Vol.2 ― イ・ジェフン「どうすれば僕の真心を見せることができるだろう」
―しかし、「ファッションキング」ではむしろ不自然で硬直しているように見えるという反応が多かった。
イ・ジェフン:本当にそうだった。撮影した映像をチェックしたら自分の意図したものとは違って、自分でも不自然に感じるときがあった。普通、カッコよく見せる方法として一番よく使われるのが、その人を優位な地位に立たせることだ。しかし、僕はジェヒョクの抑圧された姿をユニークに見せたかった。それで、財閥の方たちが検察に出頭するニュースを細かく見たけど、「あ、何か独特だな」と思った。そして、カンファレンスやパーティーで見るお年寄りの方の姿も参考にした。しかし、視聴者たちが望んでいる期待に応えることができなかったようだ。だから素早くそのイメージを変えた(笑)
―検察へ出頭する場面は特別な状況だから人々がいつもより硬直していたはずなのに、それを参考にしたとは(笑)
イ・ジェフン:そんな場面を見すぎたかな?(笑) それに、役に盛り込もうとした設定や考えが多すぎたのかもしれない。ドラマが後半に行くにつれ、その部分を意図的に少しずつ減らしていきたかった。
イ・ジェフン:キャラクター紹介を見たとき、従来の韓国ドラマで描かれたお金持ち、いわゆる財閥2世や白馬の王子様のように思われやすいステレオタイプだと思った。でも、そんな単純なイメージとして浮き彫りになりやすい人物をあえて選んだのは、これまで見てきたありふれた姿から少し外れた人物を見せたい気持ちがあったからだ。僕ならジェヒョクの違う面を見せることができると思った。もちろん、最初は外見が浮き彫りになるかもしれないけど、そんな彼の見た目や冷たさより深い内面の中に熱く燃え上がる嫉妬や欲望を持つキャラクターとして描きたかった。
―ドラマの内容が難しかったり独特だと、視聴者がストーリーについていけない場合がある。そのため、「ファッションキング」のストーリーについて行くことは大変であったが、それでもジェヒョクが見たくて続けて見るしかなかったという視聴者が多かった。彼らはジェヒョクに共感していたのだろうか、それともただ彼を可哀想に思ったのだろうか?
イ・ジェフン:すべてを持っていて、自分が望んだこともすべてやり遂げた人なのに、それができなかった瞬間の姿を鮮明に描こうとした。実際、ジェヒョクは最初から好感を持てるキャラクターではない。一体、何を考えてあんなことを言うんだろうと思える人物だから。怖いものなしの人で人に配慮したり人に申し訳ないと思うことなんかまったくないキャラクターだ。しかし、そんな彼の人生の中に突然ガヨンとヨンゴルが入り込んで、お金を要求したり学校の問題を解決してくれというからジェヒョク本人も慌てる。そして、そんな中、彼は仕事と愛の両方を得たいと思うが、それができなく苦しんだり悩んだりする姿に視聴者は憐憫を感じたと思う。しかし、最初からそういう感情を意図してはいなかった。
―視聴者に、自分が演じるキャラクターを納得させなければならないという前提で演技をしているのか?
