「世界で一番いとしい君へ」チョ・ソンモク“カン・ドンウォン&ソン・ヘギョの息子役、友達が誰も信じなかった”
※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
キム・エラン作家の同名の小説を原作にした映画「世界で一番いとしい君へ」(監督:イ・ジェヨン、制作:映画社ジップ)で顔は80歳、心は16歳の少年アルムを演じたチョ・ソンモク。彼はEBSで端役俳優として活動し、アニメーションの吹き替えをしたのが全部である、新人の中の新人だった。そんな彼に「世界で一番いとしい君へ」は本格的な俳優への扉を開いたドキドキの初作品だった。
実際カン・ドンウォン、ソン・ヘギョが夫婦として出演するというニュースだけで、「世界で一番いとしい君へ」は制作段階から爆発的な関心を集めた。合わせて二人の息子として出てくるアルムにたくさんの人の関心が集まった。いわゆるスター子役と呼ばれる何人かの子役俳優にチャンスが回ると推測されたが、皆の予想とは異なり、見知らぬ新人チョ・ソンモクがアルム役を掴んだ。懸念せざるを得ない状況。筆者は「世界で一番いとしい君へ」の制作者である映画社ジップのイ・ユジン代表に「新人、それも小さい子どもなのに、早老症を演じることができるでしょうか?」とおせっかいな心配をした。そのたびに意味の分からない笑みを浮かべ「最善を尽くさないと」と話すイ代表だった。
振り返ってみるとその笑みの意味はイ代表の自信だった。運命のようで、必然のようにチョ・ソンモクはアルムの情緒ととても似ていたためだ。驚きのキャスティングだったが、映画を見るとなぜチョ・ソンモクじゃなければならなかったのか、納得させる妙な才能。皆の懸念を笑い飛ばすような完璧な好演を披露した彼は「世界で一番いとしい君へ」の真の主人公だった。韓国最高のスターカン・ドンウォン、ソン・ヘギョも今回だけは快くその座を明け渡してくれた。
「世界で一番いとしい君へ」を通して初めてやってみることが多くなったチョ・ソンモクはファンの呼応に心から心臓が鳴る気持ちを感じたとし、その気持ちがとても良かったと親指を立ててみせた。その後、その小さく可愛らしい口から出た言葉はあっと驚くほど衝撃的だった。中堅俳優もこれ以上真剣ではないだろうと思わざるを得ない瞬間だった。
「僕は小さいころから社会生活をしているので、実際の精神年齢が僕の年齢と同じではないと思います。俳優という仕事が特にそうだと思います。子役の友達に会うとパズルが合います。ひよこの中で僕もひよこだったら俳優の仕事ができないじゃないですか。少なくともカラスぐらいにならないと。ハハ」
13歳の少年が言う言葉だろうか。思ったよりも早く大人になってしまったチョ・ソンモクは映画の中のアルムのように大人しく、重みがあった。もしかしたら、アルムより深い心を持つ少年ではないかと思う。
「今回『世界で一番いとしい君へ』を通して正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)演技は初めてやってみました。映画を見ながら足りない部分が本当にたくさん見えてきました。初めて見たときは涙が溜まるだけで、流れるほどではありませんでした。後からじっくりその理由を考えてみると、僕が映画を見ながら短所探しばかりしていたことに気付きました。映画にどっぷりはまって見なきゃいけないのに、僕の演技だけを見ていて大きな山を見られずにいました。恥ずかしいです。へへ」
初作品からしっかり芽を出したチョ・ソンモク。ニコニコ笑いながら「こんな時間が本当にいい」と話す。他の人に“演じながら”といえるようになったのが何よりも嬉しいそうだ。目を輝かせながら話す彼の姿がただただ可愛らしい。このまま大きくなってくださいとお願いすると「努力してみます」と頭をかくチョ・ソンモクだ。
とりわけ大人っぽかったチョ・ソンモクが唯一子どもに見えた瞬間、それは3ヶ月間パパそしてママになったカン・ドンウォンとソン・ヘギョとの出会いだった。その日のことを考えると今でも恥ずかしいのか、顔が赤くなるところは確かな少年だった。
