「殺されたミンジュ」アン・ジへが掴んだチャンス…キム・ギドク監督のミューズになるまで
人生の速度は人それぞれだ。顔や声が同じでないように、私たちが持っている人生の時計はそれぞれの速度で過ぎていく。人より少し遅れているからと落ち込む必要も、少し早いからと威張る必要もないのはそのためだ。
ここに少し出発は遅れたが溢れる前向きなエネルギーでこの上なく幸せな毎日を過ごしている者がいる。映画「殺されたミンジュ」(監督:キム・ギドク、制作:キム・ギドクフィルム)の女優アン・ジヘ(34)がその主人公だ。
キム・ギドク監督の20作目の映画「殺されたミンジュ」は、殺人容疑者7人と彼らにテロを敢行する影7人の姿を通じて上下関係による人間群像の矛盾を見せる作品だ。アン・ジヘをはじめ、キム・ヨンミン、マ・ドンソク、イ・イギョン、チョ・ドンイン、テオ、キム・ジュンギ、チョ・ジェリョンなどが出演した。アン・ジヘは「殺されたミンジュ」で恋人に経済的に依存し、彼からの暴力を我慢する女性で影組織の紅一点である影4役を演じた。
これまで映画「温室(Glasshouse)」(2005)、「ララ サンシャイン」(2008)、「女優たち」(2009)、「ハートビート」(2010)、「赤いバカンス、黒いウェディング」(2011)、「毛皮を着たヴィーナス」(2012)、「私が告白したら」(2012)など多くの作品を通じて培ってきたアン・ジヘの演技の底力が「殺されたミンジュ」を通じて思う存分披露された。大胆でリアルな演技という容易でない課題を、アン・ジヘは躊躇することなくこなし、スクリーンを圧倒した。
チャンスを掴むまで、目をそらすことなく黙々と自身の居場所を守ってきたアン・ジヘはキム・ギドク監督そして「殺されたミンジュ」という作品をこれ見よがしに自分のものにした。女優として飛躍する準備を終えたアン・ジヘの今後が楽しみだ。
以下はアン・ジヘとの一問一答である。
―出演することになったきっかけは?
アン・ジヘ:すべてのことが一週間で起こった。「殺されたミンジュ」の前にもキム・ギドク監督からのオファーを受けたことはあったが、タイミングが合わなかった。強いキャラクターへのプレッシャーがなかったわけでもなかったので。今回は色々な面で上手く合って出演することになった。
―久しぶりの撮影現場で新しい感じだったのでは?
アン・ジヘ:あ、本当に生き返った。誰から見ても私ははしゃいでいた。ハハハ。私の人たち、私の助力者たちができるというのがここまで幸せなことであるというのを改めて実感した。
―「殺されたミンジュ」のシナリオの第一印象はどうだったのか。
アン・ジヘ:みんなが「キム・ギドク、キム・ギドク」と言う理由を感じだ。隠喩が多いながらも直接的ではないか。監督は台詞でメッセージを伝えるタイプではないが、「殺されたミンジュ」は少し違っていた。現実に向けて話したいことを直接的に表現された。私が思うには、他の作品よりずっと多く悩んだと思う。
―キム・ギドク監督と仕事をした感想は?
