Vol.1 ― キム・アジュン「『パンチ』最終回、まだ見ていません」
写真=NAMOO ACTORS
初めての母性愛演技。久々にラブコメから抜け出したキム・アジュンの帰還だった。正義そのものであるシン・ハギョンを演じ、自らもシン・ハギョンに夢中になって、まだ抜け出すことができなさそうなキム・アジュンだった。キム・アジュンとの対話は、シン・ハギョンとのもののように続いた。ここ3ヶ月、母性愛で涙を、信念で悟りをくれたシン・ハギョンとして生きてきたキム・アジュンは記者にまだシン・ハギョンを、「パンチ」を送ることができていないと告白した。それほど深く没頭したから抜け出すことがそんなに難しいだろう。キム・アジュンと「パンチ」の中のシン・ハギョンと同時に顔を合わせているような気持ちはインタビューの始まりから終わりまで続いた。
―撮影終了から1週間が過ぎた。感想は?
キム・アジュン:まだぼんやりしています。旧正月の連休にもずっとぼんやりしていました。終わった実感もないし、整理ができていない状態です。どの作品も同じだと思います。作品が終わってから数ヶ月から1年ほど経ってからこそ作品に対する正確な判断ができます。今はまだ現場に行かなきゃと思ったり、イェリン(キム・ジヨン)に会いたくなったりします。私はまだ最終回を見ていません。打ち上げパーティーの時、みんなテレビの前に集まって見ていましたけど、私は見ることができませんでした。心の整理の前に最終回を見たら本当に終わってしまうような気がして。
―あいにく「サイン」以来4年ぶりに「パンチ」の最終回でも放送事故が起きた。
キム・アジュン:「サイン」の最終回でも放送事故が起きましたが、「パンチ」でも起きました。SBSでも3~4年ぶりのことだと聞きました。あいにくだなと思いました。でも私が出演した少ない作品のうち二つだから…
―3年ぶりのドラマカムバックだ。空白が長かった理由は?
キム・アジュン:特別な理由はありません。いつも熱心に、たくさん仕事をしようと思っていました。わざと休みを取ったこともありません。縁のある作品を探すタームが他人より長いと思います。
―久々にラブコメではないジャンルを選んだ。
キム・アジュン:ラブコメでもほかのジャンルでも、毎回チャレンジだと思います。同じラブコメでも新しい作品だし、キャラクターが異なるからです。私は毎回新しい気持ちで臨むタイプです。実は今回の作品も個人的に変身しよう、ほかのことにチャレンジしてみようと思ったというより、ただ作品自体が心に入ってきたから、そのような意味で「よい作品をしよう」と思っただけです。視聴者は私の演技からちょっと新しいものを感じたと思いますが。
―「サイン」も「パンチ」も同じく重い雰囲気だったのに“キャラクター変身”と言われたのはなぜ?
キム・アジュン:いつも新しいチャレンジだと言われました。「サイン」の時も再発見だと言われましたね(笑) このようなジャンルで、さらに女性キャラクターが主体的に描かれる作品が少なかったから、だからそう見てくれたと思います。私だけを見て新しさを感じたわけではなく、ドラマ的にも新しい試みだったからそう見てくれるんだと思います。
―初めての母親演技はどうだったか。
キム・アジュン:最初から最後までプレッシャーでした。私が知らない分野ですから。母親役にキャスティングされた時、脚本家に言いました。「とてもよかったけど、この役割は本当の母親である俳優が演じるのが正しいと思う」と。母性という感情がすべての動力の源になるキャラクターですから。でも脚本家と監督に「それはみんなで解決する部分だ。ただの母親として生活力が必要な演技じゃなく、主体的なキャラクターだ」と言われてやってみようと思いました。子どもを産んだことはないけど、イェリンを本当に愛すればそれと似たように見えるのではないかなと思いました。私は間違ったことを正す母で、ジョンファン(キム・レウォン)は抱いてくれる父でした。母と父も異なるタイプでした。
―未婚の女優が母親役を演じた。その次のキャスティングが心配にならないか。
キム・アジュン:私は嬉しかったです。私はむしろこのようなキャラクターの出演オファーがあまり入らないタイプの俳優です。同じ年齢帯のキャラクターの出演オファーが入っても、シングルライフを楽しむ女性のキャラクターであり、母性愛を表現するキャラクターは入ってきませんでした。演技の領域を広げることができると思っていいと思いました。母親だからといってオールドな感じがするのではないか、早く過ぎてしまうのではないかという懸念はありませんでした。知人も私に母親役のオファーが入ったのは意外だと言っていました。むしろそのようなイメージがなかったから温かいイメージも持てるし、役に立つのではないかと思って選びました。
