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「チャンス商会」カン・ジェギュ監督“チャンヨル、始めはEXOのメンバーだと知らなくて…”

OSEN
写真=ミン・ギョンフン記者
「銀杏のベッド」(1996)「シュリ」(1998)「ブラザーフッド」(2003)カン・ジェギュ監督の作品はそれこそ韓国映画の興行の歴史だ。ヒットした映画が彼の映画だとも言える。

しかし、2014年に発表した短編映画「あの人に逢えるまで」は、本当に私たちが知っているカン・ジェギュ監督なのか疑わしいほどだ。ジャンルは心打たれる恋愛ドラマだ。今回はもっと可愛く、愛らしい映画を発表した。韓国で9日に公開された「チャンス商会」(制作:ビッグピクチャー)だ。

「チャンス商会」は気難しい70歳の老人のソンチル(パク・グンヒョン)が、近所に引っ越してきた女クムニム(ユン・ヨジョン)に心を奪われ繰り広げられるストーリーを描く。前半は可愛く素朴な魅力で観客をときめかせ、後半は感動のメッセージを伝える。韓国ではなかなか見当たらない老年の恋愛を通じて彼は「恋と世代に対する偏見を解消したい」との希望を述べた。彼に「チャンス商会」に関する話を聞いてみた。

―ジャンル的には既存の作品と違いがある。恋愛に興味を覚えた特別なきっかけがあるのか。

カン・ジェギュ監督:今まで特定のジャンルにこだわったわけではない。ジャンルを問わず、したい話をしただけだ。当時は韓国映画に戦争もスパイもなかったこともあり、好きなジャンルでもあった。もちろん、恋愛ジャンルもやりたいタイプのジャンルだった。あいにく、機会に恵まれなかった。興味を持つことが変わったり、自身の領域内にないものに対する挑戦ではない。

―人に集中する映画を撮りたいと述べたが。

カン・ジェギュ監督:「マイウェイ 12,000キロの真実」であれ「ブラザー・フッド」であれ、大作は集中しなければならない要素が多すぎる。タンクや破片、爆弾は物であり対象だが、一種の役者だ。銃を撃ったのに銃弾が出なかったら、それもNGだ。破片がうまく弾かなかったり、血が十分に出ないことも同じだ。その時の役者の演技が良くても、そのシーンを使えない。外部の要素や環境が支配する映画ではなく、俳優だけに集中できる映画を撮りたかった「チャンス商会」は雪が降り、雨が降り、落ち葉を散らしたこと以外はそのような要素がなかった。求めることと一致する映画だった。

―脚本家が別途いた。脚色する過程で重点をおいた部分はあるのか。

カン・ジェギュ監督:イ・サンヒョン脚本家がシナリオを書き、パン・ウンジン監督が脚色をした後、シナリオをもらった。同じストーリー構造だが、自身なりの方式で変化を加えた。非常に良い感じのシナリオだったが、演出者が用意に演出できるシナリオではなかった。そのような部分に重点をおいて手を加え、私のスタイルと色を盛り込もうとした。家族と周りの人物をもう少し具体化し、拡張した。

―映画でパクちゃん(ファン・ウスレ)が不良たちをやっつけるシーンがかなりコミカルだ。

カン・ジェギュ監督:中盤あたりまで軽く、軽快な流れにしたかった。その範疇で人物たちが調和したと思う。

写真=ミン・ギョンフン記者
―後半では雰囲気ががらりと変わる。前半と後半の色が違うが、かなり悩んだと思われる。

カン・ジェギュ監督:謎が解けるまでの過程、その後の話にあるが、変化の地点まで表現や感情の度合いをどう変奏するかが難しい部分だった。「チャンス商会」はミステリー映画ではない。ミステリーならトリックを使えるが、ここではそうではない。事件と状況を緻密かつ精密に組み合わせて事件を解決する内容ではないため、転換点まで人物の感情と状況をどうリードするかに対する解決方法を探すことが簡単ではなかった。役者たちも最初はこれで苦労した。精密さが要求される地点があり、撮影初期段階で俳優とたくさん話し合った。

―制作発表会で「チャンス商会」は3年前に亡くなった母に捧げる献辞としながら、父の話を持ち出した。さらに「映画のキャラクターに父の実際の姿がたくさん盛り込まれている」とも発言した。

カン・ジェギュ監督:父が認知症を患って1年になった。映画の撮影がほぼ終わる頃に酷くなった。撮影をしながら時には胸が詰まる気分がした。撮影途中、父のことを思い出したりした。しかし、私と父だけでなく、数多くの患者と家族がいる。個人の痛みだけではない。

―それでは、ソンチルのキャラクターのモデルになった実際の人物がいるのか。

カン・ジェギュ監督:ない。ソンチルは架空のキャラクターだ。ただ「チャンス商会」のように小さな店から出発し、大きなスーパーになっていく過程は私の家と似ている。両親も小さな店を営み私たちを育てた。両親の店も「○○商会」だった。そういった部分で格別な愛着を持っている。

―映画で水踰(スユ)という実際の地名を使う。特別な理由があるのか。

カン・ジェギュ監督:映画の背景がソウルということを知っているので、あえて偽の地名を使う必要性を感じなかった。観客の一人として、映画やドラマで偽の地名を使うと「これは偽者」と言っているような気がする。実際、同地域で撮影を行い、その地域の住人の方々が協力してくださって無事撮影を終えた。映画でのイメージと合う場所をロケ地として物色したが、水踰が一番良く似合っていた。スーパーを中心にクリーニング屋と中華料理の店、花屋が一つのフレームに収まる場所はそこだけだった。スーパーとクリーニング屋は実際の店で、中華料理の店はセットだ。花屋は空いた店にセッティングした。

