カン・ハヌル「女優とは付き合ったことがないし、今後もないだろう」
俳優カン・ハヌル(24)に会ったことのある人は皆、彼のことを褒める。謙虚で礼儀正しく、しかも面白いと絶賛が続く。実際に会ってみると、なぜ人々がカン・ハヌル、カン・ハヌルと言うのかが分かったような気がした。
「セシボン」(監督:キム・ヒョンソク、制作:Jフィルム)は韓国の音楽シーンにフォークブームを巻き起こしたチョ・ヨンナム、ユン・ヒョンジュ、ソン・チャンシク、イ・ジャンヒらを排出した音楽鑑賞室セシボンを舞台に、伝説のデュエットTwin Folioの誕生秘話や彼らのミューズを巡る切ないラブストーリーを描いた作品だ。「クァンシクの弟クァンテ」(2005)、「スカウト」(2007)、「恋愛操作団:シラノ」(2010)などを演出したキム・ヒョンソク監督がメガホンをとった。
カン・ハヌルは詩人ユン・ドンジュの又従兄弟で延世(ヨンセ)大学医学部に在学しているユン・ヒョンジュ役を務めた。外見、家柄、学歴、音楽の実力を兼ね備えた完璧な男性だ。スペックを聞くと彼が演じたtvNドラマ「ミセン-未生-」のエリート新入社員チャン・ベクギが思い浮かぶが、カン・ハヌルはチャン・ベクギとはまた違うエリートな人物を演じ、名だたる先輩役者たちの間でも負けない存在感を誇った。その秘訣は「似たようなキャラクターに見えるかもしれないが、簡単に演じたりはしないという僕の心構えが重要だ」と語るカン・ハヌルの演技に対する真剣な姿勢だろう。
ブームを巻き起こした「ミセン-未生-」に続き、映画「セシボン」、演劇界で大ヒットを記録している「ハロルドとモード」、そして3月に韓国公開を控えている映画「二十歳」「純粋の時代」まで。言葉通り目まぐるしい毎日を過ごしているカン・ハヌルだが、このような時期であるからこそ落ち着いた気持ちで過ごそうと努力しているという。
1年に1、2本はぜひ演劇の舞台に立ちたいというカン・ハヌルは「演劇は勉強だ。勉強は時間があるからやるものではなく、時間を割いてやるべきものなのだ。ない時間でも作り出して演劇だけは休まず続けていきたい」と今後の計画と願望を語った。
以下、カン・ハヌルとの一問一答である。
―牛(黙々と仕事だけをすることの例え)のアイコンとして急浮上している。
カン・ハヌル:うはは。撮影の時は公開日が確定していなかったので、こうやって連続で公開されるとは思っていなかった。突然1ヶ月間隔で公開されることになって、「純粋の時代」と「二十歳」に申し訳ない。幸い、3作品のキャラクターは全て違う。かぶるキャラクターがないので良かった。
―それでも作品を選ぶ時に自分が目立つような役だったら演じたくならないか。
カン・ハヌル:役そのものは魅力があっても、作品全体に魅力がない場合は謹んでお断りしている。一番重要だと考えているのはやはり作品だ。「セシボン」にもそのような台詞があるが、良くない作品で主人公を演じるより、素晴らしい作品で脇役を演じたほうが良いという台詞だ。同感だ。
―「セシボン」はどのような部分に惹かれて選んだのか。
カン・ハヌル:一番影響を与えたのはセシボンの先生たちだった。父が映画にも登場する音楽鑑賞室セシボンのライバルOB's Cabinというライブカフェで今もギターを弾き、歌を歌っている。父が夢を抱いたきっかけが他でもなくユン・ヒョンジュ先生だったそうだ。おかげで僕も幼い頃からセシボンの先生たちの音楽を聴きながら育った。「セシボン」に出演したのも、父の影響が大きかった。
―お父さんは映画をご覧になったか。
