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チョ・ソンハ「僕も蹴りは得意ですが、コン・ユさんに殴られすぎて…」

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二つの顔を持つ俳優チョ・ソンハ…「サスペクト 哀しき容疑者」の絶対悪 vs 「王(ワン)家の家族たち」の長女の夫

2年前、映画「火車」以降、チョ・ソンハはさらに拍車をかけた。ここで拍車というのは、作品に出演する頻度が増えたことと様々なキャラクターを演じることになったということの二つの意味がある。

昨年まで映画「冥王星」「非情な都市」のような低予算の自主制作映画はもちろん、「同窓生」のような商業映画やドラマ「九家の書~千年に一度の恋~」「IRIS-アイリス2-」などに出演し、精力的に活動してきた彼が、新年を迎え、2人の正反対のキャラクターを演じている。映画「サスペクト 哀しき容疑者」では欲望に目が眩んだ国家情報院の職員キム・ソクホを、ドラマ「王(ワン)家の家族たち」では世界で最も優しい夫であり心強い娘婿のコ・ミンジュンを演じているのだ。

往年にかなり殴られたチョ・ソンハ?「殴られることに慣れすぎて編集された部分もあります」

出演する作品が増えただけに、チョ・ソンハもより忙しくなった。1週間のうち5日が撮影関連のスケジュールで、休む日も台詞を覚えているため、休みは忘れて久しいと言う。つい最近まで“コーディネーターから合う服がないと文句を言われて”減量も始め、最近では好きだったお酒も週1回に減らすようにしたと言う。

まず、「サスペクト 哀しき容疑者」の話から始めよう。チョ・ソンハは、映画の企画段階からキム・ソクホというキャラクターが目に入ったという。制作会社GREEN FISHのイ・ヒョンミョン代表と知人であったため、心から応援すると共に台本を読んで自らキャラクターを分析していた。

「もっと良い俳優に会って映画がヒットすればいいと思っていました。自分が演じたいという気持ちを言わずにいました。そんな中、(演出の)ウォン・シンヨン監督と打ち合わせをすることになりました。会うやいなや、4時間ほど休みなく作品やキム・ソクホについて喋り、数日後に出演することになりました。『サスペクト 哀しき容疑者』のキャスティングで僕が最後に合流したわけです。

まず、今まで演技をしてきて、これほど金に目が眩んだ役は初めてでした。映画『哀しき獣』のキム・テウォン、つまりキム社長とはまた違った感じでしょう。権力を濫用して周りの人を消耗品のように使う人物です。映画のスケールも悪くなかったし、上手くやれば“絶対悪”として面白く演じることができるような気がしました」

これまでドラマでは謹厳とした重量感のあるキャラクターを主に演じてきたチョ・ソンハにとって、キム・ソクホという悪役は新鮮な挑戦だった。ウォン・シンヨン監督と現場で最も沢山話した俳優の一人がチョ・ソンハであるほど、キャラクターを作っていく過程で積極的にアイデアを出した。ところで、一方ではコン・ユとパク・ヒスンにひどく殴られるばかりではなかったのかとも思った。それなりにアクション俳優の雰囲気も漂う外見であるだけに、少し残念だったのではないだろうか。

「僕も蹴りは上手ですが、なかなか機会が与えられませんでした(笑) 武術監督が僕を見て、生まれつき殴られる才能があると言いました。チ・ドンチョル(コン・ユ)に殴られて倒れるシーンを撮るときは皆心配になって代役を準備しておきました。でも、僕はその方たちにお世話にならないようにリハーサルの時から自分で演じて見せました。とてもよく殴られて、よく倒れて、逆にそのシーンでスタッフたちがほっとするような雰囲気を感じました。パク・ヒスンに殴られるシーンもありましたが、あまりにも沢山殴られたせいで編集されたんです(笑)」

「新人賞を取るまで新人だと主張します!」

インタビューの途中で彼が数回も繰り返した言葉があった。それは、自身は今も“新人俳優”だということだ。演劇の舞台で活動し、2004年映画「微笑」で本格的に映画デビューしたチョ・ソンハは、同い年のベテラン俳優にも決して劣らない実力を持っている。一度演技を諦めようとしたことがあるだけに、今はより精力的に活動しているのかもしれない。

「まだ働き盛りじゃないですか!(笑) 一日一日、そして毎年、チョ・ソンハという俳優はどうであれ成長しており、沢山のことを経験していると思います。新人俳優として歩まなければならない道を歩んでいるのです。一度新人賞を取るまでは新人だと主張することにしましょう(笑)

今もまだチョ・ソンハだけの演技世界は何かという質問は、課題のように残っています。それで絶えず沢山のキャラクターを演じるわけです。監督や脚本家が俳優をキャスティングする時『ただ持っているものをそのまま見せてくれればいいです』と言うこともあるし、『このようにしてください』と注文することもあります。

僕はほとんど後者でした。『サスペクト 哀しき容疑者』では絶対的な悪役でウォン・シンヒョン監督は“扮装をしていないジョーカーのような感じ”と注文されましたが、それは口で言うほど簡単じゃありません!(笑) 『王(ワン)家の家族たち』では涙を見せなければなりませんでした。これまで涙を流す演技はしたことがなかったので新たな課題でした。こんなに多様な課題が生まれるということは、依然として僕に対する信頼と期待があるためでしょう?」

「誰も僕のことを知らないときに沢山休んだので……走れるときは走らなきゃと思います」

忙しいと言いながらもエネルギーを失わないチョ・ソンハは、実は今を楽しんでいた。音楽を聴いていても、食べ物を食べていても、もっぱら自分が出演する作品と関連付けて考えると言うほどだから、まさにワーカホリック(仕事中毒)と呼べるのではないか。

「家族と一緒にすごす時間がないので働きすぎではないかとも思います。でも、なるがままに走れる時に休まず行かなければと思います。速く疾走するときの風の感じがあるじゃないですか。それは走る時にしか経験できないものなので。まだそれを満喫してもいいじゃないですか。まだ働き盛りだから(笑) 昔、誰もチョ・ソンハを呼んでくれなかったときに沢山休んだので、できる時によくやらなきゃと思います。

一気に色々なことはできないし、僕は演技以外のことで賞賛されるのはあまり好きじゃありません。ただ演技が上手いと評価されれば良いですね。僕は、優れた能力を持った人間ではないので、1日24時間の中で作品や仕事に投資する基本的な時間を奪われることは、大変です。優先順位があるわけです。僕があるキャラクターに集中して、よく理解して現場に行く時、気楽になります。僕の演技をよく守るためには、それだけ時間を投資し、集中しなければなりません」

それだけに彼は演技以外のことを趣味にすることはまだ考えていない。バラエティ番組への出演にも否定的だった。多芸多才も重要な徳目だが、チョ・ソンハは“演技”という一つのメニューだけを出したいと思っていた。そんな意味でチョ・ソンハは様々なメニューを立派に包装して売る飲食店のオーナーではなく、注文によって作り出した美味しい食べ物を丁寧に出す一品料理のシェフのような俳優だ。
元記事配信日時 : 
記者 : 
イ・ジョンミン、イ・ソンピル、写真 : イ・ジョンミン
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