「最後まで行く」チェ・ドンホン武術監督「散々殴られたイ・ソンギュン、本当に申し訳なかった」
※この記事には映画のストーリーに関する内容が含まれています。
「最後まで行く」で小さなディテールから大きなアクションに至るまで、俳優たちが身体を張るシーンにはいつもチェ・ドンホン武術監督がいた。チェ・ドンホン監督は、これまで「1724妓房乱動事件」「白夜行-白い闇の中を歩く-」「クイック!!」「死体が帰ってきた」「ダンシング・クィーン」などの映画で武術監督を務めた。
チェ・ドンホン監督は「最後まで行く」のアクションを“リアルアクション”あるいは“技術を使わない喧嘩”と呼んでいた。お互いにきちんと動きを合わせる格好いいアクションではなく、動きを計算して合わせたとは思えない体を張ったアクションを掲げたのだ。
「武術監督としてより難しいのがリアルアクションです。例えば『マルチュク青春通り』『品行ゼロ』などの作品で登場したのがリアルアクションです。リアルアクションがうまくいった時はそうしたアクションが多く使われましたが、最近では『アジョシ』流の特殊武術を使うアクションがたくさん登場しました。
リアルアクションは動きを合わせることがさらに難しいです。足もよく使えないし、パンチも、関節技も上手く使えません。ひたすら身体とリアクションで次のアクションを作らなければなりません。身体を全て使う動きが多くて難しいです。むしろ華やかなアクションは簡単な方です」
武術監督はリアルアクションを要求する前に、実際に数回のアクションとリアクション、アクションなどが激しくなった時の身体の反応などを経験した後、俳優に教えてあげる。さらに、俳優たちにより速く習得してもらうために、映像を作って与えることもある。
「リアルアクションは俳優たちにとって負傷の危険性が非常に高いです。感情が激しくなると本当に何かを投げたり振り回したりして当たってしまうこともありますので。実際の現場でイ・ソンギュンはチョ・ジヌンにとてもたくさん殴られました。編集された部分が多いですが、散々殴られて本当に申し訳なかったです。モニターを見ながらずっと考えます。『痛いはずだけど……痛くない方法は……ない!』と。
リアルアクションは仕方なく俳優たちが甘受すべき部分が大きいです。プロテクションをしてもらって、相手の俳優にちょっとだけタッチしてもらい、リアクションを大きくしなさいと言っても、実際には多少痛みを感じてこそ感情がこみ上げてきて上手く殴り、殴られながら感情がリアルに表現されます。仕方ない部分があると思います」
「マンションシーンの場合、キム・ソンフン監督があまりにもシナリオを綿密に書いたので、『二人が入ってきて出会う』『この場所でどたばたしてそこに移動する』『机の下から拳銃を取り出そうとする』『部屋に身を隠す』などの動きが全部書いてあります。それを見て僕がどんな場所でどれほど打撃を与えるか、どれだけダメージを与えて大変にさせるかなどを考えます。
その中でも僕はトイレのシーンにより一層力を入れたいと思いました。マンションのシーンで、トイレの中でも現実味のあるインパクトのある華やかなアクションを作りたいと思いました。するとイ・ソンギュンとチョ・ジヌンが、リビングで激しく争いながらトイレまで来たときは、本当に気力が尽きる直前で目が赤くなってくたびれているはずなので、疲れた感じでいこうと提案してきました。
武術監督の立場ではもっと華やかなシーンを考えましたが、感情の部分で二人の俳優の意見を尊重しました。そして、出来上がったシーンを見たら、居間での激しいアクションからトイレまで移動する時の感情がとてもリアルに表現されていました。アクションの美学がよく生きていたと思います」
しかし、チェ・ドンホン監督を非常に緊張させたシーンもあった。それはチョ・ジヌンがコインが詰められた豚の貯金箱でイ・ソンギュンの頭を殴るシーンだった。頭を強く殴られた後、貯金箱の中に入っていたコインは宙に舞って床に落ちる。
「貯金箱は偽物でしたが、その中には実際のコインが入っていました。コインの質感があるので偽物を使うことは出来ませんでした。本当に不安でした。コインは実際に鉄ですごく痛いので、貯金箱が割れてそのコインがイ・ソンギュンの頭や顔にどのように落ちるのかとても不安でした。すごく痛いはずですから。
ところが、本当に幸いなことに一度でOKが出ました。イ・ソンギュンさんが首を掴んで「わ~」と言いましたが、痛いながらも心配しているスタッフに向かって笑ってくれました。今回イ・ソンギュンさんも、チョ・ジヌンさんも体を張って『最後まで行く』のアクションを完成してくれて本当に感謝しています」
マンションの欄干を行き来するシーンもイ・ソンギュンがマンションの19階で実際にアクションを披露したと話した。19階の高さでイ・ソンギュンはワイヤ一つに頼って代役なしで熱演を繰り広げた。
