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「南極日誌」のイム・ピルソン監督、今回は“人類滅亡”?

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写真=イム・ピルソン監督

イム・ピルソン監督の「人類滅亡計画書」を歓迎する理由

映画「人類滅亡計画書」(監督:キム・ジウン、イム・ピルソン)を巡り、様々な意見が出ているが、この映画を歓迎するしかない理由がある。本格的なSF映画で、オムニバス形式だという点がその理由だ。

この映画は6年前にお蔵入り寸前となり、人類の滅亡ではなく、“SF映画の滅亡”になるところだった。この映画を撮り終えたことで、監督や製作チーム、俳優は、たまっていた宿題を終わらせたような気分だったのではないだろうか。その本音を聞こうと、「人類滅亡計画書」に登場する3つのストーリーのうち、「すばらしい新世界」と「ハッピーバースディ」を演出したイム・ピルソン監督を訪ねた。

イム・ピルソン監督は、次回作の「週末の王子達」と関連したスケジュールで忙しい状況だった。「ずっと仕事がなかったのに、こんなに仕事が一気に押し寄せるとは」と、内心は嬉しい悲鳴をあげながら仕事に熱中していた。

写真=ジオエンターテインメント

韓国はSF映画の不毛の地……「人類滅亡計画書」は受け入れられる

「映画が最後まで面白かったとおっしゃる方もいれば、物足りない部分があるとおっしゃる方もいますね。初めに一緒に参加したハン・ジェリム監督は、すっきりしながらも何となく悲しいと言いました」

本来はキム・ジウン、イム・ピルソン、ハン・ジェリム監督の共同プロジェクトだった同映画は、一時制作中止になり、ハン・ジェリム監督がやむを得ず降板した後に今の形になった。かなり時間がかかったが、映画の題材とメッセージは変わらず鋭い。

ゾンビが登場するコミカルホラー「すばらしい新世界」では、ゾンビウイルスの原因がまるで狂牛病のプロセスを連想させる。また「ハッピーバースディ」は、ビリヤードボール模様の惑星で地球が滅亡するという面白い設定だが、劇中のペ・ドゥナの台詞のように、一度全てを覆し、再スタートさせたいという世界に対する希望が強く反映されている。

「『すばらしい新世界』は、その当時のイシューを反映して作ったものです。ファン・ウソク事件(ES細胞捏造事件)や、チョ・ガプチェ、ニューライト等、右翼が勢いを増していた社会の雰囲気を表現しようとしました。今は、また世の中が変わりましたね。映画を今作るとしたら、地下鉄でマナーの悪い女性が話題になった話や、政府の違法査察問題、総合編成チャンネル問題も入れるでしょう。公開が遅れてそんなデータが抜けてしまったのが残念です。今の観点から、内容が貧弱に見られる部分があることも残念です」

もともとこの映画を最初に企画した時、イム・ピルソン監督は、ハン・ジェリム監督と共に日本のアニメ「MEMORIES」を実写映画化しようと考えていた。アジアではあまり作らないSF映画を韓国でやってみようということで、そのおかげか映画はものすごい想像力の産物になった。イム・ピルソン監督は、ある有名な俳優や、悪質な書き込みを残す者をゾンビにして俳優を慰めようとも考えた。

「映画を通じて人々がストレスを解消できるなら、道端で人を殴ったり、悪いことをしたりする人が減るのではないでしょうか。韓国映画に対する反応を見ると、涙腺を刺激する映画、真剣な映画に対しては寛大だけど、これからは想像力の入った映画にも寛大になってほしいですね。前は酷評を受けて傷付いたりしたけど、今は余裕を持って見守ることができます。SFは韓国では不毛の地でしょう?韓国では、宇宙船と彗星が登場すると頭がおかしいのかという表情で見られますね。岩に卵を投げる感じでしょうか。キム・ジウン監督もジャンルを変えながら、韓国の観客に衝撃を与えたでしょう。映画『グエムル-漢江の怪物-』でポン・ジュノ監督が興行に成功したように。他の監督は怪物、ホラー映画を好まないと言われるけど、だったら私にやらせればいいのに(笑) そのジャンルを愛し、歴史を知り尽くしている監督にどうして仕事をさせないのかと思いました」


「人類滅亡計画書」……実はイム・ピルソン監督そのもの?