アン・ジヘ:こんな現場は初めてだった。キム・ギドク監督は天才だ。頭のなかに映画に関するすべてが入っている。現場では理解できなかった監督の行動も、映画を見ると理解できる。「あ、このためにそうしていたんだ」と。すべてを数学者のように正確に計算し、一寸の狂いもなく完成させる。シナリオは詩人のように書くが、撮影現場では数学者に変身する。理性と感性を同時に兼ね備えているとも言えると思う。
―キム・ヨンミンとの恋愛において、暴力を振るわれるシーンが非常に強烈であった。
アン・ジヘ:よりによってそのシーンを初日に撮影した。キム・ヨンミン先輩から実際に殴られた(笑) 露出はなかったが、色々と緊張した。身体的にだけでなく感情的にも暴力を受けるシーンだったので。「殺されたミンジュ」で影4は恋人からのお小遣いが嫌でも断ることができない女性たち、物質主義を皮肉るキャラクターだ。
―マ・ドンソクとの相性はどうだったのか。
アン・ジヘ:すごく面白くて、またいざ撮影現場ではすごく細かくデリケートな部分もあった。理由もなくその座に上りついたわけではない。良いコツがあると一つでも多く教えようとしてくれる。何よりも撮影現場の雰囲気をよくしてくれて感謝している。
―先日、現在の事務所に移籍した。
アン・ジヘ:暗黒期があった。人って上手くいく時もあれば上手くいかない時もあるではないか。昨年から気が楽になった。だからと言って、特別に上手くいったわけでもなかったが、なんとなくすべてが上手くいきそうな気がした。「遅れてはいるけれど、私もそろそろ上手くいくでしょう!」という考えだった(笑)
―暗黒期というのはどういう意味か。
アン・ジヘ:俳優にとって暗黒期というのは作品に出演できないという意味だ。20代後半から30代頭まで大変だった。人々にあまり知られてはなかったけれど、私は私なりに着実に作品に出演してきた。注目してもらいたく、私という人を知らせたいのにそのようなチャンスはめぐってこなかった。1人で苦労するのは容易いことではなかった。
―その暗黒期を1人で耐え抜けた力があったとすれば何か。
アン・ジヘ:私は私に相談する人に「10年耐え抜けるか?」と聞く。自分が叶えたい夢にすべてをかけないとならない。メンタルも強くないと。自分より上手くいっている友達を見ても焦ってはいけない。「あなたはそこまでやってもダメだったんだから、辞めたほうがいいんじゃない?」という周りの声にも惑わされてはいけない。私は私も上手くいけるということを一度も疑わなかった。もちろんこれからもまだまだ道のりは遠いけれど。俳優というのはみんな大変だ。私だけが大変だという考え方は捨てないと。苦労を経験していない者はいない。自分の現在の位置に早く気付き、こだわりを捨てないといけない。
―Mnet「イ・ヒョリのオフザレコード」に出演し、いわゆる“イ・ヒョリの友人”という肩書きも手にした。
アン・ジヘ:そうだ。しかし、それは私の俳優としての人生全体を見てみた時、決して良い修飾語であるとは思わない。イ・ヒョリは有名になる前からすごく親しかった友人だ。すごくカッコよくて力になる友達だ。
―女優アン・ジヘにとって「殺されたミンジュ」とはどのような意味を持つだろうか。
アン・ジヘ:飛躍だ。まだ第一も超えていないので第二の飛躍とまでは言えないけれど(笑) 女優としての人生をスタートさせる出発点だ。もちろん「殺されたミンジュ」の後が重要だろう。色々な面で特別な作品だ。
ここに少し出発は遅れたが溢れる前向きなエネルギーでこの上なく幸せな毎日を過ごしている者がいる。映画「殺されたミンジュ」(監督:キム・ギドク、制作:キム・ギドクフィルム)の女優アン・ジヘ(34)がその主人公だ。
キム・ギドク監督の20作目の映画「殺されたミンジュ」は、殺人容疑者7人と彼らにテロを敢行する影7人の姿を通じて上下関係による人間群像の矛盾を見せる作品だ。アン・ジヘをはじめ、キム・ヨンミン、マ・ドンソク、イ・イギョン、チョ・ドンイン、テオ、キム・ジュンギ、チョ・ジェリョンなどが出演した。アン・ジヘは「殺されたミンジュ」で恋人に経済的に依存し、彼からの暴力を我慢する女性で影組織の紅一点である影4役を演じた。
これまで映画「温室(Glasshouse)」(2005)、「ララ サンシャイン」(2008)、「女優たち」(2009)、「ハートビート」(2010)、「赤いバカンス、黒いウェディング」(2011)、「毛皮を着たヴィーナス」(2012)、「私が告白したら」(2012)など多くの作品を通じて培ってきたアン・ジヘの演技の底力が「殺されたミンジュ」を通じて思う存分披露された。大胆でリアルな演技という容易でない課題を、アン・ジヘは躊躇することなくこなし、スクリーンを圧倒した。
チャンスを掴むまで、目をそらすことなく黙々と自身の居場所を守ってきたアン・ジヘはキム・ギドク監督そして「殺されたミンジュ」という作品をこれ見よがしに自分のものにした。女優として飛躍する準備を終えたアン・ジヘの今後が楽しみだ。
以下はアン・ジヘとの一問一答である。
―出演することになったきっかけは?
アン・ジヘ:すべてのことが一週間で起こった。「殺されたミンジュ」の前にもキム・ギドク監督からのオファーを受けたことはあったが、タイミングが合わなかった。強いキャラクターへのプレッシャーがなかったわけでもなかったので。今回は色々な面で上手く合って出演することになった。
―久しぶりの撮影現場で新しい感じだったのでは?