イ・ジェフン:そうだ。そうすることで僕もキャラクターを理解して演技ができるから。でも、「ファッションキング」を撮影したとき、ジェヒョクの行動がどうしても理解できなかったことがあった。アンナがヨンゴルと外泊したことを知ったジェヒョクが、アンナのオフィスに行って「昨日はどこにいた」と聞くシーンがあった。そのときのジェヒョクの行動が、鏡を見ているアンナの頭を叩きながら彼女を押すことだった。しかし、僕はその状況がどうしても理解できなかった。それで、悩みながら撮影を1時間ほど延ばした。ジェヒョクとしては可能な行動だったかもしれないけど、イ・ジェフンとして演技をするにはその行動が全く納得できなかった。しかし、その一方ではやってみたいという気持ちも強かった。結局は手を引っ張って鏡のところまで押すという設定に少し変えた。そうすることで僕も視聴者も納得できると判断した。
―しかし、俳優とは監督や脚本家の世界を受け入れて演じる人だから、いつも納得できるところまで変えるわけにはいかないと思う。
イ・ジェフン:そのため、「ファッションキング」での経験が本当に大変だったし、俳優としての危機かもしれないと思うほど深刻だった。キャラクターや状況をどんなふうに受け入れて演じるかがとても重要だったし、特にドラマは視聴者を説得する時間が十分に与えられないため、ドラマの中で、この状況の流れを視聴者たちがうまく受け入れられるだろうかということをいつもよりたくさん悩んだ。しかし、諦めることはできなかった。視聴者との約束を守らなければならないから、自分の意見を抑えてキャラクターを受け入れようと頑張った。
―俳優として危機を感じるほど大変な状況だったけれど、皮肉にもドラマのおかげでより多くの視聴者たちに俳優イ・ジェフンを知らせることができた。短い間に自主制作映画の原石や韓国映画の期待株を担い、もはやスターという名が似合う俳優になったが。
イ・ジェフン:自分としては特に変わったことはない。これから歩む道はまだまだ長いと思うから。もちろん、そのような変化や視線、期待を肌で感じているし嬉しく思っているけど、まだまだやり遂げなくてならないことがたくさんあるから「僕はすごいことをした。もう、以前とは違う人間なんだ」と思ったりはしない。
―スターになるというのはやりたいことをやるチャンスが多くなるという意味でもある。そのため、いい俳優がスター性を持つことが重要になったりもするが。
イ・ジェフン:そのスタートはいつも作品であってほしい。1本の作品でスターになったとしてもそれが永遠に続くわけではないし、引き続きいい作品でいい演技を見せることで人気を保つことができるから。そうしないと、少しの間だけスターになって、その後は人々の頭から消えるかもしれない。もしくは、スターの名を保つため自分の姿を隠して作品ではなく違う方向で自分を見せようとする人もいるけど、僕はそういうのをあまり魅力的に思わない。ファッションショーに行ったり広告の撮影をしたり、プライベートを公開し多くの人々の視線を集めることで満足する人もいるだろうが、僕にとっては作品でいい演技を見せることが何より大切だ。作品をやり続けて持続的にその姿を見せることで、いつか後で人生を振り返るとき、「本当に頑張って自分の仕事を愛して生きてきた」と満足できると思う。
―まだやらなければならないことの中で、今この時点でやるべきと思うことは?
イ・ジェフン:僕は未だに演技することに渇望していると思う。いい作品に出会ってたくさんの人々から愛されることができたけど、それでもまだまだ走り続けなければならない。ここで安心してはいけないと思う。それから、個人的には、後で僕が描きたいストーリーを一緒に作りたいと思う人々と一緒に仕事ができる能力を発揮できればいいなと思う。
イ・ジェフン:制作になることもあり得るし、演出になるかもしれない。でも、それよりも今は、同じ考えを持つ人と描きたいストーリーを作ることにおいて気楽に過ごせる環境を夢見ている。僕は撮影現場を楽しむ方だ。演技に集中し没頭する時間も必要だけど、直接カメラを持って撮影したり、照明を当てて相手の俳優がきれいに映るようにしたり、自分でマイクを持ったりするのが本当に楽しい。
―“完全な映画人”のようだ(笑)
イ・ジェフン:他の分野にも興味があって、「これは何?あれは何?」とよく聞く。技術的な部分まですべてをコントロールすることはできないけど、1つ1つのことがすべて重要な課程だと思うからこそ、演技を軽く思わず1シーン1シーンを大切にできると思う。
―その“描きたいストーリー”とは今ある程度具体的な形になっているのか?