「19階に梯子車を配置しましたが、いくらそうだとしても実際に俳優が代役なしであれほど高いところでワイヤーに頼って演技をするのは容易なことではありません。本当にすごいです。イ・ソンギュンのそんな熱演があって良いシーンが出来上がりました」
その他にも映画の序盤にイ・ソンギュンとチョ・ジヌンが初めて出会って激しい格闘を繰り広げるシーン、コンテナが車の上に墜落するシーンなど、俳優たちのアクションシーンにはいつもチェ・ドンホン武術監督が一緒にいた。チェ・ドンホン監督は「女優がお互いに頬を殴ったり、髪を掴むシーンでもいつも武術監督が一緒にする」と説明した。
すでにアクションを除いて韓国映画を語ることはできないほどで、武術監督の力量が占める割合はさらに大きくなった。しかし、一方で“安全”はいつも関係者が心配する問題だ。
「それでも映画はテスト撮影をしながら時間を作って撮るので大丈夫ですが、ドラマはあまりにも時間がなくて危険なシーンでも早く撮ろうとするケースが多いです。でも、アクションは急ぐと必ず事故につながります。スタントする時だけは余裕を持たなければなりません。
『最後まで行く』のマンションシーンの撮影も、もともと3回で終わらせる予定でしたが、5回に増えました。それでよりディテールを生かしつつも、事故なく上手く終わらせられたと思います。危険なシーンがある時は、少しでも余裕を持って撮影してこそ事故につながらないのです。その部分を配慮して頂ければと思います」
“身体でぶつかるリアルアクションの真髄”
300万人に近い観客を動員している映画「最後まで行く」は、終始観客に緊張感を与えながらも要所要所にアクセントとなる適切なユーモアを配置し、リズミカルな変化を図った。この映画が観客から好評を得たのは、しっかりした台本と上手い演出、俳優イ・ソンギュンとチョ・ジヌンの熱演もあっただろうが、劇の流れに合ったスピード調整が完璧だったアクションも大きく貢献したに違いない。「最後まで行く」で小さなディテールから大きなアクションに至るまで、俳優たちが身体を張るシーンにはいつもチェ・ドンホン武術監督がいた。チェ・ドンホン監督は、これまで「1724妓房乱動事件」「白夜行-白い闇の中を歩く-」「クイック!!」「死体が帰ってきた」「ダンシング・クィーン」などの映画で武術監督を務めた。
チェ・ドンホン監督は「最後まで行く」のアクションを“リアルアクション”あるいは“技術を使わない喧嘩”と呼んでいた。お互いにきちんと動きを合わせる格好いいアクションではなく、動きを計算して合わせたとは思えない体を張ったアクションを掲げたのだ。
感情をよく生かすリアルアクション、負傷の危険性も高い
チェ・ドンホン監督は「ハリウッド映画の『ボーン・アイデンティティ』シリーズ以来、韓国でもそうした(動きを合わせる)アクションを取り入れた。特殊部隊で使うエスクリマ(フィリピン武術)、システマ(ロシアの軍隊格闘術)など、シンプルながらも華麗な動きを映画でたくさん使った」と説明した。続けて、「映画『アジョシ』『サスペクト 哀しき容疑者』などで登場したのが、そのようなアクションだ」と付け加えた。「武術監督としてより難しいのがリアルアクションです。例えば『マルチュク青春通り』『品行ゼロ』などの作品で登場したのがリアルアクションです。リアルアクションがうまくいった時はそうしたアクションが多く使われましたが、最近では『アジョシ』流の特殊武術を使うアクションがたくさん登場しました。
リアルアクションは動きを合わせることがさらに難しいです。足もよく使えないし、パンチも、関節技も上手く使えません。ひたすら身体とリアクションで次のアクションを作らなければなりません。身体を全て使う動きが多くて難しいです。むしろ華やかなアクションは簡単な方です」
武術監督はリアルアクションを要求する前に、実際に数回のアクションとリアクション、アクションなどが激しくなった時の身体の反応などを経験した後、俳優に教えてあげる。さらに、俳優たちにより速く習得してもらうために、映像を作って与えることもある。
「リアルアクションは俳優たちにとって負傷の危険性が非常に高いです。感情が激しくなると本当に何かを投げたり振り回したりして当たってしまうこともありますので。実際の現場でイ・ソンギュンはチョ・ジヌンにとてもたくさん殴られました。編集された部分が多いですが、散々殴られて本当に申し訳なかったです。モニターを見ながらずっと考えます。『痛いはずだけど……痛くない方法は……ない!』と。
リアルアクションは仕方なく俳優たちが甘受すべき部分が大きいです。プロテクションをしてもらって、相手の俳優にちょっとだけタッチしてもらい、リアクションを大きくしなさいと言っても、実際には多少痛みを感じてこそ感情がこみ上げてきて上手く殴り、殴られながら感情がリアルに表現されます。仕方ない部分があると思います」