「先に(ソン)ヘギョ姉さんに会いましたが、目の前に現れたヘギョ姉さんが本当に綺麗で話しかけられませんでした。本当に、僕が見た人の中で最高に綺麗なお姉さんでした(笑) (カン)ドンウォン兄さんは会ったときすごく背が高くて…ククッ。頭をずっと上げていた記憶があります。何よりもドンウォン兄さんと初めて会ったとき可愛い帽子をプレゼントしてくれましたが、一生忘れられない意味深いプレゼントになりました。そのとき、僕がアルム役のために頭を刈ったり、白髪を作るために脱色したりもしました。ドンウォン兄さんが“おしゃれしたい年頃なのに”と帽子をプレゼントしてくれました。本当に僕の気持ちを分かってくれてありがたかったです。フフ」
頭を刈る苦渋を知ってくれたカン・ドンウォンのプレゼント。チョ・ソンモクは感動した。小学校を卒業して中学に入るころ「世界で一番いとしい君へ」撮影に入り、頭を刈ることになった彼は、顔には出さなかったものの、何かと気苦労がひどかった。白髪のために脱色を5回も行ったが、その痛みが言葉に表せないほどひどかったそうだ。いくら大人っぽいチョ・ソンモクでも、脱色だけは今考えても気が遠くなりそうな痛みだ。
「5時間メイクアップをするのは何とか我慢できましたが、脱色は本当に辛かったです。伸びてくる髪の毛を脱色すると思うと涙が出ました。イ・ジェヨン監督や制作スタッフの方々が僕の気持ちに気付いてくれて、後からは帽子を被るコンセプトにしてくれました。学校はどうやって通ったのか?ある日、担任の先生が僕を呼びました。“ソンモク、どこか悪いの?”と。頭は刈っているし、目の下にはクマがいっぱいでしたから。夜間撮影をしながら車で仮眠を取ってまた学校に行って。そんな生活を3ヶ月間しました。そのときは演技する子役俳優ということだけ話して、『世界で一番いとしい君へ』の撮影中だというのは話していませんでした。秘密にしなきゃいけませんでした(笑)」
平凡ではないルックスでもしかしていじめられなかったのかという心配もつかの間、チョ・ソンモクはむしろ友達が守ってくれて、助けてくれて映画撮影を無事に終えられたと感謝の気持ちを伝えた。後から友達にカン・ドンウォン、ソン・ヘギョと一緒に映画を撮ったと告白すると、友達は「嘘つかないで」と信じてくれなかったそうだ。
「友達はカン・ドンウォン、ソン・ヘギョが親役で出るなら、ウォンビンみたいにハンサムな息子が出なきゃと話しました。最初は誰も信じませんでした。ハハ。友達が試写会に来てみんなで映画を見ましたが、エンディングでアルムが母の膝枕でお別れをする姿を見て、友達の一人がため息をつくのです。なぜため息をつくのか聞いてみるとソン・ヘギョに膝枕してもらえて羨ましいと言っていました。ハハ。またある友達は撮影しながら苦労しただろうと慰めてくれました」
友達の言葉のように特殊メイクのため、苦労が多かったであろうチョ・ソンモク。しかし、彼は決して苦労だったと話さなかった。むしろチャンスだと話し、自分にこんな幸運がやってきて感謝し、幸せだと話していた。「世界で一番いとしい君へ」という映画が俳優人生の第一歩となり、幸運だったという。
「本当にいい機会でした。『世界で一番いとしい君へ』は絶対忘れられないと思います。友達は“顔がちゃんと出ないのに、寂しくないのか?”といいますが、僕はまったく寂しくありません。演技が出来るだけで十分だった時間です。この映画を通じて僕は一層成長することが出来ました。まだ幼いので、友達と遊びたい気持ちが先ですが、ゆっくり進路についても色々悩んでみようと思います。演技を続けたいという思いは変わりません。僕の年に合う明るい演技、もしくは落ち着いた演技もいいです。じっくり考えてみます。これからさらに努力していい俳優になります。見守ってください。ハハ」
写真=映画「世界で一番いとしい君へ」スチール