アン・ジヘ:あ、本当に生き返った。誰から見ても私ははしゃいでいた。ハハハ。私の人たち、私の助力者たちができるというのがここまで幸せなことであるというのを改めて実感した。
―「殺されたミンジュ」のシナリオの第一印象はどうだったのか。
アン・ジヘ:みんなが「キム・ギドク、キム・ギドク」と言う理由を感じだ。隠喩が多いながらも直接的ではないか。監督は台詞でメッセージを伝えるタイプではないが、「殺されたミンジュ」は少し違っていた。現実に向けて話したいことを直接的に表現された。私が思うには、他の作品よりずっと多く悩んだと思う。
―キム・ギドク監督と仕事をした感想は?
アン・ジヘ:こんな現場は初めてだった。キム・ギドク監督は天才だ。頭のなかに映画に関するすべてが入っている。現場では理解できなかった監督の行動も、映画を見ると理解できる。「あ、このためにそうしていたんだ」と。すべてを数学者のように正確に計算し、一寸の狂いもなく完成させる。シナリオは詩人のように書くが、撮影現場では数学者に変身する。理性と感性を同時に兼ね備えているとも言えると思う。
―キム・ヨンミンとの恋愛において、暴力を振るわれるシーンが非常に強烈であった。
アン・ジヘ:よりによってそのシーンを初日に撮影した。キム・ヨンミン先輩から実際に殴られた(笑) 露出はなかったが、色々と緊張した。身体的にだけでなく感情的にも暴力を受けるシーンだったので。「殺されたミンジュ」で影4は恋人からのお小遣いが嫌でも断ることができない女性たち、物質主義を皮肉るキャラクターだ。
―マ・ドンソクとの相性はどうだったのか。
アン・ジヘ:すごく面白くて、またいざ撮影現場ではすごく細かくデリケートな部分もあった。理由もなくその座に上りついたわけではない。良いコツがあると一つでも多く教えようとしてくれる。何よりも撮影現場の雰囲気をよくしてくれて感謝している。
―先日、現在の事務所に移籍した。
アン・ジヘ:暗黒期があった。人って上手くいく時もあれば上手くいかない時もあるではないか。昨年から気が楽になった。だからと言って、特別に上手くいったわけでもなかったが、なんとなくすべてが上手くいきそうな気がした。「遅れてはいるけれど、私もそろそろ上手くいくでしょう!」という考えだった(笑)
―暗黒期というのはどういう意味か。
アン・ジヘ:俳優にとって暗黒期というのは作品に出演できないという意味だ。20代後半から30代頭まで大変だった。人々にあまり知られてはなかったけれど、私は私なりに着実に作品に出演してきた。注目してもらいたく、私という人を知らせたいのにそのようなチャンスはめぐってこなかった。1人で苦労するのは容易いことではなかった。
―その暗黒期を1人で耐え抜けた力があったとすれば何か。
アン・ジヘ:私は私に相談する人に「10年耐え抜けるか?」と聞く。自分が叶えたい夢にすべてをかけないとならない。メンタルも強くないと。自分より上手くいっている友達を見ても焦ってはいけない。「あなたはそこまでやってもダメだったんだから、辞めたほうがいいんじゃない?」という周りの声にも惑わされてはいけない。私は私も上手くいけるということを一度も疑わなかった。もちろんこれからもまだまだ道のりは遠いけれど。俳優というのはみんな大変だ。私だけが大変だという考え方は捨てないと。苦労を経験していない者はいない。自分の現在の位置に早く気付き、こだわりを捨てないといけない。
―Mnet「イ・ヒョリのオフザレコード」に出演し、いわゆる“イ・ヒョリの友人”という肩書きも手にした。
アン・ジヘ:そうだ。しかし、それは私の俳優としての人生全体を見てみた時、決して良い修飾語であるとは思わない。イ・ヒョリは有名になる前からすごく親しかった友人だ。すごくカッコよくて力になる友達だ。
―女優アン・ジヘにとって「殺されたミンジュ」とはどのような意味を持つだろうか。
アン・ジヘ:飛躍だ。まだ第一も超えていないので第二の飛躍とまでは言えないけれど(笑) 女優としての人生をスタートさせる出発点だ。もちろん「殺されたミンジュ」の後が重要だろう。色々な面で特別な作品だ。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- キム・スジョン、写真 : キム・ジェチャン
topics