―映画の地域共同体は固い絆を持っていて、温かい。スーパーとクリーニング屋、中華料理屋の店員が仲良く暮らす。そのため「優しい映画」との評価もあるが。

カン・ジェギュ監督:「この映画がどれだけリアリティを反映したか」に対する話だが、「チャンス商会」は再開発をめぐる生存競争をテーマにした映画ではない。ストーリーを運べる環境が必要だった。そのため、それに合う人物を持ってきた。

―パク・グンヒョンとユン・ヨジョン、2人の“先生”と共にした。映画界の大先輩との撮影で困難はなかったのか。

カン・ジェギュ監督:事前に十分話し合った。撮影に入る前に二人とミーティングをした。撮影に必要だったり、事前に知っておくべきことについて聞いた。ユン・ヨジョン先生は、午前の撮影は難しいとされた。パク・グンヒョン先生は夜になるとアレルギー症状があり、目に毛細血管が浮かび上がって夜の撮影が難しいとされた。お二人が会える時間は午後だけだった。少し難しかったものの、それは合わせれば良い問題だった。そのおかげでお二人とも現場に来ると楽だとおっしゃった。それで、さらに一生懸命してくださった。そのようにしてお互いに信頼もできた。お互いをどれだけ理解するかが重要だと思う。

―演技の部分では心配が要らなかっただろう。

カン・ジェギュ監督:たくさん勉強した。些細なことからはじめ、色々と助けてもらった。ワルツの修了式のシーンは、パク・グンヒョン先生がアイデアを出した。当初はクムニムのバケットリストの一つとして少し触れるだけのシーンだったが、修正され、ソンチルとクムニムの愛が絶頂に至るシーンになった。私がそれに加えてチャンス(チョ・ジヌン)と町の人たちが応援に来る設定を入れた。ここまで応援すると、再開発に反対するソンチルがはんこを押してくれるのではないかと思った(笑)

写真=ミン・ギョンフン記者
―パク・グンヒョン、ユン・ヨジョンに負けないほど、チョ・ジヌンの演技が輝いていた。

カン・ジェギュ監督:普段はあまり泣かないが、ドラマ「ソル薬局の息子たち」(2009)を見ながらチョ・ジヌンのせいで泣いた。その時、あのような俳優がいるんだと思った。チョ・ジヌンは演技をするのではなく、リアルに表現する。映画に「僕の親父がこう言いました。息子は胸に重くのしかかった石のようなものだと」という台詞がある。チョ・ジヌンほどその台詞を格好良く言える人はいないと思う。編集するたびにチョ・ジヌンがその台詞を言うシーンが出ると涙ぐんだ。男を泣かせる男だ。

―EXO チャンヨルの出演はどう決まったのか。可愛いイメージに良く合う役柄だ。

カン・ジェギュ監督:考えていた映画のイメージと良く合っていた。最初はEXOのメンバーだと知らず、イメージ資料だけを見てキャスティングした。キャスティングしてからEXOのメンバーだと言われた。目があまりにも澄んでいて、見ていると微笑んでしまう。いつも笑顔なので現場の“ハッピーウイルス”だった。チャンヨルが現場に来る日は雰囲気が更に良くなった。演技は初めてで大きなプレッシャーを感じ、たくさん悩んでいるようだった。しかし、役柄とイメージに合わせ、真面目にやってくれた。

―映画にペク・イルソプとイム・ハリョンが短いが強烈に登場した。

カン・ジェギュ監督:好きな方々だ。ペク・イルソプ先生は個人的な知り合いではないためお願いすることが難しかったが、長文の携帯メールを送った。率直な気持ちを込めた。小さい役だが一緒にやりたいと書いた。「分かりました」と返信が来た。イム・ハリョン先輩も似たような感じだ。本当に好きな方なのに小さな役で申し訳なかったが、快く許諾してくださった。お二人に大きな借りができた。

―同じ日にイム・グォンテク監督の「ファジャン」が公開された。2人の巨匠の対決、老年または中高年の愛など、比較される部分がある。

カン・ジェギュ監督:「ファジャン」のほうも我々も、公開について非常に悩んだと思う。これがお互いに最善だと思ったのではないだろうかと思う。むしろ前向きに考える。4月の映画市場は伝統的にオフシーズンの中のオフシーズンだ。4月の映画市場が冷えきっているからこそ、観客が興味を持つよう盛り上げる必要がある。競争してお互いの観客を奪うのではなく、奪えるものもない。お互いが映画市場を盛り上げ、市場に温かい気運を吹き込む必要がある。シーズンには公開日に敏感になることもあるが、オフシーズンなのでお互いに力を合わせる必要があるのではないかと思う。お互いに役立ちたい。

―「チャンス商会」を見て観客に感じて欲しいことは?

カン・ジェギュ監督:愛が完成する時点は結局家族の愛なのではないかと思った。そのような愛を感じていただきたい。また、世代と恋に対する偏見がこの映画を通じて解消されればと思う。多様性という側面から韓国映画の最近の流れが多少残念だ。もう少し多様な階層の話が必要だが、観客が映画関係者たちをリードする。投資のために企画段階から観客だけに合わせて行く部分がある。新しい試みをしてみようとすると「それは韓国ではだめだ」と言われる。芽が育たなくする。映画関係者たちが警戒すべき部分だ。視野と視線を広げる必要がある。

―次期作の計画は?

カン・ジェギュ監督:「チャンス商会」の前から準備していたシナリオがある。4月下旬にシナリオができる。アクション映画ではない(笑) 1990年代が背景の映画だ。楽しい映画になるのではないかと思う。
元記事配信日時 : 
記者 : 
キム・ユンジ
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