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チェ・ユンテ監督が乗り越えてきた大きな壁とは?イ・ジュヨン主演「野球少女」いよいよ3月5日(金)日本公開!

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Netflix「梨泰院クラス」マ・ヒョニ役でスターダムを駆け上がり、韓国エンタメ界で今最も旬なイ・ジュヨンが主演を務める映画『野球少女』がいよいよ3月5日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開を迎える。

プロ野球選手になる夢を叶えるため、見えない壁に立ち向かう天才野球少女を描いた本作。今作が長編映画デビュー作となり、監督・脚本を担当したチェ・ユンテ監督が『野球少女』に込めた思いとは?

――今作「野球少女」は、野球に対する関心というより、現実の壁にぶつかった人々からインスピレーションを得て作られたそうですが、野球を題材にされた理由は? それによって苦労した点はありましたか?

チェ・ユンテ:苦労しました。「野球少女」の製作費は1億2000万ウォン(約1200万円)でした。その予算でスポーツ映画を撮影するのは、やはり、とても厳しかったですね。野球のシーンを演出する時も、予算が限られていたため、撮りたいシーンがあっても撮れないことがありました。


監督自身が乗り越えてきた大きな壁「自分の持っている短所は短所ではない」

© 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
――主演を務めたイ・ジュヨンさんはどんな方でしたか? キャラクターや演技の表現について、彼女から何か提案などはありましたか?

チェ・ユンテ:提案ではありませんが、こうしない方がいいのではないかという意見を言ってくれました。それは、劇中のチュ・スインとイ・ジョンホのエピソードです。実は、完成した本編とは違う内容のエピソードがもう1つあったのですが、それについてイ・ジュヨンさんが、このエピソードはこの映画に合わないと思うと言ってくれたことで、今の本編のエピソードに修正しました。

――劇中では、スイン以外にも現実の壁にぶつかる人々が登場します。監督自身がこれまでの人生でそのような経験をしたことはありますか? その時にどのように乗り越えましたか?

チェ・ユンテ:私は後天的な言語障害があり、学校に通っている頃から、そのためにつらい思いをしました。以前は人とコミュニケーションが取れないほど、言語障害がひどかったのですが、今は練習や訓練をして、なんとかこれくらい話せるようになりました。また、子どもの頃から映画監督になりたいと思っていましたが、成績もよくなかったので、周囲の皆から、お前は監督になれないと言われました。誰一人、監督になれると言ってくれる人はいませんでした。そんな私が当時、思ったのは、私の持っているものや経験したことは映画を作るうえで、むしろ有利になるかもしれないということでした。私は他の人が持っていない弱者の視点を持っていると思ったのです。だから自分の持っている短所は短所ではないと、いつもそう考えながら生きています。

© 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
――スインの情熱と努力で次第に周りの人々の心が動かされていきますが、「野球少女」の出演者の姿を見て感動したことや熱い気持ちになったエピソードなどはありますか?

チェ・ユンテ:「野球少女」は真冬に撮影しました。韓国の気候は日本とは違い、冬の寒さが厳しく、撮影当時はマイナス20度くらいでした。そんな中、出演者の皆さんは薄いユニフォーム姿で撮影に臨んだのです。もし私が出演者の立場だったら、果たしてそこまでできるだろうかと思いました。予算がなかったため、出演者の皆さんは人件費も受け取らずに頑張ってくれました。その点でもありがたく、言葉にできないほど感謝しています。

――本作では人生に迷った時に思い出したくなるようなセリフがたくさん出てきますが、最も印象に残っているセリフはありますか?

チェ・ユンテ:セリフは私が書いたものなので、印象に残っているものはありませんが、セリフには普段、言いたいと思っていたことを込めました。特に言いたかったのは、「私の未来は誰にも分からない」というチュ・スインのセリフです。


監督としての夢「次の作品をまた演出したい。それだけです」

© 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
――韓国映画は日本でも多くのファンに愛されています。監督が思う、韓国映画の魅力とは?

チェ・ユンテ:私もシナリオを書きながら、いつも念頭に置いていることですが、リアリズムだと思います。どんな物語を作るにしても、作り手は事実に根ざしてシナリオを書こうとします。韓国の観客もそれを望んでいますし、少しでも偽りだと思うと、観客は離れてしまいます。ですから、韓国映画はリアリズムが力だと言えますね。

――監督ご自身が映画を作るときに特に意識されていることはありますか?

チェ・ユンテ:私一人の考えなので、共感してもらえるかは分かりませんが、映画の道徳性について意識しています。私が考える映画の道徳性とは、例えば、映画に障害者が登場する場合、その障害者が持っている障害を単にモチーフとして利用しないことことです。「野球少女」を例に挙げると、女性が主人公ですが、この人は女性だから実力があるのにダメだという描き方をするのは、女性であることを利用することになると思います。演出をする立場として、そのように、映画の道徳性について深く考えながら演出をしています。

© 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED
――監督の現在の夢は何ですか?

チェ・ユンテ:私の夢は、これからも映画を撮れる監督になることです。監督は1作品撮った後、さらに次の作品を撮るのは難しいですよね。簡単に言えば、次の作品をまた演出したい。それだけです。

――コロナ渦でつらい時期だからこそ、より一層この映画に励まされる人が多いと思います。「野球少女」を通して伝えたいメッセージは?

チェ・ユンテ:メッセージと言うより、「野球少女」を観ている間は、現実のつらいことを忘れて、楽しんでいただきたいです。

© 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

■映画情報
「野球少女」
2021年3月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

監督・脚本:チェ・ユンテ
【出演】
イ・ジュヨン「梨泰院クラス」
イ・ジュニョク「秘密の森」
ヨム・ヘラン「椿の花咲く頃」
ソン・ヨンギュ「エクストリーム・ジョブ」

2019年 / 韓国 / 韓国語 / 105分 / スコープ / 5.1ch
英題:Baseball Girl / 日本語字幕:根本理恵
配給:ロングライド
(C) 2019 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

<あらすじ>
最高球速134キロを誇り、“天才野球少女”とたたえられてきたチュ・スイン。高校卒業を控えたスインは、プロ野球選手になる夢を叶えようとするが、女子という理由だけでプロテストを受けられない。母や友だち、野球部の監督からも、夢をあきらめて現実を見ろと忠告される。「わたしにも分からないわたしの未来が、なぜ他人にわかるのか」――。自分を信じて突き進むスインの姿に、新しく就任したコーチが心を動かされる。同じくプロになる夢に破れたコーチは今までとは真逆の特訓を開始する。次々と立ちふさがる壁を乗り越えたスインは、遂にテストを受けるチャンスを掴むのだが――。

「野球少女」公式サイト:https://longride.jp/baseballgirl/

元記事配信日時 : 
記者 : 
Kstyle編集部
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