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キム・レウォン、欲張りな俳優が語る「パンチ」の余韻

TVレポート
写真=キム・ジェチャン記者
会うたび“本当に欲張りだな”と思える。作品に対する態度がそうであり、作品を終えた後、彼が語る余韻がそうだ。始まりから生放送だったSBSドラマ「パンチ」(脚本:パク・ギョンス、演出:イ・ミョンウ)を終えたキム・レウォンは、今回も「すっきりした」と話しながらも、細かく自分が演じたシーン一つ、部分一つを抑えながら心残りを打ち明けた。

今回のドラマでキム・レウォンは、成功という目標のためにがむしゃらに走る検察パク・ジョンファンを演じた。ドラマで非理の検察の温床だった彼は余命6ヶ月の宣告を受け、徐々に変化した。野望に満ちた眼差しから死が近づくほど苦痛にもがく姿、娘への切実な愛情まですべて盛り込んだ彼の演技に、視聴者は賛辞を送った。

俳優キム・レウォンにとってドラマ「パンチ」は多くのものを残した作品だ。何より視聴者から「キム・レウォンはこんなに演技が上手な俳優だったのか」「代表作を変えた」と言われるほどだ。

旧正月連休が終わり、静かな韓国伝統家屋で行われたインタビュー。自身だけを見つめる視線に慣れていないのか、身なりを整えたり両手を合わせてみたり、記者が渡した名刺を見てみたりする姿が「パンチ」のパク・ジョンファンとはまた違った。どこからか彼を「ジョンファン」と呼びそうなこの場所で、彼は「パンチ」と最後の別れをした。

「もし、パク・ジョンファンと似たキャラクターを演じることになるとしても、ここまで劇的に変わる人物ではないと思います。死を前にしても諦めない人物、また出会うのは難しいでしょう?」(以下、一問一答)

―ドラマの放送が終わってから旧正月連休が始まった。連休はどのように過ごしたのか?

キム・レウォン:連休の間、たくさん食べました。実はドラマを撮影している間、体重がかなり落ちたので頑張って食べました(笑) 映画「江南(カンナム)1970」のクランクインのとき、以前の体重から15kgほど減量しましたが、「パンチ」を撮影しながらさらに痩せました。ドラマの撮影中は体重を量る時間もなくて確認できませんでしたが、放送終了の打ち上げまで終わって確認してみると、「パンチ」の撮影が行われた2ヶ月間、約5~6kgほど痩せました。様々な面でキャラクターに合うようになりました。

―ドラマの前半、キャラクターのために体重調節をすると話したが。

キム・レウォン:「パンチ」が始まる前は意図的にコントロールしていました。良くむくむ体質なのでサラダを主に食べましたが、画面では“効果的に”体が悪そうに見えました(笑) 余命宣告をされたキャラクターなので「リアルに見えるだろう」と思い、あえてもっと厳しくしました。しかし、撮影が重なるにつれて疲れも溜り、骸骨のように見えたので食事量を急激に増やしたりもしました。しかし、撮影があまりにも忙しくて太ったりはしませんでした。どれだけ食べても寝られないと、体重がすごく落ちました。

―「パンチ」終了後、視聴者は「キム・レウォンの代表作が変わった」という。そう思うのか。

キム・レウォン:ドラマを見てくれた方々、これまで僕の演技を見てくれていた方々がそう話してくれるのなら、感謝する限りです。しかし、正直僕は良く分かりません。

―立て続けに男らしい演技を披露したが、もう“ロマンス”は諦めたのか。

キム・レウォン:ロマンスも男らしい演技も逃したくありません。正直に言って、「江南ブルース」で強い演技を見せてすぐに「パンチ」に出演するのが、僕にとっては悩みでした。重い役が繋がることもあり、準備する時間もすごく少なかったので。しかし、結果的には良い選択だったと思います。

―多少物足りなかったロマンスはキム・レウォンとパク・ヒョクグォンが埋めたとも言われている。

キム・レウォン:今回のドラマは良い方々と共演しました。特に、パク・ヒョクグォン兄さんとは演技に関する深い話もたくさんしました。演技の話をし始めると、時間が経つのも忘れていました。チョ・ジェヒョン先輩とは、言わなくても互いに伝わる何かがありました。

―チョ・ジェヒョンとの共演は?

キム・レウォン:言うまでもありません。ドラマ前半に公開されたワンシーンはお互い違う空間で、違う時間に撮りましたが、まるで互いを予想したかのように演じていました。チョ・ジェヒョン先輩が僕の演技を受け取ってくれました。僕が何も知らなかったとき(※二人は2003年、ドラマ「雪だるま」で共演した)には考えもしなかった共演ができました。「今回は君がついてきて」「今度は僕がリードする」とあらかじめ準備をするのではなく、正確に演技で、台詞で投げて「あ、これは僕がついていくものだ」「これは僕がリードするものだ」が互いに分かりました。呼吸が良かったと表現すればいいのでしょうか。

―10年前に比べ、「チョ・ジェヒョンと息が合うほど成長した」と理解してもいいだろうか?

