「技術者たち」キム・ホンソン監督“礼儀正しいキム・ウビン、どこまで大物になれるのか楽しみ”
「他は分からないけど、人は本当に良いんだ。優しくて順応性のある人なんだよ」俳優コ・チャンソクが焼酎を飲みながら打ち明けた言葉だ。ほとんどの中年男性がそうであるように、外で人を褒めることを恥ずかしがるコ・チャンソクだったが、その日のコ・チャンソクは“その優しい人”がいなくなると静かにこう褒めた。大げさでもなく、華麗な修飾語が付いているわけでもない素朴な表現だったが、コ・チャンソクの一言は岩のように重く受け止められた。キム・ホンソン監督(38)へのコ・チャンソクの率直な気持ちはそうであった。
前作「共謀者」(2012)に出演したイム・チャンジョンの暴露でキム・ホンソン監督は不本意ながら“鬼の監督”になった。イム・チャンジョンは撮影中のエピソードとして「しつこくて執拗なキム・ホンソン監督のせいで、一日に何度も腹が立った」と愚痴をこぼしたことがある。その発言以来、キム・ホンソン監督は“鬼”という愛称を手にした。だが、実際のところイム・チャンジョンのあの暴露は彼のお茶目な性格から始まったものだった。最近イム・チャンジョンがキム・ホンソン監督に送った応援メールには、鬼だとからかっていた姿はなく、大事に思う弟への愛情が溢れていた。トムとジェリーのような二人の愛憎関係は今ももちろん現在進行形である。
コ・チャンソクとイム・チャンジョン。二人の共通点は、表現はまるで嫌いであるかのように荒くても、実は誰よりもキム・ホンソン監督を大事に思っているということだった。焼酎一杯を飲みながら、優しい人だと言っていたコ・チャンソクも、誇らしい弟であると応援のメールを送っていたイム・チャンジョンも実は監督キム・ホンソンが、人間キム・ホンソンが好きだった。キム・ホンソン監督はそんな人だ。鬼の仮面を被ったお人好しだ。このような表現は少し照れるが、実際そんな人である。
「共謀者」で成功裏にデビューしたキム・ホンソン監督は、2年ぶりの新作となる犯罪アクション映画「技術者たち」(制作:トリニティエンターテインメント)で華やかにカムバックした。東北アジア最高のセキュリティを誇る仁川(インチョン)税関に隠された黒い金1500億ウォン(約150億円)を制限時間40分のうちに盗むために集まった、様々な技術者たちの歴代クラスのビジネスを描いたケイパームービー(金庫破り映画のジャンル)として、前作より大きなスケールで観客にもっと近付くために努力した。
「『共謀者』の時もそうでしたが、今回の『技術者たち』も公開されるということだけで嬉しいです。特に『技術者たち』は前作で披露した僕の演出の色を180度変えて作った作品なので、観客がどう受け止めるか期待半分、心配半分です。心臓がドキドキしています。ハハハ」
デビュー作で成功してから公開される2度目の作品。ヒットや完成度の面でデビュー作を下回る状況を指す「2年目のジンクス」を、キム・ホンソン監督だからといって避けられるはずはない。しかし、キム監督はジンクスなどは全く気にしていなかった。最善を尽くし、後悔はないためだ。
「2年目のジンクスについて、たくさん聞いたことはあります。特にクリエイターに多いジンクスですね。最初は上手くできた人が、2度目の作品で崩れたりしますが、商業映画を作る監督は毎作品で『これが最後だ』という気持ちで作業に入るため、壊れる暇はありません。ハハハ。ジンクスから逃れることができるなら、逃れないと」
幸い、結果は良かった。1年の映画業界で大作が集まるという熾烈な12月の市場に足を踏み入れ、公開初週に観客動員数100万人を突破し、かなりいいスタートを切った。即断は禁物だが、今回もある程度の目的は達成できると見られる。観客の反響が苦労した過去のキム・ホンソン監督を慰めている。
