キム・ナムギル「サメ ~愛の黙示録~」“前作以上に深みのある演技をしたいという悩みの中で挑戦した”
名作ドラマ「復活」「魔王」に次ぐ三部作最終作「サメ ~愛の黙示録~」(以下「サメ」)。日本でのDVDリリース(2014年4月9日) を前に、主演のハン・イスをクールに演じたキム・ナムギルに、作品や演技、共演者についてお聞きした。
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キム・ナムギル:本作で3年ぶりにドラマの現場に帰ってきました。「きっと、いろんなものが変わったはず。自分も変わらなくては」最初はそんな思いでいっぱいでした。でも、周りの変化を意識するより、まずは“前作の自分”を超えることを最大の課題にすべきだと考え直しました。自分が持っている引き出しを最大限に広げて、少なくとも「赤と黒」で見せた演技以上のものを披露しなくてはいけない。そう感じたのです。演技は、やればやるほど難しいものです。「善徳女王」で皆さんに名前を知ってもらえるようになりましたが、もしかしたら、あの時が生意気になり、初心を忘れる機会だったかもしれません。でも、公益勤務につけたおかげで、多くのことを考えさせられました。些細なことにも幸せを感じながら生きることの大切さ。これからは、常に初心を忘れずに生きようと思っています。
―復帰作に「サメ」を選んだ理由は? 台本を初めて読んだ時、どう感じましたか?
キム・ナムギル:まず、「サメ」の監督と脚本家による前作(「魔王」「復活」)のファンだったので、ぜひ参加したいと思いました。以前主演した「赤と黒(韓国タイトル:悪い男)」と役柄の方向性が似ており、躊躇もしたのですが、視聴者が記憶している“悪い男”の姿を見せながら、より深みのある演技ができればと考えたんです。個人的には、そこに最も気を配りました。また台本を初めて読んで、ハン・イスの復讐に正当性や妥当性があり、視聴者が納得できる演技をしなければと、キャラクターについてあれこれ想像をふくらませました。
―“ワルな”役柄を好んで選択しているようにも思えますが?
キム・ナムギル:本当はラブコメディで明るくコミカルな役を演じてみたいんです。でもなぜか、トラウマを抱えて生きる影のある役柄に惹かれてしまうんですよね。そんなキャラクターに出会うと、つい欲張ってやりたくなってしまいます。本作では「赤と黒」以上に深みのある演技をしたい、違う姿を見せたい、そういった悩みの中で挑戦しました。
―ハン・イスを演じる上で、難しかったことは?
キム・ナムギル:久しぶりの演技でしたから、感覚を呼び起こすことが一番の問題となりました。「赤と黒」は私が20代最後に撮影したものであり、“20代の遺作”と言ったりもします。今回はそれを越えなければならず、「赤と黒」よりも優れた演技をしなければということにストレスを感じもしました。
―復讐に関するドラマが多いようですが、復讐とはどのようなものだとお考えですか?
キム・ナムギル:「サメ」と「赤と黒」を演じながら、復讐についてたくさん考えもしたのですが、どんな復讐であれ、結局は自分自身を傷つけるものだと思います。もちろん作品では、復讐することに妥当性が感じられるよう演じるのですが、最後には同じような破滅が自身に戻ってくるものです。自身が幸せであり、人々を容赦しながら生きることが、一番の復讐になるのではと思います。自分が幸せであれば、復讐という行為をしたいとも思わないでしょうし。仮に復讐が成功しても、その後果たして幸せに平穏に暮らすことができると思いますか? 「サメ」でも、愛情や家族との関係が絡みあい、さっぱりと思いきった復讐を行うことができません。
―作品を選ぶ際に、復讐というテーマに興味を感じたのでしょうか。
キム・ナムギル:復讐というテーマに関心があったというよりも、キャラクターに魅力を感じました。ドラマが始まる前から大きな問題を抱え、地獄で生きてきたような、とても大変な暮らしをしてきたキャラクターを、表現するのが好きなんです。演じるのなら、残忍ならとても残忍、悲しいならとても悲しい、そんな極端な役を演じてみたいですね。痛みを抱えた人物を演じてみたいと、常に考えています。
「ソン・イェジンさん、イメージとあまりにも正反対でギャップがよかった」
―演技をする上で一番重要なことは何ですか?キム・ナムギル:真実味だと思います。どんな役割であっても、相手との関係を、どれだけ真実味を持たせて表現するかが、一番大切です。痛みを表現する時もそうですが、笑うという演技には、もっと真実味が必要となります。笑うことは本当に難しいんですよ。現場の雰囲気が本当に楽しく、キャラクターの人間関係が本当に良いものであれば、画面にも現れます。技術も大切ですが、真実味が最も重要です。
―ソン・イェジンさんと共演した感想はいかがですか?
