「棚ぼたのあなた」「アイドゥ・アイドゥ」“働く妊婦”の反乱
仕事のできる女性も妊娠すれば“のけ者”?働く妊婦への応援歌
KBS 2TV週末ドラマ「棚ぼたのあなた」のキム・ナムジュ(チャ・ユニ)と、MBC水木ドラマ「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」のキム・ソナ(ファン・ジアン)には、いくつかの共通点がある。職場で誰よりも優れた能力を有している実力派であること、また会社全体に貢献できるほど業績も凄く堂々としたキャリアウーマンであること。そして、もう一つが“働く妊婦”であることだ。写真=KBS、MBC
ドラマの中の“働く妊婦”受難時代
「棚ぼたのあなた」のキム・ナムジュは、妊娠前には会社から500億ウォン(約35億円)のドラマプロジェクトを提案されるほど優秀な会社員だった。しかし、妊娠の事実が明らかになった後、職場で四面楚歌の状態となる。重要なプロジェクトからは完全に外され、さらに露骨な退社要求まで受ける。それだけではない。仕事用のデスクは窓側に移動されており、飲み会にも呼ばれない。会社の社長は「夫が医師なのになぜああしているのか」と責める。妊娠前と妊娠後、何も変わったことはないのにいつのまにか“のけ者”に転落してしまったのだ。働きたい“妊婦”のキム・ナムジュに、これは受け入れ難い仕打ちである。
「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」のキム・ソナも同じだ。彼女は靴デザイナー分野でキャリアのある人物だ。会社の役員として活躍し、社長のポストを提案されるほど能力も優れている。だが、一夜の過ちにより子供を身ごもったせいで彼女は社長のポストを逃しただけでなく、職場ですら追い出される危機に瀕している。
キム・ソナを社長候補として誰より支持したオ・ミヒ(チャン女史)はキム・ソナの妊娠を知った後、態度が180度変わる。そしてキム・ソナのライバルであるイム・スヒャン(ヨム・ナリ)に「あなたが社長にならなければならないと思う」と話す。能力、情熱、執念など、何一つ劣るものがないキム・ソナだが、“妊娠した罪”一つで窮地に追い込まれるようになったのだ。
このように「棚ぼたのあなた」のキム・ナムジュと「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」のキム・ソナは、“働きたい”妊婦の現実を代弁する。働く女性が妊娠をすれば、その瞬間彼女たちはのけ者の対象となる。彼女らの能力やキャリアとは関係なく、重要なことからは全部外される。結局一瞬でのけ者となった彼女らの最後の選択は、退職ということになるわけだ。
写真=KBS
キム・ナムジュとキム・ソナの反乱
サムスン経済研究所が2010年に発表した「韓国ワーキングマザー実態報告書」によると、妊娠した女性が語った一番大きな問題は「人事上の不利益(42.4%)」と「上司の機嫌を伺うようになる(44.1%)」であった。このような状況で働く女性にとって妊娠は重荷になる。これまで熱心に築き上げた全てのものを妊娠一つで失うかもしれないためだ。この全ての理不尽な現実にキム・ナムジュとキム・ソナは、正面からぶつかる。キム・ナムジュは「私はなにも変わってないのに、なぜ私を使い道のない機械扱いするのか分からない」と反論する。退職を強要する社長にも「このプロジェクトは全部私の人脈と実力で作り上げたものだ。退職を求めるようであれば全部なかったことにして他の職場に行く」と脅しをかける。能力のある妊婦の痛快な一発だ。
キム・ソナも同じだ。オ・ミヒに屈辱を味わった直後、自身が以前デザインしたものは全て破り、新たなデザインに没頭する。実力で正々堂々と評価されるという姿勢だ。能力さえあれば妊娠の有無とは関係なく、生き残ることができるということをキム・ナムジュとキム・ソナは証明する。
何も怖がらない彼女らのたくましい姿は、この時代を生きる“働く妊婦”に対する熱烈な応援歌だ。諦めたり屈服したりせず自分の人生に責任を持って生きていけと、能力や情熱さえあれば妊婦だっていくらでも大きい仕事をすることができると彼女らは言っている。
“妊婦は無能力者”という社会の偏見に対抗するキム・ナムジュとキム・ソナの反乱は、それ自体が愉快である。
写真=MBC
この時代を生きる全ての「キム・ナムジュ」と「キム・ソナ」のために
キム・ナムジュとキム・ソナの反乱が望ましい結末につながるためには、社会の認識とシステムが全部改善されなければならない。働きたい妊婦が安心して働ける社会、妊娠した女性も同等な職場の同僚として認め、受け入れる社会にならなければならない。これは“働く妊婦”の課題ではなく、私たち皆の課題だ。「絶対に怯むな!時間が経てば何でもない、自分らしく生きて行け……分かった?」
「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」のキム・ヘウン(ポン・ジュンヒ)がキム・ソナに投げたこの応援メッセージを、この時代を生きる全ての“働くママ”に捧げる。
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チョン・ヘオク
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