イ・ジェフン:そうではない。ただ、ドラマを撮影しながらシーンのサイズが規格化されているし、見せられる姿が限られていると思うことが多かった。もし、今後ドラマを制作することになったら、カメラ監督がハンドカメラで人物を追いかけながら撮影することも考えてみた。映画「見張り」の撮り方に似ているけど、固定された姿ではなく決められた部分から抜け出すストーリーや絵をドラマを通して見せることができたら、斬新なチャレンジになるだろうと思って興奮したりする(笑)
―あるインタビューで「無限に挑戦」が好きだという話を聞いたが、どのメンバーが一番好きか?
イ・ジェフン:7人とも好きだけど、パク・ミョンスさんが一番好きだと思う。
―パク・ミョンスさんのように思いっきり怒鳴る人ではないと思うが、彼の行動を通して解放感を得ているのか?
イ・ジェフン:そうかな?(笑) パク・ミョンスさんは論理なんか無視して自分がやりたいように状況を引っ張っていく点がすごいと思う。めちゃくちゃなギャグだけどそれが本当に面白いのがパク・ミョンスさんの素晴らしい才能だと思う。
―明確な目的やキャラクターがあったら何でもできるが、素の自分を表に出すことにおいては消極的な感じがする。照れているのか、それとも隠したいのか?
イ・ジェフン:隠したいというよりそれを表に出すことにあまり興味を感じないからだと思う。そういうのが僕にとってはあまり面白くないことだから。ただ、演技はもちろん、このようなインタビューも含めて、今置かれている状況はすべて僕がやりたくて選んだものだ。もちろん、僕も以前は現実に妥協し続けて誰もが思う成功の基準やこのように生きて行かなければならないという決められた答えを無理に追っていた。でも、あるとき、本当にやりたいことをやることで生きる意味を感じることができると思った。周りのアドバイスもきっと必要だろうけど、結局、僕が選んだのは自分を思い通りやることだ。やりたくてやっているから、別に周りを気にしていないし後悔もない。
―1人の人間として俳優イ・ジェフンに惹かれる最大の理由は“最後まで分からない”という点だと思う。これまで演じたキャラクターたちはみんな加害者でありながら被害者でもある曖昧な点を持ち、同情することも無条件に好きになることも、もしくは嫌がることさえもできなかった。
イ・ジェフン:僕も自分のことがよく分からない。正確に定義できない人間だと思う。その都度経験することから感じることが違うし、その感情をなるべく覚えておいてそれを演技に活用したりもする。そのため、ある状況に対して「どうする?」という答えを要求されるときは、自分で迷ってしまう。本当にその状況になったときにしか感じられない何かがきっとあるはずだから。演技するときも台本を読んで「こんなふうに演じよう、こんな姿が正解かもしれない」と先に準備するけど、いざ演じるときは変わることがとても多い。しかし、それが演技をする理由であり、非常に大きな楽しみであると思う。
―ある状況でどんな姿になるか自分でも予想しにくいと言ったが、それでも生きていく中でこれだけは守りたい、ということや、これだけは避けようと思うことは?
