Vol.2 ― 数々の振付を担当するプロのダンスユニットs**t kingzがいま、振り付けしてみたいK-POPアーティストは?
今年1月に初の見るダンス映像アルバム『FLYING FIRST PENGUIN』をリリースし、歌唱しないダンスアーティストとしてテレビ朝日「ミュージックステーション」出演を果たしたs**t kingz。ダンサーとして新たな道を切り開くかたわら、様々なアーティストに振り付けを提供するコレオグラファーとしても活躍している。
そんなs**t kingzにダンサーとして、そして振付師としてK-POPのダンスの魅力と思い出を語ってもらった。
Vol.1 ― 世界を見るプロのダンサーs**t kingzが語る「K-POPの魅力」…スゴイと思うアーティストを明かす
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shoji:自分たちの作品を作る時よりも考えることが多いですね。一人ひとりの個が目立つようにしますし、歌割りもあるから一人ひとりちゃんとおいしいところがあるように、楽曲ごとにグループの色がちゃんと出るようにということと、楽曲の面白さを前面に出すということとか。自分たちの楽曲の振り付けを作る感覚とはまったく違いますね。あとは、そのグループのファンが喜ぶことはすごく意識します。
kazuki:s**t kingzでやるようなことをそのままアーティストに持っていったら、たぶんカオスになると思うんですよね。もっとわかりやすくて見やすいもの、歌いながら成り立ってちょうどいいものをというのは自然と意識してます。
Oguri:ただ振りを作るだけの人たちじゃなくて、パフォーマーでいるからこそアーティストの人たちがリスペクトを持ってくれるというのは感じますね。たまに振りを教えに行って、最後にs**t kingzで踊ってみてくださいという時とかあるんですよ。ちょっとしたショーケースみたいになるんですけど、それはそれで気合いが入るし、踊るとすごく盛り上がってくれたりして。そういう時、先生に徹していたところからまたパフォーマーに戻って、背中で見せる感覚はありますね。レッスンでは黙々とやっていた子がすごく盛り上がってくれて、「そんなに盛り上がれる子だったんだ!」ってなることもあります(笑)。
NOPPO:振りを作る前にあまりよく知らないグループだったらメンバーのことを調べて、この子はダンスが得意じゃなさそうだから、あんまり移動はしない方がいいね、とか。そういう調整はしますね。
kazuki:それは大事だよね。
shoji:メンバーの能力は事前に確認します。あと、マネージャーさんにいろいろ情報を聞いて、この2人が出てくる瞬間があるとファンは喜ぶんですよ、とか(笑)。そういう事前情報を聞いて、じゃあそれはどこに持ってこようかな、みたいなことも考えます。楽曲が出た後、そういうのが見事にファンの人たちに響いてたりすると、よっしゃ! って思いますね(笑)。狙ってましたよ、実は! みたいな。
――パフォーマンス中にやたら移動が多いメンバーがいたりしますが、その人はダンスの能力を見込まれているということなんですね。
shoji:もしかしたら歌割りのせいかもしれないですけどね(笑)。
NOPPO:どうしてもそういう子が出てきちゃうんですよね。
Oguri:人数が多いとね。無茶な移動の人、絶対1人はいるんですよ。
kazuki:じゃないとワンパターンになっちゃうからね。
shoji:でも、それも移動が得意な子が担当になってると思います。ちゃんといるんですよ、短い中でもさっとうまく移動できる子って。そういう子を、そういうところにハメてるんだと思います。
――s**t kingzさん以降、日本でもコレオグラファーとしてK-POPアーティストに振り付けをする方がすごく増えてきています。日本の若手が増えてきていることについてはどう思われますか?
