「悪戯」ソ・ウナ“映画を見る前に濡れ場で先入観を持たないでほしい”
映画「悪戯」のヒロインであるソ・ウナの夢は、魅力的な女優になることだ。自身は絶えず演技に向かって走り続ける、“努力派”の女優であり、絶対に才能豊かな生まれつきの女優ではないと強調する。
そんなソ・ウナの後ろには、しっかりと支えてくれる心強い母親がいた。映画の濡れ場シーンを心配する娘に「濡れ場は映画の一部であるだけで、映画俳優の全てではない」と逆に励ましてくれる母親のおかげでたくましくなった女優ソ・ウナと24日、CGV往十里(ワンシムニ)店で会った。
ソ・ウナ:正確にしっかりと見た。最近“八色鳥ファム・ファタール(多彩な魅力を持つ魔性の女)”という表現がたくさん使われているが、実はヨンミがファム・ファタールに見えるのは付随的な評価だ。「どんな部分が足りなくてこのような選択をするのか」「どんな理由で執着が捨てられないのか」という悩みをヨンミのキャラクターにたくさん反映させようと努力した。
―監督はどんな指導をしたのか?
ソ・ウナ:「何も演技しないで」と注文された。「目だけで感情が伝わるから、感情を過度に表したり、感情で説明しようとしないで」というアドバイスが多かった。監督は俳優に分かりやすく丁寧に説明してくれるタイプだ。
「映画を見る前に濡れ場で先入観を持たないでほしい」
―台本を読んだとき、以前に出演した作品に比べてどのような印象だったのか?ソ・ウナ:映画のプロットは易しくて簡単だ。しかし、キャラクターの感情はプロットのように簡単ではない。役の立場を考えると、複雑で微妙であるという点に魅了された。ヨンミは陰鬱でありながらも明るい面も持っている複雑な人物だ。これを上手く演じきりたいという欲があったので、躊躇せず映画への出演を決めた。
―テイクを撮るとき、大変だったことはなかったか?
ソ・ウナ:濡れ場のシーンだけでなく、全てのシーンでテイクが他の映画に比べ少なかった。多くて5回?
―映画の中の季節が冬だ。全てのシーンで厳しい点が多かったと思う。
ソ・ウナ:濡れ場のシーンや二人の先輩が夫婦喧嘩するシーンは、速戦即決で撮ることができた。低予算映画であるだけに、非常にスピーディー撮った。あまりにも速かったので、夢みたいだった。1ヶ月にも満たない間にこの映画が完成した。
しかし、子どもたちは制作陣の思い通りにコントロールできなかった。寒い日に映画を撮る途中、子供たちが登場するシーンで意外と時間が沢山かかった。死んだ猫が出るシーンがある。実は死んだ猫ではなく、麻酔を打った猫だが、カメラを突きつけるともぞもぞしてNGがたくさん出た。監督が優しくて、映画を撮りながら猫を死なせるわけにはいかないと言って麻酔剤をあまりたくさん使わないようにした。
―ドンヒョク(ソ・テファ)の肩にもたれるソ・ウナさんの目が切なかった。映画のキャラクターから抜け出すことは難しくなかったか?
ソ・ウナ:明るいキャラクターではなく、色々事情があるキャラクターだ。キャラクターがそういう性格だから、映画を終えてそのキャラクターから抜け出すことが難しくはなかったかという質問を沢山受けた。でも撮影する前からヨンミというキャラクターに入り込んでいたので、逆に撮影が終わってからは早く抜け出すことができた。私の性格がそうだ。役に入る時はすぐに入るし、抜け出すときはすぐに抜け出す。
―濡れ場が話題になって悔しくはないか?
ソ・ユナ:私が思っていたほど濡れ場だけが話題になっているとは思わない。私に関心を持ってくださることに感謝するだけだ。残念だと思うのは、映画を見た観客が濡れ場について話すことはありがたいが、見る前に先入観で濡れ場について話すことは少し悔しい。でも、映画を見れば先入観も変わると信じている。
「私の名前の前に『女優』という言葉がつくのは、身の置き所がない」
―舞踊をしてから演技の道に入ったと聞いたが。ソ・ユナ:舞踊は小学生の頃からやった。演技をするようになった基本が舞踊にある。ステージに立つ喜びは、舞踊を通じて知った。ステージというものにはどんな魅力があって、公演を終えてカーテンコールするときの気分がどれほどのものかを、舞踊を通じて悟った。ダンスは面白いが、舞踊を進路に選ぶには勇気がなかった。
舞踊のように踊りながら楽しくできることは何だろうかと悩み、演劇映画科に進めば色々なものを学べるだろうと思って演技を始めることにした。しかし、今も舞踊は続けている。長い間韓国舞踊を続けてきたし、ジャズダンスとモダンダンスも好きだ。
―200倍の競争率の中で主演になった。
ソ・ユナ:二十歳から演技をしてきた。ミュージカルの公開オーディションをはじめ、演劇と映画のオーディションも受けた。幼い頃は落ちるためオーディションを受けることも多かった。韓国芸術総合学校を卒業してからは、あまりにも演技がしたくてオーディションを受けた。「悪戯」のオーディションには私が惹かれたと表現するのが正しい。
「できる」という漠然とした自信があったというよりは、ヨンミというキャラクターがあまりにも私とよく合っていた。ヨンミが綺麗過ぎると駄目だったので、私にぴったりだった。飛び抜けて綺麗といった感じでもなく、訳ありなお嬢さんヨンミを是非やってみたいという欲が出た。必ずやりたいと思ったのでオーディションで気楽に、自然に演技した。監督は私が緊張して震えていたと思ったそうだが、実は緊張せずにオーディションを受けた。
―映画俳優としては恥ずかしがり屋だ。
ソ・ユナ:女優でないような気がするときがある。私の名前3文字の前に女優という言葉が付くことそのものに対しては、身の置き所がない。強く見えるが、臆病で前に出ることは好きでない。映画のトークイベントのとき、映画を見た観客の方々が私に質問してくださること一つ一つが全てありがたかった。
―トークイベントの話が出たついでに聞くが、そこで印象深かった質問を聞かせてほしい。
ソ・ユナ:最後に子供をぎゅっと抱きしめて泣くシーンがある。このシーンについて質問をしてくださった。実はあまり出ない質問だ。最後に泣くシーンが一番好きなシーンだ。男の子にげんこつを一発して最後にぎゅっと抱きしめてあげるシーンだが、本当に申し訳ない気分で胸がキュッとした。ヨンミの波乱万丈な人生を振り返らせるシーンだ。
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