キム・ソヨン「デビュー10年目もただの数字、いつ楽になりますかね?」
女優キム・ソヨン(33歳)は、いつ見ても人を幸せな気分にしてくれる。相手を思いやる温かい心が頭からつま先まで溢れている。未だ彼女ほど優しい女優には出会ったことがない。女優特有の敏感さや神経質な部分は少しも見えない。「ありがとうございます」「大丈夫ですか」という言葉をかけることに慣れているのも印象的だ。
正直、最初は「本心じゃないのではないだろうか」という疑問もあった。ここまで丁寧に自分の頭を下げる女優はなかなか見ることができないからだ。しかし、彼女と会うのももう3回目。人から出てくるオーラというのは、真心を隠すことはできない。所属事務所がインタビューのために貸しきったカフェのフロアが寂しいと言って、一般人の人々の間でインタビューすることを望んだ彼女に偽りなんてあるはずがない。同僚たちも口を揃えてキム・ソヨンを高く評価するのは当然のことだった。
ゆっくりと過去を振り返り、「あの頃はそうでしたね」と華麗な過去を思い出しても良さそうだが、なかなか飾ることはできないようだ。彼女はキム・ソヨンではなく依然MBC水木ドラマ「TWO WEEKS」の熱血検事パク・ジェギョンだった。まだキャラクターとの別れができていないのだろうか。パク・ジェギョンについて話すと、目元が少し潤んだ。心の弱い彼女だった。
「まだ楽ではありません。唯一一人ぼっちになりましたよね。主人公チャン・テサン(イ・ジュンギ)も自分の居場所に戻ったのに、パク・ジェギョンは一人でした。復讐に人生をかけた彼女なので、すべてを成し遂げた後、空しくなったのではないかと心配です。ワンルームで一人でレトルトご飯でも食べていそうですね」
パク・ジェギョンには在り来りなラブストーリーが全くなかった。イ・ジュンギをはじめ、リュ・スヨン、ユン・ヒソクまで多くの男性俳優が登場したが、ラブストーリーにつながるような可能性は少しも見えなかった。ファンの立場からすると寂しいかもしれないが、キム・ソヨンはだからこそキャラクターが完全なものになれたとソ・ヒョンギョン脚本家に感謝の言葉を伝えた。
「ラブストーリーが十分可能なキャラクターなんです。だけど、ありがたいことにソ・ヒョンギョン脚本家が一貫した人物として描いてくれました。もしラブストーリーが登場していたら最初は面白かったかもしれませんが、もしかすると流れを壊してしまっていた可能性もあります。本当に驚くことに、ソ・ヒョンギョン脚本家の台本にはすべての人物のヒストリーが盛り込まれているんです。すごく小さな役でも、その役のビハインドストーリーが書いてあります。自然に感情を集中できるようになります。そのような配慮が、俳優にとってはとても大きな手助けとなります」
演技を褒めると、キム・ソヨンは「インタビューをしたら元気が出てきました。こういった時間がないと、ずっと『なぜそうしたんだろう』と自分を責めてばかりなんです」と恥ずかしがった。すでにデビューして10年が過ぎたが、自分自身に満足することはあまりなかった。カメラの前での堂々とした姿は、すべて努力した結果にすぎない。カメラが回っていないと、体が震えることもある。
「今年、釜山(プサン)国際映画祭に招待されました。私にとって釜山は幸運の場所なんです。2009年に初めてレッドカーペットを歩きましたが、当時ドレスが話題となりました。露出を少ししたので(笑) 私の演技の人生はそれを基点にその前とその後で分かれていると言っても過言ではありません。その前まではブランク、暗黒のような時間でした。作品のオファーもなかったです。しかし、レッドカーペットに参加してから嘘のようにシナリオが入ってきたんです。あの日が今の私を作りました」
ドレス姿のキム・ソヨンは堂々としており、自信に溢れていたが、いざ心の中では心配をしていたという。映画の経験もほとんどないのにレッドカーペットを歩くことが迷惑になるのではないかとも思った。しかし、レッドカーペットの上でそのような感情を表すのはとても失礼なことになると思った。レッドカーペットは俳優たちよりもスタッフたちの戦場であるためだ。
