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【映画レビュー】「AM 11:00」過去の過ちを繰り返す惜しい作品“韓国のSF映画はまだ11時”

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写真=パレートワークス
最近テレビでは時間を自由に行き来する“タイムスリップ”を題材にした作品がよく目に付く。「屋根部屋のプリンス」「イニョン王妃の男」「Dr.JIN」「ナイン~9回の時間旅行~」「シンイ-信義-」「未来の選択」など、いわゆるタイムスリップドラマと呼ばれる作品が次々と登場した。映画でも事情は似ている。「きみがぼくを見つけた日」「LOOPER/ルーパー」の他にも「テルマエ・ロマエ」「カミーユ、ふたたび(CAMILLE REDOUBLE)」が韓国で同時に公開されるほどタイムスリップは人気のある題材となっている。

様々な時間と空間に移動してきたタイムスリップ作品が東西古今を問わず着実に人気を得ている理由は何だろうか。自然の絶対的な法則である時間に逆らうということは、自然に挑戦したい人間の欲望と繋がっている部分が大きい。

タイムスリップを研究していた天才物理学者ウソク(チョン・ジェヨン)はブラックホール内のワームホールを利用して移動することで24時間後のタイムスリップに成功する。しかし、投資企業は24時間後という点や同じ場所に移動することを理由に研究の中止を告げる。ウソクは研究を続けるため皆の反対を押し切り、理論上では可能だが、まだ人が試みたことのないタイムスリップに自ら挑戦する。今持っているエネルギーで未来に滞在できる時間はたった15分だけだ。

24時間後に行くことに成功したウソクとヨンウン(キム・オクビン)。しかし、研究所は廃墟になった状態で研究員たちは皆消えていた。その上、ウソクは何者かからの攻撃に遭い、かろうじて現在に戻ってきたウソクはジワン(チェ・ダニエル)らと共に未来から持ってきたウイルスに感染された防犯カメラを修理して事故の原因を探している中で、研究員たちの死を目撃することになる。そして11時が近づくにつれて、防犯カメラの場面は一つずつ現実のものとなる。

(タイムスリップが可能だという仮定の下)「あなたは24時間後、自分が死ぬ運命であることが分かった。もし24時間前に戻って運命を変えられるチャンスがあるなら、あなたはどうするだろうか?」キム・ヒョンソク監督の新作映画「AM 11:00」はこのような質問から出発する。

「AM 11:00」は自分の未来を知った者たちの恐怖が生んだ破滅劇である。もし誰かが未来を見てきたなら、それに備えた抵抗が可能なはずだが、現実はそうではない。時間が近づくにつれ、頭は理性よりも非理性が支配することになり、逃れようとあがけばあがくほど、破滅は次第に近づいてくる。結局、予定されていた結果に繋がり、全ては一つに繋がっていたというのが運命決定論である。

映画は、未来を見てきたウソクがどんな行動で未来を変えようとするかを通じて未来は決定されたものなのか、変えることのできるものなのかの間を行き来する。これは、予定された未来に自由意志が貫徹されるのかという戦いである。防犯カメラ通りに未来は繰り返されるのか、そうでなければ新たな未来が訪れるのかの間で映画は好奇心と緊張感を与える。

「AM 11:00」に登場する時間を再構成する方法は、相当部分がスペインのSF映画「タイムクライムス(TIMECRIMES)」と似ている。「タイムクライムス」はヘクターという人物が経験する事件を順を追って見せ、自身の過ちを隠そうとしたヘクターの行動が決まった時間に行われることであることを抜かりなく扱った。「AM 11:00」は「タイムクライムス」と同様に、未来を変えようとする人間が運命の前でどれだけ無力なものなのかを見せてくれる。

予定されていた未来は必ず現実になるという過程を通じて「AM 11:00」が与えようとした教訓は、“明日を知る”ことの意味だ。果たして人間が未来を知ることは幸せなのか、不幸なのか?戦争などの歴史を知るという大げさな話ではなく、自分の死や他人の死を予め知ることは辛いはずだ。

アメリカの映画「ペイチェック 消された記憶」は、誰かに彼の未来を見せてしまうと、彼から神秘と希望を奪ってしまうため未来がないと警告した。「AM 11:00」も今、この瞬間が一番大切だということに気付かなければならないと言う。これは「カミーユ、ふたたび」の「変えられるものを知る勇気と変えられないものを受け入れる心の平静、そしてその違いを知る知性」という台詞が持つ意味とも繋がっている。「AM 11:00」というタイトルは12時、または24時ではなく、11時(23時)という時間に設定することで、まだ時間が残っているだけに残っている時間と今の経験を大切にすべきだという意味に解釈することができる。

最近の韓国のSF映画を振り返ってみると「スノーピアサー」などが大成功を収めた良い記憶と「第7鉱区」「人類滅亡計画書」のように大コケした悪夢が共存する。大規模な予算を投入する大型映画とは異なり、「探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男」「エイリアン・ビキニの侵略」などを制作した映像製作集団のキノマンゴスチンは、低予算の自主制作映画の方法で純粋なSF映画を作って注目を浴びた。しかし、韓国のSF映画はまだまだ厳しいのが現実である。

映画振興委員会で発行する「韓国映画」39号の特集記事だった「投資配給会社別ラインナップ戦略」で、CJ E&Mは他の企画会社や配給会社にできない映画や資本や企画の制限によって作ることのできない映画が私たちを通じて日の目を見てるようになって欲しいという希望を明かした。彼らは韓国を越え、アジア、さらには世界市場への進出を目指し、ハリウッドに劣らないSFジャンルを作るという目標のもとで「第7鉱区」「スノーピアサー」「AM 11:00」などの挑戦状を出している。

このような遠大な夢は良かったが、残念ながら「AM 11:00」は韓国で失敗したSF映画の問題をそのまま抱えている。CGなどの技術的な部分にこだわりすぎて話の面白さを逃したこと、最近CJ E&Mから出た映画のように独創的でなく、どこかで見たことのあるような既視感がある問題などを全て持っている。

ここに涙を誘う韓国流の恋愛模様とコメディへの行過ぎた執着は、ドラマの展開を粗末なものにし、集中力を落としてしまった。特に、エンジニアのパク・ヨンシクに扮したパク・チョルミンの台詞と行動のほとんどは不自然な感じがする。このような混乱の中で「爆烈野球団!」「クァンシクの弟クァンテ」「スカウト」「シラノ恋愛操作団」で見せたキム・ヒョンソク監督の才能は完全に消えてしまった。「AM 11:00」は「第7鉱区」の問題とよく似た問題を沢山抱えている。

CJ E&Mのチャレンジ精神は高く評価したいが、依然として韓国のSF映画が行くべき道は遠い。これも韓国映画に定められた運命なのかもしれないが、明らかなことは、未来を知らないから次が期待されるということだ。ただ映画「リバース」のようにずっと同じ状況の下で悪い状況が繰り返されるのではなく、映画「スライディング・ドア」の選択のようにこれ以上「第7鉱区」の繰り返しではなく、違う未来を見てみたい。
元記事配信日時 : 
記者 : 
イ・ハクフ
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