逸材は逸材だ。見ればみるほど本物だという考えが頭から離れない。たった13歳。中学に入ったばかりの子に自然に頭が下げられる。行動一つ一つ、口から出てくる言葉一つ一つに真剣さがたっぷり感じられる。天真爛漫な子どものマスクを被っているが、その中には艱難辛苦を経験した中年のオーラを持つ俳優チョ・ソンモク。あなたはいったいどの星から来たの?キム・エラン作家の同名の小説を原作にした映画「世界で一番いとしい君へ」(監督:イ・ジェヨン、制作:映画社ジップ)で顔は80歳、心は16歳の少年アルムを演じたチョ・ソンモク。彼はEBSで端役俳優として活動し、アニメーションの吹き替えをしたのが全部である、新人の中の新人だった。そんな彼に「世界で一番いとしい君へ」は本格的な俳優への扉を開いたドキドキの初作品だった。
実際カン・ドンウォン、ソン・ヘギョが夫婦として出演するというニュースだけで、「世界で一番いとしい君へ」は制作段階から爆発的な関心を集めた。合わせて二人の息子として出てくるアルムにたくさんの人の関心が集まった。いわゆるスター子役と呼ばれる何人かの子役俳優にチャンスが回ると推測されたが、皆の予想とは異なり、見知らぬ新人チョ・ソンモクがアルム役を掴んだ。懸念せざるを得ない状況。筆者は「世界で一番いとしい君へ」の制作者である映画社ジップのイ・ユジン代表に「新人、それも小さい子どもなのに、早老症を演じることができるでしょうか?」とおせっかいな心配をした。そのたびに意味の分からない笑みを浮かべ「最善を尽くさないと」と話すイ代表だった。
振り返ってみるとその笑みの意味はイ代表の自信だった。運命のようで、必然のようにチョ・ソンモクはアルムの情緒ととても似ていたためだ。驚きのキャスティングだったが、映画を見るとなぜチョ・ソンモクじゃなければならなかったのか、納得させる妙な才能。皆の懸念を笑い飛ばすような完璧な好演を披露した彼は「世界で一番いとしい君へ」の真の主人公だった。韓国最高のスターカン・ドンウォン、ソン・ヘギョも今回だけは快くその座を明け渡してくれた。
「世界で一番いとしい君へ」を通して初めてやってみることが多くなったチョ・ソンモクはファンの呼応に心から心臓が鳴る気持ちを感じたとし、その気持ちがとても良かったと親指を立ててみせた。その後、その小さく可愛らしい口から出た言葉はあっと驚くほど衝撃的だった。中堅俳優もこれ以上真剣ではないだろうと思わざるを得ない瞬間だった。
「僕は小さいころから社会生活をしているので、実際の精神年齢が僕の年齢と同じではないと思います。俳優という仕事が特にそうだと思います。子役の友達に会うとパズルが合います。ひよこの中で僕もひよこだったら俳優の仕事ができないじゃないですか。少なくともカラスぐらいにならないと。ハハ」
13歳の少年が言う言葉だろうか。思ったよりも早く大人になってしまったチョ・ソンモクは映画の中のアルムのように大人しく、重みがあった。もしかしたら、アルムより深い心を持つ少年ではないかと思う。
「今回『世界で一番いとしい君へ』を通して正劇(シリアスで深みのある内容を扱った作品)演技は初めてやってみました。映画を見ながら足りない部分が本当にたくさん見えてきました。初めて見たときは涙が溜まるだけで、流れるほどではありませんでした。後からじっくりその理由を考えてみると、僕が映画を見ながら短所探しばかりしていたことに気付きました。映画にどっぷりはまって見なきゃいけないのに、僕の演技だけを見ていて大きな山を見られずにいました。恥ずかしいです。へへ」
初作品からしっかり芽を出したチョ・ソンモク。ニコニコ笑いながら「こんな時間が本当にいい」と話す。他の人に“演じながら”といえるようになったのが何よりも嬉しいそうだ。目を輝かせながら話す彼の姿がただただ可愛らしい。このまま大きくなってくださいとお願いすると「努力してみます」と頭をかくチョ・ソンモクだ。
とりわけ大人っぽかったチョ・ソンモクが唯一子どもに見えた瞬間、それは3ヶ月間パパそしてママになったカン・ドンウォンとソン・ヘギョとの出会いだった。その日のことを考えると今でも恥ずかしいのか、顔が赤くなるところは確かな少年だった。
