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イ・ジェフン「演技をしていないときは、気が抜けている感じ」

oh!my star

どこまでも落ちていったかのように見えるジェヒョクも成長した

イ・ジェフンは意外性が期待される俳優だ。それは、漫画「MONSTER」のヨハンのように限りなく善良に見えるが、実はその中に限りない悪が潜んでいるような類の意外性だ。映画やドラマの中でイ・ジェフンが眉間にしわを寄せながら笑っているのか泣いているのかわからない曖昧な表情を見せる時は、その多面性に目を奪われる。

SBSドラマ「ファッションキング」の放送終了後に、インタビューのために会ったイ・ジェフンからもそのような雰囲気が感じられた。どんな質問にも、よくまとまった“模範回答”を出してきた彼が、一瞬眉をひそめた時、その答えの意外性に驚かされた。

それは、「ファッションキング」で彼が演じたジェヒョクの話をしている途中だった。財閥2世のジェヒョクは、認めてもらいたい存在の父から、いつも殴られる。そのような父子関係が非現実的、または誇張されているのではないかと話したら、彼は瞬間的に目つきが変わり、「経験もないし、見たことが無かったため」とジェヒョクになったように話した。
引き続き、「説得力のある演技をするのも俳優の仕事」と付け加えた。優しく見えるイ・ジェフンになぜ、友情と権力の間で葛藤し自殺した「Bleak Night(原題:番人)」(以下「Bleak Night」)のギテや、戦場で中隊を導かなければならない「高地戦」の少年大尉イリョン、自身が崩壊するほどの愛への執着を見せた「ファッションキング」のジェヒョクのように“破滅役”が与えられたのかが少し分かるような気がした。

そして、切ない片思いの経験を尋ねる質問に、二十歳の時の記憶を探りながら「告白してつきあうことになったけど、相手を好きな気持ちが強すぎて、長続きしなくてふられました。それで、片思いのような気持ちが残りました」と気恥ずかしそうに笑った時は、「建築学概論」のスンミンを見ているようだった。

ジェヒョクを通じて、イ・ジェフンの新たな一面を感じてもらうことを願った

―「ファッションキング」の制作発表会では、「ドライアイスのように冷たい姿を見せたい」と公言していましたが、ジェヒョクは冷たいというより、稚拙な姿が強調されたキャラクターではなかったでしょうか。

イ・ジェフン:憎らしい人物でした。もともと手にしているものが多くて、自分勝手に生きていた人生で、人を配慮するとか、大切にしてあげることを知らない人物ですね。私は、ジェヒョクを通じて俳優イ・ジェフンの新たな一面を感じてほしいと思いました。三作品(「Bleak Night」「高地戦」「建築学概論」)に引き続き出演しましたが、似たようなイメージの役柄を演じたので、ちょっと間を置きたいと思って選んだのがジェヒョクという役でした。ドラマは長いから、この人物がいかに変化し、成長するのかを深くまで見せたいと思いました。

―結果的にジェヒョクは成長より、一人の女性の愛を得られなくて利己的になり、次第に崩れていく姿を見せるべきだったと思いますか。

イ・ジェフン:序盤と中後半の姿が非常に違いますよね。ドラマの中の人物が生きていく姿と、そこに変化があってこそ、演技する意味があると思うんです。ジェヒョクが少しずつ壊れていったとしても、それが人の終わりではなく、これからも生きていくでしょう。カン・ヨンゴル(ユ・アイン)との対立を通じて冷たくて知的な姿を見せたとすれば、ジェヒョクはイ・ガヨン(シン・セギョン)のために仕事をあきらめ、愛だけを追っていくことになり、崩れていく姿も見せました。これは崩れたとも表現できるけど、そこから気づいたこともあるから、十分に成長したと思います。

―実は「ファッションキング」を見ながらジェヒョクを見て恥ずかしくなったシーンが結構ありました。多くの人の前で酒に酔って「イ・ガヨン!」と叫ぶシーンなど。イ・ジェフンさんもそのようなジェヒョクが恥ずかしくはなかったですか?

