ト・ジハン、清水邦夫の戯曲が原作の「楽屋-VER2」で演劇に初挑戦…ドラマ&映画との違いを語る
「人として、そして俳優として、配役の大切さと演技をしたいという切実な心を見せたかった」
俳優ト・ジハンが初めての演劇で見せた素朴な真心だ。カメラを通さない直接の出会い。緊張感とときめきの中で彼は演技で自身の存在を証明した。
ト・ジハンは、最近ソウル・大学路(テハンノ)自由劇場で上演された演劇「楽屋-VER2」に出演した。2009年、KBS 2TV「帰ってきたプリンセス 」でデビューした後、KBS 2TV「花郎」、tvN「100日の郎君様」および映画「マイウェイ」などに出演した彼の演劇デビュー作だ。
「楽屋」は今年4月に亡くなった日本の劇作家・清水邦夫の作品を原作とし、同作を脚色した演劇だ。アントン・チェーホフの戯曲「カモメ」が上演されている劇場の楽屋を背景に、異なる時代を生きている4人の俳優(A、B、C、D)が、芸術に対する情熱と人生の喜怒哀楽を表現しながら励ましと希望を与える。「楽屋-VER2」は、先立ってソ・イスク、ペ・ジョンオク、ファン・ヨンヒ、イ・サンアらが出演した女優の4人劇「楽屋」を演出家のオ・セヒョクが新しく男性俳優バージョンとして脚色した作品として話題となった。
ト・ジハンが演じたDは、全ての演劇社と演劇メソードを習得した情熱溢れる新人俳優だ。良い機会を得て主人公を演じることになったが、舞台恐怖症になりパニック障害を患う人物だ。約1ヶ月間、演劇俳優として生きてきた彼の話を聞いてみた。
――「楽屋-VER2」で初めて演劇にチャレンジしましたがいかがでしたか?
ト・ジハン:演劇は完全に初めてのチャレンジだったので、決定して始まる前まで心配が大きかったです。それと同時に、機会が来てチャレンジできるということにときめきもありました。今も毎回の公演が僕にとっては新しく、楽しいです。共演する俳優によって公演の雰囲気やディテールが変わります。お兄さんたち、同僚たちを信じて作っていくので、演劇というのは本当に面白いと思いました。
――コロナ禍に小劇場で公演をするという経験も特別だったと思います。初めて経験した小劇場の魅力は何でしょうか。
ト・ジハン:最初、舞台に上がるまでは「これが正解なのだろうか」とずっと疑問を投げていました。ドラマ、映画と準備の過程も異なりましたし、公演している間は(ドラマ、映画)撮影とはかなり違いました。公演の幕が上がった後は、待機中にも役をキープしなければならないですし、舞台に上がっている間はセリフがない時も小さなジェスチャーなどに気を使い、役に没入し続ける部分が難しかったりもしました。特に演劇「楽屋-VER2」でDは楽屋のどこかにずっといるので、より難しかったです。
ところが、いつの間にか90分間、瞬間的に没入する時間が楽しくなりました。舞台と客席という空間で、近い距離の観客と息をする感覚には最初は慣れなかったですが、今は観客の息を感じる余裕もできたようです。このような厳しい時期にも劇場を訪れ、公演を楽しみたいと思ってくれる観客がいるということに驚き、感謝しました。
――ト・ジハンさんが務めたDはどんな人物ですか。
ト・ジハン:Dにとってその役は自分のものであり、舞台恐怖症によってできた自身の空席をCがしばらく埋めてくれたと思います。そして、元の場所に戻れると自身を信じている人物です。外から見ると完全によくなったようには見えないものの、本人には自身に対する強い信頼があります。その信頼の背景には、舞台と演劇を愛する心がある人物だということを理解してから見ると、キャラクターの理解に役立つと思います。
――演劇のことが大好きなのに舞台恐怖症のDを演じながら、自分を投影した部分はありますか。
ト・ジハン:初めて撮影現場に行った時を思い出しました。一生懸命に台本を覚えて、練習もして行ったのに、カメラの前に立つと頭の中が真っ白になった幼い頃があります。逃げたいと思ったかも知れません。もちろんそうはしなかったですし、今までこうして演技をしています(笑)。Dもそんな瞬間を経験したのではないでしょうか。演技という分野ではなくても、多くの方が一度くらいDのような気持ちを感じたことがあると思います。だからもっとDに心を寄せ、そういった気持ちを表現しようと思えました。
