「殺人漫画」キム・ヨンギュン監督“ハードコアを諦めても惜しくなかった理由”
※この記事には映画「殺人漫画」の結末に関する内容が含まれています。
ここ数年間の忠武路(チュンムロ:韓国映画界の代名詞)は、ホラー映画の荒れ地だったと言っても過言ではない。題材やジャンルは十数年前に比べて間違いなく多彩になったものの、気難しい観客を虜にするには力不足だった。
このような状況の中で、映画「殺人漫画」(監督:キム・ヨンギュン、制作:(株)filma pictures、(株)FILM LINE)の活躍がとりわけ感動的に思えるのは、当たり前のことなのかもしれない。ホラー映画としては「箪笥<たんす>」以来10年ぶりにチケット予約販売ランキングで1位を獲得した「殺人漫画」は、公開初日に興行成績1位を4週間キープした「シークレット・ミッション」をおさえて、韓国ホラー映画の復活を告げた。
「殺人漫画」のキム・ヨンギュン監督(43歳)は、「ホラー映画というジャンルの限界を乗り越えることが最大の課題でした。ホラー映画を怖がる観客でも楽しむことのできる映画を作れたと思います。新鮮な要素を多く取り入れることができるシナリオだったため、演出者としては幸せでした」と説明した。
デビュー作「ワニ&ジュナ~揺れる想い~」(2001年)で繊細な演出力を認められたキム・ヨンギュン監督は、以降4年間隔で「赤い靴」(2005年)、「炎のように蝶のように」(2009年)を披露した。「殺人漫画」も彼の4年ぶりの演出復帰作である。「今回は必ず面白い映画を作ると覚悟しました」という彼は、「『赤い靴』『炎のように蝶のように』の長所、短所を自分なりに分析しました。『殺人漫画』を発表するまでの4年間は、これらを顧みる時間でした」と伝えた。
「ある瞬間、『ワニ&ジュナ~揺れる想い~』を作った時の情熱を失ったことに気付きました。成功に対する欲は大きくなったものの、純粋な情熱を失ってしまったというか。たくさん反省しました。失敗と過去を振り返る時間があったからこそ、「殺人漫画」を誕生させることができたと思います。「殺人漫画」は、もう一度“映画を作る楽しさ”に目覚めさせてくれた作品です」
「ウェブトゥーンを題材だけに止めずに、斬新なビジュアルへ昇華させてみようというのが僕の意図でした。全般的にスタッフと僕の意見がうまく一致したケースだと思います。『殺人漫画』は、スタート自体がとても健全でした。漫画、ウェブトゥーンというジャンルに対する愛情からスタートしたからです。良い結果が出て満足しています」
「殺人漫画」のシナリオ原案はそれこそ“ハードコア”だったという。ネタバレになるためここで明かすことはできないが、いわゆる“強い”設定が飛び交っていたという。キム・ヨンギュン監督は、「最初からR15指定を念頭において撮影しました。すでに撮影を終えたのに、結局カットしたシーンも非常に多いです」と明かした。
「僕の目標は、より多くの観客が楽しめる映画を作ることです。目標がはっきりしているので、等級がR18からR15になったからといって残念な気持ちはありません。映画的に残忍なシーンが必ず必要な作品なら残念だったかもしれませんが、そのようなケースではないからです。僕はハードコア的な快感より、サスペンスを活かそうと努力しました。制作会社は喜びましたね(笑)」
キム・ヨンギュン監督は、キム・ヒソン(「ワニ&ジュナ~揺れる想い~」)、キム・ヘス(「赤い靴」)、スエ(「炎のように蝶のように」)に至るまで、女優に恵まれた監督の一人である。現場で女優を扱うノウハウがあるのかと尋ねると、「相手の真心を理解し、嘘をつかず、大事にしてあげることです」と答えた。もちろん、最初は不要な駆け引きや警戒もするが、最終的には“真心”が通じるという話だ。
キム・ヨンギュン監督は、映画でカン・ジユンと激しく対立する刑事イ・ギチョル役のオム・ギジュンについては、「監督のプレッシャーを減らしてくれる俳優です。監督のエネルギーを、完全に演出に集中させる能力を持っています。平凡なことのように思えますが、案外これが上手くできる俳優は滅多にいません」と絶賛した。