イム・ピルソン監督の説明通り、「人類滅亡計画書」は予算に比べて完成度の高い作品に見える。ゾンビ扮装から彗星が地球に衝突するシーンの処理も悪くなかった。

「私たちの技術力で頑張りました。もちろん、世界的なグラフィック会社と同じレベルだとは思いませんが、ハリウッド映画の100分の1、200分の1の予算でそれなりにベストを尽くしたわけです。今は、岩に卵を投げるくらいですけど、次は、岩に石を投げ、その次はドリルで穴を開けることができるでしょう。このようなチャレンジが韓国映画の裾野を広げるだろうと思います。映画を見て、“未完に終わった実験”“学生向け映画”と低い評価をする方もいますが、イ・チャンドン監督のような偉大な映画だけでなく、映画らしい映画も重要だと思います。厳しい基準で評価することは理解しますが、また違う意味があるという事実を覚えてほしいですね」

イム・ピルソン。彼は勉強よりも漫画を描くのが好きだった。彼は作家のエドガー・アラン・ポー、スティーヴン・キング、そしてスティーヴン・スピルバーグ監督の超マニアだったという。髭を伸ばし、R-18指定の映画を見たりした彼は、ストーリーが気に入れば選ばずに見た。よく言えば映画マニアで、小説マニア。悪く言えば、学校に適応できなかった者だった。

「映画から抜け道を見つけました。それが、今仲良くしているリュ・スンワン監督とも似通った部分です。幼い頃は小説をたくさん書いていましたが、スティーヴン・キングと村上春樹を混ぜたストーリーや、他に高校を舞台にするホラーも書きました」

写真=ジオエンターテインメント

「南極日誌」……昔は南極が外界ではなかったでしょうか

小説と漫画の話題なら、夜通しで話せそうだった。「宝島」(80年代韓国の人気漫画雑誌)以前の世代の占有物である「肩組み」(韓国の人気少年誌)の愛読者だからなおさらだ。これに小説家のキム・ドンイン、チャン・ジョンイル、キム・スンオク、イ・ムンヨル、そして好きな音楽まで話した彼は、一言で今の自身をまとめた。「この全てを合わせられるのが映画監督だった」と。

「偉大な作家は、逆境を経験しますね。私は彼らよりは余裕のある家庭で育ち、本よりは他のいろいろなものに興味があったから、映画監督に向いていると思います。『南極日誌』の時も、小説『狂気の山脈にて』に影響されましたね。1930年代では、人類が南極を外界だと思っていたようです。そのような作品を見ながら、ファンタジーやSFへの想像力を培って来ました。

このようなジャンルは、閉塞した現実世界でストレス解消にもなるけど、ほとんどの人があまりにも余裕を持たずに生きているのではないでしょうか。スマホでいろいろやれると言われますけど、音楽は史上最低の音質で、映画も史上最低の画面で鑑賞する格好ですね。また、人の心の奥までストレートに表現される世の中ですよね。それを全部知る必要がありますか?その面で情緒や想像力の必要性を見逃していると思います。文化が必要な理由もここにありますね。もちろん、それがなくても食べて暮らせます。でも、とんでもない絵がすごい金額で売れることも、その中に情緒があるからです。実は、映画も文化への投資です。ベネチア国際映画祭は、メディチ財団が投資すると聞いたけど…エルメスの韓国での売り上げが1年で5000億ウォン(約360億円)と言われ、それを羨むことなく、ファッションや映像産業に投資するのはいかがでしょうか。韓国人は、才能がありますから」
元記事配信日時 : 
記者 : 
イ・ソンピル
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