「お金の化身」カン・ジファン“役者になってよかったです”
※この記事にはドラマ「お金の化身」の結末に関する内容が含まれています。
「不祥事で騒ぎになったときは、なぜ公人になってこんなことに耐えなければならないのかと思いましたが、『お金の化身』を終えた今は、役者になってよかったと思います」
俳優カン・ジファンは、SBS週末ドラマ「お金の化身」(脚本:チャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン、演出:ユ・インシク)が終了した感想を問う質問に、このように答え嬉しい表情を隠せない様子だった。それもそのはずで、「お金の化身」は実に久しぶりに出会った脚本・演出・演技の3拍子が揃った、爽快な作品だった。視聴率の面では競合作のMBC「百年の遺産」に押され20%台の高台に乗ることはできなかったが、作品内容面での評価において「お金の化身」は「週末が待ち遠しくなる作品」と褒め称えられ、最後まで熱い支持を受けた。
「当初からイ・チャドン役に僕を考えていて、専属契約が満了する瞬間に連絡を取ったと言われました。監督と脚本家は立て続けに成功されていたので、自分たちの作品に出演させる俳優の選択幅が広い状況だったにも関わらず、最後まで待ってくださったことに驚きました。正直僕は、半分諦めかけていたんです」
大変な状況に追い込まれた自分を待っていてくれた恩返しは、すぐに実現した。カン・ジファンは汚職検事イ・チャドン役に素早くハマり、これは第3話分の収録が終わる日ユ・インシク監督から「カン俳優を待った甲斐があった、それをモニターで確認したよ」という台詞で報われた。カン・ジファンは待つこととと恩返しという歯車が噛み合った「お金の化身」の出演について「運命だと思う」と表現した。
しかし、イ・チャドン役を演じるのは容易いことではなかった。スリラー、アクション、コミック、ロマンスを一つの作品の中で全て演じきることが、カン・ジファンに与えられたミッションだった。特に「お金の化身」は、社会で重要任務に就いている人たちの不祥事と汚職、そして彼らの貪欲により一つの家庭がこっぱみじんにされた、重たく暗い物語を描いている点で、各ジャンルのスリリングな綱渡りが求められるものだった。
「色んなジャンルを求められていましたが、演じながら負担にはならなかったです。ただ、皆真剣にやっている状況の中で僕一人コミカルな姿で初登場しなければならなかったですし、そのためにコミカルとシリアスを行き来する演技のバランスが重要だという計算はしていました。一緒に出演したファン・ジョンウムさんの場合、扮装が伴っていたので僕よりはコミカルな演技が負担にならなかったと思います。でも僕は、シリアスなドラマの中で、それも検察官の役で出演していて、一人でコミカル演技をしなければならなかったことは、冒険でもあり挑戦でもありました」
「お金の化身」で様々なコミカル演技を披露したが、その中でも視聴者の間で最も噂になったのは、イ・チャドンが明成(ミョンソン)皇后に扮し精神病院に閉じ込められるシーンだった。彼は当時白い韓服(韓国の伝統衣装)にアップにしたヘアスタイルという端正な姿で、男性看護師たちに過激な蹴りを入れ、激しく逃げまわるアンバランスな姿を見せることでコミカル演技にも優れていることを証明した。
「実はそのシーンは、男女が一つの体に入っているあしゅら男爵(アニメ「マジンガーZ」に出てくるマジンガーZの敵役)のような設定になっていましたが、僕が脚本家に提案して明成皇后にしました。韓服姿を写真で撮って脚本家に見せたら、喜んでもらえました。そのあと現場で、手の上に被せる布も緊急手配して、刺繍するものまで合わせて面白いシーンを作ることができました」
コミカルなシーンが所々あったが、「お金の化身」は結局イ・チャドンの復讐の対象者たちが銃で自殺したり息子を失うなど破局に追い込まれ、因果応報で終わった。張り詰めた緊張感は、「お金の化身」の最終回まで続いた。
「多少ショックを受けたと言われる方もいますが、僕の考えでは十分妥当な締めくくりだったと思います。クォン・ジェギュ(イ・ギヨン)は、息子の死により罪を受け、チ・セグァン(パク・サンミン)とウン・ビリョン(オ・ユナ)は銃とヒ素で自殺、コ・ホ(イ・スンヒョン)はホームレスに成り下がったが、彼らのそれまでの行動を見れば、皆さんが納得できる結論です。脚本家に感謝しているのが、この作品がさらに話題を作り出して視聴率を上げるために、刺激的なシーンを入れる余地があったにも関わらず、そうはしなかったという点です。チャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン脚本家はベテランなので十分そのような能力があったと思いますが、話題になるよりはやってきたものに対する初心を忘れない選択をしたんです。この作品は、マクチャン(非現実的で無理やり作ったストーリ)ではありませんでした」