イ・ジェフン:なんだろう……?(笑) (しばらくの間、悩んだ後)正直であること、人を騙さないことが僕にとっては非常に重要だと思う。毎回できるだけのものを表現する素直さが相手にとっては気まずく感じられたり、苦痛を与えるときもあるので、申し訳ないと思うことも多いけど、それでもなるべく正確に話し、行動しようとしている。以前は本当にやりたくてオーディションを受けたけど、最近は出演の提案を断るときもある。チャンスを与えてくれたことが嬉しく思えるからこそ、断ることがさらに難しく感じる。どうすればもう少し正直で率直に僕の真心を見せることができるかについていつも悩んでいる。だけど、その答えは人を騙さない正直さにあると思う。それだけは最後まで守り続けたい。
イ・ジェフン:本当にそうだった。撮影した映像をチェックしたら自分の意図したものとは違って、自分でも不自然に感じるときがあった。普通、カッコよく見せる方法として一番よく使われるのが、その人を優位な地位に立たせることだ。しかし、僕はジェヒョクの抑圧された姿をユニークに見せたかった。それで、財閥の方たちが検察に出頭するニュースを細かく見たけど、「あ、何か独特だな」と思った。そして、カンファレンスやパーティーで見るお年寄りの方の姿も参考にした。しかし、視聴者たちが望んでいる期待に応えることができなかったようだ。だから素早くそのイメージを変えた(笑)
―検察へ出頭する場面は特別な状況だから人々がいつもより硬直していたはずなのに、それを参考にしたとは(笑)
イ・ジェフン:そんな場面を見すぎたかな?(笑) それに、役に盛り込もうとした設定や考えが多すぎたのかもしれない。ドラマが後半に行くにつれ、その部分を意図的に少しずつ減らしていきたかった。
「未だに演技することに渇望しているようだ」
―ドラマは完結していないシナリオであるため、最初は1つの小さなモチーフだけ与えられる場合が多いが、ジェヒョクのどんな点で彼を選んだのか?イ・ジェフン:キャラクター紹介を見たとき、従来の韓国ドラマで描かれたお金持ち、いわゆる財閥2世や白馬の王子様のように思われやすいステレオタイプだと思った。でも、そんな単純なイメージとして浮き彫りになりやすい人物をあえて選んだのは、これまで見てきたありふれた姿から少し外れた人物を見せたい気持ちがあったからだ。僕ならジェヒョクの違う面を見せることができると思った。もちろん、最初は外見が浮き彫りになるかもしれないけど、そんな彼の見た目や冷たさより深い内面の中に熱く燃え上がる嫉妬や欲望を持つキャラクターとして描きたかった。
―ドラマの内容が難しかったり独特だと、視聴者がストーリーについていけない場合がある。そのため、「ファッションキング」のストーリーについて行くことは大変であったが、それでもジェヒョクが見たくて続けて見るしかなかったという視聴者が多かった。彼らはジェヒョクに共感していたのだろうか、それともただ彼を可哀想に思ったのだろうか?
イ・ジェフン:すべてを持っていて、自分が望んだこともすべてやり遂げた人なのに、それができなかった瞬間の姿を鮮明に描こうとした。実際、ジェヒョクは最初から好感を持てるキャラクターではない。一体、何を考えてあんなことを言うんだろうと思える人物だから。怖いものなしの人で人に配慮したり人に申し訳ないと思うことなんかまったくないキャラクターだ。しかし、そんな彼の人生の中に突然ガヨンとヨンゴルが入り込んで、お金を要求したり学校の問題を解決してくれというからジェヒョク本人も慌てる。そして、そんな中、彼は仕事と愛の両方を得たいと思うが、それができなく苦しんだり悩んだりする姿に視聴者は憐憫を感じたと思う。しかし、最初からそういう感情を意図してはいなかった。
―視聴者に、自分が演じるキャラクターを納得させなければならないという前提で演技をしているのか?