危険なシーン、余裕を持って撮影してこそ事故につながらない
映画のハイライトとして観客の背筋をゾッとさせたのはエンディングシーンだった。イ・ソンギュンのマンションでイ・ソンギュンとチョ・ジヌンが決闘するシーンだ。拳銃が床に落ちている状況で、ある瞬間誰かに押されたら死ぬかも知れない激しい決闘が繰り広げられる。手に汗握る一触即発の状況でチェ・ドンホン武術監督が作ったリアルアクションが二人の俳優の演技力と調和し、最高のシーンを作り上げた。「マンションシーンの場合、キム・ソンフン監督があまりにもシナリオを綿密に書いたので、『二人が入ってきて出会う』『この場所でどたばたしてそこに移動する』『机の下から拳銃を取り出そうとする』『部屋に身を隠す』などの動きが全部書いてあります。それを見て僕がどんな場所でどれほど打撃を与えるか、どれだけダメージを与えて大変にさせるかなどを考えます。
その中でも僕はトイレのシーンにより一層力を入れたいと思いました。マンションのシーンで、トイレの中でも現実味のあるインパクトのある華やかなアクションを作りたいと思いました。するとイ・ソンギュンとチョ・ジヌンが、リビングで激しく争いながらトイレまで来たときは、本当に気力が尽きる直前で目が赤くなってくたびれているはずなので、疲れた感じでいこうと提案してきました。
武術監督の立場ではもっと華やかなシーンを考えましたが、感情の部分で二人の俳優の意見を尊重しました。そして、出来上がったシーンを見たら、居間での激しいアクションからトイレまで移動する時の感情がとてもリアルに表現されていました。アクションの美学がよく生きていたと思います」
しかし、チェ・ドンホン監督を非常に緊張させたシーンもあった。それはチョ・ジヌンがコインが詰められた豚の貯金箱でイ・ソンギュンの頭を殴るシーンだった。頭を強く殴られた後、貯金箱の中に入っていたコインは宙に舞って床に落ちる。
「貯金箱は偽物でしたが、その中には実際のコインが入っていました。コインの質感があるので偽物を使うことは出来ませんでした。本当に不安でした。コインは実際に鉄ですごく痛いので、貯金箱が割れてそのコインがイ・ソンギュンの頭や顔にどのように落ちるのかとても不安でした。すごく痛いはずですから。
ところが、本当に幸いなことに一度でOKが出ました。イ・ソンギュンさんが首を掴んで「わ~」と言いましたが、痛いながらも心配しているスタッフに向かって笑ってくれました。今回イ・ソンギュンさんも、チョ・ジヌンさんも体を張って『最後まで行く』のアクションを完成してくれて本当に感謝しています」
マンションの欄干を行き来するシーンもイ・ソンギュンがマンションの19階で実際にアクションを披露したと話した。19階の高さでイ・ソンギュンはワイヤ一つに頼って代役なしで熱演を繰り広げた。
「19階に梯子車を配置しましたが、いくらそうだとしても実際に俳優が代役なしであれほど高いところでワイヤーに頼って演技をするのは容易なことではありません。本当にすごいです。イ・ソンギュンのそんな熱演があって良いシーンが出来上がりました」
その他にも映画の序盤にイ・ソンギュンとチョ・ジヌンが初めて出会って激しい格闘を繰り広げるシーン、コンテナが車の上に墜落するシーンなど、俳優たちのアクションシーンにはいつもチェ・ドンホン武術監督が一緒にいた。チェ・ドンホン監督は「女優がお互いに頬を殴ったり、髪を掴むシーンでもいつも武術監督が一緒にする」と説明した。
すでにアクションを除いて韓国映画を語ることはできないほどで、武術監督の力量が占める割合はさらに大きくなった。しかし、一方で“安全”はいつも関係者が心配する問題だ。
「それでも映画はテスト撮影をしながら時間を作って撮るので大丈夫ですが、ドラマはあまりにも時間がなくて危険なシーンでも早く撮ろうとするケースが多いです。でも、アクションは急ぐと必ず事故につながります。スタントする時だけは余裕を持たなければなりません。
『最後まで行く』のマンションシーンの撮影も、もともと3回で終わらせる予定でしたが、5回に増えました。それでよりディテールを生かしつつも、事故なく上手く終わらせられたと思います。危険なシーンがある時は、少しでも余裕を持って撮影してこそ事故につながらないのです。その部分を配慮して頂ければと思います」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- イ・ジョンミン、チョ・ギョンイ、写真 : イ・ジョンミン、SHOWBOX
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