「ダンシング9」ダンスを見に劇場を訪れる方が増えますように!:SPECIAL INTERVIEW
「時間を割いて映画は見に行っても、劇場に行って舞台公演を見ようとはしないんですよね。それで、多くの人たちに『韓国ではこのようなダンサーが公演を続けているので、見に来て頂きたい』と一生懸命に宣伝をし、積極的に活動しました。このような生放送では、本来なら劇場に足を運んでくださるであろう観客の方たちが、テレビから私のことを見てくださるわけじゃないですか。多くの方に、私がこれほど頑張って踊っているということを披露できる機会なんです」――「ダンシング9」Red Wingsチームイ・ルダの一言
良い番組を視聴者にお勧めする仕事をしているが、今回のように気持ちのいい、遣り甲斐のあるインタビューはなかったと思う。必ず必要とする番組であり、必ず紹介したい人たちである。イ・ルダさんの切実な願いのように、この放送以降、ダンスを見に劇場に足を運んでくださる方が増えればと思う。しかし最近、毎日のように薄氷を踏む思いをしているであろうキム・ヨンボムCP(チーフプロデューサー)をはじめ、制作陣に会った。生放送後のキム・ヨンボムCPのコメントはコラムの最後に記載している。
―神話(SHINHWA)のミヌさんとイ・ヨンウマスターが心から感謝されています。
キム・ヨンボムCP:一応作ってはみたのですが、視聴者の皆さんがそれほど期待していないということを肌で感じています。分単位の視聴率がほとんど0に近い所から始めたので。第4回あたりから、少しずつ上がってきてはいますが、依然として厳しいです。昨年、「SUPER STAR K」の放送がなかった期間、海外の文化をモニタリングする機会があったのですが、海外ではダンス関連のコンテンツを放送で上手く活用していますし、ミュージカルやラスベガスのショーも観客が多く見に行かれているじゃないですか。反面、韓国ではダンスと言えばお金を支払って見るコンテンツというよりは、フェスティバルなどでアマチュアたちがやることだと認識している傾向があります。韓国でだけ上手くいかないというのは問題があるという思いから、厳しいながらもスタートしました。
―この番組から、注目すべき人物が一人でも多く出てきて欲しいと思っています。期待していいでしょうか?
ハ・ミンスク脚本家:この番組に出ている方たちは、どう見ても世界最高レベルの方々です。あまり知られていないだけで、受賞歴など見るとむしろ海外では有名な方たちです。ハ・フィドンさんだけを見ても、10年前に世界制覇したトップダンサーですので。
キム・ヨンボムCP:今回のミッションの強化合宿は、3日間ほとんど徹夜同然で行われるようなハードスケジュールでした。鎮痛剤を飲みながら準備したという人もいるくらいでした。でも、あれが本当に7時間で作ったステージかと思うほど素晴らしかったじゃないですか。デュエットミッションは12時間でしたっけ?(笑) 実は、そのレベルまでは期待していませんでした。海外の審査員として、ダンスの映画監督や実際のダンサーたちを招待したのですが、衝撃を受けて帰られました。韓国のダンスのレベルを、海外の監督の目線からチェックして頂ける時間でした。なので、十分にスターが出てくる可能性があると思っています。
―まだほとんどの人がこの番組についてよく知らないようです。どのような対決の仕方になっていて、最終的にはどのように選ばれ、どのような人が5億ウォン(約4,600万円)の賞金をもらうことになるんでしょうか?
ハ・ミンスク脚本家:バラエティなので集中することを必要とし、「ダンシング9」なので9という数字に意味を与えました。全部で9ステージになっています。それぞれのチームメンバーを選びましたし、強化合宿で9人にしました。LAの親善試合のような場合は、サッカーの海外親善試合のように生放送の前にミニゲームやオープン戦をします。生放送では様々なテーマがあり、5試合で先に3勝した方が勝ちとなります。1チームが優勝チームとして選ばれ、その中からMVPを選びます。
キム・ヨンボムCP:生放送のステージでも9人が群舞するミッションが毎回与えられます。その都度勝敗が決まり、毎回負けたチームは一人ずつ降板しなければなりません。群舞のためにマスターたちが長期的な配分や調和を考慮しています。ソロステージではなくデュエットやトリオを組み合わせてステージを作る予定なので、ジャンル、男女比、特徴をみて選ぶのが特色です。生放送中に大概3~4人くらい脱落者が出る予定です。
―ダンスというのが、例えばブレイクダンスやダンススポーツをしている方はその感じを活かすことができないんですよね。そのような部分はどのようにして克服されているんですか?
