Vol.5 ― 【TVキャラクターアワード】ソン・ジュンギからキム・ヘスまで…キャラにはまった俳優たち
「TVレポートキャラクターアワード99」はここ1年間、韓国で放送されたドラマを通してもっとも印象的なキャラクター99人を選定し、受賞するイベントで、毎年9月に発表します。
計74本、1419人のキャラクター。昨年7月から今年7月までの1年間、地上派とケーブル及び総合編成チャンネルで放送されたドラマとキャラクターの数だ。見るものがないと言ってチャンネルを変えた瞬間が存在しないほど多くのドラマが放送され、多くの俳優たちが最善を尽くして熱演を繰り広げた。
しかし、記憶に残っているドラマは指で数えられる程度であり、またそのドラマの中で視聴者に認識されたキャラクターも数えられるほどしかいない。数多くのドラマとキャラクターがお茶の間を訪ねたが、残念ながら鮮明に覚えられたドラマは多くない。特に、1419人のキャラクターのうち、視聴者に名前を刻み込んだ人物はさらに少ないだろう。
そのため、選んでみた。TVレポートは創刊9周年を迎え、1年間に放送されたドラマの中の最高のキャラクター101人を選定する「第1回TVレポートキャラクターアワード99」を開催した。
キャラクターとの最高の相性を発揮した俳優は果たして誰だろうか。彼らの中にはシリアスなキャラクターに出会って第2の人生を切り開いたり、格別な演技力で平凡なキャラクターを特別なものへと作り変えた俳優もいた。また、すべての条件を揃えて、キャスティングランキングでぐんと順位を上げた俳優もいる。
俳優が自分にぴったりのキャラクターに出会ったとき、どんなことが起こるのだろうか。この1年間、キャラクターを通して逆転のチャンスを迎えた俳優たちをタイプ別に分けてみた。
もともとイケてた?今はもっとイケてる!
オ・ス(チョ・インソン)今年の春、もっとも若い男女の胸をときめかせたドラマはSBS「その冬、風が吹く」だと断言できる。毎日を意味もなく過ごす男オ・スと、目が見えない大企業の会長の一人娘オ・ヨン(ソン・ヘギョ)のラブストーリーは甘くも苦かった。個性的なキャラクターに二人の俳優の魅力が加わったとき、その相乗効果は凄まじかった。
除隊後、主演にキャスティングされていた映画「クォン・ボブ(拳法)」の制作に問題が起こり、2年間のブランクがあったチョ・インソンは「その冬、風が吹く」をきっかけに人々に存在を再認識させた。特に、オ・スというキャラクターはチョ・インソンを俳優として世間に認識させた映画「卑劣な街」で見せたキャラクターと似ている。自分にぴったりのキャラクターに出会ったとき、俳優は輝く。チョ・インソンにとってオ・スはそんな存在だ。
カン・マル(ソン・ジュンギ)
2012年がキム・スヒョンの年だったとしたら、今年はソン・ジュンギの年だ。下半期を迎えた現在まで、彼の人気に立ち向かえる人はいない。軍人になってもその人気は有効だ。KBS 2TV「優しい男」は、ソン・ジュンギが注目すべき若手俳優から名実共にトップスターとなる、いわゆる“決定打”となったドラマである。
世の中のすべての女性を誘惑できる魅力の持ち主だが、どこかさびしげなカン・マルの姿に女性たちは熱狂した。ソン・ジュンギはカン・マルの二面的な魅力を虚ろげな瞳で表現し、キャラクターに奥行きを持たせた。口では愛を語るも、目は冷たかった。ソン・ジュンギは単純な“悪い男”を“オムファタール”(魔性の男)へと作り上げた。
ミス・キム(キム・ヘス)
ミス・キムと対決を繰り広げたら、誰が勝つだろうか。スーパー契約社員が誕生した。今回の授賞式で1位に選ばれたキャラクターでもある。キャラクター自体が強烈でも、それを演じた俳優の努力を知らなくては話にならない。KBS 2TV「オフィスの女王」は日本のドラマをリメイクした作品で、韓国でも通じるのかどうか心配が先行した作品だった。しかし、フタを開けてみると全く状況は異なった。キム・ヘスは資格を100も持つミス・キムそのものだった。
ミス・キムは契約社員だが、みんなから尊敬される。何を依頼してもすぐにやってのけるマジシャンのような存在であり、契約社員だが、プライドは天にも届きそうな勢いだ。上も下にも人がいない、ただ自分だけしか知らない個人的な人物である。キム・ヘスはミス・キムのユニークな話し方とジェスチャーを考案し、漫画のようなキャラクターに息を吹き込んだ。
パク・スハ(イ・ジョンソク)
1本のドラマから新たなスターが誕生するのは、最近の芸能界では夜空の星を掴むこと同じくらい難しいことだ。しかし、今年はそんなドラマが誕生した。SBS「君の声が聞こえる」のイ・ジョンソクがその主人公だ。認知度が高くてファンも多いが、スターと呼ぶには多少もの足りなかったイ・ジョンソクは、この作品で一躍スターとなった。