「俳優一人のスタイルを完成させるために、スタッフたちはものすごい努力と時間を費やします。ヘアスタイルからメイク、小物まで一つ一つ丁寧に準備します。ドレスの取り寄せ作戦もありますね。そんなスタッフたちを思うと、私も本当に頑張らなければならないという気がしてきて、自然に堂々としたポーズをとっています。心の中で緊張していて震えているのは、私だけが知っていることなんです」
「最近の子役俳優は、母親が世話をしてくれていますよね。私は一人で仕事をしていました。メイクをしてくれる美容院なんかは考えたこともありません。片手に衣装を持って、バスに乗りました。大変だとは一度も思ったことがありません。それが当たり前だと思っていましたからね。あの頃の私に戻れるとしたら、よく慰めてあげたいです。何の準備もないまま芸能界に飛び込んだので、大事なことが何なのか、どのようにするべきかも分かりませんでした。しかし、後悔はありません。頑張っていましたからね」
キム・ソヨンと同年代なら覚えているはずだ。彼女の成熟した美貌は一気に話題となった。MBCドラマ「イヴのすべて」でブレイクした彼女は音楽番組のMCを務めるなど多方面で活躍した。CMも撮影の時間が足りないほどオファーが続いた。むしろ現在よりももっと華やかだった過去。しかし、それでも未練はない。
「本当に忙しい10代を過ごしました。そんな中、とても大事な時期にブランクがありました。人生において歩く道の先なんて分からないものだと思います。なので、現在やっている作品が一番大切なんです。自分自身に頑固な方だからこそ、もっと今に充実しようと努力しています。私の全盛期が過ぎてしまったとは思っていません。いつかまた新しい扉が開くと信じています」
正直、最初は「本心じゃないのではないだろうか」という疑問もあった。ここまで丁寧に自分の頭を下げる女優はなかなか見ることができないからだ。しかし、彼女と会うのももう3回目。人から出てくるオーラというのは、真心を隠すことはできない。所属事務所がインタビューのために貸しきったカフェのフロアが寂しいと言って、一般人の人々の間でインタビューすることを望んだ彼女に偽りなんてあるはずがない。同僚たちも口を揃えてキム・ソヨンを高く評価するのは当然のことだった。
「もうデビュー10年目?ただの数字にすぎない」
「もうデビュー10年目ですが、ただの数字にすぎないと思います。特別な意味はありません。そして、自分でも分かっています。10年という長い歳月に比べて、作品や経歴が華やかではないということを。しかも、ブランクが4年間ぐらいありましたからね。もっと時間が必要です」ゆっくりと過去を振り返り、「あの頃はそうでしたね」と華麗な過去を思い出しても良さそうだが、なかなか飾ることはできないようだ。彼女はキム・ソヨンではなく依然MBC水木ドラマ「TWO WEEKS」の熱血検事パク・ジェギョンだった。まだキャラクターとの別れができていないのだろうか。パク・ジェギョンについて話すと、目元が少し潤んだ。心の弱い彼女だった。
「まだ楽ではありません。唯一一人ぼっちになりましたよね。主人公チャン・テサン(イ・ジュンギ)も自分の居場所に戻ったのに、パク・ジェギョンは一人でした。復讐に人生をかけた彼女なので、すべてを成し遂げた後、空しくなったのではないかと心配です。ワンルームで一人でレトルトご飯でも食べていそうですね」
パク・ジェギョンには在り来りなラブストーリーが全くなかった。イ・ジュンギをはじめ、リュ・スヨン、ユン・ヒソクまで多くの男性俳優が登場したが、ラブストーリーにつながるような可能性は少しも見えなかった。ファンの立場からすると寂しいかもしれないが、キム・ソヨンはだからこそキャラクターが完全なものになれたとソ・ヒョンギョン脚本家に感謝の言葉を伝えた。
「ラブストーリーが十分可能なキャラクターなんです。だけど、ありがたいことにソ・ヒョンギョン脚本家が一貫した人物として描いてくれました。もしラブストーリーが登場していたら最初は面白かったかもしれませんが、もしかすると流れを壊してしまっていた可能性もあります。本当に驚くことに、ソ・ヒョンギョン脚本家の台本にはすべての人物のヒストリーが盛り込まれているんです。すごく小さな役でも、その役のビハインドストーリーが書いてあります。自然に感情を集中できるようになります。そのような配慮が、俳優にとってはとても大きな手助けとなります」
作品の後にいつもついてくる自責の念、どうしましょう?