イ・ジェフン:そうだ。そうすることで僕もキャラクターを理解して演技ができるから。でも、「ファッションキング」を撮影したとき、ジェヒョクの行動がどうしても理解できなかったことがあった。アンナがヨンゴルと外泊したことを知ったジェヒョクが、アンナのオフィスに行って「昨日はどこにいた」と聞くシーンがあった。そのときのジェヒョクの行動が、鏡を見ているアンナの頭を叩きながら彼女を押すことだった。しかし、僕はその状況がどうしても理解できなかった。それで、悩みながら撮影を1時間ほど延ばした。ジェヒョクとしては可能な行動だったかもしれないけど、イ・ジェフンとして演技をするにはその行動が全く納得できなかった。しかし、その一方ではやってみたいという気持ちも強かった。結局は手を引っ張って鏡のところまで押すという設定に少し変えた。そうすることで僕も視聴者も納得できると判断した。
―しかし、俳優とは監督や脚本家の世界を受け入れて演じる人だから、いつも納得できるところまで変えるわけにはいかないと思う。
イ・ジェフン:そのため、「ファッションキング」での経験が本当に大変だったし、俳優としての危機かもしれないと思うほど深刻だった。キャラクターや状況をどんなふうに受け入れて演じるかがとても重要だったし、特にドラマは視聴者を説得する時間が十分に与えられないため、ドラマの中で、この状況の流れを視聴者たちがうまく受け入れられるだろうかということをいつもよりたくさん悩んだ。しかし、諦めることはできなかった。視聴者との約束を守らなければならないから、自分の意見を抑えてキャラクターを受け入れようと頑張った。
―俳優として危機を感じるほど大変な状況だったけれど、皮肉にもドラマのおかげでより多くの視聴者たちに俳優イ・ジェフンを知らせることができた。短い間に自主制作映画の原石や韓国映画の期待株を担い、もはやスターという名が似合う俳優になったが。
イ・ジェフン:自分としては特に変わったことはない。これから歩む道はまだまだ長いと思うから。もちろん、そのような変化や視線、期待を肌で感じているし嬉しく思っているけど、まだまだやり遂げなくてならないことがたくさんあるから「僕はすごいことをした。もう、以前とは違う人間なんだ」と思ったりはしない。
―スターになるというのはやりたいことをやるチャンスが多くなるという意味でもある。そのため、いい俳優がスター性を持つことが重要になったりもするが。
イ・ジェフン:そのスタートはいつも作品であってほしい。1本の作品でスターになったとしてもそれが永遠に続くわけではないし、引き続きいい作品でいい演技を見せることで人気を保つことができるから。そうしないと、少しの間だけスターになって、その後は人々の頭から消えるかもしれない。もしくは、スターの名を保つため自分の姿を隠して作品ではなく違う方向で自分を見せようとする人もいるけど、僕はそういうのをあまり魅力的に思わない。ファッションショーに行ったり広告の撮影をしたり、プライベートを公開し多くの人々の視線を集めることで満足する人もいるだろうが、僕にとっては作品でいい演技を見せることが何より大切だ。作品をやり続けて持続的にその姿を見せることで、いつか後で人生を振り返るとき、「本当に頑張って自分の仕事を愛して生きてきた」と満足できると思う。
―まだやらなければならないことの中で、今この時点でやるべきと思うことは?
イ・ジェフン:僕は未だに演技することに渇望していると思う。いい作品に出会ってたくさんの人々から愛されることができたけど、それでもまだまだ走り続けなければならない。ここで安心してはいけないと思う。それから、個人的には、後で僕が描きたいストーリーを一緒に作りたいと思う人々と一緒に仕事ができる能力を発揮できればいいなと思う。
「正直さだけは最後まで守り続けたい」
―演技だけでなく演出のような他の領域も含むという意味なのか?イ・ジェフン:制作になることもあり得るし、演出になるかもしれない。でも、それよりも今は、同じ考えを持つ人と描きたいストーリーを作ることにおいて気楽に過ごせる環境を夢見ている。僕は撮影現場を楽しむ方だ。演技に集中し没頭する時間も必要だけど、直接カメラを持って撮影したり、照明を当てて相手の俳優がきれいに映るようにしたり、自分でマイクを持ったりするのが本当に楽しい。
―“完全な映画人”のようだ(笑)
イ・ジェフン:他の分野にも興味があって、「これは何?あれは何?」とよく聞く。技術的な部分まですべてをコントロールすることはできないけど、1つ1つのことがすべて重要な課程だと思うからこそ、演技を軽く思わず1シーン1シーンを大切にできると思う。
―その“描きたいストーリー”とは今ある程度具体的な形になっているのか?