「『共謀者』の時は、少ない予算で演出もやって制作もやって本当に大変でした。ロケーションのハンティングもできなくて泥棒撮影をしたり、スタッフの苦労も大変なものでした。今回の『技術者たち』は『共謀者』の時よりもっと休めて、もっと食べることができました。僕も演出に集中することができましたし。もちろん大変でしたが、『共謀者』に比べると環境は良くなりました。運が良かったと思います。僕を信頼してくださるスタッフや俳優たち、『共謀者』の時から一緒の方が多いんです(笑)」
「後半の撮影で、全南(チョンナム)光陽(クァンヤン)で港湾のシーンを撮ることになりました。なのに、梅雨の時期と重なってしまいまして。予算も時間もかなり使われて本当に苦労しました。撮影の準備をしているのに、雨が降って地面にビニールを敷いて待ったり、本来は雨のシーンではないのに晴れるのを待つことができなくてアドリブとして雨の状況を作ったりもしました。次からは、梅雨の時期には絶対に撮影しません。ハハハ」
梅雨に足を止められたが、振り返ってみると「技術者たち」の撮影現場はいつにも増して楽しくて幸せだったというキム監督。胸がいっぱいになるほどみんなが頑張ってくれてありがたく、感謝していると何度も気持ちを伝えた。特に「技術者たち」を通じて自身初の単独主演を務めたキム・ウビンには特別な思いがあるという。
「本当に、僕が経験した俳優の中でキム・ウビンは最高でした。他の監督にもぜひお勧めしたいです。準備もたくさんしてくるし、辛い時も愚痴をこぼすことなく逆に監督やスタッフをリラックスさせてくれます。一言で言って気楽にコミュニケーションできる俳優です。シナリオ以外でも自身の才能を最大限に引き出す能力もありますし。ハツラツとしていて、エネルギーに満ちています。何よりも礼儀正しいというのはキム・ウビンの最も大きな長所ですね。現場に着くと、スタッフの末っ子から年配の方にまで挨拶をします。そうするのも容易くはないのに、本当に気持ちを込めるんです。一人一人に挨拶をするので、キム・ウビンが現場に着くと僕に来るまでかなり時間がかかりますよ(笑) キム・ウビンがどこまで大物になれるのか楽しみにしています。本当に大きな俳優になれる子です」
前作「共謀者」(2012)に出演したイム・チャンジョンの暴露でキム・ホンソン監督は不本意ながら“鬼の監督”になった。イム・チャンジョンは撮影中のエピソードとして「しつこくて執拗なキム・ホンソン監督のせいで、一日に何度も腹が立った」と愚痴をこぼしたことがある。その発言以来、キム・ホンソン監督は“鬼”という愛称を手にした。だが、実際のところイム・チャンジョンのあの暴露は彼のお茶目な性格から始まったものだった。最近イム・チャンジョンがキム・ホンソン監督に送った応援メールには、鬼だとからかっていた姿はなく、大事に思う弟への愛情が溢れていた。トムとジェリーのような二人の愛憎関係は今ももちろん現在進行形である。
コ・チャンソクとイム・チャンジョン。二人の共通点は、表現はまるで嫌いであるかのように荒くても、実は誰よりもキム・ホンソン監督を大事に思っているということだった。焼酎一杯を飲みながら、優しい人だと言っていたコ・チャンソクも、誇らしい弟であると応援のメールを送っていたイム・チャンジョンも実は監督キム・ホンソンが、人間キム・ホンソンが好きだった。キム・ホンソン監督はそんな人だ。鬼の仮面を被ったお人好しだ。このような表現は少し照れるが、実際そんな人である。
「共謀者」で成功裏にデビューしたキム・ホンソン監督は、2年ぶりの新作となる犯罪アクション映画「技術者たち」(制作:トリニティエンターテインメント)で華やかにカムバックした。東北アジア最高のセキュリティを誇る仁川(インチョン)税関に隠された黒い金1500億ウォン(約150億円)を制限時間40分のうちに盗むために集まった、様々な技術者たちの歴代クラスのビジネスを描いたケイパームービー(金庫破り映画のジャンル)として、前作より大きなスケールで観客にもっと近付くために努力した。
