「釜山国際映画祭」仲野太賀&衛藤美彩W主演、映画「静かな雨」舞台挨拶に出席“韓国の方と交流できたことが嬉しい”
本作は、「羊と鋼の森」で2016年の本屋大賞1位を受賞した作家・宮下奈都の小説デビュー作を映画化したものだ。監督は、「四月の永い夢」(2017)で世界4大映画祭のひとつモスクワ国際映画祭コンペティション部門に選出され、国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰をダブル受賞し、新作「わたしは光をにぎっている」(2019)で同映画祭に特別招待されワールドプレミアを果たした新鋭・中川龍太郎。
日本人が持つ“真の愛”と、誰もが感じたことのある“愛”の前での人間の無力さを描いた本作で、日本映画界に真の愛を問いかける。
最近、開催された第24回釜山国際映画祭にて、主演の二人と中川監督がレッドカーペットを華やかに歩く姿が話題となったが10日、映画「静かな雨」が東京フィルメックス映画祭のコンペティション部門に入選したことが発表された。ラインナップ発表会には、中川龍太郎監督も出席を予定している。
また本作の共演者も発表となった。共演は、三浦透子、坂東龍汰、古舘寛治、川瀬陽太のほか、萩原聖人、村上淳 、でんでん等、日本を代表する俳優たちに加えて、「殯の森」「あん」などで世界的な監督として知られる河瀨直美監督も女優として出演している。豪華な出演者陣の演技をお見逃しなく。
第24回釜山国際映画祭で上映された時の舞台挨拶写真や主演二人と監督のコメントも到着した。
<釜山国際映画祭舞台挨拶での監督コメント>
映画は世界の窓だと思うのです。
この映画は東京の片隅で暮らす普通の人間のおとぎ話で、仲野太賀さんと衛藤美彩さんが傷ついた孤独な2人の男女を演じてくれています。ここにいる皆さんと、彼らの気遣いやまなざしを共有できたことを誇りに思います。自分は韓国に来たのは初めてなのですが、韓国の監督の言葉や映画に散々励まされながら育ててもらったと思っているので、そういう意味でもここで上映できたことをありがたいと思っています。今の時代は閉塞感があってのびのびと生きられない若い人がいっぱいいると思うのです。それは自分も含めてですが。そういう中でいかに生きるのか。それはやはり「無償の贈与」というのでしょうか。自分の為ではなく人のために生き、相手に与えることに集中する。それこそが閉塞感によって生まれた孤独を埋め合わせることができる唯一の方法だと思うのです。そのようなテーマに、細やかかもしれませんがこの映画は挑戦しました。
また、主演の2人は本来であれば本格俳優とアイドルということで掛け合わさることのない2人だったと思うのですが、この作品の中では、1つの世界の中で溶け合ってくださっています。その姿をぜひ皆さんに観ていただきたいです。
<釜山国際映画祭舞台挨拶での仲野太賀コメント>
韓国の方であろうが日本の方であろうが今日ここで本作を観てくださった方々は、映画というものに対してすごくフラットで、すんなり受け入れてもらえたような気がしました。客層も若い人が多かったので、聞いてみると韓国の学生の方たちが来ていたようでした。そういう若い人達も能動的に映画祭に参加していることがすごく素敵だなと思いました。こういう風に映画を通して韓国の方と交流できたことがすごく嬉しいですし、それが今回みたいな作品であることを誇りに思います。
この作品にクランクインする前に中川監督とこの題材でどうやって良いものを作っていくかというディスカッションを沢山重ねてその結果、このような作品になりました。記憶喪失もので男女のラブストーリーでもあって、でもそれでいて今作に似ている映画は他にはないなと思いました。それは中川龍太郎という映画監督の個性がこの作品に物凄く色濃く出ていて、どの系譜にもない、まさに中川監督の新境地といえる作品に仕上がっているからだと思います。また、女優として第一歩を踏み出した衛藤美彩さんの輝かしいデビューの姿も是非とも観ていただきたいなと思っています。
<釜山国際映画祭舞台挨拶での衛藤美彩コメント>
私は“こよみ”という、交通事故の障害で記憶をとどめておけなくなってしまった女性を演じたのですが、完成した 映画を今日釜山で観て、改めて人は思い出で作られていくのではなく想いや気持ちで作られていくのだなと感じました。観終わったあとには、行助とこよみが平凡に幸せに生きていけたらいいなと思いました。韓国の皆様と一緒に映画を観て、前に座っている方や後ろにいる方がクスッと笑ったり、切なさから鼻をすすったりするタイミングが私と一緒だったのが印象的でした。やっぱり感情の動く部分は同じなんだなというところに気づき親近感が湧きました。韓国の若い世代の方が観にきてくださっていて、太賀くんも仰っていたように、皆さんが色々な角度から熱意を持って作品を観られていて、映画というものが自分達の生活のなかに取り入れられているんだろうなと感じました。今はSNSとか写真を撮って物を残したりすることが多い時代ですが、本作は、今の時代に“人は想いで作られている”と問いかけている作品なのかなと思いました。そういった所に注目していただきたいなと思います。
■作品情報
「静かな雨」
2020年新春、全国順次公開
○出演者
仲野太賀 / 衛藤美彩 / 三浦透子 / 坂東龍汰 / 古舘寛治 / 川瀬陽太
河瀨直美 / 萩原聖人 / 村上淳 / でんでん
監督:中川龍太郎
脚本:梅原英司 中川龍太郎
チーフプロデューサー:和田丈嗣 プロデューサー:藤村駿 木ノ内輝
アシスタントプロデューサー:新井悠真 石森剛史 ラインプロデューサー:保中良介
撮影:塩谷大樹 照明:西尾慶太 録音:伊豆田廉明 音響効果:小林孝輔
美術:安藤秀敏 菊地実幸 ヘアメイク:榎本愛子 スタイリスト:都甲真名美
助監督:近藤有希 監督補佐:佐近圭太郎 制作担当:久保田辰也
編集:田巻源太 スチール:四方花林
音楽:高木正勝
制作:WIT STUDIO、Tokyo New Cinema
配給:キグー
(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋
<ストーリー>
大学で生物考古学研究助手をしている行助(仲野太賀)は、パチンコ屋の駐車場でおいしそうなたいやき屋を見つける。そこは、こよみ(衛藤美彩)という、まっすぐな目をした可愛い女の子が一人で経営するたいやき屋だった。そこに通ううちにこよみと少しずつ親しくなり、言葉を交わすようになる。
だがある朝、こよみは交通事故で意識不明になってしまう。毎日病院に通う行助。そしてある日、奇跡的に意識を取り戻したこよみだが、事故の後遺症で記憶に障害があることがわかる。事故以前の記憶は残っているが、目覚めてからの記憶は一日経つと消えてしまうのだ。行助は記憶が刻まれなくなったこよみと、変わらずに接していこうとするが……。外は静かな雨が降っていた。
■関連リンク
「静かな雨」オフィシャルホームページ:https://kiguu-shizukana-ame.com
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部
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