相手の目を見れば気持ちを読み取ることができる少年パク・スハは、超人的な能力を持っているがモンスターのような存在ではない。一人の女性(しかもかなり年上)だけを想うパク・スハは母性本能をくすぐった。さらに、頼りになる余裕を持った男でもあり、年上の女性が好きになる条件をすべて兼ね揃えたのだ。モデルのようにスリムな体格に童顔で、意志が固く気前のいいイ・ジョンソク特有の雰囲気は、キャラクターの魅力を倍増させた。
大当たり?キャラクター1つで大ヒット
チェ・イニョク(イ・ソンミン)外科医のチェ・イニョク。今回の授賞式でミス・キムと僅差で2位に選ばれたキャラクターだ。金と権力に集中するほかの医師とは違い、患者の命を最優先する理想的な人物である。妥協を許さない意地っ張りだが、ヒューマニズムが生きているキャラクターで、視聴者の心を虜にして、メンター(良き指導者)を捜し求める現代人の渇きを解消してくれた。もちろん、イ・ソンミンの抜群の演技のおかげで共感することができたのだ。
かつてイ・ソンミンはドラマキャスティング2、3位にも含まれない俳優のうちの一人だった。しかし、MBC「ゴールデンタイム」ですべてが変わった。単なる脇役だった彼は、このドラマをきっかけに主演クラスの俳優へと成長した。イ・ソンミンにとってチェ・イニョクは、宝くじに当たったようなプレゼントとなった。キャスティングの順位が上がったのはもちろん、出演料も大きく変わった。
ミン・ジュングク(チョン・ウンイン)
シットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)「3人の友達」以来、長い低迷期を送ったチョン・ウンインはSBS「君の声が聞こえる」を通じて第2の全盛期を迎えた。主人公であるパク・スハの父親を殺した殺人鬼のミン・ジュングク役で初めて悪役に挑戦した彼は、久しぶりに自身の経歴に色をつけることに成功した。さらに大きな収穫は、出演量よりも大きかった存在感である。
すべての主人公たちの敵がミン・ジュングクであり、この設定のおかげでチョン・ウンインの存在感は一気に増した。「今度は何か見せる」という俳優本人の覚悟も実った。長い経歴に比べて、特別なヒット作がなかったチョン・ウンインは、このドラマで新たな人生を切り開き、次回作のMBC新月火ドラマ「奇皇后」でも悪役を演じる。もう一度人々に自分を知らしめるという覚悟だ。
魅力がHOT!ダイヤの原石は?
ユン・ユンジェ(ソ・イングク)、ソン・シウォン(Apink チョン・ウンジ)昨年の夏、レトロに染まったブラウン管を覚えているだろうか。tvN「応答せよ1997」の人気は一大ブームに近かった。1990年代H.O.T.、SECHSKIES(ジェクスキス)などアイドルに熱狂していた高校生たちの物語は、深いノスタルジーを呼び起こした。特に、二人の主人公ソン・シウォンとユン・ユンジェは、視聴者たちをまるで自分の過去を見ているかのような気持ちにさせた。
「応答せよ1997」は、アイドル歌手であるソ・イングクとチョン・ウンジが俳優として認められる決定的なきっかけになった作品でもある。Mnetオーディション番組「SUPER STAR K」出身というレッテルを剥がせずにいたソ・イングクはそのイメージから抜け出し、チョン・ウンジは演技力を評価されることに成功した。現在、二人とも地上派のミニシリーズ(毎週連続で2日間に2話ずつ放送されるドラマ)で主演または助演クラスの俳優として活躍している。
ク・ウォルリョン(チェ・ジニョク)
たった一本の作品で名前を知らせた。MBC「九家の書」で人間ではない智異(チリ)山の守護神ク・ウォルリョン役を演じたチェ・ジンヒョクは、デビュー8年目にして初めて検索ワードランキングで1位になった。これこそがドラマの力であると彼自身が一番実感したことだろう。
ク・ウォルリョンは愛する人間の女性ユン・ソファ(イ・ヨニ)のために神であることを諦め、人間になろうとするキャラクターである。人間の姿をしているが、神としての威厳を保たなければならなかった。その点でク・ウォルリョンはまるでチェ・ジニョクのために作られたキャラクターのようだった。高い身長と広い肩、低音で響く彼の声は守護神のク・ウォルリョンと非常にシンクロ率が高かった。
チェ・ジニョクは人々にこのキャラクターをきっかけにして確実に認識された。小さな脇役でさえ激しい競争が繰り広げられるキム・ウンスク脚本家の新作であるSBS新水木ドラマ「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えろ-相続者たち」にキャスティングされるという幸運を手に入れた。ク・ウォルリョンくらいにキャラクターが良ければ、スターダムを駆け上がることは確実ではないだろうか。
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- キム・ジヒョン、写真 : MBC、SBS、KBS、tvNスクリーンショット
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