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「王の運命」ソン・ガンホ“ユ・アイン、人見知りの性格が僕と似ていて楽でした”

TVレポート
写真=ムン・スジ
俳優ソン・ガンホ(48)はまさに竹を割ったようなフィルモグラフィを持っている。1991年、演劇「童僧」でデビューし、1996年に映画「豚が井戸におぼれた日」(監督:ホン・サンス)でスクリーンデビューした後、19年間映画の道だけを歩いた。もっと大衆的な俳優になるためにお茶の間に領域を広げることもできたが、そうはしなかった。20年間毎回異なる姿、異なる雰囲気で観客のもとを訪れた。達人と呼ばれても無理はない、一本木のある人だ。

そんなソン・ガンホが、今回は王を演じた。デビュー以来初めての君主に変身したのだ。キングメーカーによって王になった危機の君主であり、息子を米びつに閉じ込めて殺さなければならなかった悲劇的な父親だ。国民の味方として戦った弁護人ソン・ウソクに続き、老論の中心だった英祖がソン・ガンホの顔から新たに生まれた。

父の英祖(ヨンジョ)によって米びつに閉じ込められ、8日目で死を迎えた思悼世子(サドセジャ)に再び照明を当てた時代劇映画「王の運命-歴史を変えた八日間-」(監督:イ・ジュンイク、制作:タイガーピクチャーズ、配給:SHOWBOX)。いかなる瞬間にも王であるしかなかった父の英祖と、一瞬でも息子でありたかった世子思悼の歴史に記録された最も悲劇的な家族史を描いた作品だ。

「弁護人」(13、監督:ヤン・ウソク)で2000万人の観客動員数を記録したソン・ガンホは、次の作品として「王の運命-歴史を変えた八日間-」を選んだ。故ノ・ムヒョン元大統領を演じた事実だけで得と失をすべて経験した彼が、英祖として戻ってくるということだけが驚きを与えた。そして、10月に初撮影に入る「密偵」(監督:キム・ジウン)では独立のために活躍する見通しだ。作品ごとに狙撃ポイントを備えるソン・ガンホの歩みは予想がつかない。

「俳優はただ演じるだけです。もちろん政治的な解釈や志向点はそれぞれが持っていると思います。それは当然だと思います。でも、映画に自身の性向を投影することはできません。映画の中のキャラクターを自分の姿で塗り重ねることはできません。僕がこれまで実存の人物を演じてきたので、僕に対する偏見が更に多いと思いますが、片方を念頭において演技をするタイプではありません。偶然の一致です」(以下、一問一答)

―「王の運命-歴史を変えた八日間-」 を選んだ理由は?

ソン・ガンホ:「王の運命-歴史を変えた八日間-」について正統時代劇と言いますが、その概念は非常に包括的だと思います。正確な表現ではありません。正攻法と言いますか。イ・ジュンイク監督の正攻法がもっとも正しい表現だと思います。その点が、シナリオを見て一番多く感じた感情であり、アピールしたと思います。

―「弁護人」以降、次期作として「王の運命-歴史を変えた八日間-」を選んだ。悩みはなかったか?

ソン・ガンホ:特に心配はありませんでした。普段から時代劇というジャンルにこだわっていたわけではありませんから。すでに「観想」(13、監督:ハン・ジェリム)で時代劇というジャンルの先入観がなくなりましたから。むしろクリエイティブな想像力が発揮できるジャンルが時代劇だと思いました。「王の運命-歴史を変えた八日間-」のシナリオを初めて見た時、探求精神、歴史的事実を非常に強く感じました。フュージョン時代劇が流行していますが、そんな時代の中で正攻法の時代劇が魅力的だったし、その点がよかったです。

―英祖と「王の運命-歴史を変えた八日間-」のストーリーはこれまでたくさん取り扱われてきた。プレッシャーはなかったか?

ソン・ガンホ:考えてみれば、映画で思悼世子のストーリーはあまりありませんでした。1956年の「思悼世子」(監督:アン・ジョンファ)以来なかったんです。テレビを通じてあまりにもたくさん取り扱われたストーリーなので馴染みがあると思っただけです。ほぼ60年ぶりに取り扱われるわけです。以前演劇をやっていた時に「父子有親」で思悼世子のストーリーをたくさん聞きました。なので馴染みはありました。プレッシャーというよりは観客がたくさん知っているストーリーをどのように新しくしなければならないんだろうという懸念はありました。正直、真心で演技をするのがカギだと判断し、演技しました。

―これまで放送された思悼世子ストーリーと差をつけるためにどんな努力をしたか?

ソン・ガンホ:ドラマと比べるとなると、そのジャンルをけなすことになるのではないかと思い、はばかりがあります。僕の考えでは、ドラマは商業的な部分が大事なので、興味を引く部分が中心となってストーリーを進めると思います。一方、映画は思悼世子の一番現実的な姿を見せようとしました。もちろん技術力でカバーができない特殊扮装は僕も認めます。仕方のない部分です。このような足りなさを十分勘案してでも、最大限現実的な、歴史的な事実に重点を置きました。そこが差ではありませんか?

―新しい点があるとしたら?