―演技に穴がないと言われるほど賞賛された。
キム・アジュン:チョ・ジェヒョン先輩と一緒に演技をするシーンが少なくて残念でした。そばで会いたかったです。彼は演技をどうするのか、気になりました。それが本当に残念です。みんな演技が上手な方で、それぞれ演技に接近する方法も異なりました。それが一番面白かったです。「こう解釈したんだ。こう表現したんだ」ということ。演技は様々だ、だから面白いんだと感じるきっかけになりました。チェ・ミョンギル先輩やチョ・ジェヒョン先輩、パク・ヒョクグォン先輩も昔から演技をしてきた年輪を見せてくれる俳優でした。ご飯を食べて、息をするように自然で楽な演技を感じました。
―キム・レウォンとの呼吸はどうだったか。
キム・アジュン:とてもよかったです。後半には時間に追われてあまり話せなかったけど、最初はたくさん話しました。演技と呼吸について感謝しています。息がよく合ったと思います。演技をしながら微妙なことを感じます。お互いに集中して話しているような感じがする俳優、自身の演技ばかりしているような気がする俳優がいます。キム・レウォン先輩は息が合うと思える俳優でした。
―子役俳優キム・ジヨンの演技がとても上手だと言われている。
キム・アジュン:私は子役俳優だと思いません。女優さんだと思います。作品解釈やキャラクター分析も素晴らしかったし、感情演技も完璧でした。主体的な女優でした。
―轢き逃げシーンでは身を惜しまない熱演を見せてくれた。
キム・アジュン:Bチームの監督とフリービジュアルを見ながら相談しました。ボディカメラを持って来てくれました。ドラマ現場でボディカメラを使ったのは初めてのような気がします。カメラを体に装着し、車に向かってジャンプして転びましたが、面白かったです。武術チームから急いで学びました。カメラを掴んで演技をしながら実感がわきました。まったく怖くはなかったです。
―比重が大きくないシン・ハギョン役を選んだ理由は?
キム・アジュン:役割の大小より、パク・ギョンス脚本家が一つ一つのキャラクターに生命力を吹き込む作家だということを知っているから、役割の大きさや分量よりどんなに完成度があるのかが大事だと思いました。パク・ギョンス脚本家は「裏切り熱戦の締めくくりはハギョンがしなければならない」とよく言っていました。「締めくくりはハギョンでなければならない」と。それで最初と最後の締めくくりに気を使いました。男性が多く登場する作品では女性の役割があいまいになる場合が多いです。どんなキャラクターなのかちゃんと説明もできていない場合も多いですが、うちの作品はそうじゃないからチャレンジしがいがあったと思います。
―唯一の正義感溢れるキャラクターだったが、魅力的だった。演技の感想は?
キム・アジュン:パク・ギョンス脚本家も最初から「シン・ハギョンは正義感溢れる信念を持っている検事だけど、ひたすら優しくはない人だ」と言っていました。私もそう理解してから演技をしました。ビジネスも愛も可能で、適当な地点で妥協するが、だからといって本質を曇らせない路線を守ったからこのキャラクターを魅力的に表現することができたと思います。検事宣誓に一番相応しい検事タイプでした。だからといってひたすら純真でやさしくない人物なので面白かったです。だから魅力的でしたし。
―「パンチ」はキム・アジュンにとってどんな作品だったのか?
キム・アジュン:たくさん演技をしてみたいと思いました。これからもしたいと思わせてくれた作品です。演技は様々な解釈ができる、様々な表現ができるということを感じながら「演技が面白い」と思いました。長い間演技をしてきた先輩と共に演技をしながら「私もたくさん演技をしたい」「たくさんして演技を生活化させたい」と思いました。演技に対する愛情を大きくしてくれた作品です。「パンチ」によって私がどう変わるかは時間が経った後に分かると思います。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- ムン・ジヨン
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