「『共謀者』の時もそうでしたが、今回の『技術者たち』も公開されるということだけで嬉しいです。特に『技術者たち』は前作で披露した僕の演出の色を180度変えて作った作品なので、観客がどう受け止めるか期待半分、心配半分です。心臓がドキドキしています。ハハハ」
デビュー作で成功してから公開される2度目の作品。ヒットや完成度の面でデビュー作を下回る状況を指す「2年目のジンクス」を、キム・ホンソン監督だからといって避けられるはずはない。しかし、キム監督はジンクスなどは全く気にしていなかった。最善を尽くし、後悔はないためだ。
「2年目のジンクスについて、たくさん聞いたことはあります。特にクリエイターに多いジンクスですね。最初は上手くできた人が、2度目の作品で崩れたりしますが、商業映画を作る監督は毎作品で『これが最後だ』という気持ちで作業に入るため、壊れる暇はありません。ハハハ。ジンクスから逃れることができるなら、逃れないと」
幸い、結果は良かった。1年の映画業界で大作が集まるという熾烈な12月の市場に足を踏み入れ、公開初週に観客動員数100万人を突破し、かなりいいスタートを切った。即断は禁物だが、今回もある程度の目的は達成できると見られる。観客の反響が苦労した過去のキム・ホンソン監督を慰めている。
「『共謀者』の時は、少ない予算で演出もやって制作もやって本当に大変でした。ロケーションのハンティングもできなくて泥棒撮影をしたり、スタッフの苦労も大変なものでした。今回の『技術者たち』は『共謀者』の時よりもっと休めて、もっと食べることができました。僕も演出に集中することができましたし。もちろん大変でしたが、『共謀者』に比べると環境は良くなりました。運が良かったと思います。僕を信頼してくださるスタッフや俳優たち、『共謀者』の時から一緒の方が多いんです(笑)」
写真=映画「技術者たち」スチールカット
キム・ホンソン監督は「技術者たち」の呼吸は完璧であったと伝えた。ただ、憎かった梅雨を除くとだ。梅雨のせいでたくさん苦労したというキム監督はスタッフや俳優たちは物心両面で自身を助けてくれたが、神様だけはなかなかそうでなかったと首をかしげた。「後半の撮影で、全南(チョンナム)光陽(クァンヤン)で港湾のシーンを撮ることになりました。なのに、梅雨の時期と重なってしまいまして。予算も時間もかなり使われて本当に苦労しました。撮影の準備をしているのに、雨が降って地面にビニールを敷いて待ったり、本来は雨のシーンではないのに晴れるのを待つことができなくてアドリブとして雨の状況を作ったりもしました。次からは、梅雨の時期には絶対に撮影しません。ハハハ」
梅雨に足を止められたが、振り返ってみると「技術者たち」の撮影現場はいつにも増して楽しくて幸せだったというキム監督。胸がいっぱいになるほどみんなが頑張ってくれてありがたく、感謝していると何度も気持ちを伝えた。特に「技術者たち」を通じて自身初の単独主演を務めたキム・ウビンには特別な思いがあるという。
「本当に、僕が経験した俳優の中でキム・ウビンは最高でした。他の監督にもぜひお勧めしたいです。準備もたくさんしてくるし、辛い時も愚痴をこぼすことなく逆に監督やスタッフをリラックスさせてくれます。一言で言って気楽にコミュニケーションできる俳優です。シナリオ以外でも自身の才能を最大限に引き出す能力もありますし。ハツラツとしていて、エネルギーに満ちています。何よりも礼儀正しいというのはキム・ウビンの最も大きな長所ですね。現場に着くと、スタッフの末っ子から年配の方にまで挨拶をします。そうするのも容易くはないのに、本当に気持ちを込めるんです。一人一人に挨拶をするので、キム・ウビンが現場に着くと僕に来るまでかなり時間がかかりますよ(笑) キム・ウビンがどこまで大物になれるのか楽しみにしています。本当に大きな俳優になれる子です」
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- チョ・ジヨン、写真 : チョ・ソンジン
topics