“盗作疑惑”パク・ヘリョン脚本家「『君の声が聞こえる』は『悪魔の証明』から何ら影響を受けていない」(全文)
パク・ヘリョン脚本家は26日SBSで、自身が双子事件のエピソードを準備し企画するに至った背景と立場を明かした。
パク・ヘリョン脚本家は「『君の声が聞こえる』の双子エピソードは、共同正犯の法理をドラマで展開してみようと作ったもので、ト・ジンギ作家の『悪魔の証明』から何ら影響を受けていないことをお知らせしたい」と伝えた。
以下はパク・ヘリョン脚本家の公式立場の全文である。
SBSドラマスペシャル「君の声が聞こえる」の執筆を担当した、パク・ヘリョン脚本家です。ト・ジンギ作家の「悪魔の証明」に対し、私たちのドラマが著作権侵害をしたという意見に対する私の立場をお話します。
まず、私がどのように法廷ドラマを企画し執筆するに至ったかから説明したいと思います。私は、ミニシリーズ「彼女がラブハンター」(2007年)と「ドリームハイ」(2011)を執筆しました。「ドリームハイ」を終えてから、私は次の作品の題材を探す中で他人の心を読む超能力を持つ主人公が出てくるドラマを構想し、そのような超能力を最も必要とする分野を物色した末、真実を探す過程の多い法廷ものをやってみようと決心しました。
そして2011年から2013年まで、満2年間ソウルにある支院を全て周りながら、法廷で様々な裁判を傍聴しました。加えて、ソウル中央裁判所、仁川(インチョン)地方裁判所富川(プチョン)支院、水原(スウォン)地方裁判所、京畿道(キョンギド)弁護士協会副会長など様々な法曹界の人物を取材し、コンテンツ振興院が主催する「アン弁の事件ファイル」「ピョ・チャンウォン教授の犯罪心理」などの口座を履修しながらドラマのエピソードを構想しました。
「君の声が聞こえる」の第4話、第5話、第6話の双子エピソードもやはり、その過程から出てきたもので、すでに2011年に諮問弁護士と内容を作っておいたものです。判事の「悪魔の証明」という小説は2012年発刊されたもので、その内容に一切接していない状態でした。
ト・ジンギ作家は、「君の声が聞こえる」の双子エピソードが双子の殺人、指紋もなく防犯カメラに顔だけ写っている状況、そして二人のどちらかが犯人であることは明白だが、誰なのか特定することはできない法的ジレンマ、そして双子が謀議し法廷で犯行を否定し、事件をこのような法律上のジレンマに追い込む状況が、作家の「悪魔の証明」と全く一致していると言いました。
しかし、「君の声が聞こえる」の第4話では、双子のうち一人だけ事件現場にいるわけではなく、兄弟二人が一緒にいるなど、事件のスタートから「悪魔の証明」とは違います。第4話から出てくる双子殺人事件のエピソードを構成することになったきっかけは“双子”ではなく、共同正犯で容疑者が二人だった梨泰院(イテウォン)殺人事件という実際の事件だったためです。
1997年発生したこの事件では、明らかに現場にいた容疑者二人の内一人はナイフで殺人を犯しましたが、二人のどちらが犯人か特定できず結局二人共釈放してしまいます。これについて当時事件を担当した刑事は、最初から担当検察官が共同正犯として起訴していたなら二人共捕まえることができただろうとメディアに話したことがあります。
これを受け、容疑者が二人で、その中の一人が明白に殺人を犯しているが、誰なのか特定できない共同正犯の状況を作ろうと思い、ここに事件をもう少し難しくして劇的な面白さを加えようと、目撃者がいる状況でも二人のどちらが犯人なのかわからないようにしようと思い、一卵性の双子が適しているとして犯人を双子に設定したのです。
双子が二人共殺人現場におり、犯人を特定できない検察官が何としてでも犯人を捕まえようという意志で双子を共同正犯として一旦起訴しようという所からエピソードを作り始めました。「君の声が聞こえる」の第5話に出てくる「この事件が一歩間違えると梨泰院殺人事件のように迷宮入りする可能性もある」という台詞も、わざと入れたものです。
双子の犯罪に対する様々な記事をネットで検索してみると、外見が同じ点を利用して計画的な犯行を犯す双子が多いことがわかりました。双子の内髭のある方が警察を暴行し、他の双子と自首しますが、二人のどちらが犯人なのかわからないように二人共髭を剃ったという記事が、1990年タイムズ誌に掲載されています。(事件の発生は1988年)
また、2010年8月には、双子の兄弟が謀議し、一人だけナイトクラブに行き銃器事件を犯し、兄弟が二人共犯行を否定し犯人を特定できなかったため起訴猶予となり再捜査することにしたという記事が、UKOPIAアメリカ社会欄に掲載されています。
