ヨン・ジョンフン“「ヴァンパイア検事」はジャンルのつぼを上手につなぎ合わせたドラマ”
2011年度の韓国ケーブルドラマ枠で、視聴率NO.1を記録(最高視聴率4.3%)したドラマ「ヴァンパイア検事」―― 2012年10月19日には日本でもDVDが発売され、設定の斬新さや衝撃的などんでん返しにハマる“ヴァンパイア”マニアが続出している。今までの韓国ドラマにはない、ハイクオリティなストーリー&スタイリッシュな映像の中で、実力派俳優ヨン・ジョンフンが、ヴァンパイアへと変身する衝撃的なシーンは必見だ。今回ヴァンパイア役に挑戦したヨン・ジョンフンにインタビューを実施した。ヴァンパイア役を演じる上でのエピソードや撮影裏話を語ってくれた。
―シーズン2放送決定おめでとうございます。大ヒットシリーズとなった本作ですが、出演を決めた経緯を教えてください。ヨン・ジョンフン:従来の韓国ドラマと比べ新しいジャンルのドラマに挑戦するという意味合いが大きかったです。韓国だけではなく、日本やヨーロッパ、アメリカにもこういったジャンルドラマの誕生を知らしめることができる、またヴァンパイア物へのチャレンジ精神もありました。
―過去に多くの俳優が演じたヴァンパイアというキャラクターを演じる上でプレッシャーはありませんでしたか?
ヨン・ジョンフン:最初はたくさん悩みました。それで、ヴァンパイアをあまり意識するのは止めよう。最初は捜査物だけで行こう! 特殊な能力は見せつつ、捜査にフォーカスを合わせよう、と。実際ほぼ70%が捜査物で、残り30%がヴァンパイア物だったので。事前に脚本などで、こういうヴァンパイアで行こうと指定はなく、僕に任せて下さったと思います。監督は、自分で考えてやれ、と。自分なりに演じたらそれらをすべて受け止めて、やってから話そう、と。誰もやったことの無い役なので、答え(正解)がありません。目標も無いですし。僕はむしろヴァンパイア過ぎないようにしたいと思いました。人間離れしていて超現実的なのはちょっと違うのではないか……と。元々普通の人間だったのがヴァンパイアになったわけですから、他のヴァンパイアと比べて当然人間に近い……ただ、特殊な能力を持ち不死身であることは変わっていますが、それでもやはり人間に近いという点で(他のヴァンパイアとは)ちょっと異なったイメージを作り上げました。
―本作はヴァンパイアというファンタジーの存在と、犯罪捜査というリアリティーが共存する異色の設定でしたが、初めて脚本を読んだ時の感想は?
ヨン・ジョンフン:実は、最初は検事ではなく弁護士という設定でした。弁護士は誰かにお金をもらい雇ってもらうのですが、より捜査劇の印象を強くするために、設定が検事になりました。これがヴァンパイアの話だけだったら魅力が無かったと思います。そこに検事、捜査というものが加わり本作が成功できたと思います。ヴァンパイアだけだったら、かなり幼稚な感じに仕上がったんじゃないですかね。シーズン1ではヴァンパイアよりは捜査物にフォーカスを合わせていました。そして、だんだん視聴率も上がり私たちも自信をつけ、ヴァンパイア感をもっと出すようにしていました。
―制作陣のキャスティングの意図は、ギャップだそうですね。監督やスタッフと、キャラ作りの上で目指したものはあったんですか?