shoji:日本にもいいダンサーがいっぱいいるので、ぜひ日本の若いダンサーを使ってほしいなと思うんですよね。日本の現場って比較的、安心感が求められるので、名前のある人たちが多いですよね。ありがたいことに僕たちもたくさん振り付けさせていただいているんですけど、僕たちの世代は振付師がたくさんいて。その反面、若い子たちがなかなか活躍するのが難しいところもあるんですよ。でも、韓国は常に新しい子を探していて、人と違うものを作れる人はどこだ、みたいな。とにかくパフォーマンスで勝っていくことがすごく大事になので、そういう意味で日本の若い子たちにもアンテナを張ってもらってるというか、SNS上に面白い動画をあげてる子たちはちゃんとつかまえてもらえてるし、若い子たちにもどんどんチャンスを与えてほしいなと思いますね。
s**t kingzが振り付けしてみたいアーティスト
――今後、s**t kingzさんが振り付けしてみたいアーティストはいますか?shoji:俺は女の子の振り付けが好きなので、aespaとかITZYとかやりたいです。ガールクラッシュ系は好きなので。振り付けしたいですね。
kazuki:俺はBTSの振り付けをやってみたいですね。ジミンに俺の振りを踊ってほしいっていつも見ながら思ってるんですよね。絶対にカッコよく踊ってくれるそうだなって。ソロで出ることとかあったら、ぜひ!
Oguri:ご連絡ください(笑)。
kazuki:「Butter」のリミックスの振りもやっぱりカッコいいなって思いましたね。
shoji:めっちゃ難しそうだったよね、あれ。
kazuki:あれをあの感じで踊れるのってやっぱり相当うまいなって思うんですよね。アーティストのダンスという領域じゃないというか。いや、アーティストだから逆にああいうふうに踊れるのかもしれないけど。
NOPPO:そう、そう!
kazuki:パフォーマンスありきで振りが馴染んでて、無理してない感じで、表情も澄ました感じがすごくナチュラルで。だいぶ激しいダンスなのに。最近、「Butter」とか「Permission to Dance」とか「Dynamite」とか、わりと簡単なダンスが多かったけど、久しぶりに「ON」みたいにガッチガチに踊ってるダンスを観て、やっぱりうまいんだなって思いましたね。
――では、やってみたいお仕事は?
Oguri:韓国はオーディションがめちゃくちゃ流行ってるので、韓国でやってるオーディションに関わってみたいですね。
shoji:いいね、トレーナーとかでね。
Oguri:きっとすごい子がいっぱいいると思うんですよ。そういう子たちを番組の中で見つけて、この子はすごくなるだろうなと思って、パワーをもらいたいですね。日本でも『THE FIRST』がありましたけど、日本でもどんどん盛り上がってほしいです。今まで全員がちゃんと歌えて踊れるグループってあんまりいなかったじゃないですか。そういうグループが日本でももっと出てきたら、J-POPもどんどん盛り上がっていくのかなと思いますね。
shoji:K-POPばっかりを聴いてたうちの姪っ子たちが、BE:FIRSTにめちゃめちゃハマってて。「オーディションはやっぱ神だわ」みたいになってたんですよね(笑)。今、あらためてそうやって人を応援する形のエンタメが響いているのを感じますね。
kazuki:番組を見てるとやっぱり応援したくなっちゃうよね。
shoji:そうやって改めて日本の音楽業界も盛り上がるといいなと思います。
NOPPO:俺はバラエティ番組に出てみたいですね。
shoji:韓国の!? 言葉を勉強しなさい、それなら!