カン・ハヌル:見た。ユン・ヒョンジュ先生と一緒にKBS 2TV「ユ・ヒヨルのスケッチブック」に出演したことがあるが、僕はあの時、一山(イルサン)にいた父に電話をして「早く汝矣島(ヨイド)のKBSに来て」と言った。父はユン・ヒョンジュ先生に一度お会いしたいと思っていたが、あの時初めて会えたそうだ。父の目元が潤うのを見て、込み上げるものがあり、胸がいっぱいになった。
―お父さんは歌唱力について何かコメントしたか。
カン・ハヌル:「上手いけど、ユン・ヒョンジュさんよりは下手だ」と言っていた。それは僕も認めている。最初からユン・ヒョンジュ先生より上手く映りたいとは思っていなかった。目標は一つだった。「ユン・ヒョンジュ先生の名誉や歩みに傷をつけてはならない」。その一心で演じた。
カン・ハヌル:プリプロダクションの段階で、セシボンのコンサートで一回会っただけだ。「君が僕だって?よし、頑張って」とおっしゃった。
―ユン・ヒョンジュというキャラクター自体がエリートだが、ふと「ミセン-未生-」のチャン・ベクギを思い出したりもした。どのようなところに力を入れたか。
カン・ハヌル:撮影の時期がまず「ミセン-未生-」より「セシボン」の方が先だった。カン・ハヌルという顔と身体を持っている人が演じるので、どうしてもカン・ハヌルに見えざるをえないと思う。重要なのは僕の心構えだ。簡単に行くか、悩みが感じられる演技をするのか。
―オーディションの際に、何を披露したのか気になって仕方がない。キム・ヒョンソク監督が「鶏群の一鶴」と絶賛していた。
カン・ハヌル:オーディションが午前9時だったのに、午前8時までドラマの撮影をしてから向かった。一睡もせずに行ったのだ。これは礼儀に反すると思って、「セシボン」側に電話をして、オーディションの時間を変更することができないかと聞いてみた。けど、そのような状況も考えた上で見るので、とりあえず来るように言われた。だから行った。実は控室で居眠りをしていたけど、助監督に起こされてオーディション会場に入った(笑) いざオーディションが始まると全然眠くなくて、平気だった。
―チョ・ボクレとの掛け合いが本当に良かった。
カン・ハヌル:ボクレ兄さんは本当に心が温かい人だ。ボクレ兄さんが望む作品に出演できる人になってほしい。名前も「福(ボク)」に「来(レ)」だって。名前まで温かいなんて!
―男4人(チン・グ、チョンウ、チョ・ボクレ、カン・ハヌル)でお酒を飲んで、涙まで流したと聞いた。チン・グが言っていた(笑)
カン・ハヌル:いや、本当に不思議な兄さんだな、あの人は!(一同爆笑) なぜそんなことを言うのかな!(笑) チン・グ兄さんと焼酎とビールを買ってきて部屋で飲んだけど、兄さんが僕に言った。「お前はまだ未熟な部分もあるけど、僕がお前くらいの年の頃、お前より下手だった」と。その言葉が心に響いて、涙が出た。チョンウ兄さんはお酒を一杯も飲めず、チン・グ兄さんはお酒が大好きだ。僕も同じで、ボクレ兄さんもお酒をよく飲む(笑)
カン・ハヌル:相対的に女優さんたちは兄さんたちと比べて気楽にはなれない。僕がぎこちないと言うよりも、女優さんたちが楽じゃないかなと思って。色々気を遣わないといけないから。「セシボン」のハン・ヒョジュ姉さんとも仲良くはなれたけど、もっと親しくなれたような気がして、残念だ。僕が慎重すぎたと思う。やはり僕は兄さんたちが好きだ。ハハハ。
―恋愛はしていないのか。
カン・ハヌル:よく周りから「女優さんも多いのに、なぜ恋愛しない?」と言われるが、僕は役者の女性は好きではない。今まで付き合ったことはないし、今後もないだろう。ある画家は「僕は生まれ変わったら筆をとらない」と言っていたが、僕もそんな感じだ。演技に僕ほどの愛情がない人なら魅力が感じられないし、僕ほどの愛情を持っている人ならそれがどれだけ大変なのか知っている以上、傍でそれを見守るのが辛くなると思う。