――Dのように丸ごと作品を覚えた時はありましたか。
ト・ジハン:Dのように学問的にキャラクターに接近し、覚えたりした作品は映画やドラマの中にはありませんでした。それでも今回の演劇のセリフをDのように覚えてみようと思いました。初めてですし、舞台の特性上休んだり、二回できないので、そんな緊張感があったからもっと迅速に覚え、努力したと思います。
――演劇、映画、ドラマなどジャンルを問わずキャスティング決定まで至るのは簡単ではないことです。俳優にとって配役を務めるということはどんな意味がありますか。
ト・ジハン:俳優にとって配役を務めるということは、運命のようなことです。自分が選択することもあれば、選択されることもあり、予期せぬ瞬間にやってきたりもします。ありふれた答えかもしれませんが、配役は経験で、一歩先の自分に近づく過程だと思います。新しいキャラクターに出会うというときめきと、果たしてこの人物を僕がうまく表現できるだろうかという悩みや恐怖などの複雑な感情が絶え間なく過ぎていきます。作品が終わる瞬間までです。でも、その配役を務めながら一つの作品を終えると、より多くのものを見えて、感じ始めます。与えられる全ての配役を大切に、ありがたく思います。だから役を演じることができる俳優という職業がより魅力的に思えます。
ト・ジハン:「始まりの空間」だと思います。現場に着くと、一番先に俳優やスタッフと挨拶をして、今日のタイムテーブルを確認し、舞台あるいはカメラの前に立つ前に心を整える場所です。そして、長く一緒に過ごしてきた控え室は楽しい場所です。今も舞台に上がる前にいろんな話をしたり、休み、考え、一緒に練習をする、こういったことをしている空間ですから。控え室と僕は切っても切れない関係(笑)?
――「楽屋-VER2」の観客に一言お願いいたします。
ト・ジハン:セリフの一部分のように「全ては瞬間的なもの。過ぎていくもの。過ぎていく全てのものは後日、大切になるだろう」と伝えたいです。僕の初めての演劇「楽屋-VER2」を観てくれた全ての方々に、時間が経った後に恋しく、大切な記憶になっていたらうれしいです。
――今後の活動計画はありますか?
ト・ジハン:素敵な作品、興味深いキャラクターに出会いたいです。軍服務のためにしばらく休んでいた時もたくさん悩みましたし、演劇の舞台に立ってみて、演技に対する考えもより深く持つようになりました。すぐに素敵な作品、新しいニュースで皆さんの元を訪れます。
俳優ト・ジハンが初めての演劇で見せた素朴な真心だ。カメラを通さない直接の出会い。緊張感とときめきの中で彼は演技で自身の存在を証明した。
ト・ジハンは、最近ソウル・大学路(テハンノ)自由劇場で上演された演劇「楽屋-VER2」に出演した。2009年、KBS 2TV「帰ってきたプリンセス 」でデビューした後、KBS 2TV「花郎」、tvN「100日の郎君様」および映画「マイウェイ」などに出演した彼の演劇デビュー作だ。
「楽屋」は今年4月に亡くなった日本の劇作家・清水邦夫の作品を原作とし、同作を脚色した演劇だ。アントン・チェーホフの戯曲「カモメ」が上演されている劇場の楽屋を背景に、異なる時代を生きている4人の俳優(A、B、C、D)が、芸術に対する情熱と人生の喜怒哀楽を表現しながら励ましと希望を与える。「楽屋-VER2」は、先立ってソ・イスク、ペ・ジョンオク、ファン・ヨンヒ、イ・サンアらが出演した女優の4人劇「楽屋」を演出家のオ・セヒョクが新しく男性俳優バージョンとして脚色した作品として話題となった。
ト・ジハンが演じたDは、全ての演劇社と演劇メソードを習得した情熱溢れる新人俳優だ。良い機会を得て主人公を演じることになったが、舞台恐怖症になりパニック障害を患う人物だ。約1ヶ月間、演劇俳優として生きてきた彼の話を聞いてみた。
――「楽屋-VER2」で初めて演劇にチャレンジしましたがいかがでしたか?