ミン・ドンスク脚本家:ジャンルのクロスオーバーは、ミッションの中でも結構している部分です。生放送では、彼らの特色を生かすステージをたくさん取り入れます。
―正直、今マスターたちもクロスオーバーはきつそうですが(笑)
キム・ヨンボムCP:(笑) 「You can dance」の場合、すぐクロスオーバーをやっていました。ジャンル的な特性はどうしてもあります。ストリートダンサーたちにラインを強調するダンスを躍らせると、首をかしげる部分があります。
アン・ジュニョンPD:自分の分野で1位になる方たちをみると、皆さん相手のジャンルを尊敬しているんです。私たちも、キャリアへのこだわりから葛藤などがあるのではないかと心配したのですが、むしろお互いに尊重する姿が見られました。皆さんは、このように色んな人たちが一ヶ所に集まって踊れる、この時間が幸せだと言います。脱落とは関係なく、あれこれ習ってみたりもしますし。
ハ・ミンスク脚本家:韓国舞踊を踊る人と、ダンススポーツをする人が集まって、才能寄付(公共の利益のために自分の才能や知識を無料で提供すること)だと言いながらお互いに教え合っていました。その前は会うこと自体がほとんどなかったので。
―ダンスの能力に恵まれた人も、ダンスだけでは大衆にアピールする機会がないので仕方なく歌を練習して歌手としてデビューする人が多かったですよね。
キム・ヨンボムCP:道がないですからね。視聴者の中でもこのようにダンスがカッコ良く魅力的だということを知らなかった方が多かったです。少女時代やミヌさんが出るので、祝日の特集ダンスバトルみたいなものだと思っていたみたいです。
―オーディション番組は審査員の魅力も重要ですが、マスターたちのポジションを差しおいて意見がまとまらないことがあります。
ミン・ドンスク脚本家:マスターたちは、「SUPER STAR K」の審査員としてではなく、コーチとしての役割です。評価する役割ではなく、構図を作って一緒に作り上げていくんです。生放送では、また別の審査員がいるので。
キム・ヨンボムCP:色々と考慮してジャンル別にマスターを任命したのですが、特にミヌさんや少女時代がOKしてくれたことは、私たちにとって非常に有難いことです。引き受けてくれる芸能人が予想以上にいませんでした。こんなコンテンツが成功するだろうかと思ったのか、ダンスだけのみのコンテンツで成功した事例がなかったというのもありますし。一生懸命顔を出しても失敗しそうだと思ったのか、身を引いた方もいました。生放送の前までは、チームを高めるために審査員の役割をしますが、生放送以降は監督のような感じでアドバイスもし、対戦表とか、作戦を練る役割に回ります。生放送に入れば、プロの審査員として接しています。それで、名前もマスターにしました。最初はディレクターにしようかと思いましたが、あまりにも映画監督のような気がしましたので(笑) 「偉大な誕生」のように、メンター(良き助言者)の役割もして審査もするという状況は問題の余地があると思ったんです。
―実力のある方の中で、都合により参加できずにいる方が多いらしいですね。
キム・ヨンボムCP:派閥や上下関係が徹底されていますので、師匠が出るなと言えば出られない雰囲気だそうです。映画「風の丘を越えて~西便制」のように、先生の許可なしには、出たくても出られないんです。
―韓国ではダンスが上手くてもある程度のレベルの学校を卒業していなければ認められず、教える機会も与えられない傾向があります。リスクを承知で参加した人が多いということですが、何か「ダンシング9」ならではの特典はないのでしょうか?
キム・ヨンボムCP:放送が成功して初めて特典も大きくなるので、基本的に今は公演させるという特典がありますし、5億ウォンという賞金があります(笑)
アン・ジュニョンPD:ダンスをあまり知らない視聴者をどのようにして理解させることができるのか、色々と悩みました。それで、合間合間にマスターたちのリアクションを入れるんです。視聴者の方々が理解しやすいように。
ハ・ミンスク脚本家:11月に公演を開催しますが、1回の短期的な公演ではなく、継続的に開催して欲しいです。本当に、これからはうちの参加者たちを見に劇場を訪れる方々が多くなればと思います。
アン・ジュニョンPD:実際、最近私たちの仲間同士でも、番組が終わったら現代舞踊を、お金を払って見に行こうと言っています。視聴者の方々もそのようになればと思います。
キム・ヨンボムCP:心が痛みます。馬ダンスのように、韓国で有名なダンスが出ているにもかかわらず、作った人たちは無名で、パフォーマンスをする歌手だけ有名になる国ですから。
―芸能事務所のオーディションだったら、脱落の苦杯をなめただろうと思われる参加者たちがチャンスを得ているので、嬉しく思います。
キム・ヨンボムCP:ルックスよりも実力でしか残れない構造です。マスターたちも、自分のチームが勝たなければならないので、実力を見て選ぶしかないんです。
―音楽番組も、カメラがうまく捉えられる部分や、うまく映せない部分があります。どのように準備なさっていますか?
