上野樹里&BIGBANGのT.O.P、ハードな撮影エピソード「隠れてセットのトイレでひとりで泣いてた(苦笑)」
初恋の人を失い韓国に渡った駆け出しの女優ハルカと、日本で暮らしながら、愛に関するドキュメンタリーを撮る映画監督志望の青年ウヒョン。心に傷を負った2人は、スマホに届いたひとつのメッセージをきっかけに運命的に出会い、顔も知らぬまま惹かれあっていく……。上野樹里とBIGBANGのT.O.PことT.O.P from BIGBANG チェ・スンヒョンがW主演したウェブドラマ「シークレット・メッセージ」は、アジア4ヶ国で同時配信されるグローバルプロジェクト。韓国からはチェ・スンヒョンの他に、ハルカの劇団仲間役で「イニョン王妃の男」のユ・インナ、「野王」のイ・ジェユン、CROSS GENEのシン、ウヒョンの元恋人役で「イニョプの道」のチョン・ユミ、先輩役で「星から来たあなた」のキム・ガンヒョンらが参加。ウェブドラマ=小品佳作というイメージを覆す豪華キャストと、ハイクオリティの映像美が注目されている。撮影の裏でどんなドラマがあったのか、主演の上野樹里とチェ・スンヒョンに話を聞いた。
―本作への出演が決まったときのお気持ちは?上野樹里:今回はグローバル・プロジェクトということで、まずはウェブドラマという新しい分野での作品作りに興味をもちました。韓国にはこれまでもよく行っていましたが、お祭りや宣伝ではなく、いつかは韓国制作の作品に出てみたいという想いもあって。アジアを中心に同じ時間帯に同じドラマを共有できる点や、携帯を使って、どこでも、何回でも、誰とでも見ることができる点も気に入りました。また、すごく身近なツールのLINEがテーマになっていて、リアルでありつつ、ピュアでチャーミングなところもあるラブストーリーにも惹かれました。言語が違う2人はLINEの翻訳機能を通して知り合っていきます。実は最初、T.O.Pさんが共演と聞いたときは、スターなので、相手役が私で釣り合うのかな、と心配しました。でも、このような、ちょっとファンタジーの要素もある、自分の心の傷を克服していく2人の小さなお話を、T.O.Pさんと一緒に演じるのはレアなことだな、とも思いました。
チェ・スンヒョン:韓国ではウェブドラマというコンテンツがどんどん発展しています。市場規模が拡大していくなか、そのスタートとなる作品に参加できるのは面白いと思いました。また、僕は毎年のようにコンサートツアーで日本を回っていますが、今まで日本の作品に出たり、日本の俳優さんと共演する機会がなく、一度は経験してみたいと思っていました。そんなときに、日本で一番好きな上野樹里さんと共演できることになってとても嬉しかったですね。このドラマは、韓国で暮らす日本の女性と日本で暮らす韓国の男性が、最初は顔も知らないけれど、少しずつ交流を深めていって、やがて互いの心の傷を癒す存在になっていく、というストーリーです。上野樹里さんは日本語、僕は韓国語で演技するのですが、その場合どのように呼吸を合わせていくのか? という好奇心もありました。言葉が通じないのにもかかわらず、リアクションをとらなければならないのだから、これは新しい経験になる、と思いました。
実際に共演してみたお互いの印象は…
―実際に共演してみたお互いの印象は?上野樹里:顔を知らない2人がすれ違うシーンが最初の撮影でした。T.O.Pさんはモッズコートを着てカメラを持っていました。BIGBANGのT.O.Pさんといえば、キラキラした、キマッてるイメージがあるじゃないですか(笑) でも、その姿は本当に裏方志向の人のようで。静かに現場に存在している姿を見て、ああ、ウヒョンだな、と思いました。
チェ・スンヒョン:僕が上野樹里さんを最初に見たのは、無言劇をしている姿。とても素敵だな、が第一印象でした。共演してみて、とても繊細で、いい意味で敏感な感覚を持ち合わせているひとだなと思いました。女性らしくて、感性豊かな女優さんだな、とも思いました。
上野樹里:ほめてもらってばっかり(笑) 7話に妄想のなかのデート・シーンが出てくるんです。分割画面で、日本と韓国にいる2人が、まるで隣同士にいるみたいな映像があって、いろんなところを2人で歩いて回るんですが、T.O.Pさんは、いま韓国で流行ってるギャグや、今の子たちがリアルに笑えるような言葉や言い回しにすごくこだわっていて、細かく直して丁寧に作っていました。時間がないなかでも妥協しない、そこが本当に素晴らしいなと思いました。
「撮影がハードで隠れてセットのトイレでひとりで泣いてた(苦笑)」