NOPPO:対応力はあると思うんで(笑)。韓国語はしゃべれないけど体で表現できるので。
kazuki:たしかに、韓国の音楽番組に出てみたいね。カメラワークとかすごいし、あの中に入ってみたい気はするよね。
ダンスのみで「Mステ」出演を実現!“反響すごかった”
――音楽番組といえば今年は「MUSIC STATION」にも出演されましたが、反響はどうでした?shoji:反響、すごかったですね。今年、『FLYING FIRST PENGUIN』という見るアルバム、“見るバム”というダンスアルバムを新しく作ったんですけど、もともとは自分たちが好きな音楽を作ってそれを踊るということと、今までは著作権の問題があって形に残せなかったから、残すことを目的にアルバムを作ったんですけど、「Mステ」に出たことによって、自分たちの音楽を持つってこんなに人に見てもらえるチャンスが広がるんだということに気づきました。「Mステ」の反響は、自分たちのエンターテイメントをもっと人に届ける方法ってたくさんあるんだなっていうのを教えてくれた、自分たちの中でもすごく大きな一歩だったなと感じています。
kazuki:周りのダンサーたちも「Mステ、出れるんだ!?」っていう感覚だったと思います。「まさか、そんなことがありえるの?」っていう(笑)。俺らは声を大にしてダンサーとしての出口を増やしたいと言ってきて、活動もいろいろしてきたけど、声を出していない人たちの中にもそう思っている方が多かったというか。だから「Mステ」という大きなきっかけがあった時に、ダンサーの仲間や先輩方が「s**t kingzがダンサーとしての道を開いているぞ」ってシェアしてくれたんですよね。でもそれはたまたま俺らだっただけであって、みんなが望んでたことだから。それを再確認できた、いいきっかけになったなと思います。
――ダンサーがアーティストに転向してデビューすることも増えていますが、s**t kingzさんは本当にダンサーの道を新しく切り開いているのを感じます。
kazuki:そこで歌っちゃうと、他の人と一緒になっちゃいますからね。ダンスが武器にならなくなっちゃう。引け目しかない状態で出なきゃいけないというか。俺たちも歌えてたらもしかしたら歌うという選択肢もあったかもしれないですけど(笑)。マジで歌えないんで!
shoji:歌が好きな人はいるけどね。
Oguri:歌わないほうがいい(笑)。
shoji:今ってK-POPの影響もあって本当にダンスが身近になっていると思うんですけど、その出口がなかなかないという中では、歌ってアーティストになれるという選択肢があるというのも素晴らしいですよね。でも、僕たちみたいにダンスでいろんな機会をいただけるのもすごくうれしいなと思うし、新しいダンスの出口がここ最近ぐっと増えてきてると思うので、少しでもたくさんの人がダンスでエンターテイメントを届けられる場所が増えていくというのは、ダンサーとしてすごくうれしいですね。
――8月には新曲「えがお! feat. PES」もリリースされました。
Ogui これからもs**t kingzとして音楽を出し続けていくということを大事にしていきたいと思った時、次の曲として作ったのがこの曲です。基本的に毎回、音楽を作る時はまずどういうダンスを踊りたい、どういうs**t kingzを次は見てほしいっていうところから話し始めるんですね。前回は自分たちが切り開いていくんだという気持ちでアルバムを作ったんですけど、今度はs**t kingzの音楽を聴いてくれた人が元気になれたり、今日を楽しく過ごそうと思ってもらえるような曲になればいいなというところからスタートして、テーマを考えて、PESさんにお願いしました。こういう楽曲を作ろうと思っています、こういうコンセプトで、ダンスはこういうことをしたいです、というのをまとめて……。
shoji:それを企画書にして見ていただいて、意味がわからないって言われて(笑)。今回の曲は本当にチャレンジで、えがおになるゲームをしている男4人組という特殊な設定だったので、最初は「どういうこと!?」って言われながら一緒に試行錯誤してくださって。結果的に、すごく素敵な曲になったと思うし、こんな時だからこそ笑顔を届けたいという思いでこの楽曲を作ったので、少しでも笑顔が広がっていくといいなと思っています。
「今後も様々なチャレンジをしてダンスの可能性を広げていきたい」
――9月には2年ぶりのライブツアーがありました。ツアータイトルの「ダンスが好きなただの変人」は、アルバム『FLYING FIRST PENGUIN』のリード曲「FFP feat. C&K」の歌詞の一節ですよね。shoji:お気づきですね(笑)! そうなんです。