―やつれるというのはどういう意味か。チン・グがカン・ハヌルについて「可哀想」と表現していた。
カン・ハヌル:演技に対して僕が持っている悩みが十分なのかはよく分からないけれど、僕なりには十分悩んでいると思う。自分で自分をいじめる傾向がある。それが僕が生きる方法だ。いつかチン・グ兄さんのように余裕を持つようになると変わるのかな。今はそうしたくても容易ではない。
―「セシボン」は青春の岐路で人生を変えるほどの影響を与えた人たちに関する物語でもある。カン・ハヌルにもそんな人はいたのか。
カン・ハヌル:中央(チュンアン)大学演劇学科の同期たちだ。僕を入れて4人だが、俳優3人に映画監督が1人だ。僕たちの間ではF4と呼んでいるけど、FはFail(失敗)のFだ。幸い、みんな最近上手くいっている。俳優ホ・ヒョフン、チェ・ジョンホンだが、いつも集まって盛り上がっている。昨日も深夜2時に会ってコーヒーを飲んだ。
―最近過労で倒れたこともあるが。
カン・ハヌル:ああ、思い出したくもない。紅参(ホンサム)や漢方薬、ビタミン剤を飲んだりして僕なりには頑張っているけど、あまりにも辛かった。病院ではよくここまで耐えたと言われた。点滴を2回も打ったのに治らなかった。
―休んでいる方がいいのか、それともどれだけ忙しくても忙しいほうがいいか。
カン・ハヌル:あー……もちろん休んでいる方がいい(一同爆笑) だからといって事務所が無理やり出演させた作品はない。どの作品も僕が面白そうだと思って、演じてみたかった作品だ。
―所属事務所の先輩である俳優ファン・ジョンミンはなかなか人を褒めない人だ。
カン・ハヌル:ファン・ジョンミン先輩の口から褒め言葉が出るのは、夏に雪が振るようなものだ。ハハハ。これは数日前に聞いた話だが、ジョンミン先輩はチョンウ兄さんと一緒に映画「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」を撮っているじゃないか。ジョンミン先輩が撮影現場で僕が歌った「セシボン」のOST(劇中歌)を流し、「おい、本当に上手くないか?」とおっしゃったそうだ。僕は宗教に入っていないが、ジョンミン先輩は僕にとってロザリオのような存在だ。直接的なアドバイスがなくても、存在だけで慰めになる。
―「ミセン-未生-」の後に演劇の舞台に向かった歩みが注目を浴びた。演劇(「ハロルドとモード」)でなかったら、もっとできることがあったと思うが。
カン・ハヌル:後悔はない。少し前に観客動員数1万人を突破したが、韓国の演劇史上観客が1万人を超えたのは今回が初めてだそうだ。自腹で夜食のケータリングカーをご馳走するという公約を掲げたおかげで、お金がものすごくかかったけど……。演劇をやっていた僕がテレビに出演しはじめたきっかけは、僕がテレビから演劇に戻った時に、僕を知っている人々が演劇にも関心を持ってほしいと思ったからだ。演劇がヒットしていて胸がいっぱいだ。
―これからも引き続き演劇に挑戦していくのか。
カン・ハヌル:舞台に立ち続けることを許してくれたので、今の事務所(サムカンパニー)に入ることになった。他の事務所はどこも演劇はダメだと言っていた。少なくとも1年に1本は出演したい。演劇は時間があるからやるものではなく、時間を割いてやるべきものだと思う。演劇はすなわち勉強だ。勉強を時間がある時にやるという人はいないだろう? 時間を作ってやるのが勉強なのだ。
―新年の願いは?