―撮影期間が短かったそうですが、印象に残ったシーンは?上野樹里:無言劇のところですね。最初、韓国のダンスの先生を紹介されたんですが、映像を見たらレベルが高すぎて(笑) ハルカが2週間程度でできるレベルのものが作品に合っていると思ったので、日本でたまにレッスンさせていただく先生と一緒に、2時間スタジオに入って作りました。それを自分で練習して撮影に挑んだのですが、監督さんから「抜粋して使うだけだから、」と言われていたわりには、演じたシーンが全部使われていてビックリしました(笑) ハルカが言葉の通じない韓国に渡り、不器用ながらも弱みを克服する、身体で表現して殻を破っていく……自分なりに等身大のハルカの気持ちになって手作りできたシーンを、そのまま監督が映像に仕上げてくださったんです。これは普通にはないことだと思うので、印象に残りました。
チェ・スンヒョン:僕はもともと建築物に関心があって、日本や韓国の昔ながらの伝統建築がすごく好きなんです。今回、日本の古い建物で撮影したシーンがありました。僕はその家がとても気に入って、タイトなスケジュールで体は疲れていても、その家からいい気をもらっていました。実は、今回撮影がとてもハードで、一日に2~3時間しか寝られなかったんです。僕が今まで活動してきたこの10年の中で、こんなに大変なことはなかったと思うくらい大変でした。それで、誰も見ていないときに、みんなに隠れてこっそり、セットのトイレでひとりで泣いてたことがありました(苦笑)
上野樹里:泣いてたんですか?
チェ・スンヒョン:すごく眠かったんです。
上野樹里:泣くくらいだったら寝たらいい(笑) 私はお昼ご飯を食べる時間に、衣装を着替えるところのカーテンを閉め切って寝てました。
チェ・スンヒョン:でも僕は食事の時間はちゃんとご飯を食べたいんです(笑)
上野樹里:私は撮影の合間にキンパ(韓国式海苔巻き) を食べてました(笑)
顔も知らない相手とメールのやりとりで恋に落ちる可能性は…
―実際にご自分が、顔も知らない相手とメールのやりとりだけで恋に落ちる可能性はあると思いますか?上野樹里:ハルカの場合は失った初恋の人のアカウントからメッセージが来るというところが大きいと思います。ハルカにとって初恋の人はとても大きい存在でした。それなのに突然別れがきて、そこにLINEというツールで、誤作動でウヒョンからのメッセージがくる。LINEのやりとりって、相手がそばで一緒に過ごしてくれているような、そんな感じがすると思うんです。その交流で、ハルカの心にぽっかり空いた穴が、徐々に癒されていく。でも、これはかなりレアなパターンですね。どういう顔をしてメッセージを打っているのか、もしかしたら全部嘘なのかもしれないし、やっぱり顔を合わせて会ってみないと普通はわからないですね。でも、今回は2人が日本と韓国にいるというタイミングや、模索しているテーマが近かったりもして……自分にはそういう経験がないのでわからないけど、そんな運命的な出会いがあったら、そういうこともありうるかもしれないですよね。
チェ・スンヒョン:ドラマの中のウヒョンは、初恋で心に傷を受けて、とても孤独で寂しい想いをしています。その感情に同調できたからこそ、このキャラクターを作ることができたと思っています。自分も同じ状況に置かれたらこうなるだろうと考えました。偶然連絡を取り合うようになった女性と、LINEを通して日常的な会話を交わしながら親しくなっていく……。人は寂しいとき、なにげない会話に気持ちが慰められることがありますよね。男と女の関係では、そこから友だちになったり恋人になったりもする。特に男はある意味単純な生き物なので、こういうこともありうると思います。
「音楽をするのも、演技をするのも、すべては運命的な出会い」
―上野さんに質問です。今後も外国の作品に出たいという希望は? これからはどのようなペースで仕事をしたいですか?上野樹里:それは私が望むことではなくて、先方から依頼を頂いてのことですし、それは日本でも同じですね。自分からこうしたい、と思って進めたことは今まで一度もないんですが、何年も前に動いていたことが、ちょうどいいタイミングで形になったりすると、本当に縁だなあと思います。誰にもなにも言ってないのに、こういうのやりたいな、と思っていた仕事が突然ぽん、ときたり。この仕事はそういうところがあるし、時代に沿ったものづくりをしていると思いますが、その動き方は誰にも読めない。常になま、というか。自分としては、今できることを一生懸命やる、それを繰り返していくという感じです。
―チェ・スンヒョンさんに質問です。俳優としてもミュージシャンとしても活躍されていますが、今後のキャリアアップについてどう考えていますか?