「オム・ギジュンさんのおかげで、より上手く行った部分がとても多いです。実際、これは監督だけが知っている部分です(笑) オム・ギジュンさんは、映画全体に非常にたくさんのことを与えてくれました。オム・ギジュンさんがきちんと重心を取ってくれたため、イ・シヨンという女優の振幅を大胆に扱う余裕ができたのです。オム・ギジュンさんは、監督を思う存分遊ばせてくれる俳優です」
特に、爆発的なエンディングシーンで見せてくれた女優イ・シヨンの力は、この映画のハイライトだ。キム・ヨンギュン監督はエンディングシーンについて、「シナリオよりも立派なシーンに仕上がった」と説明した。監督が思っていたもの以上のものを見せてくれたイ・シヨンの力が大きかったという。撮影現場は、完璧なシーンを引き出さなければならないというプレッシャーで、監督さえも体に痛みを感じるほど緊張感に満ちていたという。そんな中、一人で泣き叫び、ささやき、涙を流したイ・シヨンは、見事にやりこなして見せた。
「そのシーンを思い出すと、今でも胸がじーんとします。映画を作りながら感じた、数少ない瞬間でした。それをイ・シヨンさんが見せてくれたんです。イ・シヨンさんを見ながら、僕は彼女のようなエネルギーを見せたことがあるのか、持ったことがあるのかと自身を省みるようになりました。おかげで、忘れていた情熱を取り戻すことができました」
ここ数年間の忠武路(チュンムロ:韓国映画界の代名詞)は、ホラー映画の荒れ地だったと言っても過言ではない。題材やジャンルは十数年前に比べて間違いなく多彩になったものの、気難しい観客を虜にするには力不足だった。
このような状況の中で、映画「殺人漫画」(監督:キム・ヨンギュン、制作:(株)filma pictures、(株)FILM LINE)の活躍がとりわけ感動的に思えるのは、当たり前のことなのかもしれない。ホラー映画としては「箪笥<たんす>」以来10年ぶりにチケット予約販売ランキングで1位を獲得した「殺人漫画」は、公開初日に興行成績1位を4週間キープした「シークレット・ミッション」をおさえて、韓国ホラー映画の復活を告げた。
「殺人漫画」のキム・ヨンギュン監督(43歳)は、「ホラー映画というジャンルの限界を乗り越えることが最大の課題でした。ホラー映画を怖がる観客でも楽しむことのできる映画を作れたと思います。新鮮な要素を多く取り入れることができるシナリオだったため、演出者としては幸せでした」と説明した。
デビュー作「ワニ&ジュナ~揺れる想い~」(2001年)で繊細な演出力を認められたキム・ヨンギュン監督は、以降4年間隔で「赤い靴」(2005年)、「炎のように蝶のように」(2009年)を披露した。「殺人漫画」も彼の4年ぶりの演出復帰作である。「今回は必ず面白い映画を作ると覚悟しました」という彼は、「『赤い靴』『炎のように蝶のように』の長所、短所を自分なりに分析しました。『殺人漫画』を発表するまでの4年間は、これらを顧みる時間でした」と伝えた。
「ある瞬間、『ワニ&ジュナ~揺れる想い~』を作った時の情熱を失ったことに気付きました。成功に対する欲は大きくなったものの、純粋な情熱を失ってしまったというか。たくさん反省しました。失敗と過去を振り返る時間があったからこそ、「殺人漫画」を誕生させることができたと思います。「殺人漫画」は、もう一度“映画を作る楽しさ”に目覚めさせてくれた作品です」
“ハードコア”を諦めても惜しくない理由
デビュー作「ワニ&ジュナ~揺れる想い~」でも、当時としては破格の試みだったアニメーションと実写の融合を披露して話題になったキム・ヨンギュン監督は、「殺人漫画」で再び新しい試みをした。「殺人漫画」は、ウェブトゥーン(オンライン漫画)と実写の最も効果的な融合に対する監督の悩みが最初から最後まで感じられる作品だった。ウェブトゥーンを効果的に使おうという目に見える計算なしで、力強く押し通されたいくつかのシーンは、脳裏から離れないほど抜群だ。「ウェブトゥーンを題材だけに止めずに、斬新なビジュアルへ昇華させてみようというのが僕の意図でした。全般的にスタッフと僕の意見がうまく一致したケースだと思います。『殺人漫画』は、スタート自体がとても健全でした。漫画、ウェブトゥーンというジャンルに対する愛情からスタートしたからです。良い結果が出て満足しています」