Oguri:C&Kのお2人が名付けてくださったタイトルです。
shoji:あの歌詞をいただいた時、あらためて「あ、自分たちってダンスが好きなただの変人なんだ!」と思ったんですよ。それがすごくうれしい言葉だなと思って。ダンスが好きすぎて変人だなんて、最高の褒め言葉だなって思ったんですよ。自分は変人になれるほど好きなものに出会えたんだ、ってあの曲で再認識させてもらえて。すごく素敵な言葉だなと思って、今回のライブツアーのタイトルにさせていただきました。言われて僕たちも気付いたんですよ、あらためてダンスがすごい好きなんだなって。でも、自分を掘り下げていくと、実は誰でもそういう変人なところがあったり、変人だって胸を張れるようなものを持ってるんじゃないかなというところで、そういう要素を感じられるようなライブになりました。
kazuki:私って普通かもとか、自分って普通だなと思って、ちょっと落ち込むことってあるじゃないですか。個性がないみたいな感じで。でも俺らもダンスが好きで、これが飛び抜けた個性のはずなのに、「俺のダンス普通だな」って思ってた時期もあったし。でも周りの人から見たら「いや、そんなにダンスに時間を費やして、人生捧げてるって、ド変人じゃない!」って思われてたっていう(笑)。ダンスに興味がない人からしたら、たしかにそうなんですよね。たぶん、みなさんにもそういうものは何かしらあるし、今はまだ気づけてないだけかもしれないから、そういう好きなものを貫き通して、育ててほしいなって。「僕らの場合はダンスをやってステージに立ってます」というのを見せられたら、みんなの背中を押すきっかけになったり、ポジティブな気持ちになってもらえるんじゃないかと思って、ライブの中身の演出もタイトルにちなんだ内容がいっぱい出てきます。そこにユニークさを加えて作ったライブなので、楽しんでもらえたんじゃないかなと思います。変人って言われるぐらい踊りますし。
――ツアーを終えていかがでしたか?
shoji:ライブ全編を通してすごく踊りました。
kazuki:2019年の「メリーオドリマX'mas」もいっぱい踊ったんですけど、あの時はライブというものが自分たちの中でまだまだ新鮮だったんですよね。あんまり経験がなかったから、バンドと一緒に音楽を踏まえて、そこで爆踊りするっていう雰囲気だったんですけど、今回は間の演出とかも含めて、変人というものをテーマにいろいろやりました。
NOPPO:自分たちのオリジナルの曲でパフォーマンスする初めてのライブという意味もあったツアーでしたね。
shoji:有観客で初めて披露する楽曲がいっぱいありましたね。
kazuki:100%ではないんですけど、98%くらいは自分たちの曲でしたね。曲とは言えないパフォーマンスもあったり、s**t kingzらしさは100%でした。
shoji:お客さんの前でパフォーマンスできなかった期間に、僕たちの中で新しく生まれた表現方法だったり、今やるからこそのライブになったと思います。思い切り踊るものから、くだらないものまで(笑)、ダンスっていろんな表現あるんだなって思ってもらえるし、もしかしたら今まで知らないダンスの楽しみ方に出会えるシーンがあるかもしれないです。今後も様々なチャレンジをしてダンスの可能性を広げていきたいです。
取材:尹 秀姫 / 撮影:朝岡英輔
■リリース情報
見るダンス映像シングル「えがお! feat. PES」
好評配信中:https://lnk.to/Egao_feat_PES
ダンス映像アルバム「FLYING FIRST PENGUIN」
好評発売中
【本編(Blu-ray)】
01.「FFP feat.C&K」 s**t kingz
02.「Haze feat.Shin Sakiura × ぷにぷに電機」 s**t kingz
03.「足取り feat.大石晴子」NOPPO
04.「Too hard to choose feat.MARTER」shoji
05.「On my side feat.issei」kazuki
06.「I won’t say good bye feat.KAIKI」Oguri
07.「Oh s**t!! feat.SKY-HI」s**t kingz
08.「I‘ll be there feat.S.N.A」s**t kingz
【特典映像】
・メイキング映像
・アナザーテイク映像
・「FFP」ロケ完全密着!シッキンドキュメンタリー番組企画「微熱大陸」
■関連サイト
s**t kingz公式サイト:https://shitkingz.jp/
- 元記事配信日時 :
- 記者 :
- Kstyle編集部
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