ソン・ガンホ:普段英祖と思悼世子のストーリーは政治的な解釈が多くの比重を占めているじゃないですか。ところが、イ・ジュンイク監督はそのようなすべての因果関係を離れ、ひたすら君主である父親と世子である息子の物語に焦点を合わせた点が新しいと思います。

―「王の運命-歴史を変えた八日間-」の中の英祖は今までの王と声のトーンから違う。

ソン・ガンホ:実際の史料を探してみると、映画の中のセリフが登場します。もちろん昔の言葉が多いので正確だとは確信できませんが。たとえば、勉強を怠る思悼を責める時にした「お前、1年に勉強したいと思ったことが何回あるのか?」「素直でいいね」というセリフは実際に英祖が言ったセリフでした。自然な対話も多かったと思います。悪口も言ったはずですし、軽い冗談も言ったと思います。僕自身も史料を通じて英祖の人間的な面をたくさん見つけましたから。

―王に対するソン・ガンホの偏見も変わったような気がする。

ソン・ガンホ:僕も固定観念や偏見がありました。映画を撮影しながらも「王がこんな言葉を言ってもいいのか?」と思ったこともありましたし。でも英祖も人間ですよね。プライベートな席では父親だったし、継母の仁元王后(キム・ヘスク)の前では愚痴も言う、そういう人間的な姿があったと思います。たくさん感じました」

―最初はユ・アインと親子関係なのに似てないから心配した。でも、映画で見るとかなり似ていた。二人とも両目の大きさが違うけど、そこが大きく働いたと思う。

ソン・ガンホ:(ユ)アインの両目の大きさが違いますか?顔を詳しく見なかったから分かりませんでした。自分の両目の大きさが違うことは知っていましたが……ハハ。ユ・アインを初めて見たのは「ワンドゥギ」(11、監督:イ・ハン)でした。とても魅力的な俳優だだと思いました。彫刻のようなイケメンではないけど、母性愛を刺激する憐憫がありました。俳優として顔のマスクがいいと言いましたね。そんなイメージのユ・アインと「王の運命-歴史を変えた八日間-」で初めて会いました。二人とも人見知りな性格なので楽でした。お互いに会いたくないと思ったといいますか(笑) 形式的な人間関係が嫌いなんですが、ユ・アインもそうでした。時々飲み会の時に会いましたが、それがとてもよかったし、気楽でした。最近一緒にイベントに参加しながらお酒をよく飲みますが、気持ちよく酔っ払ったユ・アインが告白しました。撮影終了から1年が過ぎたのに「怖かった」と。たぶん僕のことでプレッシャーを感じたと思います。年が20年ほど離れているから難しいと思います。あまりにも馴れ馴れしく近づいてくる後輩たちに負担を感じることがありますが、ユ・アインは僕と性向が似ていてとても楽でした。ハハ。

―イ・ジュンイク監督はソン・ガンホの演技をあえて評価することはできないと言った。ソン・ガンホはイ・ジュンイク監督の演出をどのように思うのか?

ソン・ガンホ:ハハ。非常に難しい質問ですね。イ・ジュンイク監督とは「王の運命-歴史を変えた八日間-」で初めて出会いました。これまでイ・ジュンイク監督の作品を全部見たし、よく会っていたけど、そのたびに温かい感性を持っている監督だと思っていたので。現場で悩むより、予めすべての状況を設計してくるという点はハリウッドスタイルのような気もします。見解の差はまったくありませんでした。耳が非常に広いので意見を話すと必ず聞いて、受け入れようとしますから。ルックスだけを見ると意地が強そうで心配しましたが、驚くほど配慮がありました。特に女優たちの話をよく聞いてあげていました。ハハ。

―観客の間で最も話題になったシーンは、何と言っても英祖の9分のロングテイクナレーションだ。

ソン・ガンホ:僕の顔をクローズアップして長く息をつくシーンです。カメラを見て演技をするため、相手俳優がリアクションできない状況でした。父英祖が息子思悼と別れるシーンですし、映画のハイライトでした。元々は最初のセリフをしばらく言い、米びつの前に来て再びセリフを言うシーンでしたが、イ・ジュンイク監督が後でレコーディングをしなければならないからそのシーンのすべてのナレーションを実際に語りましょうと言いました。それもその日の朝に決まりました。もちろん後でレコーディングしてナレーションと演技を別々に見せることができるけど、あまりにも文学的じゃないですか。映画的な不親切さが感じられたから、僕も実際の音声をそのまま使いましょうと言いました。

―その結果、感情はよかったけどセリフがよく聞こえなくなった。

ソン・ガンホ:わざとセリフを聞こえなく言う意図ではありませんでした。どの俳優がそうやって演技すると思ったのでしょうか?イ・ジュンイク監督もセリフの伝達能力が落ちるから心配し、後でレコーディングしようと言ったと思います。思悼の遺体を確認する瞬間、本当に父親としては表現できない悲しさが感じられました。レコーディングでは当時のその感情が出ませんでした。当時の残像が残った演技になっちゃいました。実際の感情ではない。だから、観客には申し訳ないけど現場の音で行こうと頼みました。感情を正確に表現したかったからです」

―アカデミー賞の審査委員だ。もし「王の運命-歴史を変えた八日間-」が外国語部門の候補にノミネートされたら投票するか?

ソン・ガンホ:僕も今回初めて経験することなのでどうなるか分かりません。ハハ。年末に強力な候補作のDVDが家に送られてくると聞きました。アメリカに直接行くわけではないと言われました。特権は郵便物がたくさん届くことです。アカデミー審査委員のカードも届きました。もちろん使用はできない、象徴的なカードです。もし「王の運命-歴史を変えた八日間-」を審査しなければならない瞬間が来たら、むしろもっと冷静に審査するのではないでしょうか?(笑)

元記事配信日時 : 
記者 : 
チョ・ジヨン
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