チェ・スンヒョン:何の計画もありません(笑) 音楽的にいろんなことをするのも、演技をするのも、すべては運命的な出会いなんじゃないかなと思います。
上野樹里:おんなじだ(笑)
チェ・スンヒョン:自分でこんな作品に参加したい、と思っても時間的に合わないかもしれないし、他の人にオファーが行ってしまうかもしれない。逆にやってみませんかといわれたことに興味を感じないかもしれない。僕はBIGBANGというチームでもソロでも、今までなにかを計画したり、欲をもってやってきたことはないんです。僕たちの仕事は予想がつかないもので、自分が野望をもっていなくても、運命のように流れに流されていけば、ときにすごくいいことも起きるし、苦難にぶちあたるかもしれない。そのとき直面したものに、正面から取り組んでいくしかないと思います。これまでそのようにやってきたので、これからも多分、そうだと思います。
上野樹里:私たちの仕事は自分から掴みにいく、というよりは授かるものだし、奉仕する精神でいることが大事なんだと思います。今、人のためになれることが、一番やりがいのあることだと思います。
「作品づくりに国境はないと感じた喜びを作品を通して伝えたい」
―では最後に、ドラマの見どころをお願いします。上野樹里:回を追うごとに徐々に面白くなっていきます(笑) 今回、私的には仕事で韓国に行くという感じではなくて、私自身がハルカとして、初恋の人の思い出だけをスーツケースに詰めて身一つで韓国に行ったような気持ちでした。韓国で過ごした撮影の毎日、周りとどんな関係を築いてどう成長していくのかをリアルに感じながら、自然な状態で、ハルカと一緒に役を作っていったような気がします。そんな、ドキュメンタリーに近い感じで作っていった素顔のハルカを楽しんでいただければ。それから今回、アドリブを要求される現場で、すべて身をゆだねて最後までピュアな気持ちで演じられたのは、監督の力や、プロデューサーの作品に対する愛情やパッションがあったおかげです。作品づくりに国境はないんだ、と感じた喜びを、作品を通してみんなに返したい、伝えたいと思いました。人ってふいに寂しくなって、LINEきてないかな、と携帯を取り出すことがあるじゃないですか。あの、共有できない気持ちをこのドラマを通して共有してほしい。身近な存在のドラマとして、自分の好きな時間に、好きな体勢で、気軽に楽しんで見てもらえたら嬉しいです。
チェ・スンヒョン:このドラマは単純なラブロマンスではなく、コミカルな2人のやりとりが可愛らしかったり、ホラー的な要素があったり、ときに感動的だったり、いろんな面があるので、楽しんで見てもらえると思います。僕は「IRIS -アイリス-」以降は映画に出ていてドラマに参加するのは7年ぶりだったので、うまく演じなければいけない、いい姿を見せたいという個人的な欲も正直ありました。これまでに韓国では多くのウェブドラマが作られていますが、大成功したものはまだないかもしれません。今回は上野樹里さんはじめ、なかなか共演する機会のない俳優さんや監督さんとご一緒できることになって、最高のウェルメイド・ウェブドラマにしたいという想いがふくらみました。なぜ自分が7年近くもドラマに出てなかったのか考えたとき、スケジュールの問題以外に、内容的に惹かれる台本に出会わなかったこともありますが、誰もが気軽にアプローチできる、今回のようなコンテンツを待っていたのだと気がつきました。リラックスしてプレッシャーなく見られる作品になっていると思うので、僕自身も大きな期待を寄せていますし、みなさんがどう受け止めてくださるかとても気になります。どうかたくさん愛してください。
ライター:望月美寿
「シークレット・メッセージ」
dTVにて配信中毎週月・水・金曜日 am10:00更新
dTV「シークレット・メッセージ」サイト:http://video.dmkt-sp.jp/ft/s0005005
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部
topics