「殺人漫画」のシナリオ原案はそれこそ“ハードコア”だったという。ネタバレになるためここで明かすことはできないが、いわゆる“強い”設定が飛び交っていたという。キム・ヨンギュン監督は、「最初からR15指定を念頭において撮影しました。すでに撮影を終えたのに、結局カットしたシーンも非常に多いです」と明かした。
「僕の目標は、より多くの観客が楽しめる映画を作ることです。目標がはっきりしているので、等級がR18からR15になったからといって残念な気持ちはありません。映画的に残忍なシーンが必ず必要な作品なら残念だったかもしれませんが、そのようなケースではないからです。僕はハードコア的な快感より、サスペンスを活かそうと努力しました。制作会社は喜びましたね(笑)」
「オム・ギジュンのおかげで思う存分遊んだ」
現実と想像の区別がつかないウェブトゥーン作家カン・ジユンを演じた女優イ・シヨンは、「殺人漫画」を通じて得た最も大きな収穫の一つである。しかし、最初のキャスティングリストには彼女の名前が入っていなかった。キム・ヨンギュン監督は、イ・シヨンの前作がすべてラブコメディであることを懸念したが、期待以上の誠実性と妙な魅力に一気に惹かれたという。キム・ヨンギュン監督は、キム・ヒソン(「ワニ&ジュナ~揺れる想い~」)、キム・ヘス(「赤い靴」)、スエ(「炎のように蝶のように」)に至るまで、女優に恵まれた監督の一人である。現場で女優を扱うノウハウがあるのかと尋ねると、「相手の真心を理解し、嘘をつかず、大事にしてあげることです」と答えた。もちろん、最初は不要な駆け引きや警戒もするが、最終的には“真心”が通じるという話だ。
キム・ヨンギュン監督は、映画でカン・ジユンと激しく対立する刑事イ・ギチョル役のオム・ギジュンについては、「監督のプレッシャーを減らしてくれる俳優です。監督のエネルギーを、完全に演出に集中させる能力を持っています。平凡なことのように思えますが、案外これが上手くできる俳優は滅多にいません」と絶賛した。
「オム・ギジュンさんのおかげで、より上手く行った部分がとても多いです。実際、これは監督だけが知っている部分です(笑) オム・ギジュンさんは、映画全体に非常にたくさんのことを与えてくれました。オム・ギジュンさんがきちんと重心を取ってくれたため、イ・シヨンという女優の振幅を大胆に扱う余裕ができたのです。オム・ギジュンさんは、監督を思う存分遊ばせてくれる俳優です」
イ・シヨンの爆発的なエンディングシーン「今でも胸がじーんとする」
キム・ヨンギュン監督は、「殺人漫画」を通じて映画に対する情熱を取り戻すことができたのは、すべてイ・シヨンのおかげだと褒め称えた。「ボクシングはとても大変な運動です。死ぬほど辛い山場を数百回以上越えなければならないからです。イ・シヨンさんがリングの上で見せてくれた諦めない姿勢を、演技をする時にも見せてくれました。彼女は監督が諦めたいと思う度に、再び引き起こす力を持っています」特に、爆発的なエンディングシーンで見せてくれた女優イ・シヨンの力は、この映画のハイライトだ。キム・ヨンギュン監督はエンディングシーンについて、「シナリオよりも立派なシーンに仕上がった」と説明した。監督が思っていたもの以上のものを見せてくれたイ・シヨンの力が大きかったという。撮影現場は、完璧なシーンを引き出さなければならないというプレッシャーで、監督さえも体に痛みを感じるほど緊張感に満ちていたという。そんな中、一人で泣き叫び、ささやき、涙を流したイ・シヨンは、見事にやりこなして見せた。
「そのシーンを思い出すと、今でも胸がじーんとします。映画を作りながら感じた、数少ない瞬間でした。それをイ・シヨンさんが見せてくれたんです。イ・シヨンさんを見ながら、僕は彼女のようなエネルギーを見せたことがあるのか、持ったことがあるのかと自身を省みるようになりました。おかげで、忘れていた情熱を取り戻すことができました」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : キム・ジェチャン、CJエンターテインメント
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