「ひと夏のファンタジア」岩瀬亮、あの男女は再び出会ったのでしょうか?
刹那が重なって日常となり、再びこの日常が重なって人生になる。人生が美しいのは、こうして重なった瞬間をまた手に入れることが出来ないからではないだろうか。
「ひと夏のファンタジア」(監督:チャン・ゴンジェ、制作:モクシュラ・奈良国際映画祭)はまさに人生でたった一度だけの人生のワンページをスクリーンに素朴に描いた魔法のような映画だ。「今年最高の映画」という評壇からの絶賛を受けたこの映画は、観客動員数1万人を突破し、多様性映画ブームを巻き起こしている。
映画は、奈良県五條市で偶然出会った韓国人女性と日本人男性、彼らの神秘的な縁と花火のように広がる心の波動を描く。短編映画「夢の中で」(2007年)と長編映画「つむじ風」(2009年)、「眠れない夜」(2012年)で繊細な演出力が認められたチャン・ゴンジェ監督がメガホンを取り、カンヌが愛する巨匠、河瀬直美がプロデューサーとして参加した。
「啐啄同時(Stateless Things)」(2011年)、「これが僕たちの最後だ」(2013年)で繊細で強さのある演技を披露したキム・セビョクと「8月の日曜日たち」(2005年)、「毒」(2008年)など独立映画界で重みのある演技力で認められてきたイム・ヒョングク、そして俳優の岩瀬亮がリアルな演技で映画の魔法のような瞬間に力を添えた。
映画は1部と2部に分かれる。モノクロで撮影した1部は映画監督テフン(イム・ヒョングク)と助監督ミジョン(キム・セビョク)が五条市の公務員(岩瀬亮)の案内で村のあちらこちらを歩きながら、そこに暮らす人々をインタビューする過程を描いた。実際に五条市の住民たちが出演した。大きな事件などなく、静かに展開されるため退屈になりかねないが、素朴な村の人々の話に自然と耳を傾けるようになる。カメラの前で交わす彼らの会話が白い紙の上のインクのように広がっていく。
2部は韓国から一人で旅行に来たヘジョン(キム・セビョク)が、柿を栽培する青年ユウスケ(岩瀬亮)に出会ったことで繰り広げられる妙なロマンスを描いた。特別なシナリオ無しで撮影されたおかげで、見慣れない二人の男女が作り出す空気の振動が余すところなくスクリーンに盛り込まれた。1部と2部で一人二役を演じたキム・セビョクと岩瀬亮は、旅行地で出会った男女のトキメキ、切なさをリアルに表現した。おかげで夏の夜が持つ甘くもほろ苦い香りが、スクリーン越しの観客にそのまま伝わる。1回の撮影で完成されたエンディングのキスシーンは、韓国映画界の歴史に残る最高のキスシーンだ。
「ひと夏のファンタジア」で韓国を訪れた岩瀬亮に会い、映画に関する様々な話を交わした。次は映画と同じく素朴で愉快だった岩瀬亮との一問一答。
―映画に参加したきっかけは?
岩瀬亮:元々チャン・ゴンジェ監督と親交があった。何年前だっただろう。全州(チョンジュ)国際映画祭で初めて会った。全州国際映画祭をきっかけに、チャン・ゴンジェ監督が日本に来るたびにうちで寝泊りした。僕がいなければ一人で留守番するほど仲良くなった(笑)
―現場でのコミュニケーションはどのようにしたのか。
岩瀬亮:通訳の方がいたが、主に映画で会話した。監督と僕の英語の実力が似ているから。面白いのは、合宿をしているとある程度の重要な韓国語は分かるようになった。例えば「シクロ(うるさい)」「チョヨンイへ(静かにして)!」みたいなもの(笑) 撮影後半になると、監督が韓国語で演技の指示をするのを、僕も分かるようになって。通訳してくれた方が驚いた(笑)
―1部はシナリオがあり、2部にはシナリオがなかった。2部で与えられた状況、設定はどれぐらいだったのか。
岩瀬亮:“こんな風に話して欲しい”くらいの設定だけ決まっていた。リハーサルのとき(キム)セビョクさんと一度合わせてから撮影に入った。状況や動線は言葉の通り、流れるがままの感じで撮影した。
―台詞は監督が与えた大きな枠の中で俳優同士のアドリブで作ったのか。
岩瀬亮:ある程度は。全部ではないが、これだけは必要という台詞だけ与えられた。セビョクさんが少し日本語を話せるが、僕があまり難しい言葉を使ってはならないので、カメラが回る前に少し合わせてみた。
―韓国ではホン・サンス監督が当日に台本を渡すことで有名だ。
岩瀬亮:ハハハ。そうなのか。チャン・ゴンジェ監督は大きな枠の台詞だけ与えてくれたが、頭の中で構想した絵が確かだった。例えば“二人の間隔が広すぎる”という風に。それでも俳優たちが積極的に、自由に台詞を作っていく余地があって楽しかった。
―2部でユウスケが図々しく、露骨にヘジョンにアプローチする姿に観客は終始笑っていた。
岩瀬亮:アハハ。そうだったのか。ユウスケがヘジョンと観光案内所で出会う場面で、干し柿を食べてみてと勧めるじゃないか。そこは元々、映画よりももっと積極的にアプローチした(笑) 監督が「あ、あれ。これは積極的過ぎる」と止めた(笑)
―2部でユウスケがヘジョンにフナにまつわる伝説を話すときはみんな爆笑した。誰が見ても嘘なのに、図々しく演じるのが面白くも可愛らしかった。もしかして、あの台詞はアドリブだったのか?