キム・ヨンボムCP:私たち、色んな角度でたくさん撮っておくんです。逃さないように。
アン・ジュニョンPD:私たちは、事前に何度も振り付けを見ますから。だから、カメラ監督にこの部分は絶対撮って欲しいとお願いします。私は本当に感慨深いです(笑) 私も高校の時ダンスをしたのですが、将来が見えなくて諦めたんです。90年代後半にはネットが発達しておらず、各放送局の音楽番組を全部録画しました。それぞれアングルが違うので。それを見ながら、どうしてこのような部分を見せられないんだろうともどかしく思っていました。その私がダンスを編集するようになったので、感激です。
―知らなければうまく撮れない、まさにそうですね。だから、ファンが撮った映像の方が素晴らしいわけですよね(笑) ダンスは音楽と衣装が重要ですが、どのように準備なさっていますか?
アン・ジュニョンPD:ダンスに慣れていない視聴者に、歌は聞き慣れたものを使おうというのが私たちの願いでした。どうしたらいいものかと工夫しましたが、スペースカウボーイという音楽監督を起用しました。彼がすべての音楽を再度作業し、編曲しています。
キム・ヨンボムCP:基本的には、ダイナミックにやりたいです。ライブバンドが入るとは思いますが、最小限に抑えたいです。
―今回は、得意な悪魔の編集を控えていましたね(笑)
キム・ヨンボムCP:ことの成り行きでそうなりましたね(笑) シーズンが続くと、有名になりたくて番組を利用しようとする人がたくさん来るんです。でも、「ダンシング9」は皆誠実な方たちです。平均年齢が30代であるほど。あるがままに流しても切実さが滲み出ますので。
―それでも、ナンシー・ランに長い時間を割愛したのは、やり過ぎでしたよ。
キム・ヨンボムCP:番組をやっていると、色んなカードがあります。この放送に注目して欲しいという気持ちで、メニューを広げたんです。ナンシー・ランさんについては、あまりにも好き嫌いが分かれる方なので、さらに注目されたんです。色んなお祭りの食べ物の一つだと思っていただきたいです。
―もっと多くの方に、関心を持って見守って欲しいです。
初の生放送を終えたキム・ヨンボムCPの一言
「きちんと準備したつもりでしたが、初めてだったのでどうしても試行錯誤がありました。まずは、事前点数9点がそれほど大きく影響するとは思いませんでした。シミュレーションでは十分克服できる点数と見たのですが。次の生放送の時にそれをなくすとそれはまた別の公正性の問題になりますからね。対応策を考えています。カメラワークにも、照明にも問題があったので、総力をあげて修正しています。数日前から数知れずリハーサルしましたが、本番の直前まで振り付けが変わり続けましたし、現場で見るのとカメラ越しの雰囲気が違うのも問題ですし。ステージを出来るだけ広く使うと、細々とした画面が映らないんです。審査員は画面でなくステージを見て審査しているので、ジレンマですね。審査員の点数が、どうしてあんなに高低が激しいのか皆さん気になっていると思います。全面公開を臨む方もいらっしゃいますし。でも、公開されたら、どうしても萎縮しないでしょうか。私から申し上げられるのは、低い点数を与える方は、一貫して低い点数をつけています。あの方には、全体的なレベルがあれくらいだということですね。責任を持って、一つ一つ直していきます。韓国初のダンスサバイバルというイメージを傷つけないように」
文:コラムニスト チョン・ソクヒ
「NAVER スペシャルインタビュー」では、今話題の人物にコラムニストのチョン・ソクヒさんがインタビューを実施。韓国で一番ホットな人物の本音をお届けします。- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チョン・ソクヒ、写真 : Mnet、スタジオS カン・インホ
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