2011年8月にもナイトクラブで拳銃殺人が起き、容疑者が逮捕されましたが双子の兄もクラブの中におり、目撃者の数人は犯人として兄を、数人は弟を指し、二人共犯行を否定し釈放された事件がタイムズ誌に掲載されています。またタイムズ誌は、この記事に加え特集として双子犯罪の中で奇怪な事件10件を選び、特集記事まで組んでいます。
このような記事を土台にして、私もエピソードを作る時双子が最初から殺人を計画し捕まらないため外見が同じ双子である点を利用することにしました。そのため、犯行シーンが全部撮られていることを知りながらも双子が気にせず防犯カメラの前で犯罪を犯し、その上覆面まで脱ぐ設定にしたのです。わざと髪型も同じにして犯行を犯すという設定にしました。(第5話で傍聴に来た学生たちが、「髪型も同じだ」という台詞を言います)
双子である点を利用して殺人を計画したので、手袋をはめて犯行を犯し、当然事件現場には指紋が残りません。各ニュースと犯罪ドラマに出てくるように、計画犯罪で指紋を隠すのは基本です。また、計画殺人をしようとすれば復讐が必要ですし、復讐には理由が必要なので双子の弟の恋人が被害者に強姦されたという設定を加えたのです。
ト・ジンギ作家は、法律の穴という発想を浮き彫りにするため、双子、ナイフで刺す殺人、防犯カメラに顔が映る状況、その他には指紋など何の証拠もなく二人のどちらかを特定できない状況、法廷で話を合わせ事件を迷宮入りにする状況まで徹底的に計算して事件を構成したということでした。また、そのようなエピソードは、作家の調べでは100年の歴史に達するアメリカの推理物と日本の推理物にも似たような例もなく、実際の事例としても存在しないということでした。
しかし、一卵性双子は外見とDNAが同じで指紋だけ違うので(ある三つ子は指紋までおなじだそうです)事件を迷宮入りさせるのにうってつけであるため、昔から映画や各犯罪もの、推理もので愛用されていました。1946年アメリカで制作され、韓国でも上映された「黒い鏡」という映画は、一卵性双子の姉妹の妹が犯人ですが、目撃者たちが双子のどちらかが犯人か区別出来ない上、姉は黙秘を貫き捜査が困難する内容です。
「名探偵コナン」という日本の有名アニメにも、双子エピソードがあります。日本では1997年放送され、韓国では2000年KBS 2TVで「三人の容疑者」というサブタイトルで放送されました。三つ子の一人が容疑者ですが、残りの双子たちが現れ目撃者が戸惑う状況で、それぞれアリバイもあり推理が困難する内容です。
2011年から2012年まで放送されたアメリカのドラマ「ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所」シーズン2の12番目のエピソードには、女の双子が一人の男と結婚して暮らしますが、その男が殺害され二人のうち一人の顔が防犯カメラに写り容疑者になりますが、誰なのかわからない事件が出てきます。
「CSI:マイアミ」シーズン5(アメリカと韓国で2006~2007放送)の18番目のエピソードは、大富豪のある夫がとても忙しく、整形手術で自分と同じ顔の人を作りますが、このことを知らない妻が偽の夫を殺し、目撃者により妻が容疑者になりますが、調べてみると妻は三つ子で犯人を特定できず、抗原抗体検査までして犯人を捕まえる内容です。
またト・ジンギ作家は、「君の声が聞こえる」の双子の弟が頭が良く兄はそうでないことが「悪魔の証明」と同じだと言いました。しかし、外見が同じ双子ですがある一方は頭が良い、または出世していて、もう一方はそうでない設定は多くのドラマと映画に出てきます。これは、実際に双子たちが同じ外見だからといって同じ人生を生きることはないためです。
一例として、2003年韓国で放送された「罪と罰」という番組でも再演された「ジナ・ハン殺人陰謀事件」(1996年アメリカで発生。在米韓国人)を見ると、姉は大学生で妹は大学に行けずカジノ中毒者になり、妹はそのような姉を公然に嫉妬し憎んでおり、普段から「殺す」と話していたため殺人の容疑をかけられました。
「逆転の名手」(2005、韓国)、「9デイズ」(2002、アメリカ)、「キリマンジャロ」(2000、韓国)、「双生児」(1999、日本)などの映画、「野王」(2013)、「シリウス」(2013)、「10TEN」(2011)などのドラマで見るように、双子の主人公を設定すれば葛藤の増幅や緊張感を与えるために、法則のように一方がもう一方と比較されるようにします。
このように「君の声が聞こえる」の双子エピソードは、共同正犯の法理をドラマで展開してみようと作ったもので、作家の「悪魔の証明」から何ら影響を受けていないことをお知らせします。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- クォン・ジヨン
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