岩瀬亮:実は、監督が「ここで面白い冗談を言ってみて」と話したが、急にプレッシャーを感じた。面白いことが何か悩んで、でたらめな話を作って演技をしたが、監督が全然面白くないと「カット!カット!」と叫んだ。結局、監督が書いた台詞通りに読み上げた(笑)
―岩瀬亮が即興で作った物語は何だったのか?どれほど面白くないものだったのか?(笑)
岩瀬亮:ハハハ。面白くなければというプレッシャーのため、なかなか物語が思い浮かばなかった。そうだな、僕が何を話したのかまったく思い出せないが?(笑)
―1部がモノクロだからか、一人二役ということに気付かない観客がかなり多かった。
岩瀬亮:ヘアスタイルの違いがかなり大きいだろう。2部ではもう少し日焼けしたのもあるし。
―1部と2部でどんな違いを気にして演技をしたのか。外見だけでなく歩き方、座っている姿、話し方まで違うように感じられたが。
岩瀬亮:2部はやはり積極的なキャラクターになろうと思った。監督と相談して髪も切って、日焼けもした。
―この映画の全体において、最も魔法のような瞬間はやはり2部のキスシーンだと思うが。
岩瀬亮:実は、セビョクさんは僕がキスをすることを知らなかった。僕と監督だけが事前に知っていた。監督が撮影に入る前に、スタッフたちに「このシーン、1回しか撮れないからちゃんと撮るんだぞ」と念を押した。
―キム・セビョクの反応はどうだったのか。
岩瀬亮:僕の前では特別な反応を見せなかったが、撮影が終わって監督にどういうことなのかと聞いたそうだ(笑)
―あの時、ヘジョンがユウスケの腕になんと書いたのだろうか。連絡先だけを書いたと思うには、かなり長い間何かを書いていたが。
岩瀬亮:あはは。いきなりボールペンのインクが出なかった。セビョクさんも緊張したし、僕も暑くて腕に汗をかいていたので、さらに書けなくなって。セビョクさんが何か書くふりをしただけだ。
―キム・セビョクは観客との会話で、同じ質問に“皆さんの想像にお任せします”と答えた。
岩瀬亮:あ、本当?では僕もそういうことにする(座中爆笑) 先ほどの話は内緒にして欲しい(笑)
―キスシーンと共にビールを飲むシーンも印象的だった。男女の間の妙な空気やドキドキ、切なさのようなものがちゃんと表現されていた。もしかして、本当にお酒を飲みながら撮影をしたのか?
岩瀬亮:いや、ビールは飲まなかった。口をつけたぐらい?そのシーンでユウスケがヘジョンに「日本人の彼氏はどうですか?」という台詞はアドリブだった(笑)。セビョクさんが非常にリアルな演技をする方で、僕も現場でたくさん刺激を受け、それが映画にそのまま反映されたようだ。セビョクさんが出演した他の映画をまだ見ていないが、元々あんなリアルな演技をする女優なのか?
―「啐啄同時」で朝鮮族を演じたが、当時もとても繊細な演技を披露した。
岩瀬亮:本当?すごい、すごい!
―ビールのシーンで、ヘジョンが(無名)俳優としての悩みを打ち明ける。岩瀬亮も俳優としての悩みがあるのか?
