男女が自然に手をつなぐ姿を夢見てきた20歳が、想像できる恋愛の絵はあまり多くない。自分でも知らないうちに胸がドキドキするシーンのたびに、常にバックステージを走っていると告白するが、いつの間にか「次の作品のために恋愛がしたい」とハニカミながらこぶしをぎゅっと握る。何でも自分で経験したいという彼女の固い意志を見たその時、この意地っ張りの少女がたどり着くその端は一体どこだろうと気になった。8年間、大切にしてきたこの気持ちを愛と呼ばなかったら、一体何だと言えるだろうか。小さなつぼみが大きくて華やかな花を咲かす日は、それほど遠くない。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チャン・ギョンジン、写真 : イ・ジンヒョク、翻訳 : ナ・ウンジョン
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