イ・ジェフン:まぁ(笑) ジェヒョクの人生が崩れ、どん底にまで落ちる姿を見せたかったんです。すべてを持っているけど、愛がなければダメな人間になってしまうんです。多くの人がいる公の場でそのような姿を見せたのは、恥ずかしいことですが、それだけジェヒョクにとってはガヨンという人物が、誰よりも大切な存在であるわけです。かっこよく演じることもできたと思いますが、私は、ジェヒョクの心の底にある本当の自分を見せてあげたい、と思いました。内面の飾らない姿を。

もう、演技を除いては説明できない存在

―優しそうなイ・ジェフンから多面的な魅力を発見できたのは、映画「Bleak Night」があったためだと思います。

イ・ジェフン:「Bleak Night」のユン・ソンヒョン監督は、優しく見える私から「一瞬の鋭い目つきを見た」と言いました。そこに何か言葉では説明できない色々なストーリーを盛り込むことができるだろうと。可能性を見ていただいたんですね。作品に出演しながら、イ・ジェフンという俳優が固められたと言うべきでしょうか。どの作品も同じですが、監督の方々は、わずかな可能性を見てキャスティングしてくれたんだと思います。可能性に賭けたのが正しかったことを証明するためにも、頑張らなければならないですね。
―聞いた話ですとヨンゴル役のユ・アインさんは、「イ・ジェフンさんは答えのある演技をする」と言ったらしいですが、どう思いますか。

イ・ジェフン:私にもわからないです(笑) どんな方向に流れて、どんな姿に見えたら良いという台本上の基本は持って行くけど、現場の雰囲気や小道具一つでも簡単に状況が変わってしまいます。予測できない場面での演技が自然に受け入れられた時は、驚きました。このような過程は、私が演技をする理由の中で一番大きい部分です。

―大学まで辞めて演技をすると言った時、ご両親としては大手を振って応援できる立場ではなかったと思います。ご両親はいつから俳優への道を支持して下さったんですか。

イ・ジェフン:学校に新しく入った時です。私が演技というものに人生をかけてみようとする姿、本当に最初からやり直すという意思を見せたのが、別の学校に入学することでした。25歳のことでした。その時から両親も「本当にあなたがやりたいことをやってみなさい」と言ってくれました。小さい短編映画、ミュージカルに出演した時も常に私の姿を見せて、安心させたかったんです。今は、俳優として人々に顔を覚えていただいて、愛していただいているので喜んでいますね。

―イ・ジェフンという人物はどんな心構えで演技をする俳優ですか。

イ・ジェフン:以前は、ただひたすら演技がしたかったし、演技ができるならそれ以上に幸せな瞬間はないと思っていました。人々に知っていただき愛されるようになってからは、熱心に演じなければという思いが強くなりました。俳優は、絶えずキャラクターとしての姿を見せなければなりません。もし限界が見えたり、不足して怠惰な姿を見せるのなら演技をしないほうがいいとも思うし、もっと集中して精進しなければならないと思います。演技というものが人生でとても大きな部分を占めていて、もう演技を抜いては自分を説明できない存在になりました。

“演技するイ・ジェフン”がないと、気が抜けているような感じ

―「ファッションキング」も終わりましたし、もうちょっと休まなければならないでしょう。

イ・ジェフン:三つの映画を次々と終わらせて、新しい映画も公開されるけど、インタビューや広報に費やす時間がなくて残念でした。今は、「ファッションキング」も終わって、役者として演技するイ・ジェフンがいないので、しばらく気が抜けています。緊張した瞬間や、熱心に演じた時間が終わったから少し余裕もありますが。最近はたくさん寝て、友達とも会っています。以前は、映画を見ることが平常時の唯一の楽しみでした。映画館にもしばしば行こうとしているし、本も読みたいけど、時間がないんです。常にシナリオを見たり、台本を覚えたりするので、小説や詩集にのめり込むのが簡単ではありませんでした。今は撮影がないから本を読まないといけませんね。

―俳優としての短期的な目標と長期的な目標は何ですか。

イ・ジェフン:短期的には映画「漁村の幽霊 パクさん、出張す」が興行的に成功してほしいですね。私にとって、冒険をしたような作品です。韓国映画にこのようなジャンルがあったのかと思うほどユニークで、人々の反応も気になるけど、愉快で面白い作品だということは確かです。一方では、心配もあります。突然変わる私の姿にどのような反応が出るかと。
長期的には、今後より多くの作品を通じて色々な姿をお見せすると思いますけど、それでも“一人が演技した”という感じを与える俳優になりたいです。尊敬している俳優を思い出してみると、みんな自分の中からキャラクターを創り出しているような気がします。そして、何より、その俳優が出演するのはどんな作品なのか気になるような“信頼できる俳優”になりたいです。

元記事配信日時 : 
記者 : 
イ・ジョンミン、イ・ヒョンジン
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