岩瀬亮:そうだな…ないと思うが。
―早稲田大学の心理学専攻だ。俳優になった理由は。
岩瀬亮:元々監督になりたかった。大学で友達と映画を作るサークルを作ったが、演技をする人がいなかった。周りから「あなたがしなさい!」と言われ、思わず演技をしてみたが、面白かった。それで関心を持つようになり、本当にたくさん努力した。
―俳優としての自身の武器は何だと思うのか。
岩瀬亮:(長い間悩んだ後)演技をする瞬間、瞬間を大切に思う姿勢ではないだろうか。嘘を演じないように努力する方だ。
―監督を目指すようになった映画があるとしたら?
岩瀬亮:子どものころからビデオを本当にたくさん見た。スティーヴン・スピルバーグ監督の映画や、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「ターミネーター」シリーズみたいなもの(笑)
―人生の映画を選ぶとしたら?
岩瀬亮:エミール・クストリッツァ監督の「アンダーグランド」(1995年)。これは毎年1回は必ず見る映画だ。クエンティン・タランティーノ監督が好きで、彼の作品の中で「パルプ・フィクション」(1994年)が一番好きだ。スタジオジブリの「天空の城ラピュタ」(1986年)も僕の人生の映画の中の一つだ。
―好きな韓国映画は?
岩瀬亮:ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」、イ・チャンドン監督の「シークレット・サンシャイン」、イム・サンス監督の「浮気な家族」が好きだが、やはり韓国の映画監督の中で最高はチャン・ゴンジェ!(座中爆笑)
―韓国映画を見て感じた日本映画との違いは?
岩瀬亮:パワフルでたくましいようだ。日本映画とはかなり異なる強烈な雰囲気がある。
―韓国訪問はこれで3回目だ。全州、釜山(プサン)、ソウルとそれぞれ異なる都市を訪れたが、印象も違うと思う。
岩瀬亮:全州は小さくてこじんまりとした印象があった。可愛らしいというか。釜山は海が本当に綺麗で、釜山国際映画祭の期間中、一人で海辺をよく歩いた。ソウルはやはり都会という感じだ。東京と似ていると思う。
―ヘジョンとユウスケはまた会ったのだろうか。
岩瀬亮:会わないほうがもう少し美しいと思うが、観客の想像に任せたい。
―キム・セビョクの答えを意識した答えのようだが。
岩瀬亮:アハハ。そうだ。
―残りの期間中、ソウルでやりたいことがあるとしたら?
岩瀬亮:登山!ちょうどセビョクさんとヒョングクさんが北韓山(プッカンサン)を散策しているが、僕も近く行ってみようと思う。
「ひと夏のファンタジア」(監督:チャン・ゴンジェ、制作:モクシュラ・奈良国際映画祭)はまさに人生でたった一度だけの人生のワンページをスクリーンに素朴に描いた魔法のような映画だ。「今年最高の映画」という評壇からの絶賛を受けたこの映画は、観客動員数1万人を突破し、多様性映画ブームを巻き起こしている。
映画は、奈良県五條市で偶然出会った韓国人女性と日本人男性、彼らの神秘的な縁と花火のように広がる心の波動を描く。短編映画「夢の中で」(2007年)と長編映画「つむじ風」(2009年)、「眠れない夜」(2012年)で繊細な演出力が認められたチャン・ゴンジェ監督がメガホンを取り、カンヌが愛する巨匠、河瀬直美がプロデューサーとして参加した。
「啐啄同時(Stateless Things)」(2011年)、「これが僕たちの最後だ」(2013年)で繊細で強さのある演技を披露したキム・セビョクと「8月の日曜日たち」(2005年)、「毒」(2008年)など独立映画界で重みのある演技力で認められてきたイム・ヒョングク、そして俳優の岩瀬亮がリアルな演技で映画の魔法のような瞬間に力を添えた。
映画は1部と2部に分かれる。モノクロで撮影した1部は映画監督テフン(イム・ヒョングク)と助監督ミジョン(キム・セビョク)が五条市の公務員(岩瀬亮)の案内で村のあちらこちらを歩きながら、そこに暮らす人々をインタビューする過程を描いた。実際に五条市の住民たちが出演した。大きな事件などなく、静かに展開されるため退屈になりかねないが、素朴な村の人々の話に自然と耳を傾けるようになる。カメラの前で交わす彼らの会話が白い紙の上のインクのように広がっていく。
2部は韓国から一人で旅行に来たヘジョン(キム・セビョク)が、柿を栽培する青年ユウスケ(岩瀬亮)に出会ったことで繰り広げられる妙なロマンスを描いた。特別なシナリオ無しで撮影されたおかげで、見慣れない二人の男女が作り出す空気の振動が余すところなくスクリーンに盛り込まれた。1部と2部で一人二役を演じたキム・セビョクと岩瀬亮は、旅行地で出会った男女のトキメキ、切なさをリアルに表現した。おかげで夏の夜が持つ甘くもほろ苦い香りが、スクリーン越しの観客にそのまま伝わる。1回の撮影で完成されたエンディングのキスシーンは、韓国映画界の歴史に残る最高のキスシーンだ。
「ひと夏のファンタジア」で韓国を訪れた岩瀬亮に会い、映画に関する様々な話を交わした。次は映画と同じく素朴で愉快だった岩瀬亮との一問一答。
―映画に参加したきっかけは?