ト・ジハン:演劇は完全に初めてのチャレンジだったので、決定して始まる前まで心配が大きかったです。それと同時に、機会が来てチャレンジできるということにときめきもありました。今も毎回の公演が僕にとっては新しく、楽しいです。共演する俳優によって公演の雰囲気やディテールが変わります。お兄さんたち、同僚たちを信じて作っていくので、演劇というのは本当に面白いと思いました。
――コロナ禍に小劇場で公演をするという経験も特別だったと思います。初めて経験した小劇場の魅力は何でしょうか。
ト・ジハン:最初、舞台に上がるまでは「これが正解なのだろうか」とずっと疑問を投げていました。ドラマ、映画と準備の過程も異なりましたし、公演している間は(ドラマ、映画)撮影とはかなり違いました。公演の幕が上がった後は、待機中にも役をキープしなければならないですし、舞台に上がっている間はセリフがない時も小さなジェスチャーなどに気を使い、役に没入し続ける部分が難しかったりもしました。特に演劇「楽屋-VER2」でDは楽屋のどこかにずっといるので、より難しかったです。
ところが、いつの間にか90分間、瞬間的に没入する時間が楽しくなりました。舞台と客席という空間で、近い距離の観客と息をする感覚には最初は慣れなかったですが、今は観客の息を感じる余裕もできたようです。このような厳しい時期にも劇場を訪れ、公演を楽しみたいと思ってくれる観客がいるということに驚き、感謝しました。
――ト・ジハンさんが務めたDはどんな人物ですか。
ト・ジハン:Dにとってその役は自分のものであり、舞台恐怖症によってできた自身の空席をCがしばらく埋めてくれたと思います。そして、元の場所に戻れると自身を信じている人物です。外から見ると完全によくなったようには見えないものの、本人には自身に対する強い信頼があります。その信頼の背景には、舞台と演劇を愛する心がある人物だということを理解してから見ると、キャラクターの理解に役立つと思います。
――演劇のことが大好きなのに舞台恐怖症のDを演じながら、自分を投影した部分はありますか。
ト・ジハン:初めて撮影現場に行った時を思い出しました。一生懸命に台本を覚えて、練習もして行ったのに、カメラの前に立つと頭の中が真っ白になった幼い頃があります。逃げたいと思ったかも知れません。もちろんそうはしなかったですし、今までこうして演技をしています(笑)。Dもそんな瞬間を経験したのではないでしょうか。演技という分野ではなくても、多くの方が一度くらいDのような気持ちを感じたことがあると思います。だからもっとDに心を寄せ、そういった気持ちを表現しようと思えました。
――Dのように丸ごと作品を覚えた時はありましたか。
ト・ジハン:Dのように学問的にキャラクターに接近し、覚えたりした作品は映画やドラマの中にはありませんでした。それでも今回の演劇のセリフをDのように覚えてみようと思いました。初めてですし、舞台の特性上休んだり、二回できないので、そんな緊張感があったからもっと迅速に覚え、努力したと思います。
――演劇、映画、ドラマなどジャンルを問わずキャスティング決定まで至るのは簡単ではないことです。俳優にとって配役を務めるということはどんな意味がありますか。
ト・ジハン:俳優にとって配役を務めるということは、運命のようなことです。自分が選択することもあれば、選択されることもあり、予期せぬ瞬間にやってきたりもします。ありふれた答えかもしれませんが、配役は経験で、一歩先の自分に近づく過程だと思います。新しいキャラクターに出会うというときめきと、果たしてこの人物を僕がうまく表現できるだろうかという悩みや恐怖などの複雑な感情が絶え間なく過ぎていきます。作品が終わる瞬間までです。でも、その配役を務めながら一つの作品を終えると、より多くのものを見えて、感じ始めます。与えられる全ての配役を大切に、ありがたく思います。だから役を演じることができる俳優という職業がより魅力的に思えます。
写真=T2Nメディア
――演技者であるト・ジハンさんにとって「楽屋」という空間はどんな意味を持っていますか。ト・ジハン:「始まりの空間」だと思います。現場に着くと、一番先に俳優やスタッフと挨拶をして、今日のタイムテーブルを確認し、舞台あるいはカメラの前に立つ前に心を整える場所です。そして、長く一緒に過ごしてきた控え室は楽しい場所です。今も舞台に上がる前にいろんな話をしたり、休み、考え、一緒に練習をする、こういったことをしている空間ですから。控え室と僕は切っても切れない関係(笑)?
――「楽屋-VER2」の観客に一言お願いいたします。
ト・ジハン:セリフの一部分のように「全ては瞬間的なもの。過ぎていくもの。過ぎていく全てのものは後日、大切になるだろう」と伝えたいです。僕の初めての演劇「楽屋-VER2」を観てくれた全ての方々に、時間が経った後に恋しく、大切な記憶になっていたらうれしいです。
――今後の活動計画はありますか?
ト・ジハン:素敵な作品、興味深いキャラクターに出会いたいです。軍服務のためにしばらく休んでいた時もたくさん悩みましたし、演劇の舞台に立ってみて、演技に対する考えもより深く持つようになりました。すぐに素敵な作品、新しいニュースで皆さんの元を訪れます。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・ウンジョン
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