イ・ジェフン:そうではない。ただ、ドラマを撮影しながらシーンのサイズが規格化されているし、見せられる姿が限られていると思うことが多かった。もし、今後ドラマを制作することになったら、カメラ監督がハンドカメラで人物を追いかけながら撮影することも考えてみた。映画「見張り」の撮り方に似ているけど、固定された姿ではなく決められた部分から抜け出すストーリーや絵をドラマを通して見せることができたら、斬新なチャレンジになるだろうと思って興奮したりする(笑)
―あるインタビューで「無限に挑戦」が好きだという話を聞いたが、どのメンバーが一番好きか?
イ・ジェフン:7人とも好きだけど、パク・ミョンスさんが一番好きだと思う。
―パク・ミョンスさんのように思いっきり怒鳴る人ではないと思うが、彼の行動を通して解放感を得ているのか?
イ・ジェフン:そうかな?(笑) パク・ミョンスさんは論理なんか無視して自分がやりたいように状況を引っ張っていく点がすごいと思う。めちゃくちゃなギャグだけどそれが本当に面白いのがパク・ミョンスさんの素晴らしい才能だと思う。
―明確な目的やキャラクターがあったら何でもできるが、素の自分を表に出すことにおいては消極的な感じがする。照れているのか、それとも隠したいのか?
イ・ジェフン:隠したいというよりそれを表に出すことにあまり興味を感じないからだと思う。そういうのが僕にとってはあまり面白くないことだから。ただ、演技はもちろん、このようなインタビューも含めて、今置かれている状況はすべて僕がやりたくて選んだものだ。もちろん、僕も以前は現実に妥協し続けて誰もが思う成功の基準やこのように生きて行かなければならないという決められた答えを無理に追っていた。でも、あるとき、本当にやりたいことをやることで生きる意味を感じることができると思った。周りのアドバイスもきっと必要だろうけど、結局、僕が選んだのは自分を思い通りやることだ。やりたくてやっているから、別に周りを気にしていないし後悔もない。
―1人の人間として俳優イ・ジェフンに惹かれる最大の理由は“最後まで分からない”という点だと思う。これまで演じたキャラクターたちはみんな加害者でありながら被害者でもある曖昧な点を持ち、同情することも無条件に好きになることも、もしくは嫌がることさえもできなかった。
イ・ジェフン:僕も自分のことがよく分からない。正確に定義できない人間だと思う。その都度経験することから感じることが違うし、その感情をなるべく覚えておいてそれを演技に活用したりもする。そのため、ある状況に対して「どうする?」という答えを要求されるときは、自分で迷ってしまう。本当にその状況になったときにしか感じられない何かがきっとあるはずだから。演技するときも台本を読んで「こんなふうに演じよう、こんな姿が正解かもしれない」と先に準備するけど、いざ演じるときは変わることがとても多い。しかし、それが演技をする理由であり、非常に大きな楽しみであると思う。
―ある状況でどんな姿になるか自分でも予想しにくいと言ったが、それでも生きていく中でこれだけは守りたい、ということや、これだけは避けようと思うことは?
イ・ジェフン:なんだろう……?(笑) (しばらくの間、悩んだ後)正直であること、人を騙さないことが僕にとっては非常に重要だと思う。毎回できるだけのものを表現する素直さが相手にとっては気まずく感じられたり、苦痛を与えるときもあるので、申し訳ないと思うことも多いけど、それでもなるべく正確に話し、行動しようとしている。以前は本当にやりたくてオーディションを受けたけど、最近は出演の提案を断るときもある。チャンスを与えてくれたことが嬉しく思えるからこそ、断ることがさらに難しく感じる。どうすればもう少し正直で率直に僕の真心を見せることができるかについていつも悩んでいる。だけど、その答えは人を騙さない正直さにあると思う。それだけは最後まで守り続けたい。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・ヒジュ、インタビュー : イ・ジヘ、写真 : イ・ジニョク、翻訳 : ナ・ウンジョン
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