「専属契約の満了日を待つしかなかったんです。その日が来るまで僕がやったのは、近所の友人とお酒を飲んだり、ネットが繋がらない山の中に行ったりするしかなかったです。顔が広い方ではないので、それまでの僕の知り合いと言えば、ほとんどがビジネス絡みの人でした。なので、事務所とこじれたら、ほとんど独りぼっちになったも同然でした。愚痴をこぼす相手もいなかったです」
「もどかしくて仕方がなかった」という彼にとって「お金の化身」は、切実にすがりつくしかない作品だった。
「やりたい演技ができないこと、それも自分の意思ではなく、他人の意思によってそうなることがどれほど苦しいことなのか、身をもって感じました。それで、さらに切実に作品にすがりました。演技で突破するしかないという考えで、ただ一生懸命に取り組みましたし、幸い当時の選択と決断が正しかったという結論になって嬉しい限りです」
「本当に結婚したいんです。特に、このように作品に力を注ぎながら苦労する場合は、これを一緒に分かち合える人がいたらいいと考えたりします。理想のタイプは、背が高くて肌が白いロングヘアの綺麗な女性だったんですが、最近はそこに料理も上手くて心も優しくて両親にも良くして欲しいということまで追加されました。まだ40歳にもなってないので、これくらいは大丈夫でしょう(笑)」
恋人はいないが、カン・ジファンの隣を守る心強いファンの存在は変わらない。カン・ジファンがミュージカル舞台に立つ頃から一人二人とできはじめた彼のファンは、今回の「お金の化身」でも惜しみない愛情を注ぎ、カン・ジファンは彼らを“実家”と呼びながら感謝を示した。
「実際最も辛い時に一緒にいてくれたのもファンの皆さんでした。僕は“百人力”という言葉をよく使うんですが、僕のファンたちって本当にそうなんです。それで僕はファンたちに『僕が活動しないときは他のところへ行ってもいいから、作品をする間だけ戻って来て欲しい』と言うほど、僕とファンの間には根強い何かがあります。僕が男なので似合わないかも知れない表現ですが、ファンたちは僕にとって実家も同然です」
「不祥事で騒ぎになったときは、なぜ公人になってこんなことに耐えなければならないのかと思いましたが、『お金の化身』を終えた今は、役者になってよかったと思います」
俳優カン・ジファンは、SBS週末ドラマ「お金の化身」(脚本:チャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン、演出:ユ・インシク)が終了した感想を問う質問に、このように答え嬉しい表情を隠せない様子だった。それもそのはずで、「お金の化身」は実に久しぶりに出会った脚本・演出・演技の3拍子が揃った、爽快な作品だった。視聴率の面では競合作のMBC「百年の遺産」に押され20%台の高台に乗ることはできなかったが、作品内容面での評価において「お金の化身」は「週末が待ち遠しくなる作品」と褒め称えられ、最後まで熱い支持を受けた。
「カン俳優を待った甲斐があった、それをモニターで確認した」
カン・ジファンが「お金の化身」に出演できたのは、制作陣の並ならぬ信頼のおかげだった。当時、元所属事務所との専属契約トラブルで辛い日々を送っていたカン・ジファンに“イ・チャドン役にぴったり”だとし、ユ・インシク監督とチャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン脚本家が粘り強い支持を送ったことで、カン・ジファンは出演までこぎつけることができた。「当初からイ・チャドン役に僕を考えていて、専属契約が満了する瞬間に連絡を取ったと言われました。監督と脚本家は立て続けに成功されていたので、自分たちの作品に出演させる俳優の選択幅が広い状況だったにも関わらず、最後まで待ってくださったことに驚きました。正直僕は、半分諦めかけていたんです」
大変な状況に追い込まれた自分を待っていてくれた恩返しは、すぐに実現した。カン・ジファンは汚職検事イ・チャドン役に素早くハマり、これは第3話分の収録が終わる日ユ・インシク監督から「カン俳優を待った甲斐があった、それをモニターで確認したよ」という台詞で報われた。カン・ジファンは待つこととと恩返しという歯車が噛み合った「お金の化身」の出演について「運命だと思う」と表現した。
しかし、イ・チャドン役を演じるのは容易いことではなかった。スリラー、アクション、コミック、ロマンスを一つの作品の中で全て演じきることが、カン・ジファンに与えられたミッションだった。特に「お金の化身」は、社会で重要任務に就いている人たちの不祥事と汚職、そして彼らの貪欲により一つの家庭がこっぱみじんにされた、重たく暗い物語を描いている点で、各ジャンルのスリリングな綱渡りが求められるものだった。
「色んなジャンルを求められていましたが、演じながら負担にはならなかったです。ただ、皆真剣にやっている状況の中で僕一人コミカルな姿で初登場しなければならなかったですし、そのためにコミカルとシリアスを行き来する演技のバランスが重要だという計算はしていました。一緒に出演したファン・ジョンウムさんの場合、扮装が伴っていたので僕よりはコミカルな演技が負担にならなかったと思います。でも僕は、シリアスなドラマの中で、それも検察官の役で出演していて、一人でコミカル演技をしなければならなかったことは、冒険でもあり挑戦でもありました」