岩瀬亮:元々チャン・ゴンジェ監督と親交があった。何年前だっただろう。全州(チョンジュ)国際映画祭で初めて会った。全州国際映画祭をきっかけに、チャン・ゴンジェ監督が日本に来るたびにうちで寝泊りした。僕がいなければ一人で留守番するほど仲良くなった(笑)
―現場でのコミュニケーションはどのようにしたのか。
岩瀬亮:通訳の方がいたが、主に映画で会話した。監督と僕の英語の実力が似ているから。面白いのは、合宿をしているとある程度の重要な韓国語は分かるようになった。例えば「シクロ(うるさい)」「チョヨンイへ(静かにして)!」みたいなもの(笑) 撮影後半になると、監督が韓国語で演技の指示をするのを、僕も分かるようになって。通訳してくれた方が驚いた(笑)
―1部はシナリオがあり、2部にはシナリオがなかった。2部で与えられた状況、設定はどれぐらいだったのか。
岩瀬亮:“こんな風に話して欲しい”くらいの設定だけ決まっていた。リハーサルのとき(キム)セビョクさんと一度合わせてから撮影に入った。状況や動線は言葉の通り、流れるがままの感じで撮影した。
―台詞は監督が与えた大きな枠の中で俳優同士のアドリブで作ったのか。
岩瀬亮:ある程度は。全部ではないが、これだけは必要という台詞だけ与えられた。セビョクさんが少し日本語を話せるが、僕があまり難しい言葉を使ってはならないので、カメラが回る前に少し合わせてみた。
―韓国ではホン・サンス監督が当日に台本を渡すことで有名だ。
岩瀬亮:ハハハ。そうなのか。チャン・ゴンジェ監督は大きな枠の台詞だけ与えてくれたが、頭の中で構想した絵が確かだった。例えば“二人の間隔が広すぎる”という風に。それでも俳優たちが積極的に、自由に台詞を作っていく余地があって楽しかった。
―2部でユウスケが図々しく、露骨にヘジョンにアプローチする姿に観客は終始笑っていた。
岩瀬亮:アハハ。そうだったのか。ユウスケがヘジョンと観光案内所で出会う場面で、干し柿を食べてみてと勧めるじゃないか。そこは元々、映画よりももっと積極的にアプローチした(笑) 監督が「あ、あれ。これは積極的過ぎる」と止めた(笑)
―2部でユウスケがヘジョンにフナにまつわる伝説を話すときはみんな爆笑した。誰が見ても嘘なのに、図々しく演じるのが面白くも可愛らしかった。もしかして、あの台詞はアドリブだったのか?
岩瀬亮:実は、監督が「ここで面白い冗談を言ってみて」と話したが、急にプレッシャーを感じた。面白いことが何か悩んで、でたらめな話を作って演技をしたが、監督が全然面白くないと「カット!カット!」と叫んだ。結局、監督が書いた台詞通りに読み上げた(笑)
―岩瀬亮が即興で作った物語は何だったのか?どれほど面白くないものだったのか?(笑)
岩瀬亮:ハハハ。面白くなければというプレッシャーのため、なかなか物語が思い浮かばなかった。そうだな、僕が何を話したのかまったく思い出せないが?(笑)
―1部がモノクロだからか、一人二役ということに気付かない観客がかなり多かった。
岩瀬亮:ヘアスタイルの違いがかなり大きいだろう。2部ではもう少し日焼けしたのもあるし。
―1部と2部でどんな違いを気にして演技をしたのか。外見だけでなく歩き方、座っている姿、話し方まで違うように感じられたが。
岩瀬亮:2部はやはり積極的なキャラクターになろうと思った。監督と相談して髪も切って、日焼けもした。
―この映画の全体において、最も魔法のような瞬間はやはり2部のキスシーンだと思うが。
岩瀬亮:実は、セビョクさんは僕がキスをすることを知らなかった。僕と監督だけが事前に知っていた。監督が撮影に入る前に、スタッフたちに「このシーン、1回しか撮れないからちゃんと撮るんだぞ」と念を押した。
―キム・セビョクの反応はどうだったのか。
岩瀬亮:僕の前では特別な反応を見せなかったが、撮影が終わって監督にどういうことなのかと聞いたそうだ(笑)
―あの時、ヘジョンがユウスケの腕になんと書いたのだろうか。連絡先だけを書いたと思うには、かなり長い間何かを書いていたが。
岩瀬亮:あはは。いきなりボールペンのインクが出なかった。セビョクさんも緊張したし、僕も暑くて腕に汗をかいていたので、さらに書けなくなって。セビョクさんが何か書くふりをしただけだ。
―キム・セビョクは観客との会話で、同じ質問に“皆さんの想像にお任せします”と答えた。
岩瀬亮:あ、本当?では僕もそういうことにする(座中爆笑) 先ほどの話は内緒にして欲しい(笑)
―キスシーンと共にビールを飲むシーンも印象的だった。男女の間の妙な空気やドキドキ、切なさのようなものがちゃんと表現されていた。もしかして、本当にお酒を飲みながら撮影をしたのか?