カン・ハヌル:良い俳優である前に良い人間でありたい。怒らない人が良い人ではないと思う。それは間抜けにすぎない。必要な時に必要な程度の表現はできる良い人でいたい。
「セシボン」(監督:キム・ヒョンソク、制作:Jフィルム)は韓国の音楽シーンにフォークブームを巻き起こしたチョ・ヨンナム、ユン・ヒョンジュ、ソン・チャンシク、イ・ジャンヒらを排出した音楽鑑賞室セシボンを舞台に、伝説のデュエットTwin Folioの誕生秘話や彼らのミューズを巡る切ないラブストーリーを描いた作品だ。「クァンシクの弟クァンテ」(2005)、「スカウト」(2007)、「恋愛操作団:シラノ」(2010)などを演出したキム・ヒョンソク監督がメガホンをとった。
カン・ハヌルは詩人ユン・ドンジュの又従兄弟で延世(ヨンセ)大学医学部に在学しているユン・ヒョンジュ役を務めた。外見、家柄、学歴、音楽の実力を兼ね備えた完璧な男性だ。スペックを聞くと彼が演じたtvNドラマ「ミセン-未生-」のエリート新入社員チャン・ベクギが思い浮かぶが、カン・ハヌルはチャン・ベクギとはまた違うエリートな人物を演じ、名だたる先輩役者たちの間でも負けない存在感を誇った。その秘訣は「似たようなキャラクターに見えるかもしれないが、簡単に演じたりはしないという僕の心構えが重要だ」と語るカン・ハヌルの演技に対する真剣な姿勢だろう。
ブームを巻き起こした「ミセン-未生-」に続き、映画「セシボン」、演劇界で大ヒットを記録している「ハロルドとモード」、そして3月に韓国公開を控えている映画「二十歳」「純粋の時代」まで。言葉通り目まぐるしい毎日を過ごしているカン・ハヌルだが、このような時期であるからこそ落ち着いた気持ちで過ごそうと努力しているという。
1年に1、2本はぜひ演劇の舞台に立ちたいというカン・ハヌルは「演劇は勉強だ。勉強は時間があるからやるものではなく、時間を割いてやるべきものなのだ。ない時間でも作り出して演劇だけは休まず続けていきたい」と今後の計画と願望を語った。
以下、カン・ハヌルとの一問一答である。
―牛(黙々と仕事だけをすることの例え)のアイコンとして急浮上している。
カン・ハヌル:うはは。撮影の時は公開日が確定していなかったので、こうやって連続で公開されるとは思っていなかった。突然1ヶ月間隔で公開されることになって、「純粋の時代」と「二十歳」に申し訳ない。幸い、3作品のキャラクターは全て違う。かぶるキャラクターがないので良かった。
―それでも作品を選ぶ時に自分が目立つような役だったら演じたくならないか。
カン・ハヌル:役そのものは魅力があっても、作品全体に魅力がない場合は謹んでお断りしている。一番重要だと考えているのはやはり作品だ。「セシボン」にもそのような台詞があるが、良くない作品で主人公を演じるより、素晴らしい作品で脇役を演じたほうが良いという台詞だ。同感だ。
―「セシボン」はどのような部分に惹かれて選んだのか。
カン・ハヌル:一番影響を与えたのはセシボンの先生たちだった。父が映画にも登場する音楽鑑賞室セシボンのライバルOB's Cabinというライブカフェで今もギターを弾き、歌を歌っている。父が夢を抱いたきっかけが他でもなくユン・ヒョンジュ先生だったそうだ。おかげで僕も幼い頃からセシボンの先生たちの音楽を聴きながら育った。「セシボン」に出演したのも、父の影響が大きかった。
―お父さんは映画をご覧になったか。
カン・ハヌル:見た。ユン・ヒョンジュ先生と一緒にKBS 2TV「ユ・ヒヨルのスケッチブック」に出演したことがあるが、僕はあの時、一山(イルサン)にいた父に電話をして「早く汝矣島(ヨイド)のKBSに来て」と言った。父はユン・ヒョンジュ先生に一度お会いしたいと思っていたが、あの時初めて会えたそうだ。父の目元が潤うのを見て、込み上げるものがあり、胸がいっぱいになった。
