「ユナの街」イ・ヒジュン“心のこもった演技、小心者の性格のおかげです”
写真=BHエンターテインメント
「俳優は活字化された人物を心から僕の心臓に入れるみたいな感じだ」イ・ヒジュンは観察を楽しんだ。相手を理解しようと努力する。俳優になってよかったというイ・ヒジュンが語る俳優の役割だ。11日、JTBCの月火ドラマ「ユナの街」(演出:イム・テウ、脚本:キム・ウンギョン)が放送終了となった。時間が流れてもその余韻だけは忘れられない。チャンマン(イ・ヒジュン)はユナ(キム・オクビン)のそばでずっと幸せだったのだろうか。
「最後の撮影がユナとキスするシーンでした。もらった台本を見たらスワンボートでプロポーズをするようになっていました。それだとただ『スワンボートに一緒に乗りましょう』みたいな感じで受け入れられそうだと思いました。軽く終わってはいけず、心を込めて演技しないと『チャンミンとユナが結婚したかもしれない』という感じを与えることはできないと思いました。撮影はたわいなく、僕の心が入っていないまま終わりました。それで監督に申し訳ないですが再撮影してもいいですか、と聞いてから再撮影しました」
イ・ヒジュンは撮影が続いた7~8ヶ月の間、平均3~4時間の睡眠をとりながらも最後まで真心を盛り込んだ。名セリフ、名シーンが溢れた「ユナの街」だが、残念だったのは視聴率だった。
「運がよかったのか、『棚ぼたのあなた』『オフィスの女王』『チョン・ウチ 時空道士』が全て視聴率の高い方でした。JTBCのドラマに出演したことはないけれど、2~3%の視聴率には適応できませんでした。みんな徹夜しながらがんばって撮影しているのに、視聴者は見てくれないんだなと思いました。俳優よりスタッフの方がもっと気苦労をしました。ところが、映画『海にかかる霧』のVIP向け試写会に行くと、先輩たちがみんな『ユナの街』を見ていると話してくれました。僕の好きな先輩たちが全部見てくれたんだ、人々によい影響を及ぼしているんだと思って力が出ました」
一度見ると妙にはまる魔法のようなドラマ「ユナの街」は、マニア層を形成した。イ・ヒジュンは台本の中でその秘訣を見つけた。庶民の心をうまく表現するキム・ウンギョン脚本家は誰よりもきめ細かく台本を完成させた。
「これからもっといい脚本家に会えると思うけど、キム・ウンギョン脚本家は最高です。こう言うと他の脚本家が寂しがるでしょうか。ほかの意味での最高です(笑) キム・ウンギョン脚本家は本当にたくさん調査します。社会の寂しい人々、悲しみを抱いている人々にたくさん会いました。脚本家の作業室に遊びに行きたいですが、その部屋にはそんな資料がたくさん集まっているんだそうです。『ユナの街』にコーラテックの話が出るじゃないですか。結構の間、そこに通ったらしいです。そうじゃないと、財布にバイアグラを一粒ずつ持ち歩いていることをどうやって知るんですか」
イ・ヒジュンに「最高のセリフ」を聞くと「ユナがダヨン(シン・ソユル)と僕の関係にヤキモチを焼くシーンを脚本家がどうやって書くのか気になりました。イングリッド・バーグマンに対する対話で表現するとは思いませんでした。ものすごく文学的だと思いました。ユナだけが知らない、ダヨンとチャンマンの共感じゃないですか。その裾野に愛の嫉妬を入れたことに感動しました」と答えた。
キム・ウンギョン脚本家のきめ細かい台本に、イ・ヒジュンは心のこもった演技を加えた。些細な部分一つも逃したくなかった。絶えず工夫し、より良いシーンのためにディテールを生かした。特にイ・ヒジュンはチョ・ヒボンと重なるシーンでは様々なディテールを生かしたという。
「チャンマンは出しゃばって仕事を全てした後、一度も元気にワンルームに戻ったことがありません。部屋に戻る時は疲れたチャンマンを演じようとしました。台本にはなかったけど、ただチャンマンの寂しさと孤独さを表現しようとしました」
その心のこもった演技の秘訣は何だろうか。イ・ヒジュンは自身の小心者な性格からはじまったことだと正直に話した。周りの人々の心を理解しようとするとキャラクターを理解する幅も広くなった。それが自然と演技につながった。
「僕の繊細さは小心者な部分から出ると思います。よく拗ねて、小心者だから『あの人はなんでそんな風にするんだろう?』とよく思います。人を観察することが好きです。最初はチャンマンがやさしすぎて理解できませんでした。僕も理解の深いタイプだけど、チャンマンは理解できませんでいた。脚本家に聞いたら、短く『チャンマンは希望だ』と言われました」
希望の火種はイ・ヒジュンの心の奥に響いた。チャンマンの目で世の中を見るようになった。やたらと家にある物を直し始めた。
「普段やっていないことを僕がやっていました。世の中を生きていくことが辛くなるかもしれないと思いました(笑) 『ユナの街』の撮影途中に荒仕事をする人々を見ました。彼らがどんな話をするのか、どんな冗談を言うのかに耳を傾けるようになりました。チャンマンに会って世の中を見る目が熱くなりました。チャンマンは送りましたけど、しばらくそうやって生きていくと思います。近いうちに心を躍らせる、胸が熱くなる作品で戻ってきます」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ファン・ジヨン
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