キム・ソヨンは満足することのない女優だ。作品が終わると、常に自責の念に苦しめられる。自分を褒めることには才能がない方で、自らの演技に酔いしれる“ナルシスト”な俳優たちとは程遠い。実際、「TWO WEEKS」でキム・ソヨンは自分に賞をあげても良いほどの好演を見せた。しかし、不思議なことに物足りない部分だけが目に入ってくるという。演技を褒めると、キム・ソヨンは「インタビューをしたら元気が出てきました。こういった時間がないと、ずっと『なぜそうしたんだろう』と自分を責めてばかりなんです」と恥ずかしがった。すでにデビューして10年が過ぎたが、自分自身に満足することはあまりなかった。カメラの前での堂々とした姿は、すべて努力した結果にすぎない。カメラが回っていないと、体が震えることもある。
「今年、釜山(プサン)国際映画祭に招待されました。私にとって釜山は幸運の場所なんです。2009年に初めてレッドカーペットを歩きましたが、当時ドレスが話題となりました。露出を少ししたので(笑) 私の演技の人生はそれを基点にその前とその後で分かれていると言っても過言ではありません。その前まではブランク、暗黒のような時間でした。作品のオファーもなかったです。しかし、レッドカーペットに参加してから嘘のようにシナリオが入ってきたんです。あの日が今の私を作りました」
ドレス姿のキム・ソヨンは堂々としており、自信に溢れていたが、いざ心の中では心配をしていたという。映画の経験もほとんどないのにレッドカーペットを歩くことが迷惑になるのではないかとも思った。しかし、レッドカーペットの上でそのような感情を表すのはとても失礼なことになると思った。レッドカーペットは俳優たちよりもスタッフたちの戦場であるためだ。
「俳優一人のスタイルを完成させるために、スタッフたちはものすごい努力と時間を費やします。ヘアスタイルからメイク、小物まで一つ一つ丁寧に準備します。ドレスの取り寄せ作戦もありますね。そんなスタッフたちを思うと、私も本当に頑張らなければならないという気がしてきて、自然に堂々としたポーズをとっています。心の中で緊張していて震えているのは、私だけが知っていることなんです」
「何も知らなかった10代、あの頃に戻りたい」
1994年、中学2年生の時だ。勉強に励むべきその時期に偶然芸能界にデビューした。当時のキム・ソヨンの年齢は類例がないほど若い年齢だった。中学生でデビューした前例がほとんどなかったために試行錯誤も多かったという。言葉通り何の準備もできていない状態で社会に飛び込んだ。「最近の子役俳優は、母親が世話をしてくれていますよね。私は一人で仕事をしていました。メイクをしてくれる美容院なんかは考えたこともありません。片手に衣装を持って、バスに乗りました。大変だとは一度も思ったことがありません。それが当たり前だと思っていましたからね。あの頃の私に戻れるとしたら、よく慰めてあげたいです。何の準備もないまま芸能界に飛び込んだので、大事なことが何なのか、どのようにするべきかも分かりませんでした。しかし、後悔はありません。頑張っていましたからね」
キム・ソヨンと同年代なら覚えているはずだ。彼女の成熟した美貌は一気に話題となった。MBCドラマ「イヴのすべて」でブレイクした彼女は音楽番組のMCを務めるなど多方面で活躍した。CMも撮影の時間が足りないほどオファーが続いた。むしろ現在よりももっと華やかだった過去。しかし、それでも未練はない。
「本当に忙しい10代を過ごしました。そんな中、とても大事な時期にブランクがありました。人生において歩く道の先なんて分からないものだと思います。なので、現在やっている作品が一番大切なんです。自分自身に頑固な方だからこそ、もっと今に充実しようと努力しています。私の全盛期が過ぎてしまったとは思っていません。いつかまた新しい扉が開くと信じています」
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- 記者 :
- キム・ジヒョン、写真 : ムン・スジ
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