―お父さんは歌唱力について何かコメントしたか。
カン・ハヌル:「上手いけど、ユン・ヒョンジュさんよりは下手だ」と言っていた。それは僕も認めている。最初からユン・ヒョンジュ先生より上手く映りたいとは思っていなかった。目標は一つだった。「ユン・ヒョンジュ先生の名誉や歩みに傷をつけてはならない」。その一心で演じた。
写真=映画「セシボン」スチールカット
―実際にユン・ヒョンジュ先生のところを訪ねてアドバイスを求めたことはあるか。カン・ハヌル:プリプロダクションの段階で、セシボンのコンサートで一回会っただけだ。「君が僕だって?よし、頑張って」とおっしゃった。
―ユン・ヒョンジュというキャラクター自体がエリートだが、ふと「ミセン-未生-」のチャン・ベクギを思い出したりもした。どのようなところに力を入れたか。
カン・ハヌル:撮影の時期がまず「ミセン-未生-」より「セシボン」の方が先だった。カン・ハヌルという顔と身体を持っている人が演じるので、どうしてもカン・ハヌルに見えざるをえないと思う。重要なのは僕の心構えだ。簡単に行くか、悩みが感じられる演技をするのか。
―オーディションの際に、何を披露したのか気になって仕方がない。キム・ヒョンソク監督が「鶏群の一鶴」と絶賛していた。
カン・ハヌル:オーディションが午前9時だったのに、午前8時までドラマの撮影をしてから向かった。一睡もせずに行ったのだ。これは礼儀に反すると思って、「セシボン」側に電話をして、オーディションの時間を変更することができないかと聞いてみた。けど、そのような状況も考えた上で見るので、とりあえず来るように言われた。だから行った。実は控室で居眠りをしていたけど、助監督に起こされてオーディション会場に入った(笑) いざオーディションが始まると全然眠くなくて、平気だった。
―チョ・ボクレとの掛け合いが本当に良かった。
カン・ハヌル:ボクレ兄さんは本当に心が温かい人だ。ボクレ兄さんが望む作品に出演できる人になってほしい。名前も「福(ボク)」に「来(レ)」だって。名前まで温かいなんて!
―男4人(チン・グ、チョンウ、チョ・ボクレ、カン・ハヌル)でお酒を飲んで、涙まで流したと聞いた。チン・グが言っていた(笑)
カン・ハヌル:いや、本当に不思議な兄さんだな、あの人は!(一同爆笑) なぜそんなことを言うのかな!(笑) チン・グ兄さんと焼酎とビールを買ってきて部屋で飲んだけど、兄さんが僕に言った。「お前はまだ未熟な部分もあるけど、僕がお前くらいの年の頃、お前より下手だった」と。その言葉が心に響いて、涙が出た。チョンウ兄さんはお酒を一杯も飲めず、チン・グ兄さんはお酒が大好きだ。僕も同じで、ボクレ兄さんもお酒をよく飲む(笑)
写真=映画「セシボン」スチールカット
―「純粋の時代」や「ミセン-未生-」の時もそうだったが、特に年上の男性俳優たちと仲が良いようだ。カン・ハヌル:相対的に女優さんたちは兄さんたちと比べて気楽にはなれない。僕がぎこちないと言うよりも、女優さんたちが楽じゃないかなと思って。色々気を遣わないといけないから。「セシボン」のハン・ヒョジュ姉さんとも仲良くはなれたけど、もっと親しくなれたような気がして、残念だ。僕が慎重すぎたと思う。やはり僕は兄さんたちが好きだ。ハハハ。
―恋愛はしていないのか。
カン・ハヌル:よく周りから「女優さんも多いのに、なぜ恋愛しない?」と言われるが、僕は役者の女性は好きではない。今まで付き合ったことはないし、今後もないだろう。ある画家は「僕は生まれ変わったら筆をとらない」と言っていたが、僕もそんな感じだ。演技に僕ほどの愛情がない人なら魅力が感じられないし、僕ほどの愛情を持っている人ならそれがどれだけ大変なのか知っている以上、傍でそれを見守るのが辛くなると思う。
―やつれるというのはどういう意味か。チン・グがカン・ハヌルについて「可哀想」と表現していた。