キム・レウォン:(手を横に振りながら)それは違います。もう~。チョ・ジェヒョン先輩が僕を引っ張ってくれました。僕は、演じる前に分析したり、家で前もって準備をしたりもしますが、チョ・ジェヒョン先輩とはそれがまったく要りませんでした。しかも、台詞を覚えきれずに撮影に入っても、先輩と息を合わせるときは、台詞が自然に出てくる状況が作られます。それは非常に難しいことであるにもかかわらず、それが出来るようにしてくれるのです。チョ・ジェヒョン先輩が。

―休む間もなく映画に続き、ドラマまで。苦労しなかったのか?

キム・レウォン:映画とドラマの演技は違うところが多いです。上手下手の問題ではなく、表現的な方法においてです。ドラマは視聴者を正確に理解させる表情と顔が必要ですが、映画はもう少し考える時間を与えるといいましょうか?しかし、僕は「パンチ」を撮影するときも映画の演技をしました。少し節制して表現しても、十分にパク・ジョンファンのキャラクターを見せることが出来ると思いました。周りは「なぜ演技をしないのか」と疑ったそうです。ワンシーンごとをすべて繋げて見ると、“演技をしている”のにです。結局、放送されてから僕のことを理解したそうです。

―結末を知って演じる映画とは異なり、ドラマは結末が分からない。特にドラマは撮影直前に台本が出来上がったりもするので、その先の物語が分からない状況も発生するが?

キム・レウォン:その部分はとても残念です。時間に追われると演出者と話し合う時間がドラマ後半になるにつれ、なくなります。毎回残念です。しかし、仕方ない部分だと理解はします。

―「パンチ」において残念な部分があったのか。

キム・レウォン:ジョンファンが取調室で倒れるシーンは……台本がもう少し早く出来上がっていたら、僕の演技に対する計算は出来たのではないかと思います。そうすれば、ドラマもさらに良くなっただろうし、パク・ジョンファンという人物もインパクトのある終わりを迎えたと思います。前半は僕の演技における強弱調節を計算して演じましたが、後半に向かうほどそのような時間がなかったため、僕自身の計算にもミスしたところが多くありました。僕が確信できないときは何度も考えたり、演出者に「このタイミングで音楽が流れるのか」と聞いたりしますが、それが出来ませんでした。恐らく「パンチ」の出演者の中で、僕が一番残念だと思います。他の人たちは自身のキャラクターを分析する時間くらいはあったと思いますが、僕は露出が多いので相対的に少なかったです(ため息)。正直、どんな俳優でも作品が終わると残念さと未練が残ると思います。そういうところです。

―「パンチ」の結末、ドラマでのパク・ジョンファンの結末には満足しているのか?

キム・レウォン:僕はただ、パク・ギョンス脚本家の作品の一人の人物を演じただけなので、結末から来る心残りはありません。ただ、ドラマの話数が多いため、物語として揺らいだところが発生したりしましたが、そのような部分が少しだけなくなったらどうだろうという心残りはあります。今も十分満足しているし良いですが、もしそうだったら更に完成度の高い終わりになったと思います。

―パク・ギョンス脚本家の作品にまた出演する考えは?

キム・レウォン:パク脚本家の台本には魅力的な台詞がとても多いです。独白のような部分も多く、まるで演劇のような台詞が多く、ある俳優たちは多少慣れなかったりもしますが、僕が元々そのような台詞が好きです(笑) 少しでも準備する余裕さえ与えられれば、また出演したいです。

―パク・ジョンファンと別れながら最後を振り返ると?

キム・レウォン:僕にまたこんな役が来るか分かりません。似たような状況の中で、似たような人物がもう一度与えられるのなら、もう少し深みがあり、内面を見せられる演技が出来ると思います。しかし、パク・ジョンファンに似たキャラクターを演じるとしても、ここまで劇的に行ったり来たりする人物ではないと思います。死を前にしても諦めない人物、また出会うのは難しいでしょう?

―2015年、俳優としての目標は?

キム・レウォン:旧正月連休が終わり、これまで受け取ったシナリオを見始めました。映画やドラマ、ジャンルにとらわれず次期作を検討しています。もし、ドラマに決めるならもう少しリラックスしたキャラクターを見せたいという欲がありますが、まずは僕にオファーがあった作品を見てみようと思います。遅くても今年下半期には作品をしなきゃと思います。冗談半分、真剣半分に話すと今年、僕の勘は悪くないと思います。ハハハ」

元記事配信日時 : 
記者 : 
チョ・ヘリョン
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