ヨン・ジョンフン:はい。もし、チャ・スンウォンさんがこの役を演じたらどう見てもヴァンパイアそのものじゃないですか。ハハハ。「ああ、ヴァンパイア」だとすんなり受け入れて、その後の展開にあまり興味を持たないかも知れません。でも、制作陣が探していたのは、正反対のイメージだったのです。そういう人が特殊メイクなどをし変身した瞬間、そのギャップの効果がとても大きいと考えたのです。前作で良い人だったのが急に悪者に変わった時のように。そこで制作陣と僕の考えが通じ合いました。ただ、僕が心配だったのはCG(が多いので)はどうするんだろう? というところでした(笑) 同じ内容でもどう撮るかによって大きく変わってくるので……その点でちょっと心配だったのですが、監督やカメラ監督が「僕たちを信じて(任せて)」と……(笑)
―テヨンの血を飲んで死者の記憶を読み取るシーンが毎回圧巻でした。演じる上で工夫したことなどありましたら教えてください。
ヨン・ジョンフン:サイコメトリーをするときに、どんな顔をすれば良いのかと、それからヴァンパイアへの変身過程、また(人間に)戻ってくる過程、それらが本当に難しかったです。死者の血を飲み、記憶を読み取ろうとするとき、なぜ、あんなに苦しそうなんだって言われたこともあります。……最終的に、死んだ人の最後の姿とともにその苦しさをも感じ取るからなので被害者の最後の姿が見えるんです。
―放送回を重ねるごとに視聴率が上がり(韓国ケーブルドラマ史上初の4%を突破)、視聴率上昇とともに放送時間も長くなったり、そうした視聴者の熱い反応を実感することはありましたか? 気分はいかがでしたか?
ヨン・ジョンフン:そこにもっと痺れました。毎日ドラマのように、主婦の視聴者が毎日固定でいるドラマとは違って、本作はある意味特定ターゲットを徹底的に狙っていく作品で、刺激的な素材でもなかったにも関わらず、私たちが主なターゲットとして考えていた集団から爆発的な反応があったので、そういった部分がとてもよかったです。期待以上でした。
―撮影現場の雰囲気はいかがでしたか? 共演者のみなさんとのエピソードを教えてください。
ヨン・ジョンフン:イ・ウォンジョン、イ・ヨンアさんはじめ、楽しいメンバーそろいでいい雰囲気でした。ヨンアさんはまだ幼い末っ子みたいでしたし、ウォンジョンさんも大人になりきれていない隣のお兄さんのような印象でした。休憩時間は、ヨンアさんは、暇さえあれば愛嬌を振りまきます。ハハハ。そして、ウォンジョンさんはその愛嬌を受けてとても喜びます。ウォンジョンさんのアドリブは本当に多くて(笑) ほとんどアドリブだったんじゃないですか? ハハハッ。
―今までのヴァンパイアとは印象が違う、禁欲的で苦悩するテヨンが、セクシーでした。ヨン・ジョンフンさんの考える 検事テヨンという男は、どんな男ですか?
ヨン・ジョンフン:自分の仕事だけに没頭していて、妹想いな男…そんなところでしょうか。まあ、ある意味可哀想な男ですよね。元々人間だったのがやむを得ない状況で人間を棄ててヴァンパイアになったのです。普通の人間が持つ楽しみもない、恋愛もできない。一歩下がって他の人間を見つめている。毎回事件が終結すると、上から世の中を見下ろす、まるでバットマンの1シーンのようにシニカルな表情で見下ろすシーンがありますが、そこがミン・テヨンというヴァンパイアをよく表していると思います。悪人として生きていくという道もあるのに、そういった感情を抑えながら人間たちを守りますが、その人間たちが熾烈な関係の中で生きていくのを第3者の立場で見つめている。神でもなく人間でもない、中途半端な怪物のような存在……テヨンの寂しさに最もフォーカスを合わせて演じていました。
―これから「ヴァンパイア検事」を見る日本のファンに向けて、見どころなどメッセージをお願いします。
ヨン・ジョンフン:どうやら女性はヴァンパイアに対するロマンがあるようです。男性はなかなか理解できませんが……ヴァンパイアに対するロマンを抱いた女性に愛され、また捜査物好き、アクション好きな方にも愛され……そして、カメラテクニックが別格だったのもあったと思います。そのため、僕たちはよく、本作は「プレゼント詰め合わせ」と言っていました。さまざまなジャンルのつぼを上手につなぎ合わせているなと。なので日本のみなさんにも是非楽しんでもらえるのでは、と思います。
ヴァンパイア検事
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- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部、撮影:キム・サンドク
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