カン・ハヌル:演技に対して僕が持っている悩みが十分なのかはよく分からないけれど、僕なりには十分悩んでいると思う。自分で自分をいじめる傾向がある。それが僕が生きる方法だ。いつかチン・グ兄さんのように余裕を持つようになると変わるのかな。今はそうしたくても容易ではない。
―「セシボン」は青春の岐路で人生を変えるほどの影響を与えた人たちに関する物語でもある。カン・ハヌルにもそんな人はいたのか。
カン・ハヌル:中央(チュンアン)大学演劇学科の同期たちだ。僕を入れて4人だが、俳優3人に映画監督が1人だ。僕たちの間ではF4と呼んでいるけど、FはFail(失敗)のFだ。幸い、みんな最近上手くいっている。俳優ホ・ヒョフン、チェ・ジョンホンだが、いつも集まって盛り上がっている。昨日も深夜2時に会ってコーヒーを飲んだ。
―最近過労で倒れたこともあるが。
カン・ハヌル:ああ、思い出したくもない。紅参(ホンサム)や漢方薬、ビタミン剤を飲んだりして僕なりには頑張っているけど、あまりにも辛かった。病院ではよくここまで耐えたと言われた。点滴を2回も打ったのに治らなかった。
―休んでいる方がいいのか、それともどれだけ忙しくても忙しいほうがいいか。
カン・ハヌル:あー……もちろん休んでいる方がいい(一同爆笑) だからといって事務所が無理やり出演させた作品はない。どの作品も僕が面白そうだと思って、演じてみたかった作品だ。
―所属事務所の先輩である俳優ファン・ジョンミンはなかなか人を褒めない人だ。
カン・ハヌル:ファン・ジョンミン先輩の口から褒め言葉が出るのは、夏に雪が振るようなものだ。ハハハ。これは数日前に聞いた話だが、ジョンミン先輩はチョンウ兄さんと一緒に映画「ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~」を撮っているじゃないか。ジョンミン先輩が撮影現場で僕が歌った「セシボン」のOST(劇中歌)を流し、「おい、本当に上手くないか?」とおっしゃったそうだ。僕は宗教に入っていないが、ジョンミン先輩は僕にとってロザリオのような存在だ。直接的なアドバイスがなくても、存在だけで慰めになる。
―「ミセン-未生-」の後に演劇の舞台に向かった歩みが注目を浴びた。演劇(「ハロルドとモード」)でなかったら、もっとできることがあったと思うが。
カン・ハヌル:後悔はない。少し前に観客動員数1万人を突破したが、韓国の演劇史上観客が1万人を超えたのは今回が初めてだそうだ。自腹で夜食のケータリングカーをご馳走するという公約を掲げたおかげで、お金がものすごくかかったけど……。演劇をやっていた僕がテレビに出演しはじめたきっかけは、僕がテレビから演劇に戻った時に、僕を知っている人々が演劇にも関心を持ってほしいと思ったからだ。演劇がヒットしていて胸がいっぱいだ。
―これからも引き続き演劇に挑戦していくのか。
カン・ハヌル:舞台に立ち続けることを許してくれたので、今の事務所(サムカンパニー)に入ることになった。他の事務所はどこも演劇はダメだと言っていた。少なくとも1年に1本は出演したい。演劇は時間があるからやるものではなく、時間を割いてやるべきものだと思う。演劇はすなわち勉強だ。勉強を時間がある時にやるという人はいないだろう? 時間を作ってやるのが勉強なのだ。
―新年の願いは?
カン・ハヌル:良い俳優である前に良い人間でありたい。怒らない人が良い人ではないと思う。それは間抜けにすぎない。必要な時に必要な程度の表現はできる良い人でいたい。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : キム・ジェチャン
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