「先に(ソン)ヘギョ姉さんに会いましたが、目の前に現れたヘギョ姉さんが本当に綺麗で話しかけられませんでした。本当に、僕が見た人の中で最高に綺麗なお姉さんでした(笑) (カン)ドンウォン兄さんは会ったときすごく背が高くて…ククッ。頭をずっと上げていた記憶があります。何よりもドンウォン兄さんと初めて会ったとき可愛い帽子をプレゼントしてくれましたが、一生忘れられない意味深いプレゼントになりました。そのとき、僕がアルム役のために頭を刈ったり、白髪を作るために脱色したりもしました。ドンウォン兄さんが“おしゃれしたい年頃なのに”と帽子をプレゼントしてくれました。本当に僕の気持ちを分かってくれてありがたかったです。フフ」
頭を刈る苦渋を知ってくれたカン・ドンウォンのプレゼント。チョ・ソンモクは感動した。小学校を卒業して中学に入るころ「世界で一番いとしい君へ」撮影に入り、頭を刈ることになった彼は、顔には出さなかったものの、何かと気苦労がひどかった。白髪のために脱色を5回も行ったが、その痛みが言葉に表せないほどひどかったそうだ。いくら大人っぽいチョ・ソンモクでも、脱色だけは今考えても気が遠くなりそうな痛みだ。
「5時間メイクアップをするのは何とか我慢できましたが、脱色は本当に辛かったです。伸びてくる髪の毛を脱色すると思うと涙が出ました。イ・ジェヨン監督や制作スタッフの方々が僕の気持ちに気付いてくれて、後からは帽子を被るコンセプトにしてくれました。学校はどうやって通ったのか?ある日、担任の先生が僕を呼びました。“ソンモク、どこか悪いの?”と。頭は刈っているし、目の下にはクマがいっぱいでしたから。夜間撮影をしながら車で仮眠を取ってまた学校に行って。そんな生活を3ヶ月間しました。そのときは演技する子役俳優ということだけ話して、『世界で一番いとしい君へ』の撮影中だというのは話していませんでした。秘密にしなきゃいけませんでした(笑)」
平凡ではないルックスでもしかしていじめられなかったのかという心配もつかの間、チョ・ソンモクはむしろ友達が守ってくれて、助けてくれて映画撮影を無事に終えられたと感謝の気持ちを伝えた。後から友達にカン・ドンウォン、ソン・ヘギョと一緒に映画を撮ったと告白すると、友達は「嘘つかないで」と信じてくれなかったそうだ。
「友達はカン・ドンウォン、ソン・ヘギョが親役で出るなら、ウォンビンみたいにハンサムな息子が出なきゃと話しました。最初は誰も信じませんでした。ハハ。友達が試写会に来てみんなで映画を見ましたが、エンディングでアルムが母の膝枕でお別れをする姿を見て、友達の一人がため息をつくのです。なぜため息をつくのか聞いてみるとソン・ヘギョに膝枕してもらえて羨ましいと言っていました。ハハ。またある友達は撮影しながら苦労しただろうと慰めてくれました」
友達の言葉のように特殊メイクのため、苦労が多かったであろうチョ・ソンモク。しかし、彼は決して苦労だったと話さなかった。むしろチャンスだと話し、自分にこんな幸運がやってきて感謝し、幸せだと話していた。「世界で一番いとしい君へ」という映画が俳優人生の第一歩となり、幸運だったという。
「本当にいい機会でした。『世界で一番いとしい君へ』は絶対忘れられないと思います。友達は“顔がちゃんと出ないのに、寂しくないのか?”といいますが、僕はまったく寂しくありません。演技が出来るだけで十分だった時間です。この映画を通じて僕は一層成長することが出来ました。まだ幼いので、友達と遊びたい気持ちが先ですが、ゆっくり進路についても色々悩んでみようと思います。演技を続けたいという思いは変わりません。僕の年に合う明るい演技、もしくは落ち着いた演技もいいです。じっくり考えてみます。これからさらに努力していい俳優になります。見守ってください。ハハ」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チョ・ジヨン、写真 : ムン・スジ
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