「お金の化身」で様々なコミカル演技を披露したが、その中でも視聴者の間で最も噂になったのは、イ・チャドンが明成(ミョンソン)皇后に扮し精神病院に閉じ込められるシーンだった。彼は当時白い韓服(韓国の伝統衣装)にアップにしたヘアスタイルという端正な姿で、男性看護師たちに過激な蹴りを入れ、激しく逃げまわるアンバランスな姿を見せることでコミカル演技にも優れていることを証明した。
「実はそのシーンは、男女が一つの体に入っているあしゅら男爵(アニメ「マジンガーZ」に出てくるマジンガーZの敵役)のような設定になっていましたが、僕が脚本家に提案して明成皇后にしました。韓服姿を写真で撮って脚本家に見せたら、喜んでもらえました。そのあと現場で、手の上に被せる布も緊急手配して、刺繍するものまで合わせて面白いシーンを作ることができました」
コミカルなシーンが所々あったが、「お金の化身」は結局イ・チャドンの復讐の対象者たちが銃で自殺したり息子を失うなど破局に追い込まれ、因果応報で終わった。張り詰めた緊張感は、「お金の化身」の最終回まで続いた。
「多少ショックを受けたと言われる方もいますが、僕の考えでは十分妥当な締めくくりだったと思います。クォン・ジェギュ(イ・ギヨン)は、息子の死により罪を受け、チ・セグァン(パク・サンミン)とウン・ビリョン(オ・ユナ)は銃とヒ素で自殺、コ・ホ(イ・スンヒョン)はホームレスに成り下がったが、彼らのそれまでの行動を見れば、皆さんが納得できる結論です。脚本家に感謝しているのが、この作品がさらに話題を作り出して視聴率を上げるために、刺激的なシーンを入れる余地があったにも関わらず、そうはしなかったという点です。チャン・ヨンチョル、チョン・ギョンスン脚本家はベテランなので十分そのような能力があったと思いますが、話題になるよりはやってきたものに対する初心を忘れない選択をしたんです。この作品は、マクチャン(非現実的で無理やり作ったストーリ)ではありませんでした」
「専属契約のトラブル、カレンダーだけ見つめた」
「お金の化身」で笑うまで、カン・ジファンは昨年下半期の元所属事務所との専属契約トラブルの件で辛い日々を送った。彼は当時について、「ただカレンダーだけを見ながら過ごした」とそれまで話せなかった気苦労を打ち明けた。「専属契約の満了日を待つしかなかったんです。その日が来るまで僕がやったのは、近所の友人とお酒を飲んだり、ネットが繋がらない山の中に行ったりするしかなかったです。顔が広い方ではないので、それまでの僕の知り合いと言えば、ほとんどがビジネス絡みの人でした。なので、事務所とこじれたら、ほとんど独りぼっちになったも同然でした。愚痴をこぼす相手もいなかったです」
「もどかしくて仕方がなかった」という彼にとって「お金の化身」は、切実にすがりつくしかない作品だった。
「やりたい演技ができないこと、それも自分の意思ではなく、他人の意思によってそうなることがどれほど苦しいことなのか、身をもって感じました。それで、さらに切実に作品にすがりました。演技で突破するしかないという考えで、ただ一生懸命に取り組みましたし、幸い当時の選択と決断が正しかったという結論になって嬉しい限りです」
「結婚したいです」
今年でデビュー12年目を迎えたカン・ジファンは、「お金の化身」を通じて“第2の全盛期”を作りたいと話した。何の問題もなかったならともかく、2度の専属契約トラブルを経て計画通りに俳優生活が続いていないという悩みにかられたからだ。作品の成功でそのような夢がある程度実現された現在、もう一つの願いがあるならば可愛らしい恋人に出会い家庭を作ることだ。「本当に結婚したいんです。特に、このように作品に力を注ぎながら苦労する場合は、これを一緒に分かち合える人がいたらいいと考えたりします。理想のタイプは、背が高くて肌が白いロングヘアの綺麗な女性だったんですが、最近はそこに料理も上手くて心も優しくて両親にも良くして欲しいということまで追加されました。まだ40歳にもなってないので、これくらいは大丈夫でしょう(笑)」
恋人はいないが、カン・ジファンの隣を守る心強いファンの存在は変わらない。カン・ジファンがミュージカル舞台に立つ頃から一人二人とできはじめた彼のファンは、今回の「お金の化身」でも惜しみない愛情を注ぎ、カン・ジファンは彼らを“実家”と呼びながら感謝を示した。
「実際最も辛い時に一緒にいてくれたのもファンの皆さんでした。僕は“百人力”という言葉をよく使うんですが、僕のファンたちって本当にそうなんです。それで僕はファンたちに『僕が活動しないときは他のところへ行ってもいいから、作品をする間だけ戻って来て欲しい』と言うほど、僕とファンの間には根強い何かがあります。僕が男なので似合わないかも知れない表現ですが、ファンたちは僕にとって実家も同然です」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チョン・ソンハ、写真 : ミン・ギョンフン
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