キム・ナムギル:ソン・イェジンさんといえば、韓国では指折りのトップ女優。美貌と演技力を兼ね備えた、“女神”と呼ばれるような女優さんですよね。基本的に美人と言われる女優さんって、近寄り難い印象があるじゃないですか。でも、撮影に入る前から会話をしたり、食事に行ったりとコミュニケーションをとってきたおかげで、すっかり仲良くなりました。彼女は意外なほど気さくで、今では「どこが女神? 完全に男だよ」という冗談まで言えるほど(笑) 最初に思っていたイメージとあまりにも正反対なので、そのギャップがすごくよかったです。共演できて、とても楽しいです。
―ドラマでは、イスと妹イヒョンの深い兄妹愛も見どころです。イヒョン役を演じた9歳年下のナム・ボラさんと共演した感想はいかがですか?
キム・ナムギル:ボラさんと一緒にいると世代ギャップを感じることもあります。若者言葉を教えてもらうこともあるんですよ。「それ、どういう意味? どんなとき使うの?」と聞くと「こういうときに使うんですよ」と教えてくれるので、楽しいです。まだ年齢は幼いですが、彼女の演技にかける情熱にはただならぬものがあります。目もキラキラ澄んでいますね。経験は浅いけど大きな可能性を秘めているので、同じ役者としてパワーを与えてもらっています。ソン・イェジンさんは、経験豊富で誰もが知っているベテラン女優ですが、それに対してボラさんは、新たに発掘された逸材と言えるのではないでしょうか。これまでの作品でもよい演技を披露していますが、今作でもやはり、素晴らしい演技でした。
―ボラさんのような妹がほしいと思いましたか?
キム・ナムギル:ボラさんみたいな妹がいたら、本当にいいでしょうね。もしいたら、すごく可愛がったと思います。残念ながら自分には弟しかいないんですよ(笑) 以前、自宅に親戚の女の子が下宿していたことがあります。弟と同じようにその子にも接していたら、ある日、拗ねてしまって、1ヶ月くらい口を聞いてくれなくなったことがありました。何がいけなかったのかわかりませんが(笑) それ以降は、何か言いたいことや怒りたいことがあっても、言いづらくなりました。ドラマでは、死んだと思っていた兄と妹が12年ぶりに再会するという設定なので、愛情いっぱいに接するのですが……実生活では自分はそういうタイプではないということですね(笑)
―ハン・イスという日常にはあまりいないキャラクターを演じるにあたり、参考にしたことは?
キム・ナムギル:現実と距離が遠いキャラクターを演技する時は、とにかく台本を何度も読めば、なぜ彼がそうせざるをえなかったのか、登場人物の痛みが台本の中から見えてきます。また足りない部分は想像して補います。彼の痛みを想像することは簡単ではありませんが、悩んだ上に撮影に入った瞬間、すっと理解できることがあります。ただ「アンニョン」というセリフだけでも、これをどう言えばいいのか、とても悩むものです。ひとりでいる時の苦痛、地獄のような過去で感じた痛み、キャラクターからそうしたものを探しだそうと努力しました。俳優は、観察力が必要だと考えます。普段から小説を読み様々な経験をし、どんな痛みなのか想像します。誰でもひとりで抱えている痛みがあるものですが、私はそれを探し出そうと努力するほうです。
「より激しく、より痛みもあるジャンルを演じてみたい」
―日本のファンに、ドラマの見所をお願いします。キム・ナムギル:このドラマで最も怖いシーンのひとつに、チョ・ヘウが真実を知るに従い、最も近しい家族がとても怖い人物だったと知る部分があります。背後に陰謀や人間関係があったことを、チョ・ヘウの視線にそって観ていく面白さがあります。自分の周囲を見ても、知らないところで家族が何かしているかもしれませんよ。お父さんお母さんは部屋で一人で何をしているのかと、想像がふくらみます(笑)
―これから挑戦したいジャンルやテーマがあれば教えてください。
キム・ナムギル:俳優としてはノワールメロを演じてみたいですね。「赤と黒」もノワールメロと言うことができるのですが、より激しく、より痛みもあるジャンルを演じてみたいです。また韓国やハリウッドでも記事になったのですが、「ホームランド」というアメリカドラマの版権を購入し、制作しようとしています。日本の映画にも出演したいですね。『そして父になる』という映画を、とても面白く拝見しました。俳優の方も演技が上手で。韓国の映画は展開がとても早いのですが、この作品はゆったりとしていて、日本の情緒もあり、そんなものを一度演じてみたいと思いました。
―最後に、日本の視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
キム・ナムギル:ミナサン、コンニチハ、ハジメマシテー(笑) 日本で「赤と黒」をご覧になった方なら「サメ~愛の黙示録~」もきっと楽しんでご覧になっていただけると思います。また、「復活」「魔王」を手がけたパク・チャンホン監督とキム・ジウさんの脚本で、“復讐三部作の最終章”と言われる作品でもあります。家族が絡んだ復讐劇という点においては「赤と黒」に似ていると感じるかもしれませんが、また一味違った作品です。より成熟した深い演技に挑戦しましたので、ぜひご覧になってください。
ライター:清水2000
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- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部
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