岩瀬亮:いや、ビールは飲まなかった。口をつけたぐらい?そのシーンでユウスケがヘジョンに「日本人の彼氏はどうですか?」という台詞はアドリブだった(笑)。セビョクさんが非常にリアルな演技をする方で、僕も現場でたくさん刺激を受け、それが映画にそのまま反映されたようだ。セビョクさんが出演した他の映画をまだ見ていないが、元々あんなリアルな演技をする女優なのか?
―「啐啄同時」で朝鮮族を演じたが、当時もとても繊細な演技を披露した。
岩瀬亮:本当?すごい、すごい!
―ビールのシーンで、ヘジョンが(無名)俳優としての悩みを打ち明ける。岩瀬亮も俳優としての悩みがあるのか?
岩瀬亮:そうだな…ないと思うが。
―早稲田大学の心理学専攻だ。俳優になった理由は。
岩瀬亮:元々監督になりたかった。大学で友達と映画を作るサークルを作ったが、演技をする人がいなかった。周りから「あなたがしなさい!」と言われ、思わず演技をしてみたが、面白かった。それで関心を持つようになり、本当にたくさん努力した。
―俳優としての自身の武器は何だと思うのか。
岩瀬亮:(長い間悩んだ後)演技をする瞬間、瞬間を大切に思う姿勢ではないだろうか。嘘を演じないように努力する方だ。
―監督を目指すようになった映画があるとしたら?
岩瀬亮:子どものころからビデオを本当にたくさん見た。スティーヴン・スピルバーグ監督の映画や、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「ターミネーター」シリーズみたいなもの(笑)
―人生の映画を選ぶとしたら?
岩瀬亮:エミール・クストリッツァ監督の「アンダーグランド」(1995年)。これは毎年1回は必ず見る映画だ。クエンティン・タランティーノ監督が好きで、彼の作品の中で「パルプ・フィクション」(1994年)が一番好きだ。スタジオジブリの「天空の城ラピュタ」(1986年)も僕の人生の映画の中の一つだ。
―好きな韓国映画は?
岩瀬亮:ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」、イ・チャンドン監督の「シークレット・サンシャイン」、イム・サンス監督の「浮気な家族」が好きだが、やはり韓国の映画監督の中で最高はチャン・ゴンジェ!(座中爆笑)
―韓国映画を見て感じた日本映画との違いは?
岩瀬亮:パワフルでたくましいようだ。日本映画とはかなり異なる強烈な雰囲気がある。
―韓国訪問はこれで3回目だ。全州、釜山(プサン)、ソウルとそれぞれ異なる都市を訪れたが、印象も違うと思う。
岩瀬亮:全州は小さくてこじんまりとした印象があった。可愛らしいというか。釜山は海が本当に綺麗で、釜山国際映画祭の期間中、一人で海辺をよく歩いた。ソウルはやはり都会という感じだ。東京と似ていると思う。
―ヘジョンとユウスケはまた会ったのだろうか。
岩瀬亮:会わないほうがもう少し美しいと思うが、観客の想像に任せたい。
―キム・セビョクの答えを意識した答えのようだが。
岩瀬亮:アハハ。そうだ。
―残りの期間中、ソウルでやりたいことがあるとしたら?
岩瀬亮:登山!ちょうどセビョクさんとヒョングクさんが北韓山(プッカンサン)を散策しているが、僕も近く行ってみようと思う。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : チョ・ソンジン、映画「ひと夏のファンタジア」スチール、場所提供 : 鍾路(チョンノ)区通仁洞(トンインドン)ソウォンゲストハウス
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