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「クラウド アトラス」ペ・ドゥナ“ハリウッド進出…考えもしなかった”

TVレポート
可愛らしい短髪ヘアとつぶらな瞳。15年も見ている顔であるが、なぜか飽きない。ゆっくりと瞬きしながら2144年のネオ・ソウルを見つめるペ・ドゥナ(33)から、好奇心あふれる少女の姿が見える。時間が経つほどフレッシュになっていく女性だ。時代を逆行するペ・ドゥナの前では、童顔と呼ばれるスターも頭が上がらなさそうだ。

19世紀から約500年を行き来する時空間を背景に、次から次へと繋がる運命のパズル「クラウド アトラス」(監督:アンディー&ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ)。ペ・ドゥナは2144年、未来の国際都市ネオ・ソウルのクローン、ソンミ-451を演じた。必要によって搾取されたり、殺されたりもしたクローンがあふれる未来の世界で、ふと自我に目覚めたソンミ-451は、人間のヘジュ(ジム・スタージェス)に出会い、恐ろしい運命の渦巻きの中心となる。神になったペ・ドゥナは、2144年のソウルを掌握する本当の能力者だ。

「ハリウッドスター」になったペ・ドゥナだが、変わらず隣に住んでいそうなさばさばとした少女だ。「“ハリウッドスター”になったこと、おめでとうございます」と挨拶をすると、なんだかくすぐったいといいながら過剰な修飾語はやめて欲しいとお願いした。自らを“マイナー趣向”と話すペ・ドゥナは、そのようなユニークさがハリウッドで少し新鮮に受け入れてくれただけだと謙遜した。ハリウッドの雰囲気に酔いしれ、天狗になった女優ではない。コリアンスタイルの“マイナー”ペ・ドゥナのハリウッド入城記が知りたくなった。


ハリウッド行きより「クラウド アトラス」に関心

デビュー15年目、中堅女優だ。1998年、ある衣類ブランドのカタログモデルとしてデビューしたペ・ドゥナはその後、お茶の間とスクリーンを行き来しながら休まず精力的に活動してきた。疲れていそうなのに、変わらずエネルギーに溢れているエネルギッシュな女優だ。同じことをしたりしない。毎回新しいキャラクターで自分だけの色を表現した。追いつくことも、真似することもできない“マイナー”ペ・ドゥナだが、大衆からの愛情だけは“メジャー級”になった。

そんな彼女が韓国を越え、ハリウッドにまで進出した。「まさか出来るの?」という疑いと共に、「また、いつ『マトリックス』の監督と話せる機会が来るの?」と好奇心からラナ&アンディー・ウォシャウスキーとテレビ電話でインタビューをすることになったペ・ドゥナ。度胸のある人だ。

真っ先に、ハリウッド進出を準備していたのかが知りたくなった。ペ・ドゥナは手を横に振りながら「決して」とハッキリ言った。意外な反応だった。他の俳優はハリウッド進出のために多くの努力をしているが、ペ・ドゥナは考えもしなかったことだそうだ。

彼女は「正直、ハリウッド進出に興味がなかった。こんなこと自体が傲慢なのかも知れないが、平凡なハリウッド式のストーリーは好きではない」と話した。勧善懲悪、ハッピーエンドを取り扱うハリウッド映画にはもう飽きたということだ。興味が湧かず、最初からそちらは見もしなかったそうだ。それもそのはず、これまでのペ・ドゥナのフィルモグラフィーを見てみると、その反応が理解できる。そんなに頑固だったペ・ドゥナが結局、ハリウッドの超大作映画を選択したのは、他でもない独特な展開だった。彼女らしい選択だ。

「『クラウド アトラス』には本当に大きな物語が盛り込まれています。おそらく、映画が公開され、観客の皆さんが見たら、私が言ったことを少しは理解してもらえると思います。特にソンミ-451の魅力はこれまで見てきたほかのキャラクターとはレベルが違います。作品そのものが魅力的です。私はハリウッド進出より、作品に惹かれました。ハハ」


英語の教科書を読むように台詞を読んだオーディションのテープ、今見てもおかしい

そのように、すっとハリウッドに足を踏み入れたペ・ドゥナ。撮影に入るまでダイナミックなエピソードが多かったそうだ。ペ・ドゥナの前作「空気人形」(監督:是枝裕和)を見て、ソンミ-451役にキャスティングしたアンディー&ラナ・ウォシャウスキーとトム・ティクヴァ監督はイム・ピルソン監督を通してペ・ドゥナと直接連絡を取った。

スクリプトを見ながら監督と色々な話をしていたペ・ドゥナは、オーディションテープを送り、スクリーンテストを受けるためにシカゴへ飛ぶなど、私たちが知らない間、忙しい日々を送っていた。いきなりソンミ-451を演じることになったペ・ドゥナは、「秘密裏に進められたプロジェクトで、私もオーディションを受けて落ちたらどうしようと思い、自慢することも出来なかった」と冗談交じりに話した。「春の日のクマは好きですか?」以降、14年ぶりのオーディションなのに恥ずかしくて、落ちたら韓国の女優としてのプライドも傷つきそうで、極秘で監督とコンタクトを取ったそうだ。

彼女はオーディションテープに関する笑えないエピソードも欠かさなかった。オーディションテープを初めて撮影したペ・ドゥナは、ウォシャウスキー監督にスクリプトにあるソンミ-451のワンシーンを演じてほしいという注文を受けた。当時、ペ・ドゥナは映画に出演するという意志より、ウォシャウスキー監督とテレビ電話ができるという楽しさに気軽に取り組み、助演であるユナ-939(周迅)役を演じるという予想とは違い、ソンミ-451を提案され、とても驚いたそうだ。

彼女は「ハッとした。CM監督である兄(ペ・ドゥハン)がカムコーダで撮ってくれた。当時、兄が撮影しながら相手役をしてくれたが、今そのテープを見てみるとおかしくて何も言えないぐらいだ。兄も私も、まるで英語の教科書を読むように台詞を言った(笑) 監督たちも私の発音を心配していたが、撮影前まで頑張り、オーディションテープのような悲惨な状況は免れた」と説明した。

「私が知る限り、監督自らが俳優に連絡するケースはないそうです。しかも、私のような新人女優の場合、キャスティングディレクターを通して連絡すると聞きましたが、私は特別なケースでした。後から聞きましたが、韓国の女優の中でもオーディションを受けた方がいて、海外の韓国系新人女優を含むアジア系の女優たちもほとんどオーディションを受けたそうです。実は、私が演じる役は本当にすごい役でした。何も知らなかった私がチャンスを掴めました」


パパラッチのため、飲み会に参加できなかったトムおじさんとハル姉さん

様々な面から、ペ・ドゥナにはいいきっかけになった「クラウド アトラス」だ。ワールドスターと一緒に演じることができる楽しさと、巨匠監督たちとの不思議な作業は苦ではなく、楽しい遊びのようだった。隣のおじさんを呼ぶように親しくなった“トムおじさん”“ハル姉さん”はなかなか顔を見ることも難しいハリウッドスタートム・ハンクスとハル・ベリーを指すペ・ドゥナの新たな人脈だ。

とりわけ和気藹々だった「クラウド アトラス」の撮影現場について質問すると、ペ・ドゥナはまず、満面の笑みを浮かべた。それだけ彼らとの作業は愉快で、幸せだったということだ。すべてのスタッフと俳優が「家族」のようだったと、迷わず話していた。ハリウッドスタイルではなく、韓国スタイルの表現だ。

彼女は「撮影がない週末にはスタッフと俳優が集まってビールや焼酎を飲みにパブに行った。そこで、同世代のジム・スタージェスとさらに仲良くなったのは事実だ。もちろん友達以上ではないので、誤解はしないでもらいたい」と最近、自身を巡る熱愛説について言及した。

ほとんどがイギリスの俳優で構成された「クラウド アトラス」チームは、お互いの撮影を気にかけ、現場を楽しんだと伝えた。合わせて、トム・ハンクスとハル・ベリーについて「いい人」とべた褒めした。

「トム・ハンクス、ハル・ベリーと撮影をしていると雰囲気が本当に良くなります。ハル姉さんは、私がこれまで女優生活を送った中で初めて見る女優の姿でした。『こんなに優しい女優がこの世にいるだろうか?』といつも思います。ハリウッドスターたちはツンツンとして、エビアンみたいな高いミネラルウォーターばかり飲みそうだという偏見があるじゃないですか。でも、全然違います。毎日が驚きの連続でした。もちろん、彼らは基本的にパパラッチがついてくるスターなので、飲み会があってもなかなか来られない不便さはあります。むしろ、私たちに迷惑をかけるとホテルで隠れていたりもしました。ハル姉さんと同じホテルに泊まっていましたが、その事実も後から知りましたよ?本当に楽しかったです」

元記事配信日時 : 
記者 : 
チョ